インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍    作:ユウキ003

4 / 46
前回の予告でセシリアの決闘前までと予告しましたが、
想いの他字数が少なかったので、セシリアと機龍の試合の所まで
書きました


インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍 第2話

前回までのあらすじ

IS学園に入学する事になった機龍は学園の中で

男性初のISパイロット、『織斑一夏』、束の妹『篠ノ之箒』

一夏の姉で『ブリュンヒルデ』の異名を持つ『織斑千冬』等と出会う 

しかし、そんな中でイギリスの代表候補『セシリア・オルコット』に

反感を持たれてしまった機龍 

そして束達と離れたことで『寂しい』と感じる機龍だったが、

一夏の励ましもあり、元気を取り戻した機龍 

その後もルームメイトの『更識簪』と出会い、少しではあるが

親睦を深めた機龍だった

 

朝 6時過ぎに目を覚ます機龍

しばらくして機龍が顔を洗って制服に着替えていると

簪の使っているベッドの横でアラームが鳴った

ベッドの中から伸びた手がアラームを止め、再びベッドの中に戻って、

動かなくなった それを見た機龍は

機龍「簪、朝だよ。起きて」

簪「う~ん。後5分寝かせて」

機龍「わかった」

そして5分後

  「5分経ったよ。起きて」

簪「う、う~ん。…もうちょっと寝かせて~」

機龍「ダメだよ。寝すぎてると遅刻しちゃうよ」

そう言われると、むくりと起き上がる簪

  「おはよう、簪」

簪「うん、おはよう、機龍。お、起こしてくれて…ありがとう」

機龍「ううん、気にしないで」

その後、簪が着替えるのを待ってから二人で食堂へ行った

 

食堂ではすでに多くの生徒たちが食事をとっていた

料理を持って、適当な空いている円形の席に座る機龍と簪

昨日と同じように周りからはかなりの視線が集まっていたが機龍は知らん顔をする

だけだった

女子「隣の子誰?」 「代表候補生の更識さんじゃない。どういう事?」

   「あの子、機龍君のルームメイトって話よ」 「ホントに!?良いな~」

などと話をしている女子だったが簪や機龍には聞こえて居なかった

と、機龍たちの所に、トレーを持った一夏と箒がやってきた

機龍「?あ、おはよう一夏、篠ノ之さん」

一夏「おはようさん機龍。隣良いか?」

機龍「うん」

そう言われて機龍の横に一夏、さらに隣に箒が座った

一夏「そういや、隣の子は?知り合い?」

機龍「うん、僕のルームメイト」

簪「は、はじめまして。更識簪です。よろしく……」

そう言った簪の顔は何処か暗かった

内側に簪と箒が並ぶようにして座り、それぞれの外側に機龍と一夏が座った

その後、食事をしているが、どうも一夏と箒の仲が悪そうだった

機龍「一夏、篠ノ之さんと喧嘩したの?」

一夏「ま、まぁいろいろあってな」

と、そこにトレーを持った生徒たち三人がやってきた

???「織斑君、機龍君、隣良いかな?」

織斑「え?あぁ。良いけど」

機龍「良いよ」

そう言われた女生徒の2人は喜んで、一夏の隣に二人、機龍の隣に

黄色いパジャマと思わしき服装の生徒が座った

そんな時

  「うわぁぁ。織斑君と機龍君で結構食べるんだね~!」

実際、今の機龍や一夏と簪も入れた4人は普通の男子にしてみれば少量と見て取れる

量の食事だった

一夏「そうかな?逆にみんなはそれだけで足りるの?」

それを聞かれた3人は苦笑を浮かべた それを見た機龍は

機龍「一夏、人それぞれ、僕たちが口を挟むことじゃないよ」

と言った

その後、寮長をしている千冬がやって来て、全員の食事を急かした

 

そして授業の時間

千冬「これより、再来週に行われるクラス対抗戦に出る代表者を決める。

   クラス代表者とはクラス対抗戦だけではなく、生徒会の会議や委員会の出席など、

   まぁ、クラス長と考えて貰って良い。自薦他薦は問わない、誰か居ないか?」

そう言われた矢先

女子「はい!織斑君を推薦します!」 「私もそれが良いと思います。」

   「賛成!」

一夏「え!?えぇ!?」

女子「じゃあ私は機龍君で!」 「私も!」

機龍「そんな」

  『戦いなんて。いやだ』

それを聞いた機龍は俯いてしまった

千冬「他には居ないか?いなければこの二人で決めるぞ」

その時

セシリア「納得がいきませんわ!」

机を叩きながら立ち上がったセシリアだった

    「そのような選出は認められません!男がクラス代表だなんて

     良い恥さらしですわ!このセシリア・オルコットにそのような

     屈辱を一年も味わえと言うのですか!ましてや!片方はまだ

     10にも満たない子供!こんなのはバカバカしいにもほどがありますわ!」

それを聞いた時、機龍は思った 『こいつこそが、驕り高ぶった人間なのだ。』と

かつてのゴジラである自分なら彼女に向かってこういっただろう

『人間風情が思い上がるな』と。だが今の自分はゴジラではない

静かな生活、或いは永遠の眠りを望む銀龍だ いざこざは起こしたくないし、

誰かと対立したくもない

戦うのもゴメンだ あんなのはどっちも傷ついてどっちも辛いだけだから

いつの間にか口論になった火種は機龍の方に飛んできた

一夏「機龍!お前もアイツに何か言ってやれよ!」

機龍「僕は……嫌だ。喧嘩は嫌いだから」

セシリア「ふん!所詮は子供!年上に歯向かう事も出来ない臆病者ですわね。」

一夏「お前!年下までいじめて何がエリートだよ!最低じゃねえか!」

セシリア「何ですって!?男の分際で、この私を侮辱すると言うのですか!?」

一夏「女ってだけで、ISに乗れるからって偉そうにほざいてるお前には

   お似合いだぜ!」

セシリア「あなたは…!どこまで私を侮辱すれば!」

もはや専用機を展開して一夏を攻撃しようとする一歩手前のセシリア

だが

機龍「やめてよ!!」

俯いたまま黙っていた機龍が叫んだ

動きを止めたセシリアと一夏

  「何で、何で同じ人間同士でいがみ合うんだよ。そんなの、

   何の意味があるって言うの」

掠れるような声で絞り出された言葉に周りの生徒たちもセシリアも一夏も

黙ってしまった

千冬「……。機龍の言う事も一理ある。今は代表候補を決めるための

   場だ。喧嘩なら他所でやれ。それとオルコット。

   何を言おうが勝手だが、もう少し発言に気を付ける事だな。

   さて、代表候補だが。セシリア、織斑、機龍、貴様ら三人で 

   総当たり戦を行ってもらい、最も勝率が高いものをクラス代表にする。

   これは決定だ。異議の申し立てその他は認めん。

   オルコット、織斑。口だけならなんとでもなる。

   自分の意思を通したかったら、実力で証明しろ。

   それと機龍、貴様は戦いが嫌だと言ったな。だが、今回は逃げる事は

   許さん。わかったな?」

機龍「は、い」

何とか返事を返す機龍

千冬「よし、では試合は次の月曜だ」

こうして、機龍は逃れられない戦いに巻き込まれてしまった

 

その後、四限目の授業が終わると同時に、暗い顔のまま、机で眠り始めてしまう機龍

一夏「機龍?…おい?機龍?」

気づいた隣の一夏が気になって声を掛けるが、全く反応しない

箒「よせ一夏」

一夏「箒、けどよ。」

箒「こいつも何か思う所があるのだろう。そっとしておいてやれ。」

一夏「…わかった」

そう言うと一夏達は食堂に行った

大半の生徒たちが食堂に向かう中、再び戦う事のショックから

眠りについてしまった機龍

 

そして機龍は夢を見始めた

今彼の眼前に広がるのはかつて自分が蹂躙した東京の姿

機龍「何で…!何で!」

声を張り上げた機龍の後ろに現れたのは、一夏や箒、束やクロエ達

そして――義人だった

全員の顔は恐怖の色に支配され、機龍を怖がっていた

やがて機龍から遠のき始める人々

  「待ってよ!ぼ、僕は!」

声も届かず、人々は離れていく

  「いやだ!待って!…ひとりに……僕を一人にしないで!

   一夏!束!……義人ぉぉぉぉ!」

やがて人々は機龍の周りから消えた

  「みんな!……みんなぁ………うぅぅぅ………うわあぁぁぁぁん!」

やがて声を出して泣き始めた機龍 身勝手な人への『怒り』

自分から仲間が離れていくという『悲しみ』、全ての感情に

支配されながら機龍は『哭いた』

 

その頃、1年1組の教室に真耶が忘れ物を取りに戻って来た

この時彼女は教室には誰もいないだろうと思っていたが...

そこにはただ一人、机で眠っている機龍が居た

学園の教室の机は移動させる事が不可能なので、かつてはよく見られた光景、

机をくっ付けて食事をする、と言う事が出来ない だからお弁当を持って来ている

生徒も誰かと食べるときは天気のいい日は教室外などの所に行く

残っているとすれば一人でお弁当を食べる時だ

 

だが生憎この教室にはそう言う生徒が居ない そのため、機龍ただ一人が

残っているのだった

真耶『機龍君?昼食も取らずに、寝ているのかしら?』

気になった真耶は好奇心に駆られ、機龍にそっと近づいた

  「機龍く~ん?起きてますか~?...なんて。」

耳元でそう囁いた真耶 少しだけ離れようとした時、真耶の服の裾を

機龍の腕が掴んだ

  「き、機龍君!?お、起きてましたか!?」

びっくりした真耶、だが…

機龍「い、行かないで。みんな。僕を置いて行かないで……。

   行かないで、義人ぉ」

その時、機龍の顔を見て、ハッとなる真耶

今の彼の閉じた瞳から流れる――涙

それは机の上のディスプレイを濡らしていた

  「僕は、僕はぁ、みんなぁ」

それを聞いた真耶は思った

真耶『きっと、この子は私達の想像も付かないような経験をしてきたのでしょうね。

   まだこんなに幼いのに。かわいそうに』

裾を握った手を両手で包むようにして、握りしめる真耶

  「もう、大丈夫ですよ。あなたは独りぼっちなんかじゃありません。

   落ち着いて」

再び囁いた真耶の声を聴き、うなされていた機龍は少しづつ、泣き止み、

安定した眠りについた

  「かわいそうに。こんな年で一体どんな怖い目に……」

ハンカチを取り出して涙を拭った真耶は機龍の頭を撫でてから教室を後にした

―――その一部始終をセシリアに見られていた事に気づかずに

 

食堂で早くに食事をとったセシリアは一夏の事を愚痴りながら教室に戻って来た時だった

教室で真耶が服を掴まれている所を目撃した

セシリア『やはり!やはり男なんて!』

彼女がそう思った時、確かに聞こえた『行かないで』と

一瞬、フラッシュバックする自身の記憶、両親を亡くした過去を

その後も聞こえる機龍の悲しみの声と、光の反射で見えた、機龍の涙

やがて聞こえた真耶の声 教室から出てくる彼女から見えないように

咄嗟に隠れたセシリア

    『……。見つかってませんわね。……それにしても。

     いいえ!男に同情など不用ですわ!そう!男になんて!』

そう思いかけたセシリアが見ていたのは、自分の半分にも満たない年の少年

    「男に、なんて」

これがセシリアの考えを変える始まりであり、セシリアと真耶、

二人が機龍を意識するようになった始まりだった

 

その後、戻って来た一夏に起こされた機龍は起きるなり、一夏と手を繋いだ

最初は疑問に思った一夏だったが、機龍が何か怖い夢を見た事を悟った一夏は

機龍の頭を撫でて安心させた ちなみに、クラスの後ろの方で

数名の女子が貧血(鼻血による失血多量)で倒れた事を、ここに記して置く

 

翌日

千冬「織斑、貴様に朗報だ。貴様に学園から専用機を用意するようだ。」

それを聞いて驚く女子たち

女子「専用機?一年のこの時期に?」 「それってつまり政府から支援が出る  

                   って事?」

    「すごいな~!私も早く専用機欲しいな~!」

それを聞いて手を上げる一夏

千冬「何だ?」

一夏「俺に専用機が来るなら、機龍は?」

千冬「機龍には、専用機は用意されていない。」

それを聞いて再び騒めきだすクラス

女子「それって一夏君との差別じゃない?」 「ひどくない?」

    「ひょっとして政府の横暴?」

千冬「何を勘違いしているか知らんが、機龍はすでに

   束が用意した特殊仕様、全身装甲型のISを持っている。」

それを聞いて、心臓が跳ね上がる機龍 今千冬が言っているのはこの世界に

来て、機龍が使えるようになった『小さな自分の姿』の事

それを聞いてクラス内が騒めきだすがそれは遠い声のように機龍の耳には入ってこない

一夏にクラスメイトがISについて説明していた時

千冬「正確には、現在のコアの数は468だ。機龍のISのコアは束が後から作った

   完全な新造のコアだ。」

もちろん、機龍にはISのコアなど無い、今の話も完全な嘘だ

その後もISについても説明などが続いたが、機龍にはそれを聞いているだけの

余裕が無かった

 

そして放課後

一夏「なぁ機龍、実は俺さ箒からISの事を教えてもらう事になったんだけどさ。

   お前もどうだ?」

機龍「良い。自分で何とかする。誘ってくれたのはうれしい。でも、

   遠慮する」

そう言うと、そそくさと教室を出て行ってしまった

一夏が箒に剣道でシバかれている間、機龍は試合の日が来るまでの間、

ずっとブルーになっていた

クラスメイトや簪も気になって声を掛けるが

『大丈夫』と一点張りの機龍 そして、とうとう試合の日がやって来た

 

ピット カタパルトの中に居る、一夏、箒、機龍の三人

そこでは一夏と箒が口論していた どうやら

箒は一夏に剣道の事しか教えて居なかったようだ

だが、そんな事は何の慰めにもならない機龍

そんな時だった

真耶「―――ュウ君。……機龍君!」

ピットの上に位置する部屋からスピーカーを通して真耶の声が聞こえた

機龍「はい」

真耶「申し訳ないけど、織斑君のISの到着が遅れているの。

   オルコットさんの一番の相手、お願いできるかな?」

機龍「わかりました」

力なく返事をする機龍

千冬「機龍、いい加減シャキっとしろ、男がそんな弱きでどうする?」

しかし、そんな事で元気付けられる機龍では無かった

一夏「おい機龍、お前本当に大丈夫かよ?ここ最近ずっと様子が変だったし、

   やっぱりやめた方が…」

機龍「だい、じょうぶ。大丈夫だから」

千冬「では、貴様のISを展開しろ」

機龍「はい」

一夏達から離れるようにして立った機龍

目を閉じる機龍 すると根本から枝分かれしていた癖毛が一つになって、後方に反り返る

角のようになった 機龍の体がだんだんと光に包まれ始めた

そして腰から生えてきた一本の鋼鉄の尻尾

足、手、胴の順で変化していく体 そして機龍の瞳から血涙のようなラインが走ったかと

思うとカッと見開かれた黄色い瞳から放たれたより一層強い光が機龍を包み、

その体は完全に3式機龍改となった

鈍く光る銀一色の体  背中から突き出す三列の背びれ  鋭利な爪

全てをかみ砕く牙  そしてブースターと武装を備えたバックパック

見る者全てを圧倒する眼光  今、異なる世界で王という同族と戦った

銀の龍、『3式機龍改』が、再び大地になった そして

機龍「KYUOOOO!」

銀龍の咆哮が、ピットの中に響き渡った 

 

余りの驚きに開いた口が塞がらない一夏、箒、真耶

一夏「こ、これが、機龍の、IS、なのか?」

箒「いや、それ以前に。こいつはISなのか?」

真耶「これは、一体?」

驚きを隠せない3人

千冬「機龍、アリーナを使う時間は限られている。さっさと行ってこい。」

そう言われた機龍は無言でピットのカタパルトの上に乗った

数秒の後、高速で射出された3式機龍改はセシリアや観客席で見ていた生徒たち

全員を驚かせながら、轟音と砂煙を上げながら、地面に着地した

今まで見てきたISとは全く異なる物の登場に驚きを隠せない生徒たち

女子「何あれ!?」 「あれってISなの!?」 「信じらんな~い!」

    「あれに乗ってるのって誰!?」 「顔見えないからわかんないよ~!」

  「あ!ひょっとしてあれが織斑先生が言ってた奴じゃない!?

   ほら!機龍君のはフルスキンのだって言ってたじゃない!」

  「えぇ!?じゃああれにあの小さい機龍君が乗ってるの!?」

もはや目の前に現れた物を信じられない生徒たち

 

そして何より一番信じられないのはセシリアだった

向かい合っている自分だからこそわかる、その威圧感

飲み込まれそうなほどの圧倒的存在感

セシリア「あ、あなたは一体!?」

そこにプライベートチャンネルを通して機龍の声が聞こえてきた

機龍「僕は機龍……3式機龍だ。」

セシリア「機械の龍ですか。随分と自身がおありですね。ISに自分の名前を

     着けるなんて」

機龍「……違う。機龍は、最初から僕の名前。……これが僕」

セシリア「訳の分からない事を!」

そう言って持っていたライフルを機龍に向けて発砲するセシリア

機龍は咄嗟に右側のスラスターを展開して、横に避けた

    「いくら見かけが強くても、腕が素人では宝の持ち腐れですわよ!」

スラスターを使って、地面の上をすべるように回避する機龍だったが

バックパックを背負った重武装型では機動性に難があり、数発が機龍を掠めていく

回避を続けながら両腕の4式レールガンをセシリアのIS『ブルー・ティアーズ』に

向けるが、どうしても発射できない機龍

機龍『やっぱりだめだ!僕には、僕には撃てない!』

引き金を引こうとするたびに思い出す、自分が破壊してきた町並み

叫びながら逃げ惑う人々の恐怖と怨嗟の声

だが、それでも……

 

セシリアの放った一発が機龍の顔に命中するかと思われた時、機龍は

咄嗟に口の中に内蔵された『99式2連装メーサー砲』を使ってしまった

口から発射された黄色の雷のようなメーサーはセシリアのビームを打ち消し、

さらにブルー・ティアーズを襲った

それを間一髪、掠りながら回避するセシリア

セシリア「まさか、そこにまで武器を備えていたなんて!でも、そんなものでは!

     ……?」

避けた後、掠ったダメージを確認したセシリアは機龍に視線を戻したが、

肝心の機龍はまるで震えるように自分の両手を見つめていた

機龍『あ、あぁぁ。僕は、僕はまた』

頭の中に響く人間たちの悲鳴と雷鳴の如く響く砲声

  『僕は。僕はただ』

その瞬間、機龍の瞳が色を失い、血涙のような赤いラインの光も消えた

その様子を訝しむセシリアやピットから様子を見ていた一夏達

やがて震えていた腕がだらんと垂れ下がり、次の瞬間、機龍は

横に倒れた 

 

その姿を見て、アリーナの中にざわめきが起こった

セシリア『な、何ですの一体?』

やがて倒れた機龍は光に包まれ、人の姿へと戻った

アナウンス『勝者、セシリア・オルコット』

まるで機龍などどうでも良いと言うように無機質なアナウンスの声が響いた

その時

千冬「おい!オルコット!」

セシリア「は、はい!」

ピットの千冬から通信が入った

千冬「今すぐ機龍を抱えて、こっちのピットに来い。わかったな?」

セシリア「な、なぜ私が!?」

千冬「良いからやるんだ。それとも、イギリスのエリートは試合中に倒れた

   相手も気にしないほど礼節に疎いのか?」

セシリア「うっ!……。わかりました。」

そう言われたセシリアは倒れた機龍の近くに降りてその体を抱えた

俗に言う『お姫様抱っこ』状態だが、機龍自身は気を失っていた

そして

機龍「ちか、ら……なん、て……いらな、い……僕、は……」

涙を流しながらうわ言のようにそう呟いていた

セシリア『先日の事と言い。…なぜそうまで力と戦いを拒むのですか?

     あなたは?』

機龍をピットまで運ぶ間、セシリアはその事を考えていた

 

その後、機龍は真耶が呼んだ医療班によって、医務室に運ばれていった

結局、セシリアと機龍の戦いはセシリアの勝利となり、

一夏と機龍の戦いも、一夏の不戦勝となった

だが、こんな事があった後ではと、一夏とセシリアの戦いは後日となって

しまった

力を拒んだ龍は、再び立ち上がれるのだろうか?

     第2話 END

 




今回の機龍は戦いを拒んでいたため、本来の力を発揮できませんでした。
一応としては、機龍が本気になればゴーレムシリーズを圧倒できる
火力などを発揮できますが、それはまだ先です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。