艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー 作:きいこ
検索の手助けとかになるならやってみようと思うんですけど…
大鯨を無事に台場鎮守府まで連れ帰る事に成功したDeep Sea Fleet、陸に上がった後も吹雪に連れられるままに歩いていき、あっけないほどスムーズに提督室までたどり着く。
「こいつが大鯨か、深海棲艦化した艦娘を見るのは初めてだが、本当に深海棲艦だな」
海原は大鯨をまじまじと見ながら言う、多少は艦娘っぽい見てくれをしているのかと思っていたが、思った以上に深海棲艦が前面に出ていた。
「仕方ないですよ、私たちみたいな混血艦でもない限りは“面影”を見れません」
吹雪は大鯨の身体をペタペタと触りながら言う、海原に近くで見られても、吹雪に身体を触られても大鯨は何もリアクションをしなかった。
「“面影”も悲しそうな顔で俯いてるだけですし、本当に会話出来るのかが不安になってきましたよ…」
吹雪がげんなりとしながらソファにもたれ掛かる、連れてくるのには成功したが、それからどうなるかは台場の頑張り次第だ。
「とりあえずはしばらくここで生活させて、彼女の心を開かせる事を優先して行動した方がいいかもしれないですね」
「だな、数日はその線で行こう」
話し合いの結果、深海棲艦の状態の大鯨と共同生活を送り、大鯨が心を開いてくれるように試行錯誤を重ねる、という方針になった。
◇
「さて、とりあえず先んじては飯だ」
お腹が減ってはとれるコミュニケーションもとれない、という事で吹雪お手製の絶品カレーを振る舞う。
「…今更なんだけどさ、深海棲艦って腹減るのか?普通に食ったり出来るのか?」
「さぁ…?深海棲艦だったときの記憶は全員持っていないので、そこは何とも…」
「だよな~、その辺考えずにカレー出しちまった…」
「でも、普通に食べてるみたいだよ?」
ハチが指さす先には、普通にスプーンを持ってカレーを口に運ぶ大鯨の姿があった。
「ふむふむ、深海棲艦も普通に食事が出来る…と」
「そんなメモなんか取ってどうするのよ?」
手帳にサラサラとペンを走らせる海原を見て暁が聞く。
「知識として蓄えておくんだよ、俺たちは深海棲艦の事を何も知らないからな」
「少なくともカレーを食べられるって知識が今後戦いの役に立つとはあまり思えないけどね」
「夢のねぇヤツだな…」
ズバズバと的確ながらツッコミをしていく暁に海原が苦笑しながら言った。
◇
大鯨の食事が済んでから数時間が経ったが、未だに大鯨は言葉を発しなかった、一応いつ喋り出してもいいように吹雪たちが交代で大鯨についているが、それが役に立っている様子は今のところない。
「それでね、私がちょっと触っただけで暁が変な声を上げて飛び上がってさ~、あれは面白かったよ」
吹雪は自分の面白かった思い出話を大鯨に話す、自分が彼女に付いているときはなるべく大鯨に話しかけるようにしていた、こちらからコミュニケーションを図る事で大鯨の心を開けるのではと考えたからだ。
他の台場のメンバーも同じく話しかけているのだが、トーク力の差が顕著に現れており、話し下手な艦娘はロクに話しを続けることが出来なかった。
「そう言えばこの前ファミレスに行ったときなんだけど、三日月がドリンクバーでコーラとココアとコーンスープを混ぜたヤツを暁に飲ませてたんだよ、飲んだ瞬間漫画みたいに吹き出して、あれは傑作だったな~、暁はキレて三日月殺しにかかってたし」
ケラケラと笑いながら吹雪は語って聞かせるが、大鯨はやはり何も答えない。
「…絶対に、あなたを助けてみせるから」
深い海のように冷たい大鯨の手を握り、吹雪はそっと呟いた。
◇
大鯨を台場鎮守府に連れてきて2日が経った、相変わらず大鯨は何をしても答えてくれないが、それでも吹雪たちは懸命に大鯨に話しかけ続けた。
『…あの』
そんなある時、提督室で吹雪が大鯨に付いていると、聞き覚えのない声が一瞬だけ聞こえた。
「えっ…?」
吹雪は困惑しながら部屋の中を見渡す、今この空間で自分以外に言葉を発する事が出来るのは、彼女しかいない。
「大鯨…?」
『はい…そうですが…』
吹雪は一瞬耳を疑った、これまで一切言葉を話さなかった大鯨が、初めて言葉を発した。
『…あの、聞いても良いですか?』
「うん、何?」
吹雪は必死に平静を装うが、内心はめちゃくちゃ興奮していた、大鯨が言葉を話したのはとても大きな前進だと言えよう、さらにここから会話を進めていけば彼女の心を開くことも出来るはずだ、吹雪はそう信じて大鯨の次の言葉を待った。
『いつになったら私を殺してくれるんですか?』
「……………え………………?」
今度こそ、吹雪は本気で耳を疑った。
そう言えば最近は文字数少なめで投稿感覚が短い…というスタイルになりつつあることに今更気づく、煩わしいから一度にドーンとアップ、とかの方がいいんでしょうか?。