艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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ようやくE-6の輸送作戦が終わりました、戦力ゲージのボスはベアトリスINシーズンサマー!…もう夏休み終わってますよベア子さん。

そう言えば今年の夏は色々あったなぁ…

太鼓の達人では青空のラプソディ(小林さんちのメイドラゴン)にフルボッコだドン!にされ…

テイルズオブベルセリアでは業魔に襲われ…

ペルソナ4では洗脳された仲間に殺され…


…実に充実した夏でした。


第192話「渋谷奪還作戦6」

「横須賀鎮守府司令官の木村です、テレビ局のインタビュアーさんが本日はどのようなご用件で?」

 

 

木村が鎮守府の玄関口に向かうと、絵菜と数名のカメラマンやその他スタッフが待ちかまえていた。

 

 

「都営環状線事件の加害者の艦娘…こちらにいますよね?」

 

 

絵菜は強気な口調で木村に詰め寄る、まるでここに曙がいることが分かっているような口振りだった。

 

 

「何のことでしょう?私には何のことだか…」

 

 

「とぼけないでください、ここにいることは調べがついてるんですよ」

 

 

とぼけて追い返そうと思ったが、絵菜は引き下がらなかった。

 

 

「…いったいその情報をどこで?」

 

 

情報源(ソース)については明かせません」

 

 

「海軍内部の情報漏洩(リーク)ですか?」

 

 

「明かせません」

 

 

絵菜はにっこりと笑って否定する。

 

 

(…飄々とかわしやがるけど、曙の情報を知り得るのは内部の人間だけだ、誰かが漏らしたのは間違いなさそうだな)

 

 

そうなるとごまかしは一切通用しないと見ていいだろう、海原には悪いがここは曙がいると明かした上で帰ってもらおう。

 

 

「…確かにその艦娘はここにいますが、あなたに会わせる気はありません、これ以上彼女の心を心傷つけるわけにはいきませんので、どうかお引き取り下さい」

 

 

木村はハッキリと絵菜の要求を断り、帰るように言う。

 

 

事前の予約(アポイント)も無かったので大人しく帰ると思ったが…

 

 

 

「…人の心を持たない化け物が心の心傷だなんて笑わせないで、あんなのただの兵器でしょ」

 

 

絵菜から放たれたその言葉は、怒りと憎しみに満ちていた。

 

 

「…あなたのような考えを持つ人がいることは理解しています、ですがインタビュアーである立場のあなたが決めつけるような考えを持っていては公平に真実を発表できませんよ」

 

 

「あなたに何が分かるって言うのよ!」

 

 

絵菜は突然激昂したように声を荒げる。

 

 

「私は夫を艦娘に殺されたの!事件があった環状線に夫は車掌として乗っていた、そこで夫は艦娘に撃たれて殺されたのよ!だから私が艦娘の恐ろしさを伝えるの!」

 

 

絵菜は一息で木村にまくし立てる、そう言えば事件のニュースでは曙が車掌を撃ち殺したという内容があったのを思い出す、そう考えれば彼女は被害者だ、事件の加害者に心境を聞く権利の一つもあるだろう。

 

 

「そうですか、なら尚更あなたを会わせるわけにはいきませんね」

 

 

だからこそ、木村は曙と絵菜を会わせるべきではないと思った、彼女の立場なら尚更…だ。

 

 

「どうしてよ!私は事件の事を取材する仕事で来てるのよ!?話を聞く権利くらいあるんじゃないの!?」

 

 

そう木村に詰め寄る絵菜だが、木村は決定的な一言で絵菜の主張を一蹴する。

 

 

「あなたがしているのは仕事ではありません、旦那さんを殺された恨みを個人的にぶつけようとしている私事(しごと)です」

 

 

「っ!!」

 

 

絵菜はすんでのところで木村に掴みかかりそうになったが、その手が木村を掴むことはなかった。

 

 

「絵菜さん!それはマズいですよ!」

 

 

「どうか抑えて!」

 

 

側にいたスタッフが絵菜を止めたのだ、いくら気に障る事を言われたとはいえ、海軍の司令官を殴るのはマズすぎる。

 

 

「…このまま引き下がるつもりは無いから」

 

 

絵菜はそう吐き捨てると、スタッフを引き連れてバンに乗り走り去っていった。

 

 

「…やれやれ、本当にやっかいな事になりそうだな」

 

 

木村はそうため息を吐くと、鎮守府へと戻っていく。

 

 

 

 

 

「ハチ、突然だけど、前回のリベンジさせて」

 

 

「へっ?」

 

 

台場鎮守府の食堂、ハチはいきなり矢矧にそう言われあっけにとられてしまう。

 

 

「この前ハチにクイズ出してもらったけど全然解けなかったからね、もう一度やってほしいの」

 

 

「なるほど、そういうことですか、それなら…」

 

 

矢矧の発言の意図を理解したハチは手頃な紙を見つけると、何やら問題を書き込み始める。

 

 

「この問題を解いてみて下さい、今回は1問だけですけど…」

 

 

紙を受け取った矢矧は問題に目を通す。

 

 

 

 

 

○問題:次の式はある法則によって成立しています、それは何でしょう?

 

・戦車+剛毅=悪魔

 

・魔術師+塔=星

 

・運命+正義=世界

 

・戦車+教皇=刑死者

 

・恋人+刑死者=月

 

 

 

 

 

「…え」

 

 

その後数時間悩んでいたが、結局答えは出せなかった。

 

 

「所長、例の強盗団の艦娘の検査結果が出ました」

 

 

 

所変わってこちらは造船所の所長室、榊原は風音から検査結果と報告書を受け取っていた、横須賀で木村が絵菜と問答をしている頃、犯行を終えて逃走中の強盗団の艦娘を2体確保したという海軍警察の連絡を受け、今まで身体検査をしていたのだ。

 

 

「ありがとう風音、どれどれ…」

 

 

榊原は報告書の文字を目で追っていくが、内容を読み進めていくごとに榊原の表情が曇っていく。

 

 

「風音、ここに書かれていることは全て事実で間違いないね?」

 

 

「…はい、確保された2体の艦娘から極めて依存性の高い薬物が検出されました、おそらく強盗団は艦娘を監禁して薬漬けにした後、薬物の投与をダシに犯罪行為に加担させていたのでしょう」

 

 

「…一度依存症にさせてしまえば手懐けるのは容易いということか、組織だからこそ出来る芸当だな」

 

 

榊原が忌々しげに言う、強盗団がどうやって艦娘たちを従わせていたのか、榊原はそのトリックが分からなかった、しかしそのカラクリが分かってしまえば何て事のない話だった。

 

 

「艦娘たちは今どうしてる?」

 

 

「地下の別室で隔離しています、所属先や事情を聞こうにもクスリが切れた影響で暴れていて会話もマトモに出来ない状態です、潮風さんたちでも手に負えず、こんな事は言いたくないですが、解体しか無いかと…」

 

 

風音はとても言いにくそうに最後の言葉を口にする、それを聞いた榊原はやはりか…と呟くと、考え込むように黙る。

 

 

「…分かった、解体班には俺から話を通しておくよ、艦娘の所属先は電子書庫(データベース)で調べておく」

 

 

「…分かりました、失礼します」

 

 

風音は一礼して所長室を後にした、それを見送ると榊原は電子書庫(データベース)にアクセスし、今回確保された艦娘のプロフィールを洗っていく。

 

 

「………………」

 

 

榊原はモニターに映し出された艦娘の情報をしばらく凝視した後、電話を取ってある番号にダイヤルする。

 

 

「…もしもし、造船所所長の榊原です、すみませんがお話が…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○艦娘名簿

・名前:山風

・クラス:白露型駆逐艦8番艦

・所属:室蘭鎮守府

 

 

○艦娘名簿

・名前:浜風

・クラス:陽炎型駆逐艦13番艦

・所属:舞浜鎮守府




次回「幽霊船(ファンタズマ)

存在しない艦娘、その正体とは…

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