艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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キス島のレベリングと同時に西方海域の攻略も進めております、現在ステージ3のリランカ島空襲まで攻略済み。

今はステージ4のカスガダマ沖海戦を攻略中、ボスに装甲空母鬼がいて目が点に、いやいやいや!通常海域に鬼はダメだって!強すぎるって!


第133話「大演習祭13」

「震電改…そんな艦載機があったんですね」

 

 

観客席の瑞鶴が心底驚いたように言う、震電改は最初期に開発された艦上戦闘機だ、その性能は現在使われている烈風改を大幅に上回るものであったが、その分莫大な開発コストがかかるデメリットが大きくすぐに開発打ち切りとなった。

 

 

開発されていた期間がとても短かったので流通数も少なく、現在所持しているのは大鳳のみ、電子書庫(データベース)の装備品一覧からも抹消されているので今では幻の装備となっている。

 

 

「凄い…ユニゾンレイドの航空隊をこうもあっさり落とすなんて、やっぱり凄い艦載機なのね」

 

 

「艦載機だけでは無いわよ、それを操る大鳳の技量も相当なものだわ」

 

 

感嘆の声を漏らす瑞鶴に加賀が間に入る。

 

 

「いくら性能のいい艦載機でも、その性能を生かすも殺すも使い手の空母次第、大鳳は震電改の性能を熟知してそれを最大限に生かせるように戦っている、流石は最初期組と呼ばれる歴戦の空母ね、瑞鶴もよく見て学んでおきなさい」

 

 

加賀は食い入るように大鳳の戦いぶりを見る、それほど彼女の技量が優れているという事なのだろう。

 

 

瑞鶴もそれにならって大鳳を観察する、艦戦である震電改以外の艦載機を一切持っていないので空撃が出来ないということだが、その分艦戦を使った対空のみに全神経を集中させているようだ、攻撃機が無いというハンディをまるで感じさせない戦いぶりに瑞鶴も思わず息をのむ。

 

 

 

 

 

一方こちらは演習場、対空面は大鳳に完全に一任し、吹雪たちは砲雷撃戦に入る。

 

 

「みんな!行くわよ!」

 

 

吹雪のかけ声と共に暁、三日月、篝が主砲の射程圏内まで接近する。

 

 

「あははは!全員鏖殺(おうさつ)してやるわ!」

 

 

「暁さん、鏖殺(おうさつ)はかわいそうですよ、全員じわりじわりと(なぶ)り殺しにしてあげないと!」

 

 

暁と三日月が水を得た魚のようにハイテンションでユニゾンレイドに向かっていく。

 

 

「吹雪さん、あの2体の戦闘狂(バトルマニア)っぷりはどうにかならないのでしょうか」

 

 

「…そんな篝にいい言葉を教えてあげる、“手遅れ”だよ」

 

 

「あっ…」

 

 

それだけで全てを察したような表情になる篝、そんな吹雪たちの心労など全く知らない暁と三日月は狂気的な笑いを浮かべながら主砲を撃ちまくっている。

 

 

「よし、こっちも行こうか、大鯨!“アレ”よろしく!」

 

 

「了解です!」

 

 

吹雪と篝も砲雷撃に加わり、残った大鯨は後方で何もせずに待機している。

 

 

「さてと、動けない私にしか出来ないこの役割、しっかりと果たさないと…!」

 

 

大鯨は頬を叩いて渇を入れると、愛用の武器であるスナイパーライフルの準備を始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そりゃそりゃそりゃ!」

 

暁が主砲を撃ちまくってユニゾンレイドに攻撃をする、動きがのろい戦艦が相手なので命中率は8割越えと中々の数字だが、ダメージはほとんど入っていない。

 

 

「どうした、その程度か?そんな砲撃痛くも痒くもないぞ!」

 

 

武蔵が悠然とした態度で言う、元から高い防御力に加え強化装甲(バルジ)まで装備している彼女の耐久値のゲージはミリ単位でしか減っていない。

 

 

そのほかの陸奥を含めた戦艦たちにも攻撃は当たっているが、武蔵同様効果的なダメージは与えられていない。

 

 

武蔵たちも対抗して砲撃を行っているが、駆逐艦の持ち前のスピードで全てかわされてしまう、ヒット&アウェイを持ち味とする駆逐艦の真骨頂がそこにあった。

 

 

「暁!10時の方向砲撃警戒!」

 

 

「了解!」

 

 

陸奥とビスマルクの砲撃を確認した吹雪が暁に警告、それに暁は素早く反応して回避行動を取る。

 

 

「くっ…!忌々しい駆逐艦共め、弱いくせに逃げ足だけは無駄に速いな…」

 

 

「その逃げ足にひたすら翻弄されているあなた達は見ていて滑稽(こっけい)ですけどね」

 

 

「ぐぬぬ…!雑魚のくせにデカい口を!」

 

 

吹雪の挑発に簡単に乗った武蔵は主砲で狙い撃ちするが、武蔵は先程の大和同様強化装甲(バルジ)を装着して固定砲台の役割に徹している、動かずに砲撃をしているので簡単に軌道を読まれてかわされてしまう。

 

 

「…っ!!そこだ!」

 

 

しかしそこは横須賀最強の一角、射程の軌道上に吹雪が入ったほんの一瞬を見逃さずに砲撃を放とうとする。

 

 

「うっ…!」

 

 

しかし、別の場所からの砲撃によって武蔵の砲撃は遮られてしまった。

 

 

「一体どこから…?」

 

 

武蔵が弾の飛んできた方を見ると、遙か後方で大鯨がスナイパーライフルでこちらを狙撃するのが見えた。

 

 

「ライフル銃だと…!?穀潰しの雑魚が味な真似を…!」

 

 

ダメージはほとんど入っていなかったが、イライラが急上昇した武蔵は大鯨に向けて照準を合わせる。

 

 

「がっ…!!」

 

 

しかし、後方からの雷撃でそれもキャンセルさせられてしまった。

 

 

「つれないですね~、あなたの相手は私たちですよ?よそ見なんて寂しい事しないで下さいよ~」

 

 

武蔵が振り返ると、吹雪が魚雷をダーツのように持って構えている吹雪の姿があった。

 

 

「こんの…!クソ虫共がああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

完全に頭に血が上った武蔵は独楽鼠(こまねずみ)のように動き回るDeep Sea Fleetに向けて砲撃を仕掛けるが、ことごとくかわされてしまう、気持ちいいくらいに敵のヒット&アウェイが成功しているので武蔵のイライラはさらに加速する。

 

 

「落ち着きなさいよ武蔵!そんなに撃ったらすぐに弾が無くなるわよ!」

 

 

それを見かねたビスマルクが武蔵の肩を掴んで止めに入る。

 

 

「む…確かにそうだな、落ち着かなくては…」

 

 

武蔵は気持ちを落ち着けるために一度深呼吸をする、すると、ここで武蔵はある事に気付く。

 

 

「…あいつら、さっきからずっと主砲を撃ちっぱなしだが、なぜ弾切れを起こさないんだ?」

 

 

「言われてみれば確かにそうね、あれだけ絶えず撃ってたらそろそろ切れてもおかしくないのに…」

 

 

ビスマルクもDeep Sea Fleetの行動を不審に思う、あれだけ後先考えずに撃ちまくっていたらあっと言う間に弾切れを起こすだろう、艦隊戦では“いかに弾を切らさないように節約しつつ敵を倒すか”が最も重要な戦闘テクニックとなる、弾が切れれば艦娘は敵に対して為す術が無くなってしまうからだ、つまり戦闘中の弾切れはそのまま艦娘の死に直結する。

 

 

それなのに惜しみなく弾丸を使っているDeep Sea Fleetは何を考えているのだろうか?

 

 

「弾が無くならない魔法の艤装を使っているワケじゃあるまいし…」

 

 

武蔵がそんなバカみたいな考えを口にしたとき…

 

 

「ご名答、その通りですよ」

 

 

それを聞いていた吹雪がそれに割り込んでくる。

 

 

「私たちDeep Sea Fleetが使っている主砲は、使っても永遠に弾が無くならない特別な艤装を使ってるんです、だから弾切れなんて気にしなくてもいいんですよ」

 

 

「なん…だと…!?」

 

 

吹雪の驚くべき発言に、武蔵たちは目を剥いて驚いていた。

 

 

 




次回「無限の弾丸(インフィニティ・バレット)

ちなみに吹雪は主砲を無くしているので雷撃のみで参加しています。

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