インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍    作:ユウキ003

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今回からは、ISと言う原作の設定こそ残っているものの、殆どが
オリジナルなお話です。なので、ここから先は完全な原作崩壊な
お話になります。ご了承ください。


オリジナル決戦編
インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍 第28話


~~前回までのあらすじ~~

京都での戦いを終え、束の護衛と言う名目でIS学園に居を構えた

束に雇われたスコールたち元ファントムタスクの面々。

こうして、新たに心強い仲間を得た機龍だった。

 

スコールと束達がIS学園の寮の横に居を構えてから、既に

一週間以上が経った。

あれからと言う物、学園内では……。

 

千冬「た~~ば~~ね~~~!」

束「うぎゃぁぁぁぁぁっ!誰か助けてぇぇぇぇぇっ!!」

 

鬼と兎の追いかけっこが日常化していた。

千冬「貴様ぁぁぁぁっ!勝手に学園の備品の打鉄を魔改造

   しおってぇぇぇぇぇっ!!」

束「だって頼まれたから仕方ないでしょぉぉぉぉっ!?

  悪いのは私に改造を頼んだ生徒だよ~~!!」

千冬「安請け合いをする貴様も同罪だぁぁぁぁっ!」

束「ちーちゃんの鬼ぃぃぃぃぃっ!悪魔ぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

と、こんな感じで毎日のように二人の追いかけっこが日常化していた

のだった。

一夏「あ~あ。千冬姉と束さん、またやってるよ」

機龍「ふふ、そうだね」

丁度お昼時とあって、屋上に集まっていた一夏達。

最近は同世代と言う事もあってクロエもよく彼らの輪の中に

参加していた。マドカもいるのだが、彼女の方は機龍が何とか

説得して連れて来たのだった。

で、クロエとマドカを入れた12人は校舎の外を走り回っている

二人を見つけ、笑っていた。まぁ、マドカは他の

皆に見られないように、こっそりとだが……。

箒「何と言うか、私としては姉がみんなに迷惑をかけているようで

  大変申し訳ないのだが……」

クロエ「まぁ、それが束様ですから」

機龍「ここに住む以上、織斑先生とは毎日顔を合わせる事になるからね。

   多分今後も……」

なんて言っていると、遠くから『ぎゃぁぁぁぁぁっ!』と

束の悲鳴が聞こえて来た。

マドカ「……死んだな」

機龍「死んでない!死んでないからね!?」

ボソッと呟かれたマドカの一言に突っ込む機龍。

クロエ「ハァ。……私、ちょっと失礼して束様を迎えに

    行ってきます」

シャル「アハハ、大変だねクロエさんも」

クロエ「全くです」

シャルの言葉に頷きながらも苦笑するクロエ。

モーラ「では、僭越ながら私もお手伝いしますね」

クロエ「お願いします。恐らく、束様は今」

鈴「気絶、だけで済んでればいいけどね」

セシリア「織斑先生は怒らせると怖いですからね。

     ましてや……」

楯無「まぁ、大丈夫なはずよ。織斑先生だって、流石に

   そこまでは、ねぇ?」

ラウラ「……私はドイツで教官のシゴキを受けた時に死にかけた事が

    なんどもあったぞ?その教官を怒らせたのだし……」

簪「……まさかのデッドエンド」

ボソッと呟かれた単語に、全員の表情が青ざめた。

機龍「だ、大丈夫だって!多分!ね?一夏お兄ちゃん!?」

一夏「お、おう!ま、まぁ大丈夫だろ!束さんなら——」

と、言って居た時。

束「みぎゃぁぁぁぁぁぁあっっ!ちーちゃんギブギブギブ~~~~!」

再び束の悲鳴が聞こえて来た。

一夏「だ、大丈夫さ、多分」

と、冷や汗ダラダラでそんな事を言っているのだった。

 

と、こんな感じで、以前にもまして騒がしいながらも、

笑いありの日常を謳歌していた一夏と機龍達だった。

 

そして、騒がしい日常はまだまだ続いていた。

 

真耶「早速ですが皆さんに朗報です。またまた新しい新入生の

   方がいらっしゃいました」

女生徒「お~。またか~」 「やっぱ多いね~ウチらのクラス」

     「どんな子かな~」

と、ひそひそ話をする生徒達。それを咳払いで止める千冬。

真耶「はい。それでは、篠ノ之さん、どうぞ~」

女生徒「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」

 

と、真耶の呼んだ苗字に、大半の生徒達が疑問符を浮かべて

教室の一番左の列の先頭の席に座っている箒の方を見つめた。

対して箒は、違うとばかりにそっぽを向いた。

すると、ドアが開いていて入ってきたのは………。

 

 

マドカ「……篠ノ之、円だ。……よろしく」

髪を伸ばしてポニーテールにし、更に伊達眼鏡をかけたマドカだった。

そんな彼女がバツの悪そうに自己紹介をした次の瞬間……。

   「「「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」」」」」」

クラス中に絶叫が響いた。

それもそのはず、苗字が苗字なのだから仕方ない。しかも一部の

生徒に至っては彼女の事は京都で知っていた。

そう、ファントムタスクのメンバーなのだと。

 

真耶「え~っとですね。マドカさんはつい先日、機龍君と同じで

   篠ノ之束博士のご子女になられました。そして、博士のご意向で

   今日から皆さんのクラスメイトとなります。皆さん、

   仲良くしてあげてくださいね」

と言う物の、一夏や機龍達以外のメンバーは開いた口が塞がらない状態に

なっていたのだった。

 

そして、機龍は笑みを浮かべながら一昨日の夜の事を思い出していた。

 

それは、束に呼び出され彼女の家で夕食を取った後の事だった。

 

機龍「え?マドカちゃんを学園に?」

束「そう!リュウ君にくーちゃんに続く私の次女、篠ノ之円ちゃん

  としてマドっちを迎える事にしだんだよ!んで、折角だから

  マドっちに学園生活をエンジョイしてもらうと思ってね!」

マドカ「……余計なお世話だ」

と、テンションが高い束と相変わらずムスッとしたままのマドカ。

束「とか言って~!」

そう言いつつマドカの傍に現れる束。今の彼女は出されていた

ミネラルウォーターを飲んでいたのだが……。

 「部屋で一人の時に笑ってた癖に~!」

   『ブフッ!』

マドカ「がはっ!がふっ!き、貴様!何を覗いて!」

突然の事に驚きせき込みながらも束の方を睨むマドカ。

束「ま~ま~!良いじゃない!楽しい学園生活をエンジョイしちゃい

  なよ~!」

と言って、ポムポムとマドカの肩を叩く束。で……。

機龍「僕は、マドカちゃんと一緒に学校で勉強できたら

   嬉しいな」

ゴジラ「ま、良いんじゃねえか?やりたくないならそれまでだが、

    別にどっちでも良いなら経験してからやめるかどうか

    選びゃ良いだけの話だろ?」

と言う機龍と手首の端末に現れたゴジラがマドカに語り掛けた。

それと……。

   「あ。そうそう。後、見物なのがあるから来といて

    損はないぜ」

マドカ「見物なもの?」

ゴジラの言葉に疑問符を浮かべるマドカ。すると、端末の

画面の中でゴジラが笑みを堪えながら手をチョイチョイと振った。

端末のスピーカーの方に耳を近づけるマドカ。

ゴジラ「織斑一夏の事だよ。あいつ、毎日のようにトラブルに

    巻き込まれてるからな。間近で見ると笑えるぜ」

マドカ「……そう、か」

と、歯を見せて笑うゴジラとどこか納得したようなマドカ。

一方、機龍はと言うと……。

 

機龍『そんな風に誘って大丈夫なのかな?』

心の中でゴジラの言って居る事に疑問符を浮かべる機龍。

しかし……。

  『まぁ、いっか。……楽しい事や面白い事は、これから見つけて

   行けば良いよね』

そう思いながら、機龍は手元の端末でゴジラと話をしているマドカの

方を見ながら笑みを浮かべるのだった。

 

そして時間は戻って現在。

ちなみに、マドカが髪型を変えて伊達眼鏡をしているのは、素のままだと

千冬と似すぎている為、怪しまれるのは必然だろうと考えた機龍達の

考案によるものだった。

午前中は普通に授業を受けていたマドカだったが……。

 

休み時間。

マドカ「………」

今、マドカは数学の教科書と睨めっこしていた。どうやら、

4限目の数学の時間、出来ない所があったようだ。

ちなみに、今教室に居るのは機龍とマドカだけだ。他のメンバーは

今食堂で昼食を取っていた。

機龍「マドカちゃん。大丈夫?」

そんな彼女を見かねて機龍が声をかけるが……。

マドカ「……。う、うるさい。これくらい自分で出来る」

と言って、少しばかり顔を赤くしながら教科書で口元を

隠すマドカ。

相も変わらずプライドの高い彼女は、やはりと言うべきか。

こういった事は自分でやり遂げようとするのだ。

それを見た機龍は……。

機龍「そっか。じゃあ僕からはヒントだけ。数式は基本だよ。

   無数の記号や数字に惑わされないで。ゆっくり、一個一個

   足して引いて掛けて割って。それだけだよ」

マドカ「わ、わかっている」

と言うと、再びノートと教科書を見始めるマドカ。

ちなみに、マドカと機龍は苗字が一緒なため、席は前後になっていた。

つまり機龍の後ろの席が今のマドカの席なのだ。

やがて、時間こそ掛かった物の、マドカは自力で計算式を解いた。

それの答え合わせをする機龍。

 

機龍「こっちもマル。これとこれも。……うん。

   すごいよマドカちゃん。全問正解だよ」

と、笑みを浮かべながらそう言って採点したノートを返す機龍。

マドカ「そ、そうか」

そう言って、少し恥ずかしそうにノートを受け取るマドカ。

どうやら彼女は育った環境が環境なだけに、真っ直ぐ褒められるという事に

慣れていないようだった。

機龍「マドカちゃん、偉い偉い」

と、今度はどこか茶化すように機龍がマドカの頭を撫でた。

マドカ「な、撫でるな!」

すると顔を真っ赤にして機龍の手を払うマドカ。

   「さっさと昼食を済ませるぞ!時間も残り少ないからな!」

と言って、マドカは話を逸らせつつ、ノートと教科書をしまった

マドカは一人歩き出した。

機龍「ふふ、待ってよマドカちゃん」

そう言って彼女に追いついた機龍。しかし。

マドカ「お前、いい加減そのちゃん付けで呼ぶのはやめろ。

    聞いていて背中が痒くなる」

機龍「え?う~ん。……じゃあ『マドカお姉ちゃん』は?」

マドカ「却下」

機龍「え~!?え~っと、じゃあ、後は、う~ん」

驚き、必死に悩む機龍と一緒に歩いているマドカは、機龍に

見られないようにこっそり笑みを浮かべた。

そして、彼女はどことなく今の生活に幸せを感じていた。

 

今までの生活では手に入らなかった物を、手にしているのだから。

 

機龍「やっぱり、マドカちゃんじゃ、ダメ?」

マドカ「……。もう好きにしろ」

そう言っているマドカは、確かに笑っていた。

 

そしてその日の夜の事だった。

 

 

   「何だ。これは……」

機龍「え?何って。パーティーだよ」

と、そんな事を言っている機龍。場所は食堂。

そんな彼の周りには一夏や簪たちを始め、モーラや楯無、

レインやフォルテ、更には束や千冬の教師陣。

スコールやオータムの姿もあった。

加えて、更に1年や2年、3年などの他学年、他クラスの

女生徒たちの姿も……。

そして、そんな彼らの頭上には……。

 

   『篠ノ之円ちゃん!ご入学おめでとう!』

 

と、デカデカと書かれた垂れ幕が掛かれていた。

マドカ「いや、わかっている。わかっているさ。これが

    パーティーだという事はわかっている。

    だが問題はそこじゃない。そこじゃないぞ。

    何でこんなに人数が集まってるのかと言う事だ!?」

機龍「あ。あ~。そう言う事。僕は一夏お兄ちゃん達にしか

   話はしてないけど?」

一夏「俺達は教室で話はしてたけど、他に人にはな?」

シャル「う、うん。言ってないと思うけど……」

と、言って居ると……。

本音「は~い!私がみんなに広めました~♪」

簪「やっぱり」

本音がダボダボな袖を掲げて自己主張し、それを見て苦笑する簪。

本音「だってだって~。パーティーはみんなでやらないとね~♪」

そう言っている本音だが、当のマドカは……。

マドカ「犯人はお前か~!」

どうやら、こういった事の主役になる事も慣れていないらしいマドカは

怒りと羞恥が半々な様子で、顔を赤くしながら怒った。

本音「うぇ~~~!?マドマドが怒った~!」

マドカ「何だその変なあだ名は~~!?」

と、追いかけっこを始める本音とマドカ。

ちなみに機龍の中では……。。

 

ゴジラ『ぷ、ぶふっ!あははははははははははははっ!!!』

それを見たゴジラが大爆笑していた。

機龍『ゴジラ!笑いすぎ!』

ゴジラ『だ、だってよ。ま、マドカのあだ名がマドマドって、

    ぷ、ははははははははっ!!!』

心の中でお腹を抱えて笑い転げるゴジラを、めっ!

と言わんばかりに注意する機龍だったが、ゴジラはそれでも

笑っていた。

その後、機龍はマドカを落ち着けたり、彼女のために作った

チョコレートケーキを出したりしていた。

 

そして、今まさに機龍の、いや、機龍とゴジラの持つ覇王としての

絆は広がり続けていた。

 

そんなパーティー終了後。

夜の道を機龍とマドカが歩いていた。

機龍「どうだった?パーティーは楽しかった?」

マドカ「……。まぁ、悪くはない」

機龍「ホント!?良かった~♪」

と、一人喜ぶ機龍とやれやれと言いたげにため息をつくマドカ。

 

マドカ「……お前は、言って居たな」

機龍「え?」

マドカ「京都の時、私を笑顔にするのは自分ではないと。

    だがなぜだ?なぜ、私を笑顔にしようとした?」

その問いかけに、機龍は……。

機龍「だって、生きているんだから。生きているのなら、

   痛くて怖くて辛い事より、誰かと笑って楽しんで、

   笑顔で居られる方が素敵でしょ?」

と、機龍もまた、笑みを浮かべながらマドカに向かって

そう言った。

その答えに、マドカは驚き目を見開いてから笑った。

マドカ「成程、聞くまでもなかったのだな」

その時だった。

ゴジラ『ったりめ~だ。相棒にシリアス求めるのが間違いだっての』

と、マドカの手首の端末にゴジラが現れ、相槌を打った。

   『優しさが人間の皮を被って歩いている奴だぜ?俺の相棒は』

マドカ「あぁ、そうだったな。お前の相棒は」

機龍「……サラッと今僕バカにされた?」

 

そんな風な話をしながら、機龍とマドカ(とゴジラ)は寮や屋敷へと

戻って行ったのだった。

 

 

しかし、一方で……。

 

千冬「それで、どういうつもりだ?束」

今、千冬と真耶は束によって呼び出され、彼女の邸宅の地下にある

薄暗い部屋へと呼び出されていた。

束「ごめんね~呼び出しちゃって。実はちーちゃんと

  まややんに知らせたい事があってさ~」

複数のモニターを前にして椅子に座る束と、彼女の背中を

見つめている二人。

やがて、束が振り返ったのだが……。

 「言っとくけど、良い話って訳じゃないからね?」

そう言って、珍しくも真剣な彼女の顔を見て、真耶は驚き

千冬は僅かに眉をひそめた。

 「どっちかって言うと、悪い話だね」

千冬「……。聞こうじゃないか。その悪い話とやらを」

束「まぁ、決定した話じゃなくて悪い話になるかもしれない

  前置きみたいな事なんだけどね」

千冬「良いからさっさと話せ」

肩をすくめる束と急かす千冬。

束「はいはい。……事の始まりは数日程前。場所は太平洋の

  ど真ん中」

頷いた直後、表情を引き締めて語り始める束。

 「その日、私はレーダーで『あるもの』を確認した」

真耶「ある、物?」

束「そう。ISのコアや原子力とも異なる特殊なエネルギー。

  つまりは、未知の力を持った『何か』って事だよ」

千冬「その何かとは何だ?」

束「それがさ~っぱりなの!エネルギーを検知したのはほぼ

  一瞬だったし、検知したとはいってもごく微量だったから。

よくはわからなかったんだよね~」

千冬「……ならどうしてそれが悪い話になる?」

束「……怪獣」

その時、今まで笑顔を浮かべていた束が真剣な顔でボソッと

呟いた。

その単語を聞いて驚く真耶。

 「二人には前に話したと思うけど、知ってるよね?もーちゃん、

  モーラがリュウ君と同じ元怪獣だって」

千冬「あぁ、画像付きで貴様に見せられたな。確か、

   元は蛾の怪獣、モスラだったか?」

束「そう。リュウ君の中に宿る怪獣王、ゴジラ。リュウ君自身の

  3式機龍。もーちゃんのモスラ。肉体の有無を無視すれば

  今この世界には本来存在しなかった怪獣が3人存在してるって事だよ。

アニメみたいな転生劇がこの世界では起きてるなら、

同じことが起きても可笑しくないでしょ?

  アニメみたいなことが起きたり、4人目、いや、『4匹目』の

  怪獣が現れたとしても」

真耶「で、でも、それなら、きっと機龍君達と仲良く——」

束「それは希望的観測だよ、まややん」

恐る恐る発言した彼女の言葉をバッサリと切り捨てる束。

 

 「もーちゃんやリュウ君から聞いた話なんだけど、その世界の

  日本は何度も怪獣に襲われているんだって。

  例えば、巨大な人間の形をした怪物、ガイラ。

  他にも、マタマタガメの変異種、カメーバ。多くの怪獣が

  現れている。そして、ガイラは人間を喰った事さえあるそうだよ」

真耶「ひ、人を、食べ、た?」

余りの事に驚く真耶。しかし束は淡々と語り続けた。

束「そう。……二人の話を総合すれば、リュウ君達の世界。

  まぁ、そこの王様の名前を取ってゴジラの世界、とでも言おうかな?

  とにかく。ゴジラの世界で存在する怪獣は、狂暴な奴らばかりだった

  みたいだよ。むしろ、リュウ君やもーちゃんのように、

  人間を守ろうとする怪獣は少数派だったみたいだね」

千冬「……まさか」

束「そう。あの時私が観測したエネルギーの可能性の一つとして

  言えるのが、それが『怪獣のエネルギー』かもしれないって

  事だよ」

千冬「そして、それが人類の敵になるかもしれない、と?

   そう言いたいわけか?」

束「うん。ましてや、私の推察が正しければゴジラ世界における

  怪獣は、あの3人だけじゃない。分岐した無数の世界に

  存在した怪獣だって可能性もある。一体、何が出てくるんだろうね?

  ちーちゃん」

千冬「さぁな。……唯」

束「おりょ?」

千冬「少し、胸騒ぎがするのは確かだ」

そう思いながら、千冬は無機質な天井を仰ぐのだった。

 

 

 

 

一方、場所は変わって太平洋の某所にある、地図にも載っていない島。

その島は対外的には唯の無人島だった。

どうやらかつてはどこかの国の小規模な基地だったのか、島の中央

には錆だらけでボロボロになった小さな格納庫らしき物があった。

だが、それは上辺だけだった。

実際にはその格納庫の下にはきちんと整備された施設があり、更に

地下へと続くエレベーターがあった。

そして、そのエレベーターに乗って施設内に降り、いくつものIDや

本人確認を経てほんのわずかな人間しか入れない施設に、

その人間たちは居た。

 

皆が皆、カルト結社の儀式服のような紫色のローブを身に纏い、顔には

無機質な上半分だけの面をしていた。そして、その額にはローマ数字で

Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、と数字が描かれていた。その数は1から13まであり、

そんな中で額になにも描かれていない人物がいた。

合計で14人の彼らは、眼前にある縦長のポッドの中身を見つめていた。

12「ミスターゼロ、これが」

0「その通り。先日、太平洋沖で観測されたエネルギーの正体だ」

そう言って見つめるポッドの中には、『成人男性程度の大きさの怪物』が

収められていた。

蟹のように『赤い体』に蜘蛛や蟹の様な足。人間の子供の身長はあるかと言う

長さの首。その首の先端にある怪物じみたトゲトゲな頭と顔。

 

そう、それはまるで、『悪魔』のような顔をした赤い化け物だった。

 

   第28話 END

 




最後の付箋、恐らくゴジラを知っている人なら絶対わかるでしょう。
この物語の最後は、『奴』との決戦と後は少し(になるかどうかは分からない)
エピローグです。お楽しみに。

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