艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー 作:きいこ
~艦これDSFこぼれ話~
使う機会が無かったのでお蔵入りになっていますが、台場鎮守府の艦娘には全員前世の設定があります。
次の日、吹雪たちは出撃任務で遠海に出ていた、出撃メンバーは吹雪、篝、マックス、ハチの4体、残りの暁、雪風、三日月、大鯨の4体には遠征任務に出てもらっている。
「敵艦隊の反応有り!数は1体です!」
篝の電探が敵艦隊の存在を感知、コンソールのモニターには赤い点が1つ映し出されている。
「会敵までどれくらい?」
「この距離ですと…2分くらいでしょうか」
「了解、じゃあハチは先に潜水して奇襲の準備を、ほかのみんなはいつでも攻撃出来るようにしておいて」
「「了解!」」
吹雪の指示でハチは水中に身を潜める、ハチの連続無酸素活動時間は約3分、今から潜り始めても十分息は続く。
「敵艦隊発見!戦闘開始!」
Deep Sea Fleetと敵艦隊が会敵した、編成は戦艦棲艦のみという珍しい編成である。
吹雪たちは目標の戦艦棲艦に向かって攻撃を開始する、まずは砲撃を行いながら少しずつ戦艦棲艦との距離を詰めていく、途中戦艦棲艦も砲撃をして来るが、持ち前の機動力と砲弾切りを生かしてそれをかわす。
「それっ!」
まずは吹雪が戦艦棲艦に
「なっ…!?固い…!!」
ダメージこそ通っているが、致命傷には至っていないようだった。
「まさか
吹雪は自身の身体から嫌な汗が流れるのを感じる、
「敵の戦艦棲艦は
「「了解!」」
吹雪はそう言うが、戦艦棲艦は主砲の射程距離が長く、ある程度の距離を取っていても砲弾がこちらに届いてしまうため、苦戦は避けられない。
「はぁっ!」
まずは敵の背後を取っていたマックスが
…もっとも、それで敵の装甲までは無視できないのだが。
「…損傷軽微か」
マックスは忌々しげに舌打ちをすると、一度距離を取って主砲を撃ち込む、しかし上位種個体の装甲は駆逐艦の主砲程度の威力では簡単に貫けない。
「ーっ!?」
すると、戦艦棲艦が突然驚いた表情をしてたたらを踏む、海中で待機していたハチが雷撃を行ったらしい。
「ぷはぁ!なんだか大変なことになっているみたいだったから勝手に攻撃しちゃった、大丈夫だった?」
息を切らせたハチが浮上してくると、軽く手を合わせて吹雪に謝罪する。
「いや、むしろナイスファインプレーだよ!グッジョブ!」
吹雪がハチに向けて親指を立てると、ハチは嬉しそうな顔をして戦艦棲艦に攻撃を開始した。
「っ!?マズい‥!」
しかし戦艦棲艦がそれに感づき、両手に装着された副砲を両方ハチに向けてくる。
「ハチ!」
そこへマックスがワイヤーを伸ばして戦艦棲艦の両手に巻き付ける。
「ほあぁっ!」
マックスが伸ばしたワイヤーを引っ張ると戦艦棲艦の両腕が明後日の方向を向き、砲撃の着弾位置をズラした。
「ファイア!」
そのスキにハチが拳銃の引き金を引く、銃口から射出された漆黒の弾丸は戦艦棲艦の顔面に命中し、爆発を起こす。
「ー!ー!っ」
戦艦棲艦は悲痛なうめき声を上げながら悶絶する、銃撃の影響で右目が潰れたらしく、血が流れ落ちる右目を瞑りながらこちらを睨んでいる、ダメージもそれなりに入ったようで、中破相当の傷を負っていた。
「篝!やるよ!」
「了解です!」
吹雪と篝は同時に戦艦棲艦に向かって突撃していく、戦艦棲艦は不明瞭な視界の中砲撃を行うが、片目しか使えないので照準は定まっておらず簡単にかわすことが出来た。
「てやあぁっ!」
吹雪が
「篝!
吹雪が素早く敵から飛び退くと、篝が入れ替わりで前に出る、あらかじめ最大の700℃まで加熱しておいたフレイム・スピアーを戦艦棲艦に突きつけ、その引き金を引く。
「
“台場に所属している艦娘はカッコイイ技名を持つのがならわし”という暁のデマを真に受けた篝が中二全開の技名を叫びながらフレイム・スピアーのスパイク部分を戦艦棲艦の胴体に突き刺す。
「ーーっ!?」
喉が潰れんばかりの絶叫を戦艦棲艦が上げる、スパイクは戦艦棲艦の胸に深く刺さり、超高温に熱せられた先端部分が装甲や肉を焼いていく。
最初こそ主砲を撃って抵抗した戦艦棲艦だが、1分も経つ頃にはピクリとも動かなくなった。
「…戦艦棲艦の撃沈を確認、戦闘終了です」
篝がフレイム・スピアーを引き抜くと、戦艦棲艦はそのままうつ伏せに倒れて海中に沈んでいく。
戦闘を終えた吹雪たちは他に敵艦隊がいなければこれで帰投しようかという話になっていたのだが、篝の電探が敵の新手を察知した、しかも肉眼で確認できるほど近くに来ていた。
艦種は空母棲艦のみ、さっきの戦艦棲艦といい、深海棲艦の間ではソロプレイでも流行っているのだろうか。
しかもその空母棲艦は“面影”持ちというオマケまで付いてきた。
◇
「空母の“面影”持ちは初めてだよね」
「そう言えばそうね、取りあえず艦載機出される前に話つけちゃいましょう」
そう言うと吹雪は“面影”持ちの空母棲艦に近付くと、こんにちはと挨拶をする。
『…?』
“面影”は怪訝そうな表情で首を傾げる、栗色のショートヘアーに白いシャツ、赤のスカートに黒の胸当てを着けている艦娘だ、左手には飛行甲板、右手にはボウガンを持っている。
「あなた、艦娘ですよね?」
『っ!?』
吹雪の言葉に“面影”は狼狽した様子を見せる、それを見て“面影”は深海棲艦になっているという自覚があるのだと吹雪は確信する。
『どうして…?今まで誰も分からなかったのに…』
“面影”は声を震わせながら吹雪に問う、その様子だと長い間苦労していたようだ。
「ちょっと訳ありで、“そういうの”が見える能力があるんです、そこにいる子たちもあなたみたいな深海棲艦の状態から戻った艦娘なんですよ」
『えっ…!?』
“面影”は目を剥いた、ならば自分もそこにいる艦娘のように戻れるのだろうか?また艦娘だったときのように…蒼い海の上を翔る事が出来るのだろうか…?。
「もし良ければ、私たちの鎮守府に来ませんか?あなたを戻す手伝いが出来るかもしれません」
そう言うと吹雪は“面影”に手を差し伸べた。
『…はい、お願いします』
戻れるのなら、翔る事が出来るのなら、私は何でもやってみせよう、“面影”は胸の内に秘めた確かな思いと共に吹雪の手を取った。
◇
帰投後、早速オモチカエリした“面影”をスケッチし、それをもとに海原に検索をかけてもらう。
「…出た、この艦娘だな」
○艦娘名簿(轟沈艦)
・名前:
・艦種:装甲空母
・クラス:大鳳型1番艦
・
・所属:大湊鎮守府
・着任:2040年10月15日
・轟沈:2046年12月14日
「2040年!?超古株じゃないですか!」
「深海棲艦出現当初から活躍していた…俗に言う“最初期組”らしいぞ」
「すごーい!」
『そ、そんなすごくないですよ…』
大鳳は恥ずかしそうにして吹雪たちの声を否定する。
「しかし、最大
海原がそう質問すると、大鳳はちょっと迷った様子を見せつつも頷いた、当たらずとも遠からず…といった所だろうか、ちなみに台場の事や
そして大鳳が口にした未練というのは、至極シンプルなモノだった。
『“会いたい人がいる”…それが私の未練です』
次回「
番外編「瑞鶴と加賀の休日」チラッと見せます↓
「加賀先輩…そのコス気合い入りすぎじゃないですか?」
「そうかしら?自分で言うのもアレだけど、中々良いと思うわよ」
「そりゃ似合ってますけど…」
「んん~!似合ってますぞお嬢様方!」
「うん、OTK兵団もスゴい格好だよね、間違いなく補導モノだよ」
…瑞鶴と加賀のコス衣装どうしようかな~(チラッ