艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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どんどん話の内容が艦これから離れていくような…

そう言えばふと思ったんですけど、今の世代の子どもたちって金の脳とか知ってるんでしょうか?メロンパン入れになっていて銀の脳を集めると貰えるアレ、今となっては懐かしアイテムですよね。


第88話「雪風の場合7」

Deep Sea Fleet改装の翌日、吹雪たちは出撃任務で戦闘海域を航行していた、台場からかなり離れた海域のため敵艦隊も強めの編成になっていることが多い。

 

 

「敵艦隊発見!戦闘態勢に移行する!」

 

 

実際、今し方会敵した敵艦隊もその例に漏れず、戦艦棲艦2体、重巡棲艦4体、駆逐棲艦3体という中々骨が折れる編成になっている。

 

開戦と同時に大鯨を除く全員が飛び出す、大鯨は体力的に激しく動き回る白兵戦に長時間耐えられないので、ライフルや弓を使っての遠距離射撃…固定砲台の役割に徹する。

 

 

まずは挨拶代わりに吹雪が駆逐棲艦を手甲拳(ナックル)で一発撃沈、改装されて基礎能力(ステータス)が向上した吹雪には駆逐棲艦など最早敵ではない。

 

 

続いて暁がその後ろにいる重巡棲艦を棘棍棒(メイス)で殴打、頭部が大きくひしゃげて大破になる、そこへ追撃として主砲をぶち込み、重巡棲艦を撃沈させる。

 

 

続いて三日月が星球鎚矛(モーニングスター)で戦艦棲艦にフルスイングをお見舞いするが、戦艦棲艦は主砲の艤装を盾代わりにしてそれを防ぐ、大きなダメージは与えられず主砲を大きくへこませる程度に終わった。

 

 

それをチャンスと捉えた戦艦棲艦が生きている主砲で三日月をロックオンする。

 

 

「まず…!」

 

 

改装や混血艦(ハーフ)の恩恵があるとはいえ、三日月は駆逐艦だ、戦艦の砲撃を食らおうものなら大ダメージは免れない。

 

 

とっさに三日月は腕を前に持ってきてガードしようとしたが…

 

 

「ショット!」

 

 

 

大鯨の撃ち出したライフル弾が戦艦棲艦の頭に命中、予想外の所から攻撃をもらった戦艦棲艦はたたらを踏み、攻撃動作が大幅に遅れた。

 

 

その隙を三日月が見逃すわけもなく、星球鎚矛(モーニングスター)を振るって戦艦棲艦の頭を叩き潰す、さらに武器を槍斧(ハルバード)に換装させ、その刃を胸の部分に二度叩きつける、致命傷を受けた戦艦棲艦が撃沈となり、残りは7体。

 

 

「よし!このまま押し切って…!」

 

 

そう言って吹雪は主砲を構えるが…

 

 

「吹雪さん!海中から駆逐棲艦が!」

 

 

「んなっ…!?」

 

 

駆逐棲艦のもう1体が海中から姿を現し、回避する暇も与えぬままその口を開けて吹雪の右腕を主砲ごと()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いぎゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 

 

吹雪は一瞬自分の理解が追いつかなかったが、想像を絶する激痛がその事実を否応なく押し付ける。

 

 

「吹雪さん!」

 

 

「三日月さんは吹雪を連れて後方へ待避!他のメンバーは吹雪さんを守りながら戦闘続行!」

 

 

「「了解!」」

 

 

旗艦(リーダー)代理を務める暁が艦隊全員に指示を出す、指示通り三日月は吹雪と共に後方へ下がり、中衛にいたハチやマックスが前衛へ出る。

 

 

 

 

吹雪は三日月に運ばれながら痛みに耐え、食いちぎられた自身の右腕を見やる、すると吹雪は腕の痛みさえも忘れるような光景を目撃する事となる。

 

 

 

「…え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の肉が黒かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

普通、人間から作られている艦娘は身体構造の8割方が人間と同じになっている、当然身体を流れる血は赤く、その身体を支える骨は白く、その骨に付いている肉は赤やピンク色をしている。

 

 

しかし、吹雪が見たそれは違っていた、腕から噴き出す鮮血は鮮やかな赤色、その断面から露出している骨は不気味さを感じさせるほどの白色、ここまでは他の艦娘と何ら変わらない。

 

 

でも、その皮膚の下にある肉は、骨の周りを囲むその肉は、見事なまでに真っ黒だった、それはまるで深海棲艦の装甲のように…。

 

 

「…うっ…!」

 

 

それを見たとき、吹雪の頭に鋭い痛みが走った、割れるような鈍い痛みではなく、刃物か何かで頭部を裂かれたような痛みだ。

 

 

「何…これ…!!」

 

 

その痛みに混じり、吹雪の脳内に映像のようなモノが浮かぶ、それは外部から吹き込まれたようなモノではなく、自身の海馬の奥底から湧き上がるかつての記憶のような感覚だった、フラッシュバックとでも言うべきだろうか。

 

 

『……ぉ!これは………なかの上物………な……!」

 

 

『……うするの?この………殺……?』

 

 

『馬鹿…………様に相談しないと……よ………』

 

 

その映像はノイズだらけでまともに見ることが出来なかったが、自分がベッドか何かに拘束され、それを3人ほどの人物が囲むように見ているということしか分からなかった、その見ている誰かが発している声もノイズ混じりで聞き取ることは出来ない。

 

 

 

『へぇ、確かに………上…ね…』

 

 

 

『こ…な…ヒ………ノ…………ジャ…にも最…よ』

 

 

 

その映像を見る度に、その声を聞く度に、頭の痛みが激しさを増していく、その映像の中の人物のうち、真ん中の人物がこちらに向かって顔を寄せてくるのが見える、その人物は吹雪の頬を掴むと、ぐいっと自分の方へ引っ張る。

 

 

 

 

その人物は、長い黒髪を揺らすあどけなさの残る少女だった。

 

 

 

「っ!!」

 

 

その瞬間、吹雪の心臓が跳ねるように鼓動し、全身の血液が沸騰したように身体が熱くなる。

 

 

(何…が…?)

 

 

急激な身体の変化に戸惑いを隠せない吹雪、それでも何とか身体を動かそうとするが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吹雪(あなた)は下がりなさい、ここから先は吹雪(わたし)の領分よ』

 

 

 

唐突に聞こえたその言葉を最後に、吹雪は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

三日月は吹雪を抱えながら後方へ下がっていた、頭痛がするのか頭を抑えながら苦しむ吹雪を見て、一刻も早く手当てをしなければと三日月は思っていたが、吹雪の身体に突然変化が現れた。

 

 

「きゃあっ!?」

 

 

吹雪から突然黒いオーラのようなモノが漂いはじめ、信じられない事が起きる。

 

 

「…腕が…再生していく…!?」

 

 

千切れた吹雪の腕が見る見るうちに再生を始めていく、折れた骨が、千切れた毛細血管が、抉れた黒い肉が、そこから生えるように再生していく、例えるなら溶けていく蝋細工を映した映像を早戻しで見ているような光景だった

 

 

そして腕の再生が終わると同時に、吹雪の皮膚が所々を始点に黒く、髪が生え際から真っ白に染まっていく、深海棲艦の装甲にも似たその黒いモノは吹雪の皮膚全体を覆い尽くし、駆逐棲艦を連想させる見た目になってしまう。

 

 

しかしそれとは対照的に髪は真っ白に染まっており、ベアトリスのそれを連想させる。

 

 

「ふ…ぶき…さん?」

 

 

三日月は愕然とした様子で吹雪を見る、黒く染まった皮膚、それとは対照的に白く染まった髪、そして三日月を見つめる金眼と碧眼のオッドアイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今の吹雪の姿は、まさに深海棲艦そのものだった。

 

 

 

『吹雪級駆逐棲艦1番艦『吹雪』、抜錨よ』

 

 

その深海棲艦…吹雪は眼前の敵艦隊を見つめると、そう呟いて嗤った。




このシーンは前々から考えていましたが、文章力の無さのせいでうまくいかず…

精進が必要ですね。

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