インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍    作:ユウキ003

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今回はアニメや特撮らしく、苦悩に対して機龍が答えを出す回です。
が、如何せん私は文才もなく、機龍の出した『答え』が
本当に合っているのか?そもそもスコールの指摘に対する
答えとなっているのか、あまり自信がありません。
なにとぞ、温かい目でお願いします。


インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍 第24話

~~前回までのあらすじ~~

修学旅行で京都へと赴く事になった一夏と機龍達1年生。

しかし、その裏では1、2、3年の専用機持ち全員を結集した

亡国企業の掃討作戦が行われようとしていた。

が、3年の生徒であるダリル・ケイシーはその亡国企業の

スパイであり、その行動部隊、モノクローム・アバターの

隊長であるスコール・ミューゼルの孫娘に当たる

『レイン・ミューゼル』としての本性を現したのだった。

そして、彼女の恋人である2年のフォルテ・サファイアも

彼女について行くために学園と祖国を裏切り、企業側に付いた。

そんな折、機龍はオータムによってスコールの元へと案内されるが、

彼はそこで自分のしたことを指摘、否定されてしまい、

自分のしてきた事への疑問から塞ぎ込んでしまったのだった。

 

機龍が塞ぎ込んだ翌日の朝。

今、一夏達8人は機龍の部屋へと向かっていた。

シャル「機龍、大丈夫かな?」

ラウラ「………」

各々が機龍の事を心配に思い、表情を曇らせていた。

 

と、彼の部屋が近づいてきたその時。

   『ガチャ』

その部屋のドアが開いて、人影が出てきた。

一夏「ッ!機りゅ——」

ゴジラ「あ?」

 

咄嗟に呼びかけた一夏だが、出てきた相手は、8人の望む相手では

無かった。

それは彼、機龍の中に住むもう一人の人格、ゴジラの意識が表面化

したときの黒い髪と赤い瞳の姿だった。

   「あんだ。テメエらか」

そう言って気怠そうに頭をぼりぼりとかくゴジラ。

と、その時咄嗟の事で驚いていた一夏達の横を通り過ぎてゴジラの

前に出たモーラ。

モーラ「ゴジラ、機龍はどうしていますか?」

ゴジラ「あぁ?なんだって俺がそんな事——」

モーラ「良いから。答えてください」

と、声こそ荒らげていない物の、凄みのあるその形相にゴジラは

ため息をついてから話し始めた。

ゴジラ「今は頭と心が参ってるのか、こん中で寝てるよ」

そう言って自分の頭を指さすゴジラ。

   「つか、オメエらこそそんなに集まって何だ?相棒を

    慰めにでも来たのか?」

簪「それは……」

そう言って言い淀む簪。

 

昨晩は千冬から余計な事をしないように釘を刺されていたが、

じっとしてられない8人がここに来ていたのだ。

ゴジラ「まぁ良い。それよりお前ら喰いもん持ってねえか?」

シャル「た、食べ物?」

ゴジラ「こちとら昨日の夜から何も喰ってなくて死にそうなんだよ。

    何かねえか?」

セシリア「あ、それでしたら……」

 

その後、セシリアや簪、鈴やラウラが早朝からやっていた旅館の近くの

コンビニでおにぎりやパンを買ってきた。

そして、それが出てくるなり、ものの数分で平らげてしまうゴジラ。

ゴジラ「ふ~、喰った喰った。んじゃ、寝るか」

そう言って畳の上に寝っ転がろうとするゴジラだが。

鈴「ってちょっと待ちなさいよ!」

ゴジラ「あぁ?んだよ、俺寝てえんだがよ」

咄嗟に声を荒らげる鈴と気怠そうに答えるゴジラ。

 

簪「お願い!機龍と話をさせて!」

その言葉を聞き、倒していた体を起こして胡坐をかくゴジラ。

ゴジラ「……。無駄だな。あいつは今、殻に閉じこもって

    自問自答してる真っ最中だ。本当に自分のしたこと、

    思った事が正しいのか、ってな」

シャル「どうして、そんな事」

ゴジラ「そりゃ相棒がそうしてるからだろ。……あのババアは

    言った。こいつのしていることが偽善、言い訳、

    お節介だと。だがあいつの言った事はあながち間違いでも 

    ねぇ。相棒がテメエらを守りたいって言って守るのなら

    まだしも、あのババア共を守るってのはどういうこった?

    銃口向けてくる相手を誰から守るってんだよ」

一夏「それは……」

ゴジラ「それに、分かり合えるだのなんだのと相棒が言ってたが、

    俺に言わせりゃそれが簡単に出来りゃ人間なんざ二回も、

    デケぇ戦争なんざしてねえだろうし、そもそも

    核兵器だなんていう汚ねえ兵器も作らなかったかもしれねえ

    だろ」

箒「………」

ゴジラ「良く知りもしない相手を守るために戦う事をお節介と。

    分かり合えるかもしれないから戦いたくないってのを

    言い訳と。

    そしてその守るために戦うってことを偽善と言った。

    何一つ間違っちゃいない。守るために戦うと言ったが、

    何を何から守るんだ?相棒の仲間、つまりはお前たちを

    ほかの人間からか?じゃあその人間はどうする?

    殺したくない?……これが言い訳じゃなくて何だって

    言うんだよ」

その言葉に反論できずに押し黙る8人。

簪「でも、それでも。機龍は、私たちの事を大切に思ってくれた。

  それだけは……」

と、正座した姿勢のまま、スカートの裾を掴みながら声を絞り出す簪。

 

ゴジラ「まぁ、そこだけは相棒もしっかりしてらぁな。

    だがな、今の相棒をお前ら風に言うならな。

    『それはそれ、これはこれ』だ。こればっかりは

    相棒自身で答えを見つけなきゃならねえってことだよ」

そう言って一夏達に背を向けるように畳に寝っ転がるゴジラ。

 

一夏「じゃあ、もし、このままお前がその体を使うなら、何をする気だ?」

静かに口を開く一夏。

ゴジラ「知れた事だよ。自分の一番やりたい事をやる。それだけだ」

それだけ言うと、ゴジラはいびきをかきながら寝てしまった。

 

仕方なくその部屋を後にする一夏達。

 

一方、ゴジラ・機龍の頭の中では……。

ゴジラ「ま~たテメエはウジウジしてんのかよ」

福音の戦いのときのように殻に閉じこもってしまい、精神世界で

座り込んでいる機龍の後ろに立つゴジラ。そして、あの時のように

無反応の機龍。

   「良いのか?そんなんだと俺がテメエの体使って

    この京都の人間全員皆殺しにしちまうぜ?テメエの仲間の

    あのガキどももまとめてな」

そう言って凶悪な笑みを浮かべるが、機龍はそれでも反応しない。

以前の福音の時は向かってきて正面からゴジラを睨みつけてきたが、

今はそれすらしない。

   「ちっ。……テメエはもう少しできる奴かと思ったんだがな。

    がっかりだよ、相棒」

そう言って、ゴジラは深層意識の奥底へと戻って行った。

 

 

一方そのころ、千冬は一人薄暗い部屋の中である人物に電話していた。

   『PLLLLL!』

束「は~い♪もすもすひなもす~♪みんなのアイド——」

千冬「あと3秒その口調を続けたら貴様の頭を割りに行くぞ」

束「ごめんなさい!!……でも、ちーちゃんから掛けてくる

  なんて珍しいね」

千冬「……。機龍の事だ。そっちでも既に知っているのだろう?」

束「……。まぁ、ね。一応」

そう言って静かな束に違和感を覚える千冬。

千冬「珍しいな。お前ならやったやつを真っ先に殺しに行くと思ったが」

束「……。そりゃそう思った事もあるけど、リュウ君もそろそろ、ね。

  リュウ君の戦う意味には共感できるよ。命を守るってことにはね。

  でも、その命の線引きがまだ曖昧だった」

千冬「覚悟のない者は、何も守れない。全てを救うと言うのは

   傲慢か」

束「とにかく、リュウ君はそう言う世界の残酷さに向き合って

  貰うしかないと思うんだよね」

千冬「救うものと見捨てるものを選ばせる。そういう事か」

束「まぁ、そうなってもリュウ君は納得しないだろうけどね。

  それも、今のあの状況を乗り越えてからじゃないとね」

千冬「あいつが自分の持つ悩みを超えられるか、そうでなければ

   潰れて終わりか。……どっちに転ぶのだろうな?」

束「こればっかりは、この天才束様でも分かんないよ。

  できれば、またリュウ君の笑顔が見たいけど」

千冬「そうか。……それより、頼んでいた物はできたか?」

束「あ、うん。真耶やんの専用ISでしょ?もうすぐ完成するから

  あと少しだけ時間を頂戴」

千冬「わかった。機龍が使い物にならない上に二人の離脱。

   こちらのダメージは大きい。頼むぞ」

束「サーイエッサー!」

と言うと、束の方から通話を切った。そして電話をしまいながら

千冬は窓の外の晴れた空を見つめていた。

 

 

そして、その日の夕方。もともと予定されていた二日目の

全員での清水寺の拝観のため、指定された時間に清水寺に

集まるように言われていたが、今日も朝から機龍は部屋を

一歩も出てこなかった。

そして、自分では来ないだろうと予測した千冬が簪に

機龍の事を迎えに行かせた。

 

   『コンコン』

簪「機龍、居るの?」

ドアをノックして呼びかけるが、返事は帰ってこなかった。

 「入るよ?」

ドアノブを捻って、扉が開く事を確認した簪がゆっくりと扉を

開いて中に入っていく。

 

部屋の中では、相変わらず機龍が座り込んだままだった。

 「機龍、そろそろ清水寺に集まる時間だから」

機龍「……。うん、わかった」

消えそうな声でそう呟くと、彼はヨロヨロと立ち上がった。

流石にほかの生徒にまで迷惑をかける訳にはいかないと、

今は殆ど残っていない思考でそう思ったのだろう。

 

だが、その足取りは重く、今にも倒れそうだった。

と、次の瞬間。

   『フラッ!』

簪「ッ!機龍!」

前のめりに倒れそうになった機龍の前に手を伸ばし、彼を

横から支えるようにして受け止める簪。

そして、彼女は気づいた。機龍が震えていることに。

 

機龍「ねぇ、簪。……僕の、してきた事って、全部、偽善だった、のかな」

そう言って、彼は自分を支えている彼女の腕に縋りついた。

  「僕は、ただ、誰にも、傷ついて、ほしく、なくて。

   一人でも、多くの人を、守りたくて」

そう語る彼の目からは、大粒の涙が溢れ出していた。

  「全ての、人を、守りたいって、思う事が、偽善、なのかな。

   分かり合えるって、思う事が、言い訳、なのかなぁ」

次第に声が震えだし、溢れる涙の量も増えていく。

  「僕が、人間は、きっと、分かり合えるって。義人が、

   僕に、ごめんね、って、言ってくれた、みたいに、

   心が、通じ合えるって、信じた事が、間違い、だったの、

   かなぁ」

簪「ッ!機龍!」

その言葉に、感極まって彼を抱きしめる簪。

機龍「信じ、たく、ないよぉ。みんなと、の、絆が、僕の、偽善の、

   せい、だ、なんて。みんなと、出会って、笑った、思い出が、

   間違い、だなん、て。僕は、みんなに、出会えて、良かった、って

   思って、居たいよぉ」

涙を滝のように流しながら、本心を打ち明ける機龍。

 

もし、スコールの言ったように、彼の他者を守りたいと言う思いが

偽善なら、一夏達と共に笑い、戦い深めた絆も、偽善によって生まれた絆

と言う事になる。

彼は、それを信じられなかった。だが、否定もしきれていなかった。

偽善が間違いだと言うのなら、機龍と彼らの出会いもまた、間違いだと。

 

嗚咽を漏らしながら、今はまだ、答えを見つけられずに涙を流す銀龍。

その時だった。

簪「偽善なんかじゃない!」

機龍「かん、ざし」

簪「機龍はいつだって、私の事を助けてくれた!一緒に弐式の開発を

  手伝ってくれて、試合の時も守ってくれた!私のために、

  本当の事を話してくれた!お姉ちゃんと仲直りするために、

  協力もしてくれた!それは、偽善なんかじゃない!

  私だけじゃない。ラウラ、セシリア、一夏、箒、鈴、シャルロット、

  みんな機龍に助けられたことがあるし、機龍と出会った事が

  間違いだなんて、誰も思ってない!だからこそ、私は言う!

  『機龍と出会えてよかった』って!」

機龍「簪。でも、僕はそれを——」

否定できなかった。そう言おうとしたが、それを遮るように更に

強く彼を抱きしめる簪。

簪「もう、これ以上機龍に苦しい思いなんてさせないよ。

  もし、機龍が、戦えないって言うなら、機龍の分まで、

  私が戦うから」

機龍「でも!それは——」

簪「機龍は今まで、たくさんの人たちを守ってきた。だからもう、

  無理しないで」

そう言って簪は立ち上がり、機龍の手を引いて彼を立たせた。

 「さぁ、行こう」

機龍「う、ん」

近くにあったタオルで涙に濡れる顔を拭いた機龍。そして、

——簪は外の廊下で待っていたために見えなかったが——タオルの

下から現れた銀龍の瞳には、あの時から消えていたはずの

意思の炎が僅かだが、その瞳の中で輝いていた。

 

理由は唯一つ。少なくとも、簪が戦うのならば、彼女の姉に

誓った事。自分の命と力にかけて、彼女を守る。

例え今は戦う理由が見出せなくても、それだけは、決して

彼が迷うことなく戦場に立てる理由となる。

 

僅かに灯った意思の炎。それは、彼の復活を意味するのか?

それとも、その小さな炎さえ、また消えてしまう運命なのか?

 

それは誰にも分からない。だが、一つだけ言える事がある。

その二つの未来がどちらへと決まるのか、その分岐点となる

戦いが始まるのは、もう間もなくだと言う事だ。

 

 

一方の一夏達は今、モノレールの駅まで戻ってきていた。

一夏「結局、機龍は来なかったな」

千冬「……。ラウラ、簪に連絡しておけ。このままだと入れ違いに

   なる可能性がある。もしまだホテルの近くなら、ホテルに

   戻るように言っておけ」

ラウラ「わかりました」

千冬の言われた通り、ラウラは一夏達と共にモノレールに乗り込みながらも

携帯電話を取り出して簪に掛けた。

 

簪『もしもし?ラウラ?』

ラウラ「簪か?今どこにいる?機龍と一緒なのか?」

簪『うん。今京都駅に居るけど』

ラウラ「そうか。今我々はモノレールに乗って居て、これから 

    そちらに戻る。教官からの連絡で、まだホテルの近くに居るなら

    先にそちらに戻っていろ、とのことだ」

簪『そっか。わかった。じゃあ私と機龍は先にホテルに——』

と、話していた時だった。

   『プシューッ!』

 

箒「何!?」

ラウラ「ん?」

唐突に自動ドアが閉まってしまい、驚く箒と彼女の方に注意を向けるラウラ。

更に今度は京都駅行きと書かれていた車内のディスプレイが乱れ、

砂嵐状になってしまった。

シャル「一体何が——」

そう言って席からシャルロットが立ち上がろうとした、その時。

 

   『ゴォォォォォォッ!』

いきなり何のアナウンスなども無しにモノレールが急発進した。

   「うわっ!」

急発進のために倒れそうになるシャルロット。

一夏「シャル!」

咄嗟に近くに居た一夏が片手で自分を支えながらもう片手で彼女を

受け止めた。

  「大丈夫かシャル」

シャル「な、何とか」

セシリア「一体何がどうなってますの」

突然の出来事に驚き困惑する生徒達。

簪『……ラ、ラウラ。大丈夫?何があったの?』

と、その時、状況を観察していたラウラは携帯が繋がったままで

そこから漏れている簪の声の方に意識を戻した。

ラウラ「簪、よく聞いてくれ。現在我々の乗るモノレールに

    問題が発生したようだ。お前は機龍を連れてすぐにホテルへ

    戻れ」

簪『問題って、大丈夫なの!?』

ラウラ「案ずるな。すぐになんとかなる。……それより、機龍の事を

    頼むぞ」

そう言って、ラウラは電話を切った。

 

簪「あ!ラウラ?ラウラってば!……切れてる」

一方、京都駅の前で電話をしていた簪と彼女の横に居た機龍。

そして、その内容は機龍の耳にも聞こえていた。

機龍『問題って、まさか……』

話の中で聞こえてきた問題と言う単語に『彼女たち』の存在を

イメージした機龍。

と、その時。俯きかけた彼の視界の端に、何かが映った。

慌てて視線を上にあげる機龍。そして、それを見た。

  「あれは、スコールさん」

簪「え?」

機龍の呟きに気付いた簪も彼の視線を追って空へ目を向け、そして

驚愕した。

今、二人の視線の先、夕暮れになり始めたオレンジ色の空を

5機のISが飛んで行った。

 「ファントム、タスク……!」

飛び去って行く5機を視線で追う簪と機龍。

 

機龍「行かなきゃ……!このままじゃ、一夏達が——」

そう言って、己が力を開放しようとする機龍。だが。

   『そう言うのを、偽善と言うのよ』

  「ッ!」

力を開放しようとしたが、できなかった。

頭の中でリピート再生された、一字一句間違う事のない、スコールに

よって突き付けられた言葉。

 

思い出された記憶によって、息を荒らげ、その体を震わせる機龍。

と、その時、簪の両手が機龍の肩に置かれた。

  「かん、ざし」

簪「機龍は待ってて。私が、行ってくるから」

 

そう言うと、簪は機龍の肩から手を離して駆け出し、ジャンプした

瞬間に弐式を展開し、飛び去って行った。

人々がいきなりの事で簪の方に視線を向ける中、一人その場に

崩れるように跪いた機龍。地面に付いた手がゆっくりと握りこぶしを

作る。

機龍『今の僕じゃ、戦えない。こんな、僕じゃ』

そう思っていた、その時。

 

   『僕の命と力にかけて、必ず、簪を守ります』

 

かつて、彼女の姉と交わした約束を思い出し、はっとなる機龍。

 

  『そうだ。例え、僕が、どうなっても、守らなきゃ、

   いけない事だけは、あるじゃないか』

更に強く握りこぶしを作る機龍。そして、自分の爪が掌の皮膚を

破き、血が流れようが構わない機龍。

 

そして、彼は立ち上がると全速力で駆け出して行った。

 

  『例え、スコールさん達にどういわれたって、守りたいものは

   変わらない!僕は』

そう思った時、一瞬ハッとなる機龍。

  『僕自身の、思い。簪や、みんなの、思い。スコールさん達の、

   思い。……そうだ。……やっと、僕も迷いを捨てられる

   かもしれない』

段々と、戦う意思を取り戻しつつある銀龍は、戦いの渦中へと

向かいその足を進めた。

 

 

一方、未だに暴走状態のモノレール内に閉じ込められている

一夏や千冬達。先ほど、真耶がシステムに侵入しようとしたが

出来なかった。と、その時。

簪「セシリア!ラウラ!誰か聞こえる!?」

専用機の待機形態である彼、彼女たちのイヤリングやブレスレットから

簪の声が聞こえてきた。

セシリア「簪さん!?どうされましたの!?」

簪「聞いて!さっき京都駅に居た時、ファントムタスクのメンバーが5人、

  そっちに向かったのが見えたの!」

それを聞いたラウラは、眼帯を取り外して、窓の部分に駆け寄って

外に視線を向けた。

そして、金色に輝く瞳が、迫りくる敵機の姿を捉えた。

ラウラ「見つけた!敵IS、数は5機、接近中!」

千冬「ちっ!ここで総力戦を仕掛けてくるか。……織斑、篠ノ之、凰、

   オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、フラワー、

   更識。ISの使用を許可する。モノレールを援護しつつ、

   敵を迎撃しろ」

8人「「「「「「「「はいっ!」」」」」」」」

 

彼女の命令を聞き、一夏達はISを纏ってモノレールの外へと

飛び出した。

すぐに周囲を索敵した彼らだが、ISのハイパーセンサーがすぐに

真正面から接近してくる5機を捉えた。

千冬『織斑、篠ノ之はMの相手を。凰、オルコットはオータム。

   デュノア、ボーデヴィッヒはダリル、フォルテを。

   更識、モーラは隊長格のスコールを。それぞれ仕留めろ』

8人「「「「「「「「了解!」」」」」」」」

そう言って、各々の敵に向かっていく一夏達。

 

そして、その様子はスコール達も捉えていた。

スコール「来たようね」

オータム「相手は8機。……あいつの姿は無しか」

マドカ「………」

フォルテ「ま、あんだけボロクソ言われりゃあね」

レイン「良いじゃねえか。敵は少ないに越したことはねえだろ!」

そう言って飛び出していくレインと、慌ててそれを負うフォルテ。

 

スコール『さぁ、あなたの事、もう一度試させてもらうわよ、機龍君。

     あなたがどうしたいのかを。早く来なさい。でないとあなたの

     お友達が死ぬかもしれないわよ』

そう思いながら、彼女は妖艶な笑みを浮かべるのだった。

 

 

一方、市街地の中を走っていた機龍の耳に、『彼』の声が飛び込んできた。

ゴジラ『んで、どうすんだよ相棒』

機龍『……』

ゴジラ『まだ見ず知らずのために、何てぬかす気か?』

機龍『……少なくとも、今僕が護りたいって思う人たちは変わらない。

   一夏や、簪たち。みんなを守りたいって思いに嘘はないし、

   例え偽善と言われても、それを変えるつもりはない。

   お兄ちゃんたちに、僕の『友達』に手を出そうとするなら、

誰であっても、『倒す』』

ゴジラ『……。味方なら護る。敵なら倒す。そう言う線引きって

    事か』

機龍『それに。もう僕は戦場で『分かり合える』なんていうつもりも

   無いよ』

ゴジラ『ほう?んで、どうする?今お前はその味方と敵の居る場所に

    向かってるわけだが?』

機龍『少なくとも、今、僕がやりたい事は、一夏達を守る事。そして、

やらなきゃいけない事は、スコールさん達を、倒すこと』

ゴジラ『なら、また俺はテメエの中からのんびり見学させてもらうぜ』

そう言うと、彼は意識の奥底へと戻って行った。

 

一夏「はぁぁぁぁぁっ!」

そして、今まさに京都の空の上では、13機のISが光の尾を引きながら

ぶつかり合っていた。

一夏の雪片とマドカの新型IS、『黒騎士』の大剣、フェンリル・ブロウが

空中でぶつかり合い、火花を散らしていた。

マドカ「その程度か!」

一夏「ぐあっ!」

切りかかってくる一夏の白式を、逆にカウンターの一撃で弾き飛ばすマドカ。

箒「そこだ!」

が、黒騎士の背後を取った箒の紅椿の右腕から穿千による射撃が

彼女を狙っていた。

マドカ「嘗めるなッ!」

それを迎え撃つように、マドカはランサービットを展開・射撃して

穿千によるビームを相殺した。

 

その近くでは、オータムと鈴・セシリアが。

シャル、ラウラペアとレイン、フォルテペアが。

そして、楯無とモーラがスコールと戦っていた。

 

モーラ「はぁっ!」

   『バシュバシュバシュ!』

連続でアイギスから繰り出されるビームの雨。だがその雨は

スコールのIS、ゴールデン・ドーンの持つバリア、

プロミネンス・コートによって防がれた。

スコール「あらあら。その程度の攻撃では、私を射貫く事は

     できないわよ」

モーラ「私は、あなたを絶対に許さない!」

そう言って半ば激昂しながらも、スコールから繰り出される無数の

火球による攻撃を避けつつビームを放つモーラ。

スコール「許さない?何のことかしら?」

 

モーラ「とぼけても構いませんが、知らないのなら殴ってでも

    思い出させますよ!」

そう言って、急接近したモーラの飛び蹴りが、シールドの上から

ゴールデン・ドーンを蹴りつけた。それでも数メートル後ろに

飛ばされるスコール。

   「私は、あの人を傷つける者を絶対に許さない!」

スコール「傷つける?失礼ね。指摘してあげたと言って欲しいわね。

     ……あの子の考えが甘ちゃんだから言ってあげただけ

     じゃない。偽善だと」

モーラ「黙れ」

スコール「あなた達もそうなんじゃないのかしら?

     彼と築いてきた絆は本物なのかしら?彼を怖がっているから、

     心の奥底で彼を恐怖しているから、友達を演じている

     だけなんじゃないのかしら?」

モーラ「黙れぇぇぇぇっ!!!」

一夏「んなわけあるかぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

そこへ、激怒したモーラと、同じくスコールの言い分に

激怒して我慢ならなくなった一夏が突進していった。

  「俺たちと機龍の絆ってのはぁ!そんな脆いもんじゃ

   ねえんだよ!」

そう叫びながら、プロミネンス・コートめがけて雪片を

何度も降り下ろす一夏。

スコール「そう?彼に偽善には気づいているのかしら?」

一夏「話なら聞いたさ。誰かを守りたいってのが、偽善だってな。

   でも俺はそうは思わねえ!あいつは今まで、俺たちの事を

   何回でも助けてくれた!困ってる時は相談に乗ってくれた!

   一緒に飯食って、笑った、俺の、俺たちの中にある機龍

   はなぁ。優しいけどドジだし、天然な所もあって、

   小さいくせに力持ちで、寂しがり屋だけど、何時だって

   俺たちの仲間で居てくれた!俺はなぁ、バカだから何が偽善で

何が正しいのかなんて分かんねえよ!けど、そんなあいつの

   心を偽善呼ばわりするお前が、許せねえんだよぉぉぉぉっ!」

再び切りかかる一夏だが、そんな彼を横合いからビームが襲い、

弾き飛ばした。

 

何とか空中で態勢を立て直す一夏。そんな彼の元に一度集まる

箒や鈴、モーラ達。

そして、それに向かい合う形で立つスコールとその傍に集まるマドカ達。

 

と、その時だった。

簪「みんな~!」

そこに、弐式を纏った簪が合流してきた。

一夏「簪!」

箒「これで9対5。これなら……!」

仲間の参戦に喜ぶ一夏達と、敵の増援に舌打ちをするオータムや

レインたち。

 

だが、その中で一人だけ、凶悪な笑みを浮かべている者が居た。

マドカだ。

 

マドカ『そう言えば、あの女は篠ノ之機龍の恋人の一人だったな。

    ……そうだ。今ここで奴が死ねば、恋人を失った奴が

    絶望し、ゴジラが現れる』

彼女はそう思い立っていた。そして、次の瞬間。

黒騎士が弐式目掛けて突進していった。

箒「ッ!まさか!」

モーラ「簪さんを狙ってる!簪さん逃げて!」

 

簪「ッ!」

仲間からの警告を聞き、咄嗟に身を翻して向かって来るマドカから

逃げようとする弐式だが、元より近接戦闘性能を追求していた黒騎士

と、マドカの潜在的能力によって、すぐに追いつかれてしまった。

楯無「避けて!簪ちゃんっ!」

その声を耳にして、振り返る簪。

 

次の瞬間、世界がスローモーションになった。

 

振り返り、自分に向かって振り下ろされようとしている

フェンリル・ブロウを驚愕し、見開いた眼で見ている簪。

 

顔上部を覆っているフェイスヘルメットのため、マドカが

今どのような目をしているかは分からない。だが、その口元には

歪んだ笑みが浮かんでいた。

 

  「簪ちゃぁぁぁぁぁぁんっ!!」

夕暮れの京都に、楯無の悲鳴が響く。だが。

 

 

 

 

その時、オレンジ色の空の上を銀色の龍が駆けた。

 

 

 

 

   『ガキィィィンッ!』

 

咄嗟の事で目をつむっていた簪の耳、金属同士がぶつかり合う

音が聞こえてきた。

ゆっくりと目を開けようとした簪だが、唐突に『何か』が彼女の

体を引き寄せた。

寄せられた先にあった金属質の硬い体に手を突きながら、彼女は

自分の体を抱いている手を見てから、視線を上にあげ、驚いてから

その目に涙を溜め、瞳をトロンとさせた。

 

そこに居たのは、彼女がもっとも信頼する少年の真の姿。

『3式機龍改』だった。

 

簪「機龍」

機龍『例え、今の僕の戦う意味が見出せなくても、約束したからね。

   簪は、僕の命と引き換えにしても、守るって!』

   『KYUAAAAAN!』

スピーカー越しに喋り、短く吠えた機龍はブロウを防いでいた

左手を振ってマドカを弾き飛ばした。

マドカ「くっ!?」

何とか態勢を立て直し、再び突進しようとするマドカ。だが、

その前にスコールが現れ、それを制した。

一方の機龍と簪の周りにも一夏達が集まっていた。

 

 

スコール「答えは出たのかしら?機龍君」

機龍「……はい」

そう言って、ゆっくりと簪を離す機龍。しかし、簪の

左手はすぐに機龍の右手を取り、その手を握りしめた。

一度、そちらに目を向けてから、再びスコールの方に

視線を戻す機龍。

 

 

 

 

機龍「僕は………。大馬鹿でした」

 

 

 

一夏「え?」

いきなりそんな事を言い出す機龍に、周囲に居た一夏達が

疑問符を浮かべた。

そして、それはどうやら向こうのオータムやレイン、フォルテも

同じようだった。

 

スコール「大馬鹿。それはどういう意味なのかしら?」

機龍「僕は、逃げていました。それも、とても卑怯なやり方で」

静かに、しかし罪人の懺悔のように語りだす機龍。

 

機龍「僕は、みんなと、簪と一緒に居る事で、思いあがっていました。

   人にはそれぞれ、意思がある。思いがある。好きな事や苦手な事。

   だからこそ人間はいろんなことで対立する。小さな事から、

   大きな事まで。何気ない口論から、戦争と言う形でまで。

   でも僕は、僕自身の身勝手な思い上がりを、『人は分かり合える』

   って言う事を、周りに押し付けるように考えてしまっていた」

簪「機龍」

機龍「それが、僕自身の偽善。思いを押し付けるなんて、最低な偽善

   でした。いつの間にか、まるで上から目線になったみたいに、

   そんな事を僕は言ってしまっていた」

スコール「私が言った事の一つね。なら、後の二つは?」

機龍「もう一つは、言い訳。……僕はその偽善に、逃げていた」

そう言って、自身の鋭利な爪を持った左手を見つめる機龍。

  「覚悟は決めていたはずなのに。まだ上辺だけだった。僕は、

   心の奥底で、この手を血で汚すことを、恐れていた。だから、

   その偽善に逃げ込んだ。戦いたくないからと、押し付けるように。

   人は、そう簡単に他人を理解する事なんて、ましてや完全に

   理解しあうなんて、できません。時間をかけて、ゆっくりと、

   お互いを知って、喧嘩したりして、初めて、僕たちは

   『友達』になれる。でも、僕はいつの間にか、それすらも

   忘れ、偽善の理解を盾にして、戦いから逃げようとしていた。

   それこそが、僕自身の身勝手な言い訳。ましてや僕は、

   一夏達との、何より、義人との本当の思い出を利用して、

   上辺だけで『分かり合える』なんて、言ってしまった。

   正直、今は自分自身に腹が立っています!」

一夏「機龍、お前」

機龍「一夏達との、お兄ちゃんたちとの大切な思い出を言い訳にした

   自分自身が許せない!」

スコール「二つ目の答えね。なら、最後の答えを聞かせてもらい

     ましょうか?あなたの、命を守ると言う事の答えを」

 

機龍「……僕は、人と人が理解しあう事の、本当に分かり合う事の

   難しさを思い出しました。完全な相互理解など、出来はしない。

   だけど、不可能じゃない事はあります。僕たちは、それぞれの

   思いを伝えあって、『友達』になる事はできる!

   どれだけ時間がかかっても、それは決して不可能な事じゃない!

   それは、一夏達みんなが、義人が教えてくれた!

   僕は一度だって義人と言葉を交わしたことはない!それでも、

   義人は言ってくれた!ごめんって!だからこそ、僕は義人や

   みんなと出会って笑って、心を持つことができた!そして、

   その心が叫んでるんですよ!『命』を護れって!」

自分自身の胸に左手を当てる機龍。

  「例え、僕の命を護りたいと言う願いが、スコールさんにとっては

   お節介と言われても、僕は構わない!誰にどう思われてもいい!

   僕は命を守るために戦う!どれだけ世界から否定されて、

   僕の心がボロボロになったとしても、護りたい願いは変わらない!

   それが僕の答えです!命を守るために、この手を血で汚す事が

   罪だと言うのなら、その罪を、いくらでも背負います!

   もう、僕は二度と戦いから逃げたりしない!真っ直ぐに見つめるんだ!

   自分の願いを!護りたい物を!それが僕の答えです!」

その言葉に、決意に、一夏達が力強く頷く。

 

 

もはや銀龍に迷いは無い。彼は唯、命を守るために戦う決意を固めた。

そのためなら、その身に血を雨を被る事も躊躇ない事を。

 

 

スコール「そう。それがあなたの答えなのね。でも知ってる?

     世界はそれほど甘くないわ。犠牲や代償も無しには、

     何も得る事はできないのよ」

そう言っているスコール。だが。

機龍「そうですか。……でも、僕にとってはそれこそ『言い訳』です」

スコール「あら?そう思う根拠は?」

機龍「確かに力が無ければ、何一つ守れない。でも、だからって

   最初から犠牲ありきの考え方なんて間違ってる。そう思います」

スコール「あなたなら犠牲も無しに全てを救えるかもしれないと?」

機龍「かもしれない、じゃないですよ。救うんですよ。全てを。

   ……最初から誰かの命を諦めてるのなら、僕には命を守る

   ために戦う資格なんてありません」

スコール「全てを手に入れようなんて、傲慢ね。それは強者だけに

     許された考え方よ」

機龍「強者ですか。……なら、全てを救えるのがその強者だけと

   言うのなら、僕はその強者となりますよ」

スコール「そう。……それで、あなたは今どうするの?

     私たちの戦うのかしら?」

 

機龍「はい。あと一つだけ、これからやって行こうと思う事があります。

   それは、一つ一つの戦いの中で、自分自身が何を貫くのかを

   決める事です」

スコール「全ての戦いそれぞれに目的を付けるの?それで、今日の

     あなたの目的は?」

機龍「一つ目は、簪も、一夏お兄ちゃんたちも、先生も、クラスメイトの

   みんなを、全力で、何が何でも護る事です」

それを聞き、士気が上がっていく一夏達。彼らは機龍の言う事に

うんうんと頷いてきた。

  「もう一つは、とりあえずスコールさん達5人をぶっ飛ばします!」

そう言ってグッと左手を握りしめる機龍。

一夏「なるほ、ん?ぶ、っとばす?」

更に頷きかけた一夏達だが、後半何やら物騒な事が聞こえてきたので……。

 

 

 

 

9人「「「「「「「「「えぇぇぇぇぇぇっ!?!?」」」」」」」」」

 

驚愕の叫び声をあげた。そして、オータムやレイン達二人も

は?と言いたげな表情をしていた。

まぁ、命を守るために戦うと言っておいてぶっ飛ばすとは

どういう事なのか、理解が追い付かなくて当然だろう。

 

一夏「ちょちょちょちょちょ!何言ってるだよ機龍!?」

簪「き、機龍まだどこか悪いんじゃないの!?ねぇ!」

機龍「大丈夫だよ。……そうでもしないと、スコールさん達と

   ゆっくりとお話できませんからね」

簪から視線を移し、スコールと向かい合う機龍。

  「普通に戦っても逃げられちゃいそうなので、取り合えず

   今は皆さんを倒して、とっ捕まえる事にしました!」

一夏「いや何でそうなるんだよ!?」

 

機龍「簡単だよ。確かに僕は、理解し合う事が簡単じゃないって、

   改めて思い知った。でも、言ったよね。友達になる事は

   不可能じゃないって。だからだよ」

そう言って、一度息をついてからスコール達5人と向かい合う機龍。

 

  「スコールさん!オータムさん!マドカちゃん!レイン先輩!

   フォルテ先輩!」

彼女たち5人の名前を叫ぶ機龍。

  「僕は、あなた達と友達になりたい!」

自分の本心を叫ぶ機龍。これには周囲の一夏達も、それと通信で

聞いていた千冬と真耶も、そして、スコール達5人全員も。

驚きポカーンとなってしまった。

  「だからこそ!僕はあなた達と言葉を交わしたい!

   そのためにとりあえず!今は皆さんを拘束します!」

 

どうやら機龍は、この一件で変な枷が外れてしまったようだった。

 

オータム「ば、バカじゃねえのか!お前目的のためにやる事が

     矛盾してんだろ!?」

機龍「それでも構いませんよ!とりあえず、今の僕の目的その2は、

   皆さんと話し合うために、まずは逃げられないように

   捕まえるだけですから!」

簪「き、機龍?」

モーラ「あぁ、どうやら、機龍の中で変なスイッチが入ってしまった

    ようです」

そう言って頭を抱えるモーラ。しかし、その時だった。

 

 

スコール「ふ、ふふ、アハハハハハハッ!」

唐突に高笑いを始めたスコール。

    「友達になるために捕まえるなんて。矛盾だらけね。

     それで、仮に私たちを捕まえたとして、どうするの?

     好感度は最低からのスタートになるかもしれないわよ?」

機龍「上等です!がんばってその好感度を上げて、友達だって

   認めてもらうまで、諦めませんから!」

セシリア「き、機龍?一体、どうして」

楯無「あ~、う~ん。自分の願いに正直になりすぎちゃった、みたいな?」

フォルテ「正直になった途端言ってること物騒になってたら世話ない

     っすけどね!!」

と、相手方から突っ込みが来たが、否定できない一夏達。

 

一方。

ゴジラ『は~。お前、変なスイッチ入ったな~』

機龍『うん!そうかもね!でも決めたよ!もう自分の心に

   嘘はつかない!一夏達は護りたいしスコールさん達とも

   友達になりたい!』

そう言っている機龍は、数時間前まで泣いていたのが噓のような

満面の笑みを浮かべていた。

  「だから真っすぐ!正直に!僕の想いを、この拳に乗せて!」

左手を前に突き出す3式機龍改。

  「あなた達を、この場で倒します!」

高らかに宣言するように、機龍の澄んだ声が空に響いた。

 

相手を倒すと叫ぶその宣言。

だが、その声は、この京都を訪れてからの機龍の放つ声の

中で、一番澄み切っていた。

 

 

少年は戦う。自分自身の願いのために。それは、二つの願い。

一つは、命を守る事。

もう一つは、新たなる友を作るため、今目の前に居る敵を倒す事。

 

     第24話 END

 




と、言うわけで覚醒した機龍ですが、同時に変なスイッチが
入りました。端的に言えば、熱血漢かバカになりました。
しかし、バカになった分以前よりストレートになったとも
言えるかもしれません。
後、原作との変更点についてですが、真耶のIS、
『ショウ・オブ・マスト・ゴーオン』は束が千冬から
の依頼で作ったと言う設定です。また、アニメ本編後の
OVAであるワールドパージに関しては、あれが京都編の
前の話だと言う事をつい最近しったため、京都編が
終わってから変わりになる話を上げたいと思います。

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