死んだらしい。
割と久しぶりの感覚。
同時に、いつもとは違う、"闇"の中を漂う感覚。
周囲の闇に映る光景は、
悪意ある行動が差し込まれることによって、起こりうる最悪の可能性。
一撃で山が割れる。
外道の儀式によって魂が失われる。
戯れによって、一つの町が、そこに住む命とともに消える。
灼熱の天光が森を焼き、湖を蒸発させ、破壊を生む。
嵐が死者も生者も関係なく呑み込み、すべてを喰らう。
巨神の呪いにより、人々が不可逆の変化を得、振るわれた腕で森が、山が消える。
騎士の突進により、海岸が光に染まる。
神が、神殺しが、多くの破壊、多くの終わりを生む光景。
その光景に付随するのは人々の声。
嘆き、悲しみ、怨嗟、怨恨、憎しみ、怒り、諦め、、、
神に、神殺しに、超越者たちには決して届くことのない
「なんで」
「どうして」
「助けてくれ!」
響く声に、答える声は現れない。
どうする?
この声はこれまでにあった声。すでに答えられない声。
この声はこれから上がる声。
この光景はこれまでにあった光景。もうどうしようもなく、すでにある光景。
この光景はこれから現れる光景。
すでに心は決まっていた。
世界を救う、わけではない。
ただ、目の前に広がる
「俺の手の届く範囲のすべてを、俺は救おう。
俺の手の届かない範囲の、俺を信じた者を救おう」
目に見える範囲の嘆きを拭い去る。
手の届く範囲の怨嗟を喜びの声に変える。
俺の知っている範囲の憎しみを笑顔に変える。
この世すべての悪意は既に俺の中にある。
ならば、世界は善意に満ちていてしかるべき。
悪意はすべて、俺のもの。
善意はすべて、世界のものだ。
俺に黙って悪いことができるなど考えるな。
それは、アンリマンユの最後の言葉、「すべての悪意は我のもの」
それは、アフラマズダの最後の言葉、「大悪でもって善をなせ」
そしてそれは、アヌビスの最後の言葉、「選び、裁け」
--生と死の境界、黒に染まる何処かの光景
「ククク、ハハハ。
悪意を喰らえ、闇を統べろ。それにより、貴様の闇は
だからこそ、だからこそ、
次の対話のときまでに、より美味しくなっていたならば、あるいは世界の最後のときまで、とっておくやもしれんな」
元から何もなかったかのように、
笑いは絶えず、その声を聞くものは今はいない。
本作のアンリマンユは、原初の闇そのものです。
ゾロアスター教の悪心としてのアンリマンユは、原初の闇の一側面という扱いになります。
真なる神としてのアンリマンユだけは、原作カンピオーネに出る可能性のあるゾロアスター教のアンリマンユではなく、「戦闘城塞マスラヲ」に登場する億千万の闇そのものです。
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王権守る裁き(king's fool judgment) アヌビス:
直感力の強化、および予知能力の付与。他者の感情に対する敏感化。
自身の領域限定。悪意に対して特に敏感になる。
制御不能。
罪人に対し、その罪人が嘆き悲しませた魂の数に応じた裁きを与える。
魂を呼び寄せ、敵に対するデバフ、自身に対するバフを行う。つまりは復習の代弁者。
罪人以外にも使用可能。例えば善人に使えばバフのみが有効になる。
この世すべての闇 アンリマンユ:
闇の掌握
自分の認識する闇の概念に属するものを知覚端末として扱うことができる。
自身の認識する闇の概念に属するものを通して疑似的な瞬間移動を可能とする。