インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍    作:ユウキ003

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今回は簪との閑話です。
次回からはアニメ第2期に突入します。


インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍 帰国&夏祭り編

―――前回までのあらすじ―――

セシリアのイギリスに次いで、ラウラの案内でドイツにやってきた機龍。

彼はそこでラウラの上官であるミリア達から暖かい歓迎を受けた。

しかし、そんな矢先にラウラの機体、レーゲンのプロトタイプ機の

強奪事件が発生してしまった。あわやISの強奪と言う事態になりかけたが、

機龍とラウラ達の連帯によって無事解決となった。

そして、その日の夜。ミリアの悪戯でお酒を飲まされてしまった機龍は

デロンデロン状態になってしまい、ラウラとも一線を超えてしまったのだった。

 

 

数週間に及ぶ外国での夏休みを過ごした機龍はドイツから民間機で

日本、IS学園の近くにある国際空港へと戻ってきたのだった。

機龍『久々の日本か~。簪は元気にしてるかな~』

と、思いながら荷物を受け取り、ゲートを出た機龍は歩き出したのだが……

簪「機龍!」

唐突に名前を呼ばれた機龍は周囲を見回してから、人込みの中で

こちらを見る見知った顔を。自分の母と等しい女性を見つけた。

機龍「簪!」

相手を見つけた機龍はバッグを片手に簪に走り寄った。

簪も、目にうれし涙を浮かべながら近づいてきた。

 

そして、人目もはばからず抱き合う二人。

数秒後、どちらとなく腕を放し、お互いの顔を見つめ合った。

簪「おかえり、機龍」

機龍「うん。ただいま、簪」

 

その後、周りからの視線に気づいて二人とも顔を赤くしながら空港を

後にして、学園の寮へと帰って行ったのだった。

 

寮に戻った機龍と簪。

機龍は、外国で見聞きしたことを簪に話していた。嬉しそうな顔で、

イギリスやドイツで見た日本と違う食べ物や建物の話を語る機龍。

簪も、そんな機龍を息子を見守る母親のような表情で、柔和な笑みを

浮かべながら相槌を打っていた。

 

その後。

簪「あ、あのね、機龍。実は、お願いしたい事があるんだ」

機龍「?どんな?」

簪「明後日の事なんだけどね。私と一緒に、これに行かない?」

そう言って簪は机の上にあったプリントを取って機龍に渡した。

 

機龍「…夏祭り?」

簪「うん。学園から少し離れた場所にある神社で夏祭りがあるんだ。

  もし、良かったら、私と一緒に、行かない?」

機龍「うん!僕、簪と一緒に夏祭り、行きたい!」

 

と、久々の帰国と簪との生活。機龍にとって、母親にも

等しい彼女と一緒に居られる事が機龍自身が今一番望んでいる事だったのだ。

それもあってか、いつもより少々甘えん坊になっている機龍。

 

簪「そ、それじゃあ機龍、一緒に夏祭り、行こうね」

機龍「うん!」

と、親子のように接し、今と言う幸せを楽しんでいる二人だった。

 

そして当日がやってきたのだったが……。

 

機龍「ねぇ簪、これってどうやって着るの?」

簪「えっとね、これはここをこうして、こっちはこうで……」

と、機龍と簪は部屋で着替えていた。その服装と言うのが―――浴衣だった。

 

元々この浴衣は、昨日学園の外にある近くのショッピングモールで

買ってきた物なのだ。

簪は青地に白い水玉模様の浴衣。

機龍は黒と白の縦縞の浴衣をそれぞれ来ていたのだ。

 

その後、二人は自分たちの部屋を後にして、学校を出てから

電車に乗って神社の最寄り駅に向かい、そこから歩いて

数分の所にあるお祭り会場である神社にやってきた。

 

夏休みの終盤。そして夏の風物詩と言う事もあって地元の人間も

さることながら、IS学園の制服姿の生徒もちらほら見受けられた。

 

機龍「結構人多いね」

簪「うん。夏祭りは日本の夏休みの定番みたいなものだからね」

そう言って、手をつないだまま歩く簪と機龍

 

夏の風物詩と言う事もあり、境内の中には無数の出店が

軒を連ねていた。

お好み焼き、たこ焼き、焼きトウモロコシ、綿あめ、リンゴ飴、

焼きそば、etc………。

また、食べ物系以外にも射的、ヨーヨー釣り、お面、金魚すくい

等々、多くのお店が出店していた。

 

機龍「これが日本の縁日なんだ~」

簪「うん。そうだよ。機龍は、まず何からしたい?」

機龍「う~んと。……。あ。あれが食べたい!」

と言って、リンゴ飴の出店を指さす機龍。

簪「リンゴ飴だね。良いよ。一緒に食べよ」

機龍「うん!」

 

と、二人手を繋いで歩く姿はまさしく母子のようであった。

その後も焼きトウモロコシやたこ焼きを食べ、今度は遊び系の出店

で遊ぶことにした二人。

そして、射的の出店に来たのだが……。

 

   『パコッ!』

機龍「う~ん。当たっても倒れないね」

簪「そうだね」

今、二人は射的屋で大きな景品、小さい白いクマのぬいぐるみを抱えた

茶色いクマのぬいぐるみ。つまり二つの熊のぬいぐるみがワンセットに

なった景品を狙っていたのだが、大きさ的に当ててもなかなか落ちないのだ。

 

 「あ、そうだ機龍。今度は一緒に狙ってみよう」

機龍「うん。わかった」

そう言って、コルク銃の銃口をぬいぐるみに向ける二人。

そして……。

簪「行くよ。せ~のっ!」

彼女の声に合わせて、一斉に引き金を引く機龍と簪。

放たれた二つのコルクは……。

   『『ポコッ!』』

   『ポテッ』

見事にぬいぐるみに命中し、景品ゲットとなった。

 

機龍「やった~。当たった~」

男性「おぉ、ナイスなコンビプレー。はいよ、景品のぬいぐるみだ」

そう言って、渡された機龍の上半身ほどある大きなぬいぐるみ。

それを抱える片手で抱えながら簪を見上げる機龍。

 

機龍「えへへ、やったね簪」

簪「うん。そうだね」

景品ゲットで喜ぶ機龍と、それを見つめ、母親のように微笑む簪。

その後も出店を巡って思い出を作る二人。

 

そんなこんなで時間は過ぎ去り……。

アナウンス『まもなく、打ちあげ花火大会を開催します』

というアナウンスが近くのスピーカーから聞こえてきた。

 

簪「花火か~。機龍、一緒に見る?」

機龍「うん!」

 

という事で二人は移動したのだが、その途中で……。

  「あれ?簪、ちょっと待って」

唐突に何かに気づいた機龍が立ち止まり、簪の手を引いた。

簪「機龍?どうしたの?」

機龍「ちょっと、こっち来て」

疑問に思う簪だったが、機龍に腕を引かれ、屋台同士の間を

抜けて、薄暗い場所に行く二人。

 

  「見て、こんな所に階段がある」

そう言って指さした先には、木でできた階段が山の奥の方へと

続いていた。

簪「ひょっとして、この上に何かあるのかな?」

と言って機龍の方を見る簪だったが、彼女は何やら

機龍がうずうずしているのに気付いた。

 「ひょっとして、機龍ってば探検したいの?」

機龍「う、うん」

と、もじもじしながらそう言う機龍。

簪「そっか。じゃあ、ちょっと行ってみようか?」

機龍「え?良いの?」

簪「うん。まだ花火まで時間があるし」

機龍「わかった!それじゃ、早速行ってみよう!」

 

という事で、二人は手をつなぎ、その階段をゆっくりと

登って行った。  

 

数分後、二人は草の生えた広い場所に出た。

そこは周囲を林に囲まれているが前方だけは開けていて、木で出来た

柵があり、近くには同じように木造の屋根付きベンチがあった。

もっとも、管理ができていないのか地面一帯が足首程まで伸びた

雑草に覆われていた。

機龍「ここって……」

簪「たぶん、ここは街を一望できる展望台みたいな感じなんだよ」

 

柵の前まで歩み寄り、星空が輝く夜空を見上げる機龍と簪。

と、その時、夜空に極彩色の花が咲き始めた。

 

機龍「あ。あれって…」

簪「打ち上げ花火。始まったんだね」

そう言いながら、ベンチに腰掛け、夜空を彩る花火を見て、

瞳をキラキラと輝かせる機龍と、それを見守る簪。

 

そんな時だった。

機龍「……簪。ありがとう。僕を、ここに連れてきてくれて」

花火を見上げながらも静かにそうつぶやく機龍。

簪「ううん。気にしないで。だ、だって、私たちは、恋人、同士、

  なんだから」

と言いつつ、顔を赤くする簪。

 

機龍「……僕は、本当に幸せなんだ」

簪「え?」

機龍「……前の僕は、こうして誰かと一緒に居られる事もできなかった。

   ずっと一人で、お祭りも花火も、美味しい物も、楽しい事も

   知らなくて」

簪「……」

今の彼女は機龍の想いが何となくわかっていた。

誰も自分に優しくしてくれない。

人からやさしさを向けられたことがほとんどない。

たった一人。それに加え、機龍の周りに居たのは、彼を殺そうと

する人類と、彼を兵器に変えた人間たちだけ。

誰も彼を肯定などしてくれない。――ほんの数人を除いて―――。

世界でたった一人ぼっちで、世界中から否定された存在。

 

その苦痛がどれほどの物だったのか、簪にはわからない。

だが、それを考えるだけで彼女の胸は張り裂けそうになった。

そして、機龍の、ゴジラの痛みはそれだけではない。同族と、

家族かもしれない相手との戦い。

 

彼女にしてみれば、――避けているとはいえ――無理やり実の姉と

戦わされるような物だ。

家族に剣を向け、その手を家族の血で汚した痛みと悲しみ、絶望は

言葉では言い表せないだろう。

 

そう思うだけで、簪の頬を涙が伝って地面に落ちた。

と、そんな彼女の様子に気づいた機龍。

機龍「ご、ごめん!簪にこんな話をしなければ良かったのに!

   ぼ、僕のせいで簪が――」

と、彼女の涙を一生懸命止めようとする機龍に手を伸ばし、彼を

抱き寄せる簪

簪「私は、機龍とずっと一緒だよ」

頬を涙で濡らしながらも、機龍を抱き寄せ、その銀髪をゆっくりと

撫でる簪。

 「もう、機龍を一人に何てしないよ。ずっと…ずっと、傍に居るから」

機龍「簪……」

その言葉を聞いた機龍も、驚いて目を見開いてから次第に目を細め、

目尻に涙を溜め始めた。

そして、その言葉に答えるように、ゆっくりと簪の体を

抱き返す機龍。

機龍「本当に、ずっと傍に居てくれる?」

簪「うん」

機龍「僕は、怪物なのに、それでも居てくれる?」

簪「うん」

機龍「僕は、簪の、事、大好き、だよ」

と、段々と大粒の涙を浮かべ始め、嗚咽をこらえているのか、

言葉が次第に途切れ途切れになる機龍。

  「僕の、傍に、居て、くれる?簪」

簪「うん。……もう、絶対離さないから」

機龍「簪、ありが、とう。僕…僕……う、うぅ、うわあぁぁぁぁぁん!」

と、とうとう感極まって泣き出してしまった機龍。

 

かつて、自分の大切な人、義人との別れを経験している機龍。

出来る事なら、彼と一緒に居たかった。彼がこのまま、自分と共に

海の底へ共に来てくれると言った時は、うれしかった。

でも、彼には帰るべき場所がある。だからこそ、機龍はあの時、

義人に別れを告げた。

もう彼には会えないかもしれない。でも、今は自分の居場所に、

自分を想ってくれる人がいる。

その光と温もりが、彼女の溢れる母性が、機龍に涙を流させたのだった。

 

改めて、人の、簪のぬくもりを知った銀龍が泣き止むのには、

数分を要した。

その間も、簪は母親のように、柔和な笑みを浮かべながら泣きじゃくる

機龍の頭を何度も何度も、優しく撫で続けていた。

 

数分後。無事に泣き止んだ機龍。そして……。

機龍「簪。あの、僕…」

簪「うん、機龍。…キス、しよ」

機龍「うん」

 

次の瞬間、機龍の唇と簪の唇が近づき、互いを抱擁をしたまま、

ゆっくりと口づけを交わすのだった。

と、その時。

愛し合う二人を祝福するように、夜空に一つの大輪が咲き乱れたのだった。

 

無事に祭りを見終え、堪能した機龍は簪と手をつなぎながら、

寮へと戻っていったのだった。

しかし、そんな帰り道で……。

 

機龍は仕切りに周りを気にしながら自分の陰部を空いている

左手で覆い隠していた。

さらに顔も赤くなっており、彼の息は荒くなっていた。

そして、それに気づいていた簪は、途中から顔を赤くし、

それでも何かを決意したような表情をしていた。

 

そして、寮の部屋に帰り着いた機龍は、買ったぬいぐるみを

自分のベッド、内側のベッドの上に置いた。

と、その時、簪が部屋の中の照明を全て消してしまった。

機龍「か、簪?」

その事を疑問に思いつつも、どこかおどおどとしている機龍。

 

そして、簪は窓の外から部屋の中を照らす月明かりを浴びながら、

機龍に背を向けながら浴衣の帯紐を緩めた。

シュルシュルと言う音と共に、外れた帯紐が床に落ちた。

そして、振り返った簪の浴衣は開けていて、彼女のお腹と

太もも、そして、淡い青の下着を惜しげもなく晒していた。

 

  「か、簪?」

簪「……機龍。…エッチな事、しよ?」

その魅惑に、機龍の性欲が荒ぶり、彼の体は簪を求めた。

機龍「……うん」

 

こうして、機龍は簪とも一線を超え、更なる絆を

深めて行ったのだった。

 

     帰国&夏祭り編 END

 




ここ最近は全く投稿できておらず申し訳ありません。
しかし、R18の方はさらに筆が進みません。
そっちの方はもうちょっとでできるので、
申し訳ありませんがもう少しお待ちください。

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