インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍    作:ユウキ003

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今回はハロウィンのイベントをベースにした日常編です。


日常編第4話 『ハロウィン』

これは、機龍と一夏達の、平和なイベントのお話。

 

 

相も変わらず少し変わった学園、IS学園。季節は巡り、秋。

そんな1年1組の教室では……。

マドカ「ハロウィンのイベント?」

機龍「うん」

授業が終わった放課後。教室で帰り支度をしていたマドカに

機龍がその話題を振った。

そして彼は頷きつつ、鞄の中から一枚のチラシを取り出して

マドカに渡した。

  「丁度学園島向かいの街でハロウィンのイベントが

   行われるんだ」

と、説明を受けつつチラシに目を走らせるマドカ。

  「そこでは仮装大会とか色々イベントをやってるみたい

   なんだ。それでね、一夏達と話し合って、折角だから

   みんなで仮装して行ってみようって事になったんだ。

   だからマドカちゃんも行こうよ!」

マドカ「は?……私もか?」

機龍「もちろん!」

一瞬、理解できなかったのか呆けてから疑問符を浮かべるマドカ。

  「折角の機会だから、楽しまなくちゃ!それに

   マドカちゃんも一緒の方が僕は嬉しいし」

そう言って笑みを浮かべる機龍。それを見て、最初は

断ろうとしたマドカだが……。

マドカ「ハァ、わかった。私も行こう」

と、ため息をついてから頷くのだった。

機龍「ホント?!じゃあ早速マドカちゃんに似合う仮装を

   探さなくちゃ!」

マドカ「は?お、おい待て!私は仮装までするとは一言も!」

機龍「大丈夫!きっと可愛い仮装が出来るよ!」

マドカ「なっ!?か、可愛いとか言うなっ!」

と、そんな押し問答をしつつ、結局マドカも仮装する事に

なったのだった。

 

 

で、イベント当日。

IS学園のモノレール駅には、仮装姿なり学生服、私服なりの生徒達

が集まっては駅から対岸の街へと向かって行った。

そして、そんな駅近くの一角では……。

一夏「お?お~い機龍~。こっちだこっち~」

一足先に来ていた一夏達が機龍や簪、セシリアやラウラ、

クロエや楯無、マドカ達に気付いて手を振る。

機龍達も一夏達に気付いてそちらに向かった。

機龍「ごめん、少し遅くなっちゃった。着付けに時間掛かっちゃって」

一夏「大丈夫だぜ。俺達もさっき集まったばかりだからな」

 

と、話をしつつ互いの仮装を見る各々。

機龍「へ~。一夏のそれはドラキュラ?」

ラウラ「ふむ、よく似あっているな」

その時の一夏の姿は、黒いスーツに裏地の赤い黒マント。更に

口には作り物らしき牙があった。

一夏「へへ、ありがとな。仮装って言ったらやっぱこれかなって

思ってさ。そう言う機龍のそれは、和服か?」

そう聞かれた機龍は黒っぽい和服に身を包んでいた。

機龍「うん、わかりづらいかもだけど、座敷童だよ。 

   小さい妖怪なら何かなって探して、これにしたんだ」

そう言って、その場でクルッと回る機龍。

箒「うむ、似合っているぞ機龍」

機龍「えへへ、ありがとう箒お姉ちゃん。……あ、そういう

   箒お姉ちゃんは振袖なんだ」

顔を赤くしつつ、改めて彼女を見ると、箒は白く雪のような

模様の振袖に身を包んでいた。

箒「雪女をイメージしてみたんだが……」

楯無「うんうん!箒ちゃんらしくて良いじゃない♪」

簪「うん、すっごく似合ってるよ。ね、織斑君」

一夏「あぁ。箒すっげぇ似合ってるぞ」

箒「そ、そうか。あ、ありがとう」

 

意中の一夏から褒められ、顔を赤くしつつ袖で口元を隠す箒と、

笑みを漏らすセシリアやラウラ達。

鈴「ちょっとちょっと!私達の服装に感想は無いわけ一夏~!」

シャル「僕達も忘れないでよね一夏」

と、肘で一夏を小突く鈴と相槌を打つシャル。

 

そんな二人の恰好はと言うと……。

鈴はチャイナドレスに似た黒い服装と頭の上に黒い特徴的な帽子を

被っていた。更に、帽子の側面にはお札らしき物を下げていた。

シャルの方は、可愛らしい服装だが、腰元からはヘビを

思わせる尻尾、背中には小さいドラゴンのような翼が

生えていた。

機龍「鈴お姉ちゃんのそれは、キョンシー?」

鈴「そうよ。中国のお化けの一種」

機龍「へ~。でも、シャルロットお姉ちゃんのそれって?」

シャル「これは『メリュジーヌ』。フランスの伝承にある

    蛇の下半身とドラゴンの翼、人間の上半身を

    持った女性の事なんだよ。流石に、足をヘビっぽくは

    出来なかったから尻尾にしたんだけどね」

と、恥ずかしそうに顔を赤くするシャル。

一夏「へ~。二人とも、結構気合入ってるんだな。

   鈴の方は王道っぽいけど、似合ってるし、

   シャルの方も尻尾とか翼とかカッコいいと

   思うぞ」

褒められると、顔を赤くする二人。

鈴「と、当然よ~私に掛かればこれくらい!」

シャル「えへへ、ありがとう一夏」

と、箒に続き二人も笑みを浮かべる。

 

一夏「所で、セシリア達の恰好は?何がモデルなんだ?」

セシリア「私は北欧に伝わる民間伝承に登場するエルフですわ」

そう言う彼女の服装は、緑のドレスと少し耳をとがらせる

アイテムを使っていた。見た目は、ドレスを着た金髪のエルフ、

と言った感じだ。

ラウラ「私とクロエは、以前の機龍の猫耳からヒントを得て猫の

    妖精、ケットシーを真似てみた」

クロエ「丁度同じ題目に行きついたので、色を変えて対照的に、

    という事で私もケットシーの仮装です」

と言って、腰に手を当てるラウラの服装は、黒いゴスロリ系の

服装にいつもの眼帯、更に黒い猫耳と猫の尻尾を付けていた。

対照的に、クロエは白系の清楚な服に、銀に近い白の

猫耳と猫尻尾を付けていた。

 

楯無「私達はモーラちゃんがモスラの時に一緒にいた双子の

   妖精の話を思い出して、そこからこんな感じの

   対照的な服にしてたわ♪」

(※ イメージモデルはゴジラVSモスラのコスモスの衣装)

一夏「へ~。だから二人とも袖が片方ずつなんですね」

機龍「うん、二人とも、それにラウラお姉ちゃんやセシリア

お姉ちゃん、クロエもとっても似合ってるよ」

簪「う、うん。ありがとう機龍」

褒められ、顔を赤くする簪たち。

モーラ「私は妖精をイメージして羽を背中に

    つけてみましたが……」

機龍「殆ど能力の部分開放と変わらない感じに

なっちゃったんだよね」

そう言って苦笑している機龍。実際、今のモーラはドレスに

がさばらない程度の羽を背中に着けていたが、確かに機龍の言う通り

能力で翼を出しているようにしか見えなかった。

モーラ「むぅ、これは少し選択を間違えてしまいました」

 

  「でも、その姿も可愛いと思うよ」

モーラ「そ、そうですか?ありがとうございます」

と、最初は頬を膨らませていたが、褒められ顔を赤くするモーラ。

箒「さて、最後はマドカだが、その恰好は?」

と、ここにきて話題をマドカに振る箒。みんなの視線が

集まった先では、見られて恥ずかしいのか顔を赤くしながら

視線を逸らすマドカ。今の彼女は、水玉模様の水色の

振袖を着ていた。

機龍「マドカちゃんは箒お姉ちゃんと同じように雨女を

   意識して服をコーディネートしたんだって」

モーラ「マドカさんの黒髪なら和服が似合うと思った

    私の判断です」

と、事の次第を教える二人。

一方のマドカは……。

 

マドカ「さ、さっさと行くぞ!イベントが始まるのだろう!」

恥ずかしいのか顔を赤くしながらそう言って歩き出し、

他の面々も笑みを浮かべながら彼女の後に続いて、モノレールで

街へと向かうのだった。

 

モノレールで海を渡り、駅に降りる一夏達。そして駅の外に

出たのだが……。

一夏「結構人多いな~」

周りを見回しながら呟く一夏。実際、駅の周りだけでも

かなりの数の人が行きかっていた。

どうやら、街レベルでイベントが行われているらしく、店先

にはジャックオランタンの風船や置物、デフォルメされた

お化けのシールや風船がそこかしこに設置されていた。

 

機龍「わ~~~!!」

煌びやかに彩られた街並みに驚き、目を輝かせる機龍。

  「あ!あれってジャックオランタンだよね!」

そして、街角に置かれた巨大なジャックオランタンを、

年相応な少年のように驚き、見上げる機龍。

それに笑みを浮かべながら続く一夏達。

楯無「ジャッコランタンとも呼ばれるこのランタンには、

   善霊つまり良い霊を引き寄せ、悪霊を遠ざける効果が

   あるとされているわ」

一夏「へ~」

楯無「でも大本のアイルランドではカブのランタンだったり、

   死者の魂が彷徨う鬼火だって説があったり、元は

   真逆の話でもあるのよね」

機龍「へ~。楯無さんは物知りなんですね!」

楯無「そ、そう?ありがと」

褒められ、顔を赤くしつつ扇子で口元を隠す楯無。

 

一夏「さて、街に来たけど、まずはどうするかな?」

箒「時間は、6時過ぎか」

手元の腕時計を見て時間を確認する箒。

シャル「折角だからどこかで何か軽く食べない?」

モーラ「そうですね。色々見て回る前に少し腹ごしらえ、

    という事で」

鈴「私も賛成。……あ、でもどこにしよっか?」

セシリア「あ、それでしたらここなど如何でしょうか?」

そう言って、手に提げていた鞄から一枚のチラシを取り出す

セシリア。

簪「セシリアさん、それは?」

セシリア「先ほど駅前で配っていたチラシです。何でも

     この近くのお店でハロウィンフェアをしているとの

     事でしたので」

機龍「へ~。じゃあ行ってみよっか」

と、言う事で一夏や機龍達はセシリアのチラシのお店に

行ってみたのだが……。

 

シャル「あれ?ここって」

やがてお店に辿り着いたのだが、そのお店を見てシャルロットは

ある事を思いだした。

そしてそれは機龍やラウラも同じだった。

ラウラ「む?ここは確か……」

機龍「『@クルーズ』だ。懐かしいな~」

そう、その店を機龍、シャル、ラウラの3人は知っていたのだ。

そのお店こそ、夏休みの終わり間際、3人がアルバイトしていた

のだから。

 

一夏「あれ?機龍達この店知ってるのか?」

機龍「うん、実は訳あってこの店で一日だけバイト

   した事があるんだよ。シャルロットお姉ちゃんや

   ラウラお姉ちゃんと一緒にね」

シャル「店長さん、僕達の事覚えてるかな~?」

そんな話をしつつ、中に入る機龍と一夏達。

   『カランカラン』

店員「は~い、いらっしゃいま、って、あぁ!機龍君!

   それにデュノア君にボーデヴィッヒさん!」

ドアを開けると、鐘の音が成りそれに気づいた店員の

一人が彼らに気付いて、その中に見知った顔があった

事に気付いて駆け寄ってきた。

機龍「こんにちは。お久しぶりです」

店員「ホントだよね~!って、あ、ごめんごめん。

   今日はお客様としてきたんだよね」

機龍「はい」

店員「それじゃ、お客様12名ご案内で~す!」

そう言って、一夏達をテーブルに案内する店員。

 

席に着いた彼らは早速メニューを開く。

一夏「ハロウィンってだけあって栗とかカボチャの

   デザートが多いな」

箒「モンブランに、カボチャのプリン。カボチャの

  ムース。確かに色々あるな」

鈴「あ、こっちには柿のアイスもあるわよ」

機龍「へ~。そんなのまであるんだ」

簪「この梨の入ったゼリーも美味しそう」

マドカ「……ドラゴンフルーツのアイス。

    ドラゴンフルーツは夏と秋が旬らしいぞ」

セシリア「まぁ、本当ですわ」

と、メニューを見ながらワイワイと賑やかな機龍達。

 

その後、各自それぞれのデザートやドリンクを頼んで

待って居た。

そして待つ事数分。

店員「お待たせしました~!」

ワゴンを押しながら女性店員がやってきて彼らの前に

デザートを置いてく。

そして……。

 

一夏「それじゃぁ」

機龍「うん」

各々、スプーンやフォークを手に取りデザートを

口に運んで行く。

一夏「ん!美味い!」

機龍「う~~ん、これも美味しい!」

口々に、感想を述べて行くメンバー達。そんな中。

楯無「機龍君のそれ、美味しそ~ね」

機龍「え?」

不意に、機龍の隣に座っていた楯無が彼の方を見ながら呟く。

そして……。

楯無「私にも一口頂戴♪」

機龍「え、えっと、良いですよ?」

そう言って皿を楯無の方に寄せるが……。

楯無「あ~ん♪」

彼女は口を開いて彼の方に体を向けた。

機龍「ふぇ!?」

それには、内心驚いて顔を赤くする機龍。やがて……。

  「え、えぇっと、それじゃあ」

食べていたデザートのモンブランをフォークで分けて……。

  「あ、あ~ん」

楯無「あ~ん♪」

   『パクッ』

  「うん、美味し♪」

彼女に食べさせた。しかも、それを見た簪たちが……。

簪「じゃ、じゃあ機龍には私が……」

ラウラ「機龍、私にも味見させてくれ」

セシリア「あ、わ、私のケーキもどうぞ!」

モーラ「ま、負けません!」

と、何やら競い合うように声をかける簪やラウラ達。

マドカ「……相変わらずだな」

それを、やれやれと言わんばかりに見ているマドカ。

一夏「アハハ、機龍も大変だな~」

そして近くに座っていた一夏も他人事のように笑っていたが……。

   『クイクイ』

  「ん?」

不意に誰かが一夏の袖を引っ張った。それは、顔を

赤くしている箒だった。

箒「い、一夏。その、私も、一夏のを味見してみたい、

  と思ってだな、その」

鈴「あ!それなら私にも頂戴よね!」

シャル「僕だけのけ者、何てことは無いよね?一夏」

更に便乗する鈴と怖い笑みを浮かべるシャル。

一夏「お、おうもちろん良いぞ!」

  『な、なんだこの空気!?断れねぇ!』

結局、彼の方も似たり寄ったりだった。

 

その後、@クルーズを後にした機龍達は駅前の商店街の

方へと戻り、アクセサリーショップやイベント

のために開かれている露店などを見て回っていた。

そんな時。

スコール「あら?」

千冬「ん?」

一・機「「あ」」

不意に、スコール、オータム、束、千冬、真耶と言った

大人組と遭遇する一夏達。

真耶「あ、織斑君達でしたか。こんばんわ」

機龍「こんばんわ」

束「お~。みんなも仮装してきたんだ~」

クロエ「はい。……ところで束様、その恰好は?」

と、指摘したクロエ。実際、今の千冬と束は、髪を

ポニーテールにして大き目のサングラスをかけ、

さながら男装のように黒いスーツをビシッと

着こなしていた。

束「いや~ほらさ~。私達って有名人じゃん?

  だから変装しようって事になってさ~」

箒「成程、それでそのような格好を」

束「えへへ~♪どうどう?似合うでしょ~!」

そう言って、ビシッとポーズを決める束。

 

それを見た箒達は……。

箒「確かに、普段の姉さんより『しっかり』した感じが

  増していますね」

   『グサッ!』

しっかり、と言う単語が束の胸に突き刺さる。

クロエ「普段から今のイメージの半分でも『しっかり』

    していてくだされば良いのに」

   『グサグサッ!』

マドカ「……普段とイメージが真逆すぎる」

   『グサグサグサッ!』

実妹に義理の娘二人の言葉が束の胸に突き刺さる。

そして……。

束「うわ~~~ん!みんなのバカ~~~!

  どうせ私は不真面目だよ~~~~!」

機龍「た、束~~!?」

泣きながら町中を激走していってしまった。

咄嗟に呼び止める機龍だが、もはや遅く彼女は遠くへと

行ってしまった。

呆然としている機龍と苦笑を浮かべている一夏や鈴、簪たち。

千冬「ハァ。全くあのバカは。お前ら、遊ぶのも良いが

   問題だけは起こすなよ?ではな」

そう言って、千冬は真耶やスコール達と共に束の後を

追いかけて行った。

機龍「えっと、どうしよっか?この後?」

一夏「とりあえず、もっと色々見て回るか」

シャル「そうだね」

と言う事で、機龍達は再びハロウィンに沸く町中を色々

散策して回っていた。

 

そんな時だった。

   『『『『『ワァァァァァァッ!』』』』』

どこからか歓声が聞こえて来た。

一夏「何だこの声?」

機龍「なんだか、人が集まってるみたいだね」

聞こえた声に疑問符を浮かべつつ、興味本位でそちらに

向かってみる一夏と機龍達。

 

やがて彼らは、広い場所に作られた仮設ステージらしき

場所へとやってきた。

そのステージの上には、大きなプレートにデカデカと

『ハロウィンフェス特別ステージ・フリーカラオケ大会』

と書かれていた。

一夏「カラオケ?」

その文字を見て疑問符を浮かべる一夏。すると……。

セシリア「あら。見てくださいまし、司会者の様な方が」

そう言って舞台袖の方を指さすセシリア。彼女の言う通り、

舞台袖からサングラスに金髪の、いかにもテンション高めの

MCらしき男性が現れ、舞台に置かれたスクリーンにその姿が

映し出された。

 

MC「こんばんわ~エブリバディ!!この度はこの

   ハロウィンフェス特別ステージ、フリーカラオケ

   大会の会場によくぞお出で下さいました~!」

見た目の通り、テンション高めの挨拶と説明を始めるMC。

  「このイベントは今回のフェスティバルの大目玉でも

   あります!やる事は簡単!ただ歌うだけ!しかも

   飛び入り参加型だ~~!自分の歌唱力に自信がある人、

   無い人誰でもカモンッ!ソロでもデュエットでも、

   もちろんグループでもOK!」

一夏「へ~。誰でも参加して良いのか」

説明を聞く一夏達。

MC「さぁ!早い者勝ちだ!誰か、我こそはと言う参加者は

   居ないかな!」

と、MCが呼びかけるが、誰も挙手はしない。

  「あ~~!もしやみんな緊張してるのか~!?

   仕方ない!ここはひとつ、ランダムだ!」

そう言うと、ステージ後方に置かれていたスポットライトが

観客の居る場所を照らし始めた。更にステージの方から

『ダララララ』とドラムらしきBGMが聞こえて来た。

一夏「ハハ、こういう演出はどこも同じだな」

機龍「そうだね~」

 

なんて話をしていた直後。

MC「さ~!このフェスの一番槍はぁ……!君だっ!」

   『パッ!!』

機龍「ん?え?」

談笑していた機龍を、スポットライトの光が照らしだす。

それに気づいて呆けた声を出してしまう機龍。

更にステージ後方の大型モニターに機龍の姿が

映し出される。

MC「おぉ~っと!これはすごい!何とも美しい和服の美少女!

   さぁ!そこのガール!どうする!?チャレンジか、

   ノットチャレンジか!」

機龍「え、えっと。どうしよう?」

いきなりの事でオロオロしつつ隣にいる一夏達の方へと

向く機龍。

一夏「ど、どうせだからやってみたらどうだ?

   機龍、歌すっげぇ上手いから大丈夫だと思うぞ?」

彼の言葉に、一度は彼の歌を聞いた事がある簪や箒達が頷く。

機龍「そ、そうかな?じ、じゃあ」

褒められ、顔を赤くしつつも決心した機龍は……。

  「や、やってみます!」

そう言って手を上げた。

MC「お~~!参加してくれるか~!ありがとう!

   じゃあまずはこっちまで来てくれ!」

 

人々の合間を通って、ステージの方へと向かう機龍。

そして、一度舞台袖に入って歌う曲をリクエストしてから

マイクを手にステージに上がる機龍。

  「ようこそステージへ!まずはエントリーナンバー1番!   

   銀髪の和服美人!しかし皆の衆!驚け!何とこの美人さん!

   実は男の子だという!信じられるか!?

   俺は信じられない!」

機龍「よ、よろしくお願いします」

と、相変わらずテンションの高いMCと衝撃の事実(?)に

観客たちから、『え~~!?』と言う声が上がる。

 

MC「しかぁし!その歌唱力は未知数だ!果たして

   彼の声はどんな歌を聞かせてくれるのか!

   さてまずは一曲目、『たった1つの想い』だ!

   どうぞ!」

と言うと、ステージの半分が暗転し機龍にだけスポット

ライトが当たる。

そして、静かに歌が始まる。

 

(※ ガンスリンガーガール 第2期 OP 

   『たった1つの想い』)

 

機龍「たった1つの想い貫く、難しさの中で

   僕は、守り抜いて見せたいのさ♪」

 

以前、一夏達の前で歌った時のようにソプラノの歌声を

響かせながら歌う機龍。やがて、5分ほどを掛けて

機龍は歌を歌いあげた。

 

歌い終わった機龍は、マイクを握っていた腕を下げ、

静かに一礼をする。次の瞬間

   『『『『ワァァァァァァァッ!!』』』』

   『『『『パチパチパチパチッ!』』』』

会場から割れんばかりの歓声と拍手が巻き起こる。

MC「ウワァァオゥッ!何というハイクオリティ!

   まさかの猛者現る!ありがとうシルバーボーイ!」

機龍「い、いえ。緊張しましたけど、うまく歌えて良かった

   です」

そう言って機龍はマイクを返し、恥ずかしさから顔を赤くしつつ

もう一度、観客席に向かって一礼をしてからステージを

後にした。

MC「最初はかなりの高レベルの彼だったが、臆するなみんな!

   こういうのは楽しんだもん勝ちだ~!さぁ~!

   次の挑戦者は誰だっ!!」

そう言ってMCが呼びかけると、今度はチラホラと手を

上げている人たちが出てくる。

 

そして、二人目の人が準備している間に一夏達の元へと

戻る機龍。

一夏「いや~。凄かったな機龍」

シャル「うんうん。本物の歌手顔負けだったよ!」

セシリア「うふふ♪機龍、将来は歌手になるというのも

     良いかもしれませんわね」

楯無「凄かったわね~♪あ~、何だか私も歌いたく

   なって来ちゃった♪」

そんな話をしていると、二人、三人と続いて4人目の

参加者を募集し始めた。

それを見た楯無が……。

  「はいはいは~~い!妹とデュエットで

   参加しま~~す!」

手を上に上げ、ブンブンと振りながら自己アピールをする。

簪「えぇ?!お姉ちゃん!?」

一方、突然巻き込まれて驚く簪。

MC「おぉっと!今度は先ほどのシルバーボーイの

   お友達がデュエットでエントリーだ!

   良いねぇ!と言うわけで、次はあの二人だぁっ!」

   『パッ!』

MCが二人の方を指さすと、スポットライトが二人を

照らしモニターが二人を映し出す。

簪「え、えぇっ!?」

楯無「やった~!さぁ簪ちゃん!行くわよ~!」

簪「ちょ、ちょっとお姉ちゃん!?」

驚き戸惑う簪をお構いなしに引っ張っていく楯無。

 

そして、ステージに上がってしまう二人。

楯無「イエ~~~イ!!」

簪「あう、あぅぅ」

テンションの高い楯無と、顔を赤くして俯く簪。

 

MC「さてお次は、どこか南国風を思わせるペアルックの

   姉妹さん達だ!ここにきて最初のデュオ参加者!

   楽曲は、『REASON FOR』!どうぞ!」

 

(※ 仮面ライダーシティウォーズ OP)

 

そう言うと、舞台が暗くなり曲の伴奏が流れ出す。

簪『あ~~!もう!こうなったらやってやるんだから!』

そして、どうやら簪も高をくくったようだった。

 

楯・簪「「全てだと思ってた、小さな世界から、

     見えてる。嘘と本当が全部交錯する景色♪

     染まりそうになる♪」」

 

マイクを手に、二人そろってズレることなく同じ歌を

歌い上げる。

そして、歌い終われば……。

   「「「「ワァァァァァァッ!」」」」

機龍と同じように歓声と拍手が鳴り響く。

楯無「ありがと~~~!」

そんな観客に手を振る楯無と、少し息が上がっているが、

どこか満足した表情を浮かべる簪。

 

そして、それだけにとどまらず……。

鈴「く~~!見せつけてくれるじゃないの!

  こうなったら、箒!シャルロット!今度は

  私達3人で行くわよ!」

箒「は!?」

シャル「あ!良いねそれ!」

箒「え!?ま、待て!私を巻き込むな!」

とか言いつつも……。

MC「さぁ今度はこの3人だ!」

箒「うぅ、何で私まで」

結局、二人に引っ張られてステージに上がってしまった箒。

 

MC「さぁどんどん行こうか!次はこの曲、

   『Ready Go』だ!どうぞ!」

 

(※ 仮面ライダービルド 挿入歌)

 

箒・鈴・シャ「「「Believe forever!

         Alive together!明日をこの手で

         創るため!」」

そして、何だかんだ言っても箒も他の二人と一緒に

ノリノリで歌を歌いあげて行く。

 

モーラ「おぉ!盛り上がってきましたね!

    セシリアさんラウラさん!私達も行きましょう!」

ラウラ「うむ!」

セシリア「望むところですわ!」

 

そして、その後も更にモーラ・ラウラ・セシリアの3人で

『Time Of Victory(※仮面ライダーエグゼイド挿入歌)』を

歌ったり、更に機龍と一夏のデュオで

『COSMIC MIND(※仮面ライダーフォーゼ挿入歌)』を

歌ったり、更に一般のお客さんやIS学園の生徒達まで

混じって、カラオケ大会は凄まじい盛り上がりを見せた。

 

ちなみに……。

スコール「あらあら。またあの子達ね」

そんな会場の様子を、少し離れた場所にあるカフェの

2階、そこにあるテラスの一角からスコールや千冬達が

それぞれお酒のグラスを手にしながら見ていた。

    「若いって良いわね~」

真耶「あ、また機龍君達ですね。って、あ。みんなで

   ステージ上がってますね」

オータム「お?マドカも歌うのか?」

と、ステージの方に興味津々の3人に、千冬も静かに

笑みを浮かべながらグラスの中身を飲む。そんな時。

 

束「何かさぁ」

千冬「ん?」

彼女の隣で頬杖を突きながら会場の方を見ていた束が

笑みを浮かべながら呟く。

束「良いよね。こういう平和な日々ってのも」

愛おしそうに、ステージで汗を流しながらも

笑みを浮かべながら歌う機龍達を見つめる束。

そして、千冬も……。

 

千冬「あぁ。そうだな」

そう言ってステージの方へと目を向けるのだった。

 

こうして、カラオケ大会は盛況。一夏達はまた一つ、

思い出と言うアルバムに新たな一ページを追加するの

だった。

 

     END




作中で歌った歌はほぼ私の趣味です。
以前にも似たような事をしていたから多分大丈夫だと
思いますが、ヤバかったら削除したり変更を加えるかも
しれません。
感想や評価、お待ちしています!

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