インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍    作:ユウキ003

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気分転換に書いた日常編のお話です。この日常編は時系列の設定が
曖昧な部分があります。なので原作等とは殆ど絡みません。


日常編第2話 『勉強会』

~これまでの鋼鉄の銀龍~

突如として出現した紅蓮の悪魔、デストロイアとの戦いを制した

3式機龍と仲間たち。IS学園の全生徒、教師たち。更には

世界各国首脳部に対し正体を晒す結果となった機龍だったが、

それでも彼の人徳と周囲の努力もあり、機龍は戦いの後も

IS学園の生徒としての生活に戻るのだった。

 

 

普段通りの日常が続くIS学園。しかし、ここ最近は生徒達が

ピリピリしていた。と言うのも……。

 

千冬「あ~。今日の授業はこれまでだが、お前達も知っての

   通りそろそろ中間考査が近い。赤点を取った者には

   それ相応の補習が待っている。それが嫌なら精々

   テストまでの間、頭に知識を詰め込んでおく事だな。

   それでは、以上。解散」

と言うと、出席簿を片手に教室を後にする千冬。彼女が教室を

後にすると、生徒達は各々駄弁り始めた。

そして、機龍達も……。

 

一夏「あ~。マジか~。もうすぐテストか~」

ぐで~っと机に突っ伏している一夏。

鈴「全く。情けないわよ一夏。もっとシャキッとしないよ」

そんな彼を見て呆れている様子の鈴。

ちなみに、現在では鈴と簪は刀奈の手回しによって1組に

籍を置いていた。

一夏「……。じゃあ鈴はテストで赤点取らない自身が  

   あるのかよ」

鈴「うっ!?そ、それは……」

と、逆に聞かれ自信がないのか口ごもる鈴。

 

一夏「なぁ機龍。お前らはテストどうだ?自信あんのか?」

機龍「僕は、大丈夫かな。理系は元々得意だったし、文系も

   簪に教えてもらったし」

簪「私は逆に理系が苦手だったけど、機龍と一緒に勉強してたら

  段々出来るようになっちゃった」

マドカ「私も、こいつに数学を教わった。後は大体出来る」

と、周りの者達は殆どが赤点のボーダーラインを超えられる

だろうと予測していた。

 

一夏「え~。嘘だろ~。それじゃあヤバいの俺と鈴と

   箒だけかよ~」

箒「なぜそこで私の名前が出る」

一夏「だって箒も理系は苦手だろ?」

箒「うっ!?」

最初はムッとした表情だったが、鈴と同じく図星を当てられ

唸る箒。

機龍「一夏お兄ちゃん達が苦手なのって、やっぱり理系?」

一夏「あぁ。まぁそうだな。俺は理科と英語。数学はまだ

   出来るんだけどなぁ」

鈴「私は理科の化学式と数学ね。あんな数字と文字の羅列、

  見てるだけで眠くなってくるのよね~」

箒「私は英語と数学だ。どうも文法や公式を覚えるのが

  苦手でな」

と、各々の弱点を口にする3人。一夏達はそのまま揃って

ため息をつき、そんな彼らを見た機龍は頭を捻ってから

ある事を思いついた。

 

機龍「そうだ。折角だからみんなで一緒に勉強会をしようよ」

一夏「勉強会?俺らみんなでか?」

機龍「うん。一緒に勉強していれば分からない所を僕達が

   アドバイスできるし、そうする事で僕達もテスト範囲の

   復習が出来ると思うんだ」

セシリア「成程。それは確かに良い考えですわね」

シャル「そうだね。……あ、でもどうしよう?

    流石にこの人数が集まるとなると、場所が……」

そう言って周りを見回すシャル。

メンバーは、一夏、箒、鈴、シャル、機龍、簪、セシリア、

ラウラ、モーラ、マドカの10人。流石にこのメンバーを

集めるとなると、各自の二人部屋では狭すぎるし、かといって

教室や食堂に集まる訳にも行かない。

 

機龍「あ、多分そこは大丈夫だよ。場所なら束の家で

   良いんじゃないかな?あそこはまだ使ってない部屋や

   たくさんの人が集まれる広間みたいな部屋もあるし。

   許可とかは僕が束にお願いしておくから」

モーラ「そうですね。では、日程はどうします?」

機龍「う~ん。あ、じゃあこれから毎週の土日、束の家に

   集まる事にしない?1日や2日で身についても

   間が空いちゃうと忘れちゃうかもしれないし」

ラウラ「それでは、これから毎週の土日。私達で集まって

    勉強会、というわけだな」

機龍「うん。それじゃあみんな、早速だけど明後日の土曜日、

   朝の10時に束の家の前に集合でも良い?」

一夏「あぁ、俺はそれで問題ないぜ」

と言うと、箒やシャル、簪たちも頷いた。

機龍「うん。それじゃあみんな、テストに向けて勉強

   がんばろ~!」

8人「「「「「「「「お~~!」」」」」」」」

機龍の掛け声に呼応するように、各々やる気を示す8人。

そしてそんな彼らを見て、やれやれと言いたそうな表情をしながらも

秘かに笑みを浮かべるマドカだった。

 

そして、土曜日。朝。

束の邸宅の前に私服姿で集まる10人。時間になり全員が集まると

機龍たちは早速束の邸宅の2階にある、どこか和風旅館的な部屋に

移動し、ちゃぶ台を全員で囲うような姿勢で早速勉強を始めた。

一夏、箒、鈴の3人はまず苦手科目である理系を機龍やセシリア、

モーラなどに見てもらいながら学び、他の面々もそのすぐ隣で

市販の問題集などを使って復習をしていた。

 

   『カリカリ』

そして、しばらくは静かな部屋にシャーペンや鉛筆を走らせる

音だけが響いていた。

一夏「なぁ機龍。ここの化学式なんだけど」

機龍「あぁ、それはね……」

箒「すまないモーラ。ここの数式はどうすれば良いの

  だろうか?」

モーラ「えっと、ここですね。ここは2ページ前の公式を

    ですね……」

と、時には隣に居るメンバーに助言をしてもらったりしつつ、

10人は着実に勉強をしていた。

 

そして、時間はあっという間に過ぎ去り……。

 

   『キーンコーンカーンコーン』

 

不意に、学校の方から時報の鐘の音が聞こえて来た。

その音に気付いて、10人はノートや教科書に落としていた視線を

上げた。

簪「時報。もう12時だね」

そう言って部屋の壁に掛けてあった時計に目を向ける簪。

一夏「彼此2時間か~」

ん~と伸びをしながらもグルグルと肩を回す一夏。

鈴「お腹も減ったし、どうする?みんなでお昼に学食でも行く?」

ラウラ「しかし、時間も時間だな。この時間帯だといつも混んで

    居たような気がするが……」

と、話していた時。

シャル「大丈夫」

そう言って、シャルは近くに置いていた鞄の中から大きな風呂敷を

取り出すとそれを机の上に置いた。

   「実はこんな事もあろうかと、お弁当作ってきたんだ~」

そう言って風呂敷を広げるシャル。包まれていたのは

3台の重箱だった。

と、更に……。

モーラ「あ、実はその、私もお弁当を」

機龍「え~っと、僕もサンドイッチを少し……」

そう言って更にお弁当箱やカラフルなタッパーを取り出す

モーラと機龍。

 

それを見ていた一夏が一言。

一夏「んじゃ、このままここで飯にするか」

という事で、一度勉強道具を片付けた彼らはそこでシャル、

機龍、モーラの3人が作って持って来た弁当で昼食を

取るのだった。

 

ちなみに、シャルはから揚げやサラダと言ったおかず類。モーラは

様々な具材を使ったおにぎり。機龍も卵やレタス、ハムなどを

ふんだんに使ったサンドイッチを作ってきていて、10人で

見事たいらげたのだった。

 

その後も午後4時まで各々の勉強をしてその日は解散になった。

 

その日の夕方。夕食時。

相も変わらず学食には大勢の生徒達が、休日と言う事で私服なり

なんなりで大勢集まっていた。

そんな中、モーラは1組のクラスメイト達と一緒に食事を

していたのだが……。

本音「あ~う~。テストが近い~。赤点怖い~」

と、項垂れる本音。どうやら彼女も一夏達と同じく赤点に

なりそうな科目があるようだ。

モーラ「本音さんも、ですか。どの科目が苦手なんです?」

本音「私は歴史~。年号とか人の事覚えるの苦手~」

お手上げ、と言わんばかりにパタパタと手を振る本音。

モーラ「歴史、社会ですか」

本音「う~~。このままじゃ赤点だよ~。赤点やだ~」

モーラ「こればっかりは努力次第ですからね。赤点を取る取らないは

    今後の本音さん次第です」

静寐「まぁそうなんだけどさ~。あ、そうだ。いっその事

   休みの日にでもモーラが教えてあげたら?」

と、近くに居た静寐が頷きつつも提案してきた。

 

モーラ「え?私がですか?」

静寐「うん。だってモーラって成績は1組でも上の方でしょ?」

モーラ「それはまぁ、そうですが。……ただ、休日は既に

    先約が……」

静寐「あれ?誰かと勉強でもするの?」

モーラ「はい。これからテスト当日までの間の休日は束博士の

    邸宅に集まって、一夏さん達や機龍と一緒に勉強を

    する事になっていまして」

清香「え!?マジで!それってみんなで勉強会してるの!?」

と、その話題に食いつく清香。

  「ねぇねぇ!それって私達も参加してもいい!?」

モーラ「え、えぇ?」

静寐「わ、私もぜひその勉強会に参加させてください!」

本音「私も~~!」

と、グイグイ押し気味に来る清香に続いて挙手する本音と静寐。

結局、モーラは曖昧にYESと返事をすることしか出来ないのだった。

 

また、別の場所では……。

2組生「ねぇねぇ!凰さんって一夏君や機龍君と一緒に勉強

    してるってホント!?」

と、鈴の元に、元クラスメイトである2組の生徒達が集まって

きていた。

鈴「そ、そうよ。テストに向けてみんなで休みの日に集まって

  勉強してるのよ」

2組生「そうなんだ!じゃあ私達も参加していい?

    その勉強会に!」

鈴「え?う、うんまぁ大丈夫だと思うけど……」

と、彼女もまた曖昧に返事をしてしまった。

 

そしてさらに、簪の元にも……。

4組生「お願い!私もその勉強会に参加させて!赤点回避の

    為に!」

一緒に食事をする簪の前で手を合わせ、頭まで下げている生徒達が数人。

簪「う、うん。わかった。みんなには私から伝えておくから」

と、彼女は彼女たちのお願いに押される形で承諾してしまった。

 

で、翌日の日曜日の朝。

マドカ「………。何で人数が一気に倍加してるんだ」

呆れつつため息交じりで集まった集団を見つめるマドカ。

昨日までは10人だったはずの勉強会の参加メンバーが

今では既に20人以上に増加していた。

本音「私達も勉強会に参加するのだ~」

そう言って腕を振る本音。

静寐「い、いや~その、私達もテストで赤点取りたくない

   と言うか、その~~」

と、本音でもありもう一つの理由を悟らせないように言葉を

濁す静寐。

彼女たちにしてみればテストに向けた勉強と一夏や機龍の

二人と仲良くなっておきたい、という一石二鳥な状況を

逃したくなかったのである。

 

機龍「まぁ良いんじゃないかな。テストまでもうあんまり

   日もないし、みんなでの勉強も互いの弱いところを

   教え合うって事で」

一夏「そうだな。俺も問題はないぜ」

彼の言葉に箒やシャル、簪たちが頷いた。

と、言うわけで早速昨日と同じ部屋に集まった彼女たちは

各々の得意科目を教え合う形で勉強を再開した。

 

本音「ねぇねぇおりむー。ここ、どうすれば覚えられる

   かな~」

一夏「あぁ、そこの年号か。そこは俺が中学時代に教えて

   貰った語呂合わせが良いと思うぜ、えっと……」

静寐「機龍君、ここの化学式って分かる?」

機龍「あぁうん、そこはね……」

と、何だかんだで機龍達は順調に勉強をしていた。

ちなみに、その日のお昼はと言うと……。

 

一夏「あ、そうだ。俺実は差し入れとして色々

   作ってきたんだ」

モーラ「私も昨日に引き続きお弁当を……」

鈴「じ、実は私も酢豚も」

箒「私も手巻き寿司の類を少し」

機龍「えっと、僕と簪からも色々と……」

静寐「あ~え~っと。私も勉強教えて貰うって事で

   少々差し入れを……」

と言って、5人はお弁当箱なりなんなりを机の上に置いた。

機龍「う~ん。……みんなで食べよっか」

一夏「だな」

そんなわけで、今日も彼女たちは一夏や機龍達が作った

お弁当を食す事になったのだった。

その後もまた4時ごろまで集まって勉強をした後解散する

一夏達。

 

しかし、翌週の土曜日には……。

マドカ「……。何でまた増えてるんだ」

と、呆れを含みつつ追加されたメンバーを見て呟くマドカ。

今の彼女たちの前には40人以上の女生徒たちが各々の恰好で

立っていた。

 

清香「い、いや~その、何と言いますか~その。土日の勉強会で

   結構勉強できた~ってみんなに言っちゃったらこの通りで  

   ございます」

一夏「ど、どうする機龍?」

機龍「え~っと。一応あの部屋、壁を動かせば隣の部屋と繋げ

   られるし、多分大丈夫だと思うよ」

というわけで、結局と言うか、いつの間にか機龍のような

成績トップクラスなメンバー達は他の同級生たちに先生の

ような事をして回る事になったのだった。

 

更に翌日には……。

マドカ「………」

もはや何も言う気が無いのか、束の邸宅の前に集まった

生徒達を見て押し黙っているマドカ。

どうやらネズミ算式に勉強会の噂が広まっているようで

今では2組や4組以外の生徒まで集まっていた。

 

で、結局機龍達はいつの間にか巨大化した勉強会をテスト

当日まで開くのだった。

 

そして、運命のテストの日が過ぎた数日後。

とうとうテストの結果が発表される日がやってきた。

まずは教壇に立つ真耶によって1組の各教科テストの

平均点が発表され電子黒板に投影された。結果は……。

ラウラ「ほう?」

モーラ「あら、これはまぁ」

と、映し出された平均点に驚くメンバー達。それもそのはずだ。

なぜかと言うと……。

 

真耶「皆さんすごいですね~!何と、平均点全科目が70点越え!

   しかも一部は平均点90点越え!すごいです!」

と、生徒達の奮闘を自分の事のように喜ぶ真耶。そして……。

千冬「んんっ、私としては今回のお前達の点数に驚いている所だ。

   聞くところによれば機龍や織斑たちが中心となって勉学に

   励んでいたようだな。よくやった。今後とも勉学に励む

   ように」

生徒「「「「「「はいっ!」」」」」」

珍しくも千冬からお褒めの言葉をいただいた生徒達は元気よく

返事をするのだった。

 

その後の夕食時。

食堂に集まっている一夏や機龍達。みんなで集まって各々の

料理を食べながら駄弁っていた。

一夏「は~~。これでやっとテストから解放されたぜ」

鈴「ホント、ここ最近テスト勉強ばっかりで頭が痛くなり

  っぱなしだったわよ」

シャル「けどすごかったよね。平均点が90点越えの科目まで  

    あったなんて」

ラウラ「結局、勉強会には1組の生徒の全員が参加していたからな。

    それが功を成したのだろう」

セシリア「聞いたところによりますと、1年の中では私たち1組が

     最も成績が良かったそうです」

簪「へ~」

モーラ「それもみんなで勉強して教え合った結果ですね。

    私も実は英語が少し苦手だったんですけど、おかげ様で

    89点も取れました」

箒「私もだ。苦手だった数学でかなりの点数を取れた。正直、

  自分でも驚いているよ。まさかここまでとは」

機龍「そうなんだ。マドカちゃんはどうだった?」

マドカ「……まぁまぁだ。ただ、いつもよりは、出来た気がする」

いつものようにそっけないが、それでも肯定するマドカ。

その周囲では機龍達が笑みを浮かべていた。

 

一夏「……また集まるか。テスト前には」

シャル「あ、良いねそれ。みんなでまた勉強会しようよ」

機龍「じゃあ、今度は1年だけじゃなくて楯無さんや

   レイン先輩たちも呼んでみんなでやろうよ。

   みんなで勉強して、一緒にお弁当食べたりしてさ」

モーラ「最終的には全校生徒も集めます?」

と、笑みを浮かべながら冗談交じりに言うモーラ。

簪「束博士の家の部屋数、足りるかな?」

一夏「束さんがその気になったら1時間で増築できそう

   だけどな」

セシリア「あの方ならやり遂げてしまいそうですわね」

そうやって、各々笑みを浮かべる一夏と機龍達。

 

こうして、一夏達は協力し合い勉強する事で学生の

難敵、テストを無事乗り切るのだった。

 

     日常編 第2話 END

 




とまぁ、こんな話でした。
気分転換で書いているので、続くかはわかりませんが、
今の私の頭の中では、題材としてハロウィンの町に仮装した
一夏や機龍達が繰り出す、とか、季節外れの寒波で寒くなり、
束の提案でIS学園全生徒教員まとめて、束が所有する
南国の島にみんなで行く、とかまぁそんな話を考えてます。

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