艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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勝敗で獲得経験値が変わるという話を聞いたので、演習でLv.75の加賀を殴って検証してみました。

・S勝利:15616EXP
・D敗北:7276 EXP

…意外と差があった(単艦なので旗艦&MVPボーナス含む)。

艦これ×なか卯コラボキャンペーン始まりましたね、3Dカード対象点が近場にあったので牛丼食べてカードゲットしてきました、絵柄は瑞穂だったんですけど、なんか姫級の深海棲艦みたいな顔してますね、この子。


第105話「篝の場合7」

「お帰り、結果は…聞くまでもないか」

 

 

天使家から出て来た川内を見て吹雪は言う、その泣きはらした目が全てを物語っていた。

 

 

「夜衣のご両親に何かと言われたんでしょ?」

 

 

「…人間の皮を被ったバケモノだって…」

 

 

川内は消え入りそうな声で答えるとまた涙を流しはじめる。

 

 

「結構キツい事を言われたんだね…」

 

 

「…吹雪はこうなるって初めから分かってたの?」

 

 

まるで最初から結果が見えていたかのような物言いをする吹雪に川内は睨むような視線を送る。

 

 

「当たり前でしょ、娘を思うご両親の気持ちを利用したんだからこうなるのは当然の結果だよ、せめて初めから正体を明かして協力を申し出るとかすれば結果は違ったと思うよ?」

 

 

「……何でそれを言ってくれなかったのさ、言ってくれれば、雪衣さんたちを傷つけずに済んだかもしれないのに…!」

 

 

川内は吹雪の肩をつかんで問い掛けるが、当の吹雪は冷めた表情で川内を見つめるだけだった。

 

 

「事前に言ってたとしても結果は変わらなかったと思うよ」

 

 

「何でさ!」

 

 

徐々に苛立ちを見せ始める川内に吹雪は核心をついた一言を言い放つ。

 

 

 

 

「じゃあ聞くけど、川内さんはどんな気持ちで夜衣のご両親に会ったの?」

 

 

「…えっ?」

 

 

言われたことの意味が分からず、川内は頭に疑問符を浮かべる。

 

 

「自分の夜嫌いを克服したい、夜衣の事を知りたい、そしてご両親と真剣に向き合って話をしたい、そういう心構えで川内さんはご両親に会った?」

 

 

「…それは…」

 

 

川内は何も言えずに俯いてしまう、吹雪の問いかけに対する川内の答えはNOだ、自分は夜衣の両親を体の良い情報源としか考えていなかったしそれに対する罪悪感も感じていなかった、おまけに雪衣や高雅に怒鳴られるまで自分の起こした事の重大さに気付く事も出来なかったし、完全に川内の自業自得による結果と言えよう。

 

 

「だから私は何も言わなかったの、川内さんの中の不純な気持ちが消えない限りは、ご両親に川内さんの声は届かないよ」

 

 

「…………」

 

 

川内は身体を震わせて再び泣き出してしまう、こんなにも自分の意識が、考えが、覚悟が、ありとあらゆるモノが足りていなかった、その現実を実感する度に涙がこぼれてくる。

 

 

「……吹雪、一個わがまま言ってもいい?」

 

 

「何?」

 

 

川内が何を言うかはすでに分かっていたが、吹雪はあえて先を促す。

 

 

「明日、もう一度リベンジしてもいい?今度はまっすぐな気持ちで向き合ってみせるから」

 

 

「もちろん、とことんまで付き合うよ」

 

 

川内の吹っ切れたような表情を見て、吹雪は笑ってそう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、川内と吹雪は再び天使家を訪れていた、玄関口に立っている川内を見て雪衣が思い切り不機嫌な顔をする。

 

 

「…それで?懲りもせずにのこのことやってきたわけ?」

 

 

雪衣は川内を軽蔑するような目で見る、川内はそんな雪衣の言葉に臆する事無く話を続ける。

 

 

「お願いします、夜衣さんの事でお話を聞かせてください」

 

 

「…話すことは何もないわ、帰ってちょうだい」

 

 

川内は頭を下げて雪衣に頼み込むが、あっさりと断られてしまう。

 

 

「昨日のことは完全に私の不徳の致す所でした、申し訳ありません、ですがどうしてもあなた方の協力が必要なんです…」

 

 

「帰って!これ以上夜衣の姿で、夜衣の声で私たちを苦しめないで!」

 

 

しかし川内の必死の説得も虚しく、結果は決裂で終わりそうだ。

 

 

(やっぱりダメなのかな…)

 

 

川内が諦めかけたその時…

 

 

 

 

「…えっ?」

 

 

深海棲艦の襲撃を知らせるサイレンが、片田舎の町に鳴り響いた。

 

 

 

 

 

「な、何これ!?」

 

 

雪衣がサイレンを聞いて動揺する、ここは内陸の方なのでサイレンを聞く機会が無いのだろう。

 

 

「深海棲艦襲撃のサイレンですね、敵が来ます」

 

 

「し、深海棲艦!?」

 

雪衣は目を剥いた、深海棲艦の事はもちろん知っていたが、海に面していないこの地域では関係のない事だと思っていたからだ。

 

 

「でも何でこんな内陸部に深海棲艦が…?」

 

 

「たぶん駆逐戦車だと思うよ、秋葉原襲撃でエリザベートが味をしめたってとこかな」

 

 

川内の疑問に吹雪が答える、このあたりにも緊急用の水路が通っているみたいなので、ベアトリスやエリザベートが駆逐戦車を放ったのだろう。

 

 

経緯はどうであれサイレンが鳴った時点でこの町に深海棲艦が出現したことは確定なのだ、ならば早々に対策を練らなければならない。

 

 

「この地域でサイレンがなったらどうする事になってますか?」

 

 

こうなってしまっては交渉は不可能だと判断した川内は気持ちを切り替えて雪衣に聞く。

 

 

「ええっと…一応シェルターに避難するって事になってるけど…」

 

 

急に雰囲気が変わった川内に戸惑いながら雪衣は答える。

 

 

「シェルターの場所は?」

 

 

「この先に500mくらい進んだとこに…」

 

 

そう言うと雪衣は北西の方向を指さす。

 

 

「川内さん、私はこの区画の駐屯基地に連絡をするので川内さんは近隣住民を集めて下さい」

 

 

「了解、というワケなので雪衣さん、申し訳ないですけど、私たちに従って避難していただきます」

 

 

「はぁ!?何であんたに従わなきゃなんないのよ!」

 

 

「艦娘は有事の際には民間人への避難指示など特定の行動に限って指揮権を持つんです、つまり今の私たちにはあなた方を避難させる権利と義務と責任があるんです」

 

 

川内は雪衣にそう説明するが、少し杓子定規になってしまったことを少し後悔する。

 

 

「……信用しろって言うの?昨日あれだけのことをしたあんたを?」

 

 

「雪衣さんが仰りたい事はもちろん分かります、ですが今は一刻の猶予もありません、私はあなたたちを守りたいんです、今この時だけ、私たちを信じて貰えないでしょうか…?」

 

 

川内はそう言うと精一杯の誠意を持って頭を下げる、昨日のことで川内は雪衣や高雅に対して大きな負い目を感じている、しかしそれを抜きにしても自分は雪衣を守らなければならない、いや、守りたい、それが艦娘である自分の意志だ。

 

 

それに自分は身体だけで言えば雪衣の娘だ、たとえ偽物と言われても、親を守るのが娘としての使命だろう。

 

 

 

「…分かったわ、今回だけよ」

 

 

川内の気持ちが伝わったのか、雪衣はそれを了承してくれた。

 

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

それを皮きりに川内は近隣の家を回って避難住民を集めた、その数は20人、主にお年寄りや未就学児、その母親がメインだった。

 

 

「川内さん、駐屯基地によるとすでに町では戦闘が始まっていて、いつ敵艦が現れるか分からない状況みたいだよ」

 

 

「艦種は?」

 

 

 

「駆逐戦車が10体くらいだって、すでに戦艦部隊が4体倒してるみたい、私たちの状況を基地長に伝えたら近くの住民をシェルターに連れて来てって」

 

 

「分かった」

 

 

合流した吹雪からの報告を聞くと、川内は集まった避難住民を前に号令をかける。

 

 

「これよりシェルターへの避難移動を開始します!出来るだけ皆さんのペースに合わせますが、可能な限り迅速な移動にご協力をお願いします!万が一戦闘になった場合は速やかに私たちから離れてください!」

 

 

川内の言葉に全員が肯定の意志を示すと、先頭に川内、その後に吹雪の順番で避難住民を引っ張る。

 

 

(駆逐戦車とのエンカウントだけは勘弁ね…)

 

 

そんな事を思いながら川内は先頭を歩く。

 

 

 

 

「…本当に勘弁してよ」

 

 

シェルターまで残り約300mといったところで恐れていた事が起きてしまった、駆逐戦車とのエンカウントである。

 

 

「数は1体か…素直に通してはくれなさそうだね」

 

 

川内は忌々しげに駆逐戦車を睨み付ける、一方駆逐戦車はそんな川内の心内など知ったことかと頭部の主砲を構える。

 

 

「…川内さん、この駆逐戦車は私が引き受けます」

 

 

「吹雪…?」

 

 

吹雪は手甲拳(ナックル)を構えて駆逐戦車と相対する。

 

 

「川内さんはこのまま住民の皆さんを連れて先に進んで、駆逐艦の私より軽巡の川内さんの方が頼りになる」

 

 

「………分かった、頼んだよ!」

 

 

「任せて!」

 

 

川内は吹雪をこの場に残して避難住民を連れて歩き始める、それに反応して駆逐戦車が川内に砲身を向けてきたが…

 

 

「おーっと、あんたの相手はこの私だよ」

 

 

駆逐戦車を殴りつけてこちらに視線を向けさせると、吹雪は不適な笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(でも、絶対私より吹雪の方が戦闘力上だよね…)

 

 

戦闘中の吹雪をチラリと一瞥しながら、川内は心の中でそう思った。




次回「これがバケモノだ」

艦これ改の中枢棲姫戦(ラスボス)のドロップで大和が出たんですけど、消費資材がヤバそうなので一度も使ってません。

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