インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍    作:ユウキ003

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今回は機龍とラウラの閑話です。
ちなみに、作品内に出てくる地名は全て実在の地名を
使っています。


インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍 ドイツ編

~~前回までのあらすじ~~

機龍はセシリアの誘いを受け、彼女の祖国、イギリスへとやってきた

初めてみる異国の地に胸が高鳴り、瞳をきらめかせる機龍と、

彼に好印象だったことから、喜ぶセシリア だが、幸せと言う物は

長くは続かなかった。機龍を束、ISの生みの親の血縁者として

狙っていたイギリス空軍の将校が機龍を捕らえようと様々な事を画策した。

しかし、結果的に機龍の怒りが爆発。内なるゴジラが覚醒し、将校たちを

惨殺してしまう。その後現れたクロエや束の根回しのおかげで事なきを得た

機龍とセシリアだったが、機龍自身は自分のした行為を悔いて意気消沈として

しまった。そんな彼を見て、セシリアは決意を固め、機龍との営みを

する事によって、彼の後悔や自責の念を拭い、絆を深めたのだった。

そして、機龍の滞在期間の一週間が過ぎ、一足先に日本へと戻るとしていた

彼の前にIS学園の制服を着たラウラが現れたのだった。

 

今、機龍はラウラと共にドイツ軍の輸送機のC-160に乗っていた

今は後部ハッチの中の並べられた簡易椅子の一つに腰かけている機龍

その隣には当然、ラウラの姿があった 

機龍の肩に自分の頭を預け、笑みを浮かべているラウラ

そしてさらに、機内にはラウラとは別に黒い軍服に身を包み、眼帯をしている

少女達の姿があった

その少女達も、何やらニヤニヤと笑みを浮かべていた

機龍「え、え~っと…その……」

???「いえいえ、私たちの事はお気になさらず。どうぞ、隊長と存分に♪」

そう言って笑みを浮かべている少女達の隊長、というか副隊長のような少女に

戸惑ってばかりの機龍

と、その時だった

ラウラ「そうだ。機龍、折角だから再会のキスをしよう。」

それを聞いて、密かに色めき立つ少女達

機龍「でも、その……他の人たちが……」

さすがにこうも人目のある場所では恥ずかしいのか顔を赤くする機龍

ラウラ「みたいのなら見せておけば良いさ。人前であっても、私たちの

    愛は変わらない。そうだろう?」

機龍「……うん。」

ラウラ「だったら、何も問題はない。」

そう言って右手で機龍の顎をクイッと持ち上げ、彼の腰に左手を回した

そして、顔を赤くした機龍に唇を近づけ、キスをした

機龍「ん」

   「「「「「「キス来たぁぁぁぁぁぁっ!!!」」」」」」

   『『『ぶはっ!!』』』

少女達の叫びが機内に木霊し、一部の少女が鼻血を出しながら倒れた

少女「良い!良いですね副隊長!」

という言葉に、ラウラの所属する部隊『黒ウサギ部隊』の副官

『クラリッサ・ハルフォーフ』大尉は……

クラリッサ「そうであろう!彼を愛するのは隊長だ!

      だが、目で見て愛でるのはありだ!今のうちにこの絵画的シーンで

      英気をやしなっておけ!」

   「「「「はい!」」」」

と言ってラウラ達のキスに再び視線が集まるが、さらに数人が鼻血に倒れたのだった

 

 

その後、ドイツの首都ベルリンの郊外にある基地に無事に着地した輸送機から

降りていくラウラ達の後に続いて、同じように降りていく機龍

機龍「ここって……」

ラウラ「私の部隊、黒ウサギ部隊シュヴァルツェ・ハーゼの所属基地だ。

    こっちだ。ついて来い。」

機龍「あ、うん。」

そう言って歩き出した機龍

ラウラ「まずはここの司令官に挨拶をしてもらうが……」

と言ってラウラは後ろに振り返るが、そこには不安そうな機龍の姿があった

それを知ってか笑みを浮かべるラウラ

   「心配するな。司令官は女性だし、とても優しい人だ。それに……」

と、言いかけて止めるラウラ

機龍「お姉ちゃん?」

ラウラ「あ、いや、何でもない。とにかく、心配する必要は無い。さぁ、行こう。」

その事に疑問に思っている機龍

 

そして、ラウラに連れられて建物に入った瞬間……

   『パン!パン!』

盛大にクラッカーが鳴り響いた 驚く機龍と頭を抱えてため息をつくラウラ

そこには先ほどの、ラウラの部下と思われる少女達や軍服姿の兵士、

そして、一人だけ将校の上着を着ている女性の姿もあった

と言っても、ラウラの部隊の者以外は、全員が軍服なりなんなりを着崩していて、

基地の司令と思われる女性も、白い将校用の上着の前を全部開けたまま、

肩に羽織っているような立ち姿だった

???「ようこそ!私たちの基地へ!篠ノ之機龍君!」

と、司令官と思われる女性が大々的に迎え入れてくれた

機龍「え、えっと、あの……は、初めまして!篠ノ之機龍です!

   こ、こんにちは!」

???「ほうほう、ちゃんとドイツ語が話せるなんて偉いじゃないか。

    ラウラからの報告で聞いてるよ~。見た目に似合わず、結構

    行動力のある子どもなんだって?」

機龍「あ、いえ、その、僕なんて……まだまだで、よく、ラウラお姉ちゃんに、

   助けてもらってますから。」

???「そうかそうか!良かったじゃないかラウラ!こんなかわいい弟ができて!」

ラウラ「し、司令!それより先にまず機龍に名を名乗ってください!」

???「おっと、そうだった。こほん、私はこの基地の司令を任されている

    ミリアーノと言う物だ。部下からはミリア司令と呼ばれているから、

    君もそう呼んでくれて結構だ。初めまして」

そう言って手を出すミリア

それを見た機龍もそれに答えて握手を返した

機龍「よろしくお願いします、ミリア司令」

と、普通に挨拶をしたのだが、唐突に顔を赤くするミリア

ミリア「な、なぁ機龍君。私の事を司令、ではなくお姉ちゃんと呼んでくれないか?」

機龍「えっと……ミリア、お姉ちゃん?」

それを聞いた瞬間、だんだんと顔を赤くしていくミリア そして……

   『ぶっはァァァっ!!』

   「「「「「司令官~~~~!!!」」」」」

盛大に鼻血を流しながらも、何とか立っているミリア

ミリア「ま、まさか、これほどの威力だったとは……お、恐るべし、

    ショタの魅力」

さらに、ラウラの部下の女性や果てには一部の兵士たちも鼻を押さえていた

と、機龍にとっては何を言っているのかわからない状況だった

 

そんな中で機龍を呼ぶラウラ

機龍が近づくと、ラウラは彼に耳打ちをした

ラウラ「ぐ、軍人と聞いて機龍は司令やあの者達とギャップを感じるかもしれないが、

じ、実を言うとだな。司令達があんなになってしまったのは訳があるのだ」

と言って、語りだすラウラ

   「私は、最初は部隊の者とあまり仲が良くなかったのだが、機龍との

    一件以来、関係を修復できたのだ」

機龍「?それは良い事だけど、何か関係があるの?」

ラウラ「あぁ、実は、関係がよくなった後、部下、というか私の副官にあたる

    彼女、クラリッサから妙に日本の物を送ってくれと言われていたのだ。

    なんでも、現地、つまり日本でしか手に入らないような代物だとかで、

    私も普通に答えていたのだが、少し前に帰ってきたら、基地の内部が

    こんな風にかわってしまったのだ」

機龍「えっと……どういう事?」

ラウラ「一言で言えば、日本のサブカルチャーに魅入られた、と言ったところだ」

機龍「サブカルチャーって、日本の漫画やアニメ、特撮の事だよね?

   それがどうして……」

ラウラ「副官のクラリッサが広めたんだ。軍隊の基地となれば、娯楽など

    酒やトランプ程度だったのだ。クラリッサが私経由で日本の

    サブカルチャーを手に入れ、布教としてそれらを周りの隊員に

    教えたのが、始まりだった。それがいまでは、黒ウサギ部隊の仲間だけでなく、

    基地に勤務している兵士や司令官にまで伝播してしまい、あのざまと言うわけだ。

    特に司令は、ローティーン以下の少年、ショタと言う奴に嵌ってしまったのだ。

    そして、機龍、お前の見た目は7、8歳だから、司令官の趣味のど真ん中、

    と言うわけだ。他にも、ショタとやらに性的嗜好を見出した奴が多くてな。

    このざまと言うわけだ」

機龍「そ、そうなんだ」

と、そこに復活した司令官が近づいてきた

ミリア「何だ何だ~?ラウラだけでこんなかわいい子を独占か~?」

と言って後ろから機龍に抱き着くミリア そして彼女はそのまま、機龍の耳に

吐息を吹きかけた

機龍「ひゃ!」

いきなりそんなことをされたので、ピクンと震える機龍

ミリア「あぁ!やっぱりショタは最高だな~!よし!ラウラ!司令官の命令だ!

    お前の弟を私と結婚させろ!」

ラウラ「機龍はまだどの国の法律においての婚姻可能年齢になっていません!!」

ミリア「固いことを言うなラウラ。それに、愛に年齢など関係ない!」

ラウラ「司令の愛は愛でも随分偏っていますが!?」

クラリッサ『隊長も機龍殿を寵愛している段階で人の事は言えないのでは~』

と、司令と隊長であるラウラのやり取りを見ながらそう思っていたクラリッサだった

ミリア「ようし!だったら今度は養子縁組だ!ちょっと役所に行ってくる!」

と言って訳が分からずと言う感じの機龍を脇に抱えて出て行こうとするミリアを

止めようとするラウラ

ラウラ「司令!お見せしたいものがあります!」

ミリア「何だ!今は忙しいのだ!後で――」

と言って振り返ったミリアが見たのはラウラが作った合成写真なのだが、

そこには以前の臨海学校の時の機龍の写真と、女装機龍の水着姿が写っており、

丁寧に写真の中央には矢印が描かれていた

   「………」

ラウラ「………」

ミリア「……ぶはっ」

それを見たミリアが吐血し、床に手をついた

   「な、なんという威力とかわいさ。あ、危うく気を失う所だった」

ラウラ「ふっふっふ!私とて毎日のように機龍と寝食を共にした者!

    司令の知らない機龍を私は知っている!そんな司令に、

    機龍を渡しはしません!」

ミリア「くっ!リアルショタ……恐るべし」

そう言うと、ミリアは床に倒れ、ラウラは勝った、と言わんばかりの表情をしていた

そして、機龍はと言うと、場の流れにただただ呆然としていたのだった

 

その後、彼が使用するための部屋に案内された機龍

ラウラ「とりあえず、しばらくはこの部屋を使ってくれ。士官室だから

    シャワーなども完備している。食事は食堂で取ってくれ。

    場所は後で案内する」

機龍「うん、わかった。……でも、どうして僕をドイツに?」

ラウラ「セシリアのように、お前に私の祖国を見てほしかったんだ。

    ……まぁ、祖国と、言えるのかは、微妙だがな」

と言って苦笑するラウラだったが、それを見た機龍はラウラを抱きしめた

機龍「ありがとう、お姉ちゃん。僕に、色んなものを見せてくれようとしてくれた

   んだよね。僕は、とっても嬉しいよ」

ラウラ「あ、あぁ!そうか!」

   『ク、クラリッサから教わった『彼氏との会話においてちょっと辛い話を

    混ぜると効果がある』というのは本当だった!』

 

やがて、昼時の食堂にラウラに案内されてやって来る機龍

噂の機龍が来れば、視線をたくさん集める機龍。

機龍「や、やっぱり、見られている」

ラウラ「気にする事はないさ。軍事基地だからな、お前のような歳の子供など

    滅多に来ないのもあって、みんな珍しがっているだけだ」

そう言われ、ラウラの後に続く機龍だったが、その視線の一部は

明らかに異常な熱を持っていた

 

そんなことも気にしつつ、食事を受け取ってから空いている席に腰かける機龍と

ラウラ

だが、その時、機龍の横、ラウラの反対側に座る人影があった。

先ほど会ったばかりのミリアだった

ミリア「悪いね。相席させてもらうよ」

機龍「いえ、お世話になるのはこちらなので、気にしないでください」

と言って笑みを向けると、再び顔を赤くするミリア

やがて、機龍は食事を始め、料理の一つを口にしたのだが……

 

  「ッ~~~!!」

ラウラ「機、機龍?どうした?」

何やら涙目の機龍に気づいたラウラ

機龍「ご、ごめん。お、思ったよりすっぱくて……」

ラウラ「すっぱい?」

それを聞いて機龍のトレーに目をやるラウラ

   「あぁ、ザワークラウトか。機龍は食べた事がなかったな」

機龍「う、うん。あんまり食べた事ない味だから、びっくりしちゃって」

そう言って涙を拭う機龍だったが、ラウラは機龍の後ろのミリアが震えているのに

気づいた そして……

ミリア「かわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいい」

と、密かにそう連呼しているのにドン引きしたのだった

 

食事の後、やってきたのはラウラ達シュヴァルツェアハーゼに

与えられた作戦室だった。

機龍「ここは……」

ラウラ「ここは我々黒ウサギ部隊に与えられた専用のオペレーションルームだ。

    一応、配備されているISはドイツ国内10機のうち、3機を

    宛がわれている。私のレーゲンと、その姉妹機のクラリッサの

    『シュヴァルツェア・ツヴァイク』。後は共同開発型量産機のタイフーンを

    一機配備している」

機龍「それだけお姉ちゃんたちはすごいってことなんだね」

そう言ってラウラやクラリッサ達に笑みを向ける機龍と、

それにクラっとなる女子たち 

 

だが、その時、ラウラがいきなりこめかみを押さえてよろめいてしまった。

そんな彼女をとっさに受け止める機龍

機龍「お姉ちゃん?どうしたの?大丈夫?」

ラウラ「あ、あぁ。すまない。少し立ちくらみがな」

やがて、クラリッサの手を借りてゆっくりと立ち上がるラウラ

クラリッサ「やはり、原因は『それ』ですか?」

ラウラ「……あぁ。こっちに戻って来る辺りから、前後してな」

クラリッサ「このままでは、隊長にどんな危険があるかわかりません。

      やはり、それの摘出などを考えなければ……」

ラウラ「無理だろうな。上が何というか」

機龍「ひょっとして……お姉ちゃんはどこか悪いの?」

それを聞くと、ラウラとクラリッサは視線を合わせてから頷いた

 

やがて語りだしたのは、自分たちの左目に移植された疑似ハイパーセンサー、

『ヴォーダン・オージェ』、『オーディンの瞳』と呼ばれるナノマシンの事だった。

そして、ラウラだけが、それに不適合だったことも、彼女自身の口から語られた

ラウラ「最近になってからだ。不適合のせいなのか、時折頭痛に襲われるように

    なったんだ」

 

そして、それを聞いた機龍は……

ゆっくりとラウラに近づいて、その額に自分の額を触れさせた

   「き、きき、機龍!?いきなり何を!?」

機龍「大丈夫。僕に任せて」

そう言って瞳を閉じた機龍

周りの女子たちは色めき立つ反面、何事かと疑問を持っていた

と、次の瞬間、機龍の体から光が溢れ出した。

  「お姉ちゃん、少しだけ、目を閉じて」

ラウラ「わ、わかった」

余りの事に驚くラウラは流されるまま、両眼を閉じた

それを確認した機龍は、ゆっくりとラウラから額を離し、彼女の

眼帯越しに、彼女の左目にキスをした。 

次の瞬間、機龍から光が移動するようにラウラの体全体が光り、

やがてその光は彼女の左目に集約されていった。

 

数分後、二人の体の発光現象が終わり、ゆっくりと目を開けたラウラの前には、

いつもの笑みを浮かべた機龍が立っていた

ラウラ「機龍。…今、何をした?」

機龍「大丈夫。…それより、左目は大丈夫?眼帯を取ってみて」

ラウラ「え?」

そう言われ、眼帯を外し、恐る恐る黄金の左目で周囲を見回すが……

   「……普通に、機能している?」

そっと、自分の左目に触れるラウラ 不適合であるがゆえに、まともに役に立たず、

封印していたはずの左目が普通の目として機能していたのだった

   「機龍。これは一体……。何をしたんだ?」

機龍「……お姉ちゃんのナノマシンの中に、少しだけバグのような物を

   見つけたんだ。僕はそれを修正して、その機能を一部ロックしただけだよ。

   疑似ハイパーセンサーとしての機能は、ほとんど使えないけど、

   普通の目としては十分なはずだよ」

ラウラ「そうか。……だが…」

そう言って周囲を見るラウラ。周りではあまりの出来事に

クラリッサや部隊の女子たちが驚愕したまま固まっていた。

 

   「その、良かったのか?周りのみんなが、見ていたのに……」

そう言っているラウラを、機龍は抱きしめた

機龍「僕は、ただの破壊しかできない怪物だった。でも、今はお姉ちゃんを

   助けられる。助けたいって思った。だから、お姉ちゃんを助けたい。

   ただ、それだけだよ。僕は、僕の大好きな人達を守りたい。

   それだけなんだ。そのためなら、これくらい」

ラウラ「機龍////……ありがとう////」

そう言って機龍を見つめるラウラの顔は赤くなっていた。

そして周囲では、その姉弟愛の感動しつつ、機龍がラウラを抱きしめた時点で

鼻を押さえている者もいたとか。

 

その後も施設内を案内され、ラウラ達と同じように軍隊式の訓練にも

少しだが参加したりしていた。

 

やがて翌日。機龍は宛がわれた自室のベッドで寝ていたのだが、

その寝間着が、俗にいう――『ヒーローパジャマ』のようだったのだ。

このパジャマは昨日の夜にミリアから受け取った物で、機龍は

彼女にお礼をしつつ、それを着て眠ったのだった。

ちなみに、ミリアはパジャマを渡すときから鼻血を流していて、

お礼を言われた途端、倒れてしまったとか何とか……

 

と、その時、誰かが機龍の部屋に入ってきて、こっそりと写真を撮ってから、

その体を揺すって起こした

クラリッサ「機龍殿、起きてください。機龍殿」

その相手と言うのが、クラリッサだった。

機龍「う、う~ん。……あ、クラリッサさん。おはようございますぅ」

と、寝ぼけながらも体を彼女の方に向ける機龍

一方のクラリッサは、機龍の寝起きの若干着崩れたパジャマや寝起きのトロンとした

瞳を見て、鼻血を噴出しそうな鼻を必死に抑えていた。

クラリッサ「お、おはようございます機龍殿!良い朝ですね!」

と、何とか理性を保っているクラリッサだが、そんな時、彼女の中に

ある野望と理性と本能がせめぎ合っていた

     『あぁ!あの柔らかそうな唇とキスしたい!』

天使『ダメ!この子はかわいくても、隊長の弟なの!そんな彼に手を出してはダメ!』

悪魔『行け行け!隊長の弟だとか関係あるか!恋は掴んだもん勝ちだ!』

と、理性の天使と本能の悪魔がせめぎ合い、そして……

 

     「機、機龍殿。実はドイツには、寝起きの際にちょっとした

      風習がありまして。…お、起こした相手にキスをするという、

      よくある風習が存在していまして……」

と、悪魔が勝利し、妥協案として、頬にキスしてもらう、という事を言おうとした

のだが……

     「そ、それでですね」

と、言っていると、機龍はまだ寝ぼけていたのか、クラリッサの頬に両手を添えた。

見る間に、顔がトマトのように真っ赤になっていく彼女の顔に、自分の顔を近づけ、

彼女の唇に自分の唇を重ねた

     「!?!?!?!??!??!?!?!?!?」

余りの事に驚いて目を白黒させるクラリッサ。だが、それで終わりではなく、

機龍は彼女の口の中に自分の舌を入れ、彼女の中を舐めまわした。

ディープキスである。 

     『まさか……ディープ…キ、ス』

その思考を最後に、彼女は悦びと快感のあまり、気絶してしまった。

そして、機龍はと言うと、まだ寝ぼけているのか、倒れた彼女を

自分のベッドに運び、彼女に寄り添うように再び眠りについたのだった。

 

※その後、起こしに来たラウラがクラリッサが寝ていた事を見て、

彼女が機龍を寝取ったのではないかと激怒して、クラリッサに

お仕置きしたのを、ここに追記しておく。

 

 

やがて、その日の午後。

ラウラと共にまったりと話をしていた時の事だった。

   『ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!』

突如として基地内に警報が鳴り響いた

機龍「警報!?何が!?」

   『緊急事態発生!コードレッド!コードレッド!』

ラウラ「コードレッドだと!?」

走り出すラウラと後に続く機龍

機龍「それ、どういう意味なの?お姉ちゃん」

ラウラ「…現在のドイツ軍の警戒態勢には大まかに分けて3段階に

    色分けされている。そして、コードレッドの意味は……

    IS関係の事故、事件だ」

機龍「ISの!?」

そんな話をしているうちに、黒ウサギ部隊のオペレーションルームに

たどり着いたラウラと機龍。最初、機龍は部外者として止められたが…

ラウラ「構わない!機龍は専用機持ちだ。いざとなれば心強い味方になってくれる!」

――専用機持ち――という単語が効いたのか、すぐに中に通された

   「クラリッサ!状況は!?」

クラリッサ「はっ!現在収集した情報によりますと、隊長の機体、

      シュヴァルツェア・レーゲンのプロトタイプが軍研究所から

      基地へ移動中に強奪されたとの事です!」

機龍「お姉ちゃんの機体の、プロトタイプ?」

と、その時、初めてラウラの後ろに機龍が居た事に気づいたクラリッサ

クラリッサ「機、機龍殿!なぜここに!?」

ラウラ「良いんだ。機龍は専用機持ちだ。機龍、協力してくれるか?」

機龍「……わかった」

ラウラ「では、持ち出された機体について説明しておこう。

    元々、私のレーゲンはAICの実験機としての側面が強い。

    プロトタイプとの違いはAICと装備の有無だ。

    あの機体に搭載されているのは私のレーゲンと同型の

    レールカノンと腕部プラズマ発生装置だ。ワイヤーブレードは

    装備されていない。そういう意味では相手をする事自体は

    大した苦でもないのだが……」

機龍「……何かあるの?」

ラウラ「あれには大型の、戦闘機のジェットエンジンを流用した

ブースターが装着されている。本来は軍基地での

ISのマンマキシムについての実験を行う予定だったのだが……」

クラリッサ「以前の隊長のレーゲンへのVTシステムの搭載に関する事件のため、

      そのプロトタイプであったあの機体も急きょ試験を中止して

      軍の研究所で徹底的に内部を解析していたんです。それが

      終了し、基地に戻されるはずだったのですが、その途中に

      武装した何者かに強奪されました」

機龍「ISの護衛はなかったのですか?」

クラリッサ「レーゲンのプロトタイプ、というのがそれにストップを

      掛けた原因です。VTシステムを搭載していた機体の元になった

      機体ですから。……あまり大々的に護衛を付ける事も

      できなかったようです」

機龍「その機体は今どこに?」

クラリッサ「プロトタイプは首都のベルリンにある軍研究所から、

      その北にあるリューゲン島に運ばれ、その島の沖合での

      試験が予定されていました」

ラウラ達の前に浮かび上がったマップを指さしながら説明しているクラリッサ

     「機体はその途中、この国道20号を北上中に、農村地区である

      ヴェルダー地区に差し掛かった辺りで強奪されました」

それを見て、睨みつけるような視線になりながら、何かを考えている機龍

そんな彼にクラリッサが話しかけようとしたが、それをラウラが止めた

     「……いくつか、聞いても良いですか?」

クラリッサ「え、えぇ」

機龍「その事件現場には、どれくらいのドイツ軍がどこから向かっているのですか?」

クラリッサ「現状、事故現場から北西に当たる都市、ロストクからISが2機と

      対戦車ヘリであるEC665ティーガー2機が接近中です。

      さらに配備基地であったリューゲン基地からも偵察用ヘリが

      南下中です。ベルリンの防空隊からもISが2機、北上中です。

      こちらはもう事故現場に着いた頃でしょう」

それを現すように、マップにはいくつもの光点が写っていた

それを聞き、地図を見つめる機龍。

ラウラ「機龍。もしお前が強奪犯なら、この後どうする」

機龍「……いくらISと言ったって、国家には複数のISが配備されている

   以上、複数のISが襲ってくるころは目に見えている。だったらまず、

   戦いは避けるべき。……だとすれば、逃げるか一旦身を隠そうとするはず。

   隠れるのなら、一番良いのは発生地点から西にある森林地帯の

   ≪メクレンブルギッシュ・シュヴァイツ・ウント・クメロヴェル・ゼー≫。

   陸路での検問はどうなっていますか?」

クラリッサ「20号は北はバンデリン。南はグリエンケで上り下りともに

      閉鎖が完了しています。左右に伸びる道路も主だった道は既に」

機龍「……北。南。西。封鎖線はあそこ。……だったら…」

そう言ってマップの上に指を走らせていた機龍の指が、止まった。

  「……川」

クラリッサ「え?」

機龍「水上封鎖は行っていますか?」

クラリッサ「いえ。まだそのような事は。……まさか!」

機龍「バンデリンの手前のヤルメンの流れるベーネ川を船で下って

   海に出る。というのは考えられないでしょうか?」

ラウラ「そう思う根拠は?」

機龍「ISを盗む以上、おそらく相手は襲撃をした際にどこの基地から

   どれだけの兵力が投入され、どの程度の距離で検問が敷かれるかを

   推察して居るとしたら、トラックをどこかで乗り捨て、別の乗り物に

   乗り換えて撒こうとするはず。でも、大きなISを運ぶ以上、

   トラックは最低でも大型でないとまず無理。乗り換えたところで、

   大した効果はないはず。ヘリ自体も大型ヘリでもない限り、ISの重さ

   を支えられないだろうから、論外。同じ理由でセスナなどの小型機も

   もちろん捜索対象から外れるはず。そのプロトタイプって

   お姉ちゃんたちのレーゲンのように待機形態に戻せるんですか?」

クラリッサ「いえ。ISは初期化状態ではそれは不可能です。

      最適化、パーソナライズを行わない限りそれは無理です。

      あの機体の最適化にかかる時間は大よそ40分です。

      強奪からまだ25分程度しか経っていませんから、それはないと

      思います」

機龍「となると、やっぱりヘリやセスナの方は除外していいだろうから、

   残るのは陸路か水路。でも、トラックを乗り換えただけじゃ意味が薄い。

   でも、中型船なら、ギリギリで積載できるかもしれない。

   と、思ったんだけど……」

 

その推理に周囲の女子たちは驚きを隠せないでいた。

女性隊員「ちょ、ちょっとすごいよね」

    「今更だけどほんとに子供なのかな?」

と、話をしている隊員たち。

ラウラ「ふむ。…クラリッサ。機龍の推測を聞いてどう思う?」

クラリッサ「確かに、その推理は正しいかもしれません」

そう言ってマップに向き直るクラリッサ

     「仮に大型ヘリを用意していたとしても、空ならISの

      ハイパーセンサーではすぐに発見できるでしょうし、

      陸路も大型トラックでしか動けない以上、乗り換えは

      意味を成しません。残るのは、水路から海へ出る。

      これなら……」

と、その時、通信が飛び込んできた。

隊員「隊長!グリエンケの検問から報告!検問を強奪に使われたと

   思われるトラックが強引に検問を突破して逃走しました!

   現在、発生地点に向かっていたIS2機が反転、追跡のために

   南下中との事です!」

ラウラ「……機龍。どう見る?」

機龍「……遅すぎる」

クラリッサ「は?どういう意味ですか?」

機龍「ヴェルダーからグリエンケの検問まで、仮に一直線を全力、

   時速80キロ程度で走行した場合、到達にかかる時間は大よそ

   15分程度。でも、ここに来るまで25分以上を要しています」

ラウラ「…囮か」

機龍「考えられるのは、ヴェルダーから一度北進し、適当な所で事前に待機していた

   別のトラックに乗せ換え、もともとのトラックは反転、南に向かい、

   プロトタイプを移し替えたトラックはヤルメンに向かった」

ラウラ「そう考えられるな」

クラリッサ「では、作戦はどのように?」

ラウラ「……私と機龍はこの、シュトルペの街の手前で待機。

    クラリッサともう一人は水路の分岐先であるギュッツコーの

    手前で待機だ。……機龍、行けるな?」

機龍「うん」

こうして、機龍はラウラ達と協力して、逃亡した強奪犯を

捕まえることになった。

 

建物の外。そこにはすでにラウラとクラリッサ、そして隊員の一人が

ISを纏った姿で立っていた。

ラウラ「機龍。行けるか?」

機龍「うん」

そう言って頷くと、数回深呼吸をした。すると、彼の体を光が包み、

次の瞬間、彼の体は鈍い銀色の龍≪3式機龍改≫へと変化していた。

これにはクラリッサや周囲の兵士たちも驚いた

 

ラウラ「では、行くぞ!」

彼女の声に合わせて、浮かび上がっていくツヴァイクやタイフーン

そして……

機龍『≪3式機龍改!≫出ます!』

  「KYUOOOON!!」

スピーカー越しに叫びながら、雄叫びを上げた3式機龍が各部のスラスター

を展開しながらゆっくりと浮かび上がっていった。

 

数十分後、指定された場所に到着する機龍とラウラ。

二人は一度着地し、川の両端に分かれて辺りを警戒していた。

と、そこに通信が入ってきた。

隊員『隊長、機龍君。先ほど現地警察の連絡で、ヤルメン郊外に住む

   住人から不審な船が川を下っていくのを見た、という情報があったと

   連絡がありました』

ラウラ「了解した。そちらは引き続き情報の収集を頼む」

  『了解』

そういうと、通信が切れた

   「どうやら、機龍の予測が当たったようだな。さて、こちらに来るか、

    クラリッサ達のギュッツコーに向かうか」

やがて、数分後。

 

機龍「あれは……」

彼らの前に現れたのは、ドイツ軍のマークを持った中型の船舶だった。

  「お姉ちゃん、あれって」

ラウラ「あぁ、妙だな。調べるぞ」

そういうと、ラウラと機龍はレーゲンと3式機龍改を纏い、その船に近づいた

   「そこのドイツ軍船舶に告ぐ!我々はドイツ軍特殊部隊、

    シュヴァルツェ・ハーゼ隊長、ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐

    である!我々は特別任務においてこの地域一帯の監視を

    行っている物である!船舶の責任者は誰か!」

スピーカーで船舶に呼びかけると、船は停止し、中から武装した兵士が

出て来た。やがてその一人の女性兵士が両手を上げながら前に出て来た

   「ボーデヴィッヒ少佐。私がこの船の責任者の、

    イェル少尉です」

ラウラ「成程。ではイェル少尉、貴官らはここで何をしていた」

ボートの上に近づきながら名乗ってきた少尉と思われる相手を警戒するラウラ

イェル「はっ!我々は海軍からの依頼によりある物資をアンクラーマ―・フェーレに

    移送中でありました!」

ラウラ「物資だと?」

それを聞いて船の後ろに回り込むと、そこには中型サイズのコンテナが置かれていた

   「ふむ。荷物の中身はなんだ?」

イェル「私は存じ上げておりません。何分、機密の塊だと聞かされた物で。

    我々では開ける事もできません。コンテナを開けるには

    電子コードが必要でして、それは私たちの手元にはありませんので……」

そう言っている時、機龍はそのイェル少尉が僅かにほくそ笑んだのをとらえていた。

彼女からコンテナに視線を移し、そのサイズを計測する機龍

機龍『…あのサイズ、座った状態のISなら何とか入る。

   ……レールカノンも外せば何とか……』

ラウラ「……機龍」

機龍「何?」

ラウラ「…あのコンテナ、『開けられる』か?」

その言葉に、兵士たちの間に一瞬だけ緊張が走ったのが見て取れた

機龍「わかった。やってみる」

そういうと、機龍が人の姿に戻りながら船の上に着地した。

イェル「お、男の…それも、子供のIS操縦者!?」

その事実が驚きとして広まっていく中、機龍はコンテナの前にある

電子ロックのパネルに手を当てた。

すると、すごい勢いで数字の羅列が浮かび上がっていった。

物の数秒もすれば、全ての数字を導き出した機龍がコンテナのパネルに

13桁の数字を打ち込んでいった

イェル「や、やめろ!」

咄嗟にそれをとするイェルだったが、そんな彼女の眼前にラウラのレーゲンの

レールカノンの砲身が突き付けられた

ラウラ「どうした?貴様らは中身を知らんのだろう?なのになぜ我々に

    見られるのがまずいのだ?」

そして、そんな事を言っている間にコードの入力を終了した機龍

『ゴゥン』と音を立てながら開いたコンテナから現れたのは、

テスト用の鮮やかな色にペイントされたレーゲンのプロトタイプだった。

   「何か、弁解する気はあるか?『テロリスト共』」

 

こうして、テロリストによるISの国外への持ち出しは機龍や

ラウラ達の作戦によって見事阻止されたのだった。

 

夜、ラウラ達の基地の食堂にはラウラ達黒ウサギ部隊のメンバーや大勢の

兵士たちが集まっていた。

ミリア「え~こほん。本日発生したISの強奪事件についてだが、

    我らが黒ウサギ部隊が隊長、ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐の

    弟である篠ノ之機龍君の活躍によってスピード解決となった」

そう言っているミリアの横には、恥ずかしいのか顔を若干赤くした機龍が立っていた

   「おかげで私の所には軍隊の役人もやって来て直々に礼を

    言って行ったよ!そして今日は私の気分がいい!無礼講だ!

    カンパ~イ!」

そういうと、持っていたグラスを掲げ、それに兵士たちが笑みを浮かべながら

続いた。

そんな彼らに、機龍はどことなく愚連隊や海賊に似た気風を感じていた。

 

やがて、ラウラの横でジュースを飲んでいた機龍の横に黒ウサギ部隊の

少女達が近づいてきて機龍の髪を掬っている。

  「機龍君の髪、隊長と本当にお揃いだよね~」

  「しかも、キューティクルもしっかりしてて、どんなシャンプー

   使ってるの?」

機龍「どう、といわれましても。……ただ毎日髪を洗って

   よく乾かして……後は…あ、そういえば、よくルームメイトの

   人に髪を梳かしてもらっているんです」

と言った瞬間、隣に居たラウラが反応した。

ラウラ「き、機龍!それはつまり、更識簪に毎日髪をブラッシング

    されているという事か!?」

機龍「うん。お風呂から出た後、簪がヘアブラシで毎日してくれるんだ」

ラウラ『くっ!?そうだったのか!?そんなスキンシップの手があったとは!  

    更識簪、侮れないな!』

と、密かに簪をライバル認定するラウラだった。

 

と、そんな時、こっそりと機龍の飲み物を取り換えるミリア

機龍はそれに気づかず、笑みを浮かべながら飲み物に口を付けたのだが……

途端に顔が真っ赤になる機龍。それには隣に居たラウラや近くに居たクラリッサも

気づいた。

ラウラ「き、機龍?どうした?」

フラフラになった機龍を気遣うラウラと、クラリッサは疑問に思って

機龍の持っていたコップの中身の匂いを嗅いだ。

クラリッサ「こ、これお酒じゃないですか!?」

ラウラ「何!?……機龍!大丈夫か!?しっかりしろ!」

そう言ってラウラは機龍の肩を揺らした。

やがて、ゆっくりと顔を赤らめながら目を開く機龍。

そんな機龍にラウラは安堵したが、次の彼の行いまでは予想できなかった。

唐突にラウラの首の後ろに手を回す機龍

   「き、機龍!?」

機龍「お姉ちゃん。……大好き////」

頬を赤らめながらそう告げた機龍は、次の瞬間ラウラの唇に自分の唇を

重ねた。次の瞬間……

 

   「「「「「「ぶはっ!!!」」」」」」

男女問わず大勢の兵士たちが出血(鼻血)を出しながら倒れて行った。

※ ちなみに、悪戯を仕掛けたミリアも今の一撃で轟沈

さらに、ただ唇を重ねただけではなく、機龍の舌がラウラの舌と

絡み合っていく。

ラウラ『これは……ディー、プ、キ、ス』

そう思いながらラウラは幸福感に飲み込まれ、悶絶しながら気絶してしまった。

 

そして結局、機龍もそのまま酔いが回って気絶してしまい、

何とか生き残っていた黒ウサギ部隊のメンバー達によって、

一番近い方の機龍の部屋にラウラと一緒に運ばれた。

そしてベッドに入ったのだが、眠っているはずの機龍の手が、

相手を求め、その手はやがてラウラの右手へとたどり着き、その手を

握りしめた。

向かい合った姿勢のまま姉弟二人の右手が重なると言うシーンを見て、

感動しつつ鼻を押さえながら写真撮影をするメンバー達

 

しかし、フラッシュの光や音と酔いが浅かったのか、寝ぼけたまま目を開ける機龍

機龍「……みなしゃん、なにしてりゅんですか?」

酔いが回っているせいか、赤ちゃん言葉のようになっている機龍。

だがそれは、かえって彼女たちを興奮させる結果になってしまったのだった。

  「な、何でもないですよ~!それより、機龍君と隊長は大丈夫ですか~」

何とか気をそらそうとするメンバー達

それを聞いて機龍は、自分の横に眠っているラウラの方を見た。

  「どうせだから機龍君!大好きなお姉ちゃんを起こしてあげたら?」

と、言われたが、その時の機龍は『起こす』ではなく『大好き』と言う単語に

反応した。今、彼の脳内に思い出されているのは、セシリアとの

エッチな事をしたシーンだった。

機龍「あの、一つ聞きたいんでしゅけど……」

  「ん?何かな?」

機龍「大好きな人同士って、エッチな事をしゅるのでしょうか?」

それを聞いた黒ウサギ部隊の少女達は、温度計のように首から額まで、

下から上まで顔を真っ赤にした。

  「そそそそそ、それはどうなんだろ~!?ね~!?」

  「私に話振らないでよ!?私だって経験ないんだから!?」

そんなこんなで騒いでいると、機龍に続いてラウラも起きた。

ラウラ「う、う~ん。私は、一体……」

クラリッサ「あ!よかった!隊長、目が覚めたんですね!」

ラウラ「何?私は、確か………っ///////」

と、思い出してまたしても顔を真っ赤にするラウラ

そんな彼女の服の裾を機龍が引っ張って注意を向けさせた。

機龍「ねえ、お姉ちゃん」

ラウラ「な、なんだ?」

機龍「僕はお姉ちゃんが大好き。そして、大好きな人との一番の

   愛情表現は体を重ねることだって、セシリアお姉ちゃんから

   教えてもりゃいました。僕も、ラウラお姉ちゃんと一つに

   なりたいでしゅ」

と言われるが、体を重ねる、と言う言葉の意味が分からないラウラは

首をかしげるが、そこにクラリッサが現れて耳打ちをした。

それを聞いた瞬間、ボッと火が付きそうな勢いで先ほど以上に顔を真っ赤に

するラウラ。

ラウラ「そそそそそそそ、それはつつ、つまり!機龍は私と、  

    え、ええ、エッチな、せせ、セックスをしたいと言う事か!?」

その問いにぽや~~とした表情のまま頷く機龍。

   『お、落ち着け!落ち着くのだ!ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐!

    これくらいの事など、今まで経験してきた地獄の訓練に比べれば!』

と、そう思いながら頭を抱えていたラウラの顔を覗き込み、彼女の手を

そっと包み込みながら機龍が涙目&上目使いで……

機龍「お姉ちゃん。…僕と、一つになろう」

   『『『『『ズッキューーン!!!』』』』』

そのセリフがその場にいた全員のハートを撃ち抜いた事は言うまでもない。

ラウラ「……はい」

機龍のセリフに、承諾してしまったラウラだった。

 

※ ここから先はR18の方で投稿します。

 

ちなみに、機龍が少女達を落としたセリフはばっちり録音されており、

後日それを聞いたミリアやその場にいなかった女性が機龍の

魅惑ボイスを聞いて鼻血を流しながら恍惚とした表情で気絶したことを、

ここに追記しておく。

 

数日後、機龍はラウラ達に送られてドイツ国内の空港に来ていた。

機龍「そ、それじゃお姉ちゃん、僕は先に学園に戻っているから」

と、顔を赤くした機龍が視線を泳がせながらそう言っている。

ラウラとのエッチののち、目を覚ました機龍は自分が何をしでかしたのかを

理解してオロオロとなってしまい、それを今でも気にしているのだった。

ラウラ「あ、あぁ。そうだな」

対するラウラも機龍と目を合わせるだけで顔を真っ赤にしてしまう事が

ここ数日ずっと続いていたのだった。

機龍「え、えっと。クラリッサさん。ミリア司令。お世話になりました」

ミリア「お礼何て良いんだよ。こっちも色々手伝ってもらったしね。

    気が向いたらいつでも来てくれ。基地の兵士総出で歓迎するよ」

クラリッサ「はい。我ら黒ウサギ部隊も、全力で歓迎します」

機龍「はい。…それじゃお姉ちゃん、学園でね」

ラウラ「あぁ」

そう言うと、機龍はラウラ達に見送られながら日本行の飛行機へと

乗り込んでいった。

 

ミリア「行ってしまったな」

ラウラ「えぇ」

ミリア「……それにしても、ラウラ~聞いたぞ~」

と言う彼女の言葉に、ドキッとして冷や汗を流すラウラ

ラウラ「な、なにを、ですか?」

ミリア「何ってそりゃ~も~……あの子と―――して、

    ―――とか―――って言ってさらに―――されて」

と、途中からラウラに耳打ちをするミリア

それを聞いた途端、顔をトマトのごとく真っ赤にするラウラ

   「羨ましい限りじゃないか~。なぁクラリッサ」

クラリッサ「そ、そうですね」

と、話題を振られた彼女もどこか顔が赤くなっていた。

ミリア「あ。良い事思いついた」

と言ってポンと手を叩くミリア

   「今度あの子が来た時には基地の女全員集めて、ら―――」

と言いかけたミリアの口をとっさに塞ぐラウラとクラリッサ

ラウラ「司令、ここは公共の場ですので発言は控えてください」

と言うコントのような場面が展開されていたのだった。

 

一方、数分後には空の上だった機龍。

今の機龍は、初めての外国で見た物も思い出しながら、

簪にどんな話をしようかと、思いを巡らせていたのだった。

 

こうして、銀龍の短いながらもトラブル有り、ラブ有りの

異国巡りは終わりを迎え、祖国へと戻っていくのだった。

 

     ドイツ編 END

 




次回は簪とのお話です。
内容的には二人で夏祭りを回る、的な感じを予定してします。
それと、R18の方は別に投稿するので、
投稿でき次第、どこかの後書きか前書きにできたと
書いておきます。

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