艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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艦これアーケードめちゃくちゃ楽しいですね。

今1ー3まで攻略中です。


第23話「三日月の場合8」

潜水棲艦との戦闘後は特に敵艦との遭遇は無くスムーズに進むことが出来た、そしてそれから4時間後、ようやく第4艦隊は北海道の知床半島に設営されたベースキャンプに到着した。

 

 

「着いたー!」

 

「長かった…」

 

 

移動時間が長かったことと何度も戦闘を挟んだ事が重なり(戦っていたのはほとんど吹雪たちだが)、ベースキャンプに着いたときにはすっかりバテてしまっていた。

 

 

「やっと着いたか」

 

 

まずはどうすればいいかとキョロキョロしていると、30代半ばと思われるひとりの男が出迎えに来た。

 

 

この男は長嶋幸太(ながしまこうた)、北海道エリアの鎮守府、室蘭鎮守府の司令官をしている男だ。

 

 

「第1から第3艦隊は10分20分くらいの間隔で来たのに、お前等が来たのは第3艦隊到着の2時間後だぞ、何やってたんだ」

 

 

まるで“どこかで道草でも食ってたんだろ”と言わんばかりの長嶋の態度に全員が憤りを感じる。

 

「申し訳ありませんでした、道中で敵艦隊との戦闘が何度かありまして」

 

 

しかしローマは大人の対応で長嶋の嫌味を流す、これが暁なら真っ先に相手の顔を殴りつけていただろう、現に今鎌を出そうとしているのに気付いて吹雪が慌てて止めていた。

 

 

(最近喧嘩っ早くなったからなぁ…)

 

 

混血艦(ハーフ)の影響が悪い方向にも出ているのだろうか、と吹雪は少し懸念する。

 

 

「そんなの戦艦や空母がいるお前たちなら楽に倒せるだろう…」

 

 

そこまで言い掛けたとき、 長嶋は吹雪と暁を見て何かを察したかのような顔をする。

 

 

「なるほど、そこの駆逐艦が足を引っ張っていたのか」

 

 

「っ!!」

 

 

長嶋の言葉に瑞鶴と加賀が前に出て抗議をしようとするがローマに止められる、今は争うべきではないと言っているのだ。

 

 

「そうかそうか、それはとんだ災難だったな、火力も装甲も貧弱な駆逐艦ではまず戦力にならないからな」

 

 

 

「……………」

 

 

ローマたちの沈黙を“肯定”と受け取ったのか、長嶋は知ったような口で偉そうに語り出す。

 

 

「そういうことなら仕方ない、ではこれから作戦内容の説明に入る、ついて来い」

 

 

長嶋は勝手に納得すると、第4艦隊をベースキャンプの中央広場へと誘導する、第4艦隊のメンバーはどこか納得いかないといった雰囲気でそれについて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なによあいつ!気に入らないわね!」

 

 

参加艦娘全員がベースキャンプの中央広場で作戦説明が始まるまで待機していたが、その間瑞鶴はずっと長嶋に対する愚痴を言っていた。

 

「まぁ、駆逐艦の基礎能力(ステータス)が低いのは事実ですから、仕方ないですよ」

 

 

「白兵戦で敵艦を3体も屠るなんて普通の駆逐艦じゃ出来ないと思うけど…」

 

 

加賀が苦笑しながら吹雪に言う。

 

 

 

 

 

 

「待たせたな」

 

 

その時、長嶋が周りの会話を遮るように現れた、傍らには秘書艦の艦娘…妙高型重巡洋艦3番艦『足柄』を従えている。

 

 

「それではこれから敵地襲撃の概要を説明する」

 

 

足柄にホワイトボードを持ってこさせると長嶋は簡単な地図を書き、概要の説明に入る。

 

 

「第1と第2、第3と第4で連合艦隊を組み敵の根城を叩く、第1と第2は島内部の敵を、第3と第4は島外部を遊弋している敵を担当してもらう」

 

 

「(てことは、こっからはメンバーが倍に増えるって事か)」

 

 

「(正直言ってめんどくさいわ…)」

 

 

摩耶と暁がそれぞれ愚痴をこぼす。

 

 

「作戦決行は明日の朝5時、それまではこのベースキャンプで鋭気を養ってくれ」

 

 

それだけ言うと長嶋は足柄を連れてベースキャンプ奥にある司令官用の大きなテントへと戻っていく。

 

 

「…とりあえず」

 

 

「…挨拶だけしてこよっか」

 

 

第4艦隊の面々は“めんどくさい事になんなきゃいいなー”という不安を抱えながら第3艦隊の所へと向かう。

 

 

 

 

「で、あなたたちが第4艦隊なの?」

 

 

第3艦隊旗艦(リーダー)の艦娘…金剛型戦艦4番艦『霧島』は第4艦隊を値踏みするように見ながら言う。

 

 

「はい、第4艦隊旗艦(リーダー)…ヴィットリオ•ヴェネト型戦艦4番艦のローマです」

 

 

「翔鶴型航空母艦2番艦の瑞鶴です」

 

 

「加賀型航空母艦1番艦の加賀です」

 

 

「高雄型重巡洋艦3番艦の摩耶だ」

 

 

「吹雪型駆逐艦1番艦の吹雪です」

 

 

「暁型駆逐艦1番艦の暁よ」

 

 

第4艦隊の面々がそれぞれ自己紹介をする。

 

 

「これはご丁寧に、私は第3艦隊旗艦(リーダー)…金剛型戦艦4番艦の霧島です」

 

 

「同じく、金剛型戦艦2番艦の比叡です」

 

 

「伊勢型航空戦艦1番艦の伊勢です」

 

 

「最上型航空巡洋艦3番艦の鈴谷だよ~」

 

 

「蒼龍型航空母艦1番艦の蒼龍です」

 

 

「飛龍型航空母艦1番艦の飛龍です」

 

 

第3艦隊の面々も自己紹介をする、ここで摩耶が第3艦隊の特徴に気付く。

 

 

「…なんか第3艦隊(そっち)って空母系ばっかじゃね?」

 

 

「仕方ないわよ、今回の作戦には戦艦と空母が多数参加してるから艦種も被るわ」

 

 

霧島が苦笑しながら答える、実際彼女の所属する舞鶴も戦艦と空母のみの参加だった、霧島個人としては軽巡洋艦や駆逐艦がいたほうがバランスがとれるので1体くらいは欲しいところだと考えている。

 

 

「でも火力なら第4艦隊(そっち)には負けてないと思いますよ」

 

 

「そっちには駆逐艦がいる分火力が下がってますけど、こっちにはその分空母がいますし」

 

 

蒼龍と飛龍はどこか誇らしげに言う、この2体は横須賀鎮守府の艦娘なのだが、提督の超火力主義が伝染っているせいか駆逐艦や軽巡洋艦をやや見下す傾向にある。

 

 

もっとも、それはブラック鎮守府である横須賀鎮守府所属のほとんどの大型艦娘に言えることなのだが。

 

 

「…あんたたちみたいな超火力主義の連中見てるとイライラするわね」

 

 

「ほめ言葉として受け取っておくわ」

 

 

瑞鶴の批判もどこ吹く風といった様子の蒼龍、こいつには何を言っても無駄だと早くも悟った瞬間だった。

 

 

「はぁ…あなたたち、今は同じ連合艦隊の仲間なんだからもっと打ち解け合う努力をしたらどうなの?」

 

 

霧島が大きなため息をついて蒼龍と瑞鶴に言う、その様子だと第3艦隊をまとめるのにもそれなりの苦労があったのだろうと推測できる。

 

 

「…苦労してるんですね」

 

 

「…お互いにね」

 

 

第3艦隊と第4艦隊の顔合わせは何ともギクシャクとしたスタートとなった。

 

 

 

 

「迎撃部隊の編成が整ったそうね」

 

 

「はい、こちらです」

 

 

色丹島集落跡地で少女とベアトリスは艦娘迎撃部隊の打ち合わせを行っていた、今はベアトリスの作成した部隊の編成リストを少女に見せている。

 

 

○第1部隊

 

・ベアトリス

 

王兵級(キング)×5

 

女王兵級(クイーン)×3

 

 

 

○第2部隊

 

・シャーロット

 

騎士兵級(ナイト)×15

 

歩兵級(ポーン)×50

 

 

 

 

王兵級(キング)女王兵級(クイーン)は分かるけど、どうして歩兵級(ポーン)をこんなに?」

 

 

歩兵級(ポーン)は我が部隊の中では1番力が弱い量産型です、敵に与えられるダメージも多くはありません、ですがもし、その微々たるダメージを常に受けるような状態になれば…どうなると思いますか?」

 

 

「…つまり、小さなかすり傷を積み重ねて致命傷に至らせるつもりなのね?」

 

 

「少しずつの変化に鈍感なのは、人間も艦娘も同じですから」

 

 

「なるほど面白いわね、いいわ、その編成で行きなさい」

 

「了解いたしました」

 

 

ベアトリスは一礼すると、編成の準備をするために立ち去っていく。




ちなみに1ー3は駆逐艦のみでクリアしました。

駆逐艦でも夜戦すれば戦艦棲艦に勝てるんですね。

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