番外編その2
【エルフナインの怪獣ラボ ~後編~】
「皆さんこんにちは!タスクフォース技術部所属錬金技術担当、エルフナインです!」
『エルフナインのサポートをしている、ウルトラマンエックスだ』
「いつも【絶唱光臨ウルトラマンシンフォギア】をご愛顧いただきありがとうございます。
今コーナーは本編とは趣旨を外しまして、本作中で登場した怪獣のデータをエックスさんと一緒にご紹介していきたいと思います!」
『長いウルトラマンの歴史の中には、様々な怪獣がいる。第2回となる今回は、ヤプールとの戦いを終えて、尚もシンフォギアの世界に出現したスペースビーストを始めとした怪獣たちとその戦いを振り返っていこうと思う。
やはりところどころ原典とデータが変わっているから、その辺りも一緒に解説していくぞ!』
「よろしくお願いします、エックスさん!それではまた、始めていきましょう!」
『あぁ、行くぞエルフナイン!怪獣コンピューター、チェック!』
「チェックします!」
・File.12
【ブロブタイプ・ビースト ペドレオン】
「名前:ペドレオン
種別:ブロブタイプ・ビースト
身長:2~10メートル(クライン種) / 20~50メートル(グロース種)
重さ:不定(クライン種) / 25,000~45,000トン
能力:触手から放たれる電撃と、なんでも食べる腹の口」
「このビーストの初邂逅はヤプールとの戦いの最中にありました。
カナダでチャリティーライブを開いていたマリアさんとノイズの戦いに反応するように現れていったのです」
『スペースビーストは人々の恐怖や悲しみ、憎しみと言った……所謂マイナスエネルギーを喰らう性質を持っているからな。ノイズ襲撃で陥った混乱に反応したのかもしれない。
位相差障壁を持ち有機体を炭素分解するはずのノイズをも丸呑みすることで喰らうという尋常ならざる行いもしていたな』
「後にエックスさんから教えてもらった事ですが、スペースビーストには”攻撃”と”捕食”の思考観念しか存在しないそうなのです。見た目も酷い異形、そんなモンスターをマリアさんと国連軍が必死で戦っていきました」
『だがその身体に溜め込まれた可燃性のガスが引火、爆発を起こしてしまい、全員が危機に陥ってしまう。
そんな中でマリアが自身に宿ったウルトラマン――ネクサスの力を自覚し用いたのは、此処が初めてだったな』
「その後、ヤプールとの戦いが終わった後にスペースビーストの存在がようやく明かされ、本格的に対策を取ることになりました。
ペドレオンはその後も小型のクライン種が何度か出現し、装者の皆さん……特に
・File.13
【インセクトタイプ・ビースト バグバズンブルード】
「名前:バグバズンブルード
種別:インセクトタイプ・ビースト
身長:1.8~40メートル
重さ:150キロ~33,000トン
能力:鋭い爪と口から吐く催眠ガス」
「エタルガーによって放たれたスペースビーストの侵攻。その尖兵として現れた二足歩行のビーストですね」
『奴らは恐ろしい事に学園祭で沸き立つリディアン音楽院に侵入。生徒や学園祭を楽しむ人々を催眠ガスで眠らせ、校舎裏の人が立ち入らないところへ蒐集していた。ほぼ確実に捕食目的でな……』
「その異変にいち早く気付いてくれた矢的先生。ですが、年に一度の学園祭……其処で紡がれる唯一無二の”思い出”を守護る為に、単身で戦いを挑んでいきました」
『このバグバズンブルードは、言うなれば斥候であり戦闘員といった程度の戦闘力しか持たない。だがこの時ウルトラマン80は、自らの力を一体化した装者、雪音クリスに預けている状態で変身をした。
結果80は本来の力を出すことが出来ず、苦戦してしまっていたな……』
「そこへ加勢したマリアさんことウルトラマンネクサス。メタフィールドにバグバズンブルードとウルトラマン80を連れて移動したことで、勝負は付いたと思いました。
……それは、甘い考えだったのですが」
・File.14
【ウルティノイド ダークファウスト(影法師)】
「名前:ダークファウスト
種別:ウルティノイド(マイナスエネルギー集合体)
身長:48メートル
重さ:32,000トン
能力:軽快な運動能力と光線技」
『バグバズンブルードに加勢する形でメタフィールド内に乱入してきた、我らウルトラマンに似た風貌と黒き眼を持つ邪悪な闇の巨人。それがこの、ダークファウストだ』
「マリアさんが展開したメタフィールドを、自分が有利な空間であるダークフィールドに塗り替えたりバグバズンブルードに更なる力を与えたりと、此方に不利な戦いを強いて来ました。
そして何故かウルトラマン80を執拗に狙い、彼に致命傷を与えてしまいました……」
『その後に翼とゼロがメタフィールド内に突入。状況を打開するためにウルトラギアを使うが、魔剣の呪いと二人の怒りが共鳴し、暴走状態になってしまった』
「この時戦っていたバグバズンブルードは暴走状態に陥ったゼロさんが斃し、それを見てダークファウストも一時撤退。それでも収まらない暴走に対し、マリアさんが捨て身で攻撃したことによりようやく沈静化したんです……」
『ウルトラギアの初戦としては様々な課題を齎された戦いだったな。翼とゼロはその後ウルトラギアを完全に扱えるようになれたが、それはまた後程』
「ただこの戦いが、ヤプールとの戦いを終えた皆さんを次なる戦いへ誘っていったのです」
・File.15
【時間怪獣クロノーム】
「名前:クロノーム
種別:時間怪獣
身長:50メートル
重さ:45,000トン
能力:触手から電撃を放ち、白い煙で一時的に時間の狭間に身を隠す」
「大きな傷を負った翼さんとゼロさん。お二人に休暇を与えた時に出現”した”とご報告を受けた怪獣です」
『過去形なのは、我々やS.O.N.G.側では補足することが出来ず、飽くまでも翼の報告書とシンフォギアに残された戦闘記録に依るものだからだ。後に80からこの怪獣の詳細は教えてもらったが、なんとも恐ろしい怪獣だったようだな……』
「時間怪獣の名の通り、時間を操り時の継ぎ目の中に潜んで知性体を捕獲、その者が持つ記憶――”想い出”を利用して過去の世界へと移動する能力を持っています。この能力で時間や記憶の流れを狂わされ、星と文明を滅ぼしてきたとも言われています。
翼さんからの報告書では、クロノームによって過去……アーティストユニット・ツヴァイウィングの結成日に飛ばされ、同時に出現した闇と巨人と共に其処で交戦。接戦の末に撃破したと報告に在りました」
『大きなアオウミウシのような外見に、太い触手で自由を奪い電撃や破壊光線で二人を窮地に陥れたらしいな。単純な戦闘力も高かったのだろう
だが、報告書と戦闘記録にはクロノームを越える衝撃的な存在が記載されていた』
・File.16
【ウルトラマンベリアル(影法師)】
「名前:ウルトラマンベリアル
種別:M78星系人(マイナスエネルギー集合体)
身長:55メートル
重さ:60,000トン
能力:兇悪な攻撃性と必殺の光線技」
「ボクたちに力を貸してくれている光の巨人ウルトラマン。その中で唯一の例外として闇に墜ちた者がいました。それがこの、翼さんとゼロさんの前に出現した闇に墜ちた
『ゼロとは非常に因縁深い相手とは聞いていたが、まさかこのような形で逢いまみえることになろうとはな……。
しかもその変身者は、翼にとって最も重要な人物である天羽奏だった。時間を越えた先、記憶を手繰った過去での再会は余りにも非情な者に蹂躙されてしまうことになってしまった』
「ベリアルはクロノームを引き連れ、2対1でゼロさんを追い詰めていきました。肉体的にも、精神的にも。
中でも非道を貫いたのは、奏さんを人質に取りつつその身を操りシンフォギアを励起。ボクたちが生み出したウルトラギアとほぼ同質と言える、『巨人がシンフォギアを纏う』ことを先に為されてしまうことになってしまいました……」
『その姿を見て再度暴走してしまうゼロと翼。だがそれをも凌駕され、意識を奪われた中で二人は互いの内にあるものを識り合う共有し合う事でより深いユナイトを為すことに成功する。
そして二人はついに、真の意味でウルトラギアの
「そうして新たな力の制御に成功したお二人は、その力でガングニールを纏うベリアルとクロノームを圧倒。諸共に倒していったのですッ!」
『そしてヤツを斃したことで、ある一つの事実が明らかになった。翼とゼロが遭遇したウルトラマンベリアルは、記憶の闇を想起させるエタルガーと風鳴翼に憑依していた黒い影法師の力で生み出されたマイナスエネルギーの塊だったと言うことだ。
憑依者の闇を増大させる黒い影法師と、それを引き出し解放させるダミーダークスパーク。それが今回の戦いの大きな鍵となっていくのだった』
・File.17
【硫酸怪獣ホー】
「名前:ホー
種別:硫酸怪獣
身長:50メートル
重さ:20,000トン
能力:口からの光線、目から硫酸の涙を振り撒く」
「翼さんとゼロさんがウルトラマンベリアルを斃して二週間後、突如リディアン周辺に出現した怪獣です。かつてウルトラマン80と交戦した経歴があり、ボクたちも先生から貰ったデータを参照に調べていきました」
『これに対し急行した響ことウルトラマンガイア。だが街中に何度も入ろうとして苦戦していたようだ。
そしてこのホーの襲撃と共に、クリスと猛の前に現れたのは、彼女の忌まわしき過去の姿……ネフシュタンの鎧を纏った”もう一人の雪音クリス”だった』
「ホーの硫酸の涙に苦戦する響さんでしたが、北斗さんに激励されて復活。クァンタム・ストリームでホーを一時撃退したのです」
『後に判明したことだが、ホーは私たちがよく知るクリスが”卒業”や”進路”を前にして知らず内に溜め続けていたマイナスエネルギーが放出されて怪獣と化したとあった。
それと同時に、ネフシュタンの鎧を纏うクリスは憑依していた黒い影法師が彼女のマイナスエネルギーを引き出した事で誕生したものでもあった』
「北斗さんに指示されて救援に向かっていた調さんと切歌さんに助けられたクリスさんと矢的先生。しかしクリスさんの心には大きな痛手を負ってしまっていたのです……」
『自らの想いが世に害為す怪獣を生み出してしまった。そして自らの闇が自身の心を抉り、猛を傷付けてしまった。決して自分に悪意があった訳ではなくとも、クリスに訪れた状況は彼女の心を固く閉ざしてしまうのに充分だった……』
「そんなクリスさんに対し、矢的先生は何処までも先生として、クリスさんにかけるべき言葉をかけ、自らのご経験と共に想いを伝えていきました。そしてクリスさんもやがて、矢的先生に対して本当の意味で心を開くことが出来ていったのです。
そうして二人が心を通わせた時、本当の敵を伴い”もう一人のクリスさん”が現れました!」
・File.18
【インセクトタイプ・ビースト バグバズングローラー】
「名前:バグバズングローラー
種別:インセクトタイプ・ビースト
身長:53メートル
重さ:35,000トン
能力:表面を覆う硬皮と鋭い鎌」
『”もう一人のクリス”。その正体はクリスに憑依していた黒い影法師が彼女のマイナスエネルギーを得て具現化したもう一人の、”かつての自分自身”だった。
他者を、特に自分の生きて来た世界を壊した大人を信用できずに、力と痛みこそが争いを失くし世界を一つにする行いだと信じて止まなかった痛ましい記憶より生み出されたクリス。そしてそれがダミーダークスパークで変身した姿がダークファウストだった。
そこにネフシュタンの鎧を纏い、ウルトラマン80へと変身したクリスさんと矢的先生を追い込んでいきます』
「そんな彼女が引き連れてきたのが、これまで何度かリディアンに潜入していたバグバズンの母体、バグバズングローラー。その目的はクリスさんの心を更に追い詰めるべく、リディアンを破壊しようとしたのです。
ですが、そこに昼間に現れ響さんと戦っていた怪獣ホーが現れました。なんとクリスさんと先生に代わり、リディアンを守護る為に。でもその顛末は悲しく、バグバズングローラーにその身を形成するマイナスエネルギーごと喰われて消滅してしまうと言うものでした……』
『80曰く、クリスのマイナスエネルギーより生まれた怪獣故にクリスの心情の変化がホーにも影響を与え、今回のような行動に出たのではないかと言われている。
様々な事例が存在し数多の不安定性を持つマイナスエネルギーだからこそ、このような事例も起きたのかもしれないな……。そんなホーの行動を見て、心を繋ぎ固めたクリスと猛はウルトラギアを遂に
「新たな力を制御したお二人はマイナスエネルギーを吸収、正方向へと転換する力を発現させながら放った必殺光線でバグバズングローラーとネフシュタンを纏ったダークファウストを撃破。
最後はクリスさんが自身に憑いた影法師……マイナスエネルギーより生まれたもう一人の自分自身に手を差し伸べ、かつて自分がしてもらった時のようにその手を握って浄化していったのでした」
・File.19
【フィンディッシュタイプ・ビースト ノスフェル】
「名前:ノスフェル
種別:フィンディッシュタイプ・ビースト
身長:50メートル
重さ:39,000トン
能力:素早い動きと鋭い爪、人間に細胞を寄生させ操る」
「クリスさんと矢的先生の一件が終わった後のある日、北斗さんからかつて共に戦っていた人の話を聞いた調さんと切歌さん。その帰り道でお二人はある少年と出会います。
以前クリスさんと切歌さんを襲い捕えた四次元宇宙人バム星人の少年アコル。彼はヤプールの隷属となっていた同胞たちを救う為、単身で此方側に現れウルトラマンに助けを求めに来たのです」
『そんな彼との出会いが、調と切歌、そしてウルトラマンエースにとって大きな転機となる戦いの始まりだった。
彼と共に四次元空間に訪れたエースと調と切歌。この時クリスと80も同行する予定だったのだが、空間転移の際に何者かの介入により四次元空間に入れず、エースたちに任せることになってしまった』
「そんな中で出現したのが、このスペースビーストのノスフェルです。エタルガーを経由してヤプールの手先として現れたノスフェルは、バム星人たちをビーストヒューマンとして操り人質兼戦力にすると言う卑劣な手段で皆さんを追い詰めていきました。
屍人であるビーストヒューマンたちはアコル少年を拉致したまま寄り集まりノスフェルの身体の一部として融合。調さんと切歌さん、北斗さんに襲い掛かります。そして囚われた彼を助けるべく、三人はウルトラマンエースに変身し、戦いを挑みました」
『ノスフェル自身には素早い動きと鋭い爪以外に特筆すべき能力は備わっていない。百戦錬磨のエースが相手ではその動きで翻弄することも叶わず、必殺のホリゾンタルギロチンでアコルが囚われている頭部を切り離される。
そして止めにとメタリウム光線を放つところで調に止められてしまう。彼女の眼には、三人の知人である七海の姿がノスフェルの体内に視えていたからだった』
「ですが、北斗さんも切歌さんもそれは調さんに憑いた影法師が見せている幻覚だと言い切り、全ては調さんを影法師から助ける為にも彼女の制止を振り切りメタリウム光線を発射。ノスフェルを討ち倒します。
――ですが、その体内には調さんの言う通りに七海さんが囚われておりました……」
・File.20
【最強超獣ジャンボキング】
「名前:ジャンボキング
種別:最強超獣
身長:59メートル
重さ:50,000トン
能力:巨大ヤプールと四大超獣の力を全て併せ持つ」
「失意と共に走り去った調さん。離れ離れになった切歌さんと北斗さんの前に、遂にエタルガーが現れました」
『ヤツが語ったバム星人たちを巻き込んだこの事件の真相は、ウルトラマンエースこと北斗星司に影法師を憑依させ、ウルトラマンからもマイナスエネルギーを引き出しその力を得ようとするものだった。
その卑劣な罠に嵌ってしまい、調とも仲違いを誘発してしまうことになったのだ』
「しかし北斗さんはその事実に一切絶望することなく、逆に開き直る形で自らの内より影法師ともいえるマイナスエネルギーの塊を引き剥がします。ですがそのせいで北斗さんは力を大きく削られ戦える状態ではなくなってしまいました。
其処へ現れたのが復活したノスフェルと、北斗さんから引き剥がしたマイナスエネルギーとヤプールの怨念が入り混じって誕生した最強超獣、このジャンボキングです」
『かつてウルトラマンエースが戦った超獣であるカウラ、ユニタング、マザリュース、そして巨大ヤプールが合体して生まれたジャンボキング。かつてエースが地球にて、一人で最後に戦った超獣とされている。
それが今一度蘇り、バム星人たちの四次元世界を蹂躙しながら進撃していった』
「一方で調さんを欠き北斗さんも著しく体力を奪われた上に、エタルガーが操るノスフェルの力でバム星人は全員がビーストヒューマンに変化させられてしまう可能性が出て来た中、それでも屈することなく決して諦めようとしなかった切歌さん。
そんな彼女に襲い掛かる、ビーストヒューマンと化し自由を奪われたアコル少年。ですがそこに、大好きな誰かを信じる心を取り戻して調さんが戻ってきました! そして其処にもう一人、調さんにその心を取り戻す切っ掛けを与えた一人の女性が共に現れたのです!」
『彼女の名は、【南 夕子】。かつて北斗星司と共にウルトラマンエースとして戦っていた、月星人の女性だ。彼女の存在はエース……星司に多大な影響を与え彼にとって唯一無二の存在であると言えるだろう。
その夕子の力で一時的にノスフェルのビースト因子を抑制、アコル少年をビーストヒューマンから救い出し、戦いを拒む穏健なバム星人たちも一緒に守護っていった』
「調さんと切歌さん、北斗さんと南さん。奇跡とも呼べる四人の邂逅は、光となってジャンボキングとノスフェルの前に起ち上がったのです」
『力を大きく削られた星司の分まで調と切歌、そして夕子が力を補い四人での変身を成して生まれたウルトラマンエース。その雄々しき力は健在だったが、それでも重戦車のように猛進するジャンボキングと素早い動きで隙を狙うノスフェルのコンビネーションはエースを追い込んでいった。
そこで四人は、ウルトラギアの
「ウルトラマンエース用に調整したウルトラギアは、調さんのシュルシャガナと切歌さんのイガリマ……その原典である戦神ザババを意識して調整を施しました。ウルトラマンエースが二人の刃を共に扱えるようにと。
しかしいくら双刃が由来の聖遺物であろうとも、其れは二つのシンフォギアと二人の適合者であることに変わりはありません。本当に扱い切れるものかどうか分からずに居たのが本音です……」
『だがエルフナインと私が作った力を、自らと適合したシンフォギアを、そして自分たちを受け入れてくれた星司を何よりも信じ、星司もまた夕子の後押しを受けて調と切歌の手を真の意味で受け止めることでウルトラギアの
鏖鋸と獄鎌、両者のギア特性を併せ持つウルトラギアとして誕生した!』
「ふたつのシンフォギアの力を制御、解放したウルトラマンエースはシュルシャガナとイガリマの両者の力を掛け合わせた怒涛の攻撃でジャンボキングとノスフェルを圧倒。ノスフェルの再生能力を諸共に断絶し、必殺の一撃でジャンボキングも討ち倒しました!」
『こうして戦いを終えた四人は七海とバム星人たちの全てを救い、そして微かな奇跡と共に現れた南夕子はまた自らの世界に帰って行った。
星司と調と切歌はそれを見送りながら、『優しさを忘れないでくれ』と言うエース自身の永遠の”願い”を彼女らに語り継いでいったのだった』
・File.21
【フィンディッシュタイプ・ビースト ガルベロス】
「名前:ガルベロス
種別:フィンディッシュタイプ・ビースト
身長:52メートル
重さ:39,000トン
能力:幻影で敵を乱し、三つの頭部からは火炎弾を吐く」
『ゼロ、80、エースと、次々にエタルガーからの驚異を退けウルトラギアを発動してきたみんな。そこで得られた情報を整理していく中で、マリアは影法師が定める次の標的が自分か響ではないかと目測する』
「それに答えるかのようにマリアさんはスペースビーストの存在を検知。遅れて司令部にも反応が起き、すぐさまその発生場所を特定。マリアさんが単独で急行します。
向かった先はアメリカ……其処はマリアさんにとって忘れ得ぬ場所、旧F.I.Sの研究所跡地だったのです」
『内部にてノイズとの抗戦を始めるマリア。深層へと進んだ先に現れたのは、もう一人の彼女自身。だが自らの弱さと対峙し乗り越える強さを持っているマリアは、もう一人の自分自身を迷わず両断する。
そして幻惑が崩れ去ると共に現れたのが、このガルベロスだった』
「人の心を弄ぶスペースビーストに怒りを覚えながら、マリアさんもネクサスに変身。ガルベロスの幻影攻撃や火炎弾を浴びせられながらも、オーバーレイ・シュトロームで撃破します。
……ですが、マリアさんはそこである人間と再会するのでした。魔法少女事変の最後、マリアさん自身が『最低の英雄』と語った事変解決の裏の立役者……ウェル博士と」
・File.22
【ダークルギエル(影法師)】
「名前:ダークルギエル
種別:暗黒魔神
身長:ミクロ~無限大
重さ:0~無限大
能力:暗黒の槍を奮い、命の”時”を人形として固定する」
『マリアの前に立った男、Dr.ウェル。英雄願望の権化とも言うべき彼を、マリアは自らに巣食った影法師が生み出した闇の一部だと捉えていた。だがそれは、彼自身が否定することとなる。
そして彼は高らかに語った。真にこの世界を救うのは、彼女たちシンフォギア装者ではなく我々ウルトラマンたちでもなく、英雄である自分自身なのだと』
「ウェル博士は自らの纏うマイナスエネルギーを収束させ、自身の力を顕現させました。これまで観測されていた”ダミー”ではなく、本物の【ダークスパーク】を。
それを自らの左腕……ネフィリムの因子を宿し聖遺物を支配する異形の左腕。その掌に現れたライブサインをリードすることで、博士はその身体を闇の巨人、ダークルギエルに変化させたのです」
『マリアも其れに追うようにネクサスへと変身するが、連続の変身で残り少ない体力ではアンファンスになるのが精一杯。それに加え、ダークルギエルが自らの力でダークフィールドを展開した為、ネクサスにとっては全てが不利な状態に追い込まれもがくように戦っていた』
「ですがルギエルの圧倒的な力はマリアさんをいとも容易く蹂躙し、その中で博士の掲げる恒久的な地球平和のヴィジョンを語り上げます。
それは、命の時を止めて人形と化すダークルギエルの力で地球に在る命の全てを停止、管理することで外敵はおろか内なる敵をも封印すると言う生在るモノの自由と尊厳を奪うものでした」
『必死でそれを否定するマリアだったが、体力の失いかけたその身体では満足に戦う事も出来ず、その光の力を奪われていってしまう。それは彼女の心を折り砕くには十分なものだった』
「持ち得る力の全てを奪われたマリアさん。そしてウェル博士が為そうとする世界も平和の一つと捉え、力果てて闇に落ちていきます……。
ですが其処で、マリアさんは自らに刻まれたものと再会を果たし、想いを語っていきました。そこで遂に見つけたのです。マリアさんに与えられた、その光の意味を」
『自らの素直な欲望……ただ誰かのため、そして自分自身のために歌を歌っていたい。自らの歌で世界と絆を結び合ってきた彼女の、たったそれだけの、だが何よりも大切な望みに気付いたマリア。
互いに連環し高まり合う”しあわせの祈り”こそが、彼女を選んだ【光】の意味だったのだ』
「その意味に気付いた時、マリアさんの魂から光が沸き上がり何度倒れても立ち上がっていきました。そして遂に、マリアさんも自らの闇を抱いて光とする為にウルトラギアを
『アガートラームとウルティメイトイージス、地球と宇宙、二つの白銀の聖遺物が融合して、闇を
「一方でウェル博士のダークルギエルも博士の持つネフィリムの力を暴走させその身に纏い、ネフィリムルギエルとして立ちはだかります!
激しさを増す二人の戦いは佳境を迎え、ネフィリムルギエルもウルトラギアを纏ったウルトラマンネクサスも全ての力を光線として解き放ちぶつかり合い、やがて光は闇すら喰らい尽くそうとする暗黒魔神をも飲み込み、互いに自らの力の全てを使い果たしていったのでした……!」
・File.23
【クラスティシアンタイプ・ビースト グランテラ】
「名前:グランテラ
種別:クラスティシアンタイプ・ビースト
身長:53メートル
重さ:43,000トン
能力:強力な外殻と胸部から放つ火炎弾」
『時間にしてアメリカでマリアとガルベロスが戦っている最中、東京にも暗雲が発生。そこからスペースビーストが出現した。それがこの、グランテラだ』
「偶然近くに居て、即座に対応できた響さん。ウルトラマンガイアに変身して戦いを挑みます」
『だがグランテラの表面を守る甲殻は非情に強固で、響とガングニールのフォニックゲインを持ったガイアの攻撃にもビクともしなかった。
クァンタム・ストリームも表面を焦がすだけであまり通用はせず、逆に反撃の爪や展開した胸部からの火炎弾にガイアを追い詰めていった』
「ですがウルトラマンガイアに、響さんに届く人々の応援の声。それが響さんに不屈の力を与えていきました」
『そして彼女はUキラーザウルスの時に見せた、彼女の得意とする内部増幅エネルギーを直接相手にぶつけ貫く必殺技を叩き込んだ。其処へ生じた亀裂に目掛けてフォトンエッジを撃ち放ち、グランテラを爆散させていった。
そうして響はグランテラとの戦いを終え、日常の中に帰っていったのだが……』
・File.24
【愛憎戦士カミーラ(影法師)】
「名前:カミーラ
種別:闇の超人
身長:49メートル
重さ:39,000トン
能力:超冷凍を放つ刃と鞭」
『響の日常の中に潜んでいた歪み……それは彼女の過去に在り続ける、耐え難くも耐え続けてきた痛み。心無き者に傷付け抉られた過去に受けた心の傷。
それは心優しき友人たちにより傷は埋めていくことが出来た。のだが……』
「その傷は、思いも寄らぬところに伝播していたのです。響さんの日常の象徴である、未来さんに」
『何時からか影法師に憑かれていた未来。その身の内で……恐らくは自らも気付かぬ内に膨らませていたマイナスエネルギーが、響を傷付けられた事に反応して爆発。凶行に走ってしまった』
「全ては響さんの為だと自己肯定をしながら響さんの心を傷付けた者を痛めつける未来さん。その惨状に、遂に響さん自身がその拳を握り締め未来さんに向けるのでした……。
一方でそのマイナスエネルギーを用いて神獣鏡のギアを纏う未来さん。そんな二人の間に、メフィラス星人が割り込み響さんを連れて消えて行きました」
『メフィラス星人との問答と父親との再会と対話を経て、自分が未来とどう向き合うか決めた響。そして二人は思い出の場所で再会し、響が自らの夢と想いをぶつけることで未来の歪み増幅された想いを否定、拒絶するに至った。
最愛の人による否定、最も大切なものを失くしてしまい絶望した彼女のマイナスエネルギーが奔流と化し、ダミーダークスパークに伝播。愛憎戦士カミーラとしてダークライブしてしまった』
「それに合わせ、響さんもウルトラマンガイアに変身しました。未来さんに、大切なものはこの世界の何処にでもあると伝える為に」
『そうして始まった二人の戦いは激しさを増し、やがて未来の変身したカミーラは彼女がかつて纏っていたシンフォギア、神獣鏡を身につけて、更に猛攻を続けていく。
一方では本心から未来と戦うこの事態にどうしても心を乱されたまま戦い続ける響。だがこれも自分自身が選んだ選択だと心を踏み締め、彼女も遂にウルトラギアを発動させていくのだった』
「元来ウルトラギアは、響さんとウルトラマンガイアの戦いの中で発現した状態を元に完成させたもの。響さんにとってこの奇跡はある種の必然だったのかも知れません。
しかしてその必然は力となり、響さんでありウルトラマンガイア、その身に纏っていったのでした」
『超冷凍を放つカミーラはその凍て付く波動と共に聖遺物を消滅させる神獣鏡の力が重なり、動きを封じながらウルトラギアをも消し飛ばしていく。
まるで、未来が自分の闇にうずくまり全てを拒絶するかのように』
「ですがそれでも、響さんはその手を伸ばし続けました。大好きな親友に、その掌と光を届かせる為に。そしてその握り締めた拳はカミーラを撃ち貫き、大きく開いた掌は未来さんを包み込んで離さないようにしていったのでした」
『互いに変身が解け、空から落ちる二人。死の危機が迫る彼女らを救ったのは、これまで何度も響と未来の前に立ってきたメフィラス星人だった。
彼の手によって窮地を脱した響と未来。涙ながらの抱擁と共に互いの仲を取り戻していった』
・File.25
【風ノ魔王獣マガバッサー】
「名前:マガバッサー
種別:風ノ魔王獣
身長:55メートル
重さ:20,000トン
能力:超旋風を操り天に異変を巻き起こす」
「エタルガー、そしてマイナスエネルギーの力で蘇ったキャロル。
命題の答えを得て尚、万象黙示録を実現する為に動き出したキャロルは、世界に点在する
『それは、今まで影法師としての力も併せ持ったオートスコアラーたちが記録してきたダミーダークスパークのマイナスエネルギーを楔と変え、
そこから楔を反応させ、世界解剖の為の亀裂と為そうとしていた。その楔から生まれオートスコアラーを核として超獣やスペースビーストらを超えるモノを顕現させた』
「それこそが魔王獣。魔神の呼び声と世界を壊す歌に応じ顕現せし魔獣。
このマガバッサーは、ロンドンにて翼さんとゼロさんの前に現れたファラ・スユーフが核となる事で誕生した風ノ魔王獣です」
『ロンドンの地に台風を発生させ、周囲に竜巻を起こしながらゼロと翼を追い込んでいく。勿論ただでやられる二人ではないが、このマガバッサーには本来持ち得ない特殊能力が備わっていたのだ』
「かつてファラが手にし、自らの司るアルカナを示したものである剣……哲学兵装
『一方的に押されてしまう二人だったが、現れた者たちによる体力の回復を為した後、
「こうしてロンドンでの戦いは幕を閉じ、翼さんとゼロさんは東京に向かって飛んで行くのでした」
・File.26
【土ノ魔王獣マガグランドキング】
「名前:マガグランドキング
種別:土ノ魔王獣
身長:70メートル
重さ:21,5000トン
能力:頑強な装甲を持ち万物を貫き大地を陥没させる」
「マガバッサーと同時期に出現した、土を司る魔王獣。奇しくもそれが現れたのは、バルベルデ共和国でした」
『其処へ降り立ったのはこの場に因縁を持つクリスと、その相方であるウルトラマン80。バルベルデの大地を崩しながら進むマガグランドキングの前に、力強く立ち塞がったのだった』
「オートスコアラーのレイア・ダラーヒムが核となって同化したマガグランドキングは、万物を貫く赤い光線――マガ穿孔とレイアの用いる黄金の弾丸でクリスさんと矢的先生を苦しめていきますが、ふとした切っ掛けで反撃の手段を見出したのでした」
『それはマガ穿孔は鏡面反射が可能だということだった。もちろんそれだけではどうしようもなかったが、各地で戦うウルトラマンたちを回復させる輝き――80とクリスにも平等に降り注いだ光を得て、力を取り戻した時に一気に反撃に打って出たのだ』
「撹乱の後に放たれるマガ穿孔を狙い、両腕を交差させて強靭な防御姿勢を取るウルトラVバリヤーと光線などを反射させるリバウンド光線を交差した腕に纏い、其処にクリスさんの纏うイチイバルの力を用いて生み出したリフレクターが展開され、高い反射率を誇る光壁となってマガグランドキングに向けられました!」
『跳ね返されたマガ穿孔はマガグランドキングの強固な装甲を貫き、その勢いのまま誘導能力の付与されたバックルビームと二人が得意とするBILLION SUCCIUMで一気に殲滅!
戦いを終えた80とクリスは、導かれるように東京へ目指して飛翔していった』
・File.27
【水ノ魔王獣マガジャッパ】
「名前:マガジャッパ
種別:水ノ魔王獣
身長:60メートル
重さ:35,000トン
能力:おびただしい臭気で水を腐らせ、毒ガスを吐き出す」
「世界に同時に出現した魔王獣、マガジャッパはアメリカはマンハッタンに出現した水を司る魔王獣でした」
『その常軌を逸した臭いは人々を無差別に苦しめ、意識を奪い死に向かわせていた。オートスコアラーの一人であるガリィ・トゥーマンに宿された性格――性根が腐っていると揶揄されるほどの捻れた感情が、マガジャッパに悪辣な力を付与させたのだろう』
「もはや猛毒ガスと化した臭気を噴出し、同時に氷塊を伴う水流波を放つマガジャッパに対して立ち塞がったのは、ダークルギエルとの戦いから蘇ったマリアさんことウルトラマンネクサスでした!」
『だがダメージの残る身体での戦闘、しかも市民を人質に取られていたが為に劣勢を強いられるネクサス。しかし彼女の元にも降り注いだ光がその身に力を与え、真の力を引き出していった!』
「シドニーで初めて現れたゼロさんが見せたものと同じように、赤い光と青い光――ウルトラマンダイナとウルトラマンコスモスの力を併せ引き出したマリアさん。優しき青の光の力で猛毒ガスに侵された人々を救い出し、力強い赤の光の力で一気呵成に攻め立てていきました」
『最後はその両者の力を併せ高めた必殺光線、エクリプスフラッシュレイ・シュトロームを放ち、コアであるマガクリスタルごと完全に消滅させたのだった。
そして彼女もまた、東京に針路を取り飛翔していった』
・File.28
【火ノ魔王獣マガパンドン】
「名前:マガパンドン
種別:火ノ魔王獣
身長:40メートル
重さ:15,000トン
能力:全身から発する超高熱で近寄るものを全て焼き尽くす」
『世界に同時出現した魔王獣の四体目。中東はクウェートに出現したのは火ノ魔王獣と呼ばれるマガパンドンだった。
全身から発せられる超高熱で自らを火球にするその姿は、偽りの太陽という異名に相応しいモノだったな』
「そこへオートスコアラー、ミカ・ジャウカーンをコアとして取り込む事でミカの持つ高熱のカーボンロッドの錬成と発射を可能とし、調さんと切歌さん、そしてウルトラマンエースを追い込んでいきました」
『元より三人は、マガパンドンの周囲を纏う炎を打ち消す為に、多くのエネルギーを消費する大技のエースバリヤーを使ったばかりだったからな……。その上超高熱を用いて身体を冷やし固めて接着したり、消火フォッグも通じなかったりと、エースに対して非常に分の悪い相手となっていた』
「その絶体絶命の危機に放たれた――皆さんに同時に降り注がれた――光が三人の力を回復。溢れる力で相手の防御を上回る連続攻撃で討ち倒すべく、必殺技を撃ち放っていきました!」
『必殺の合体技である
完全勝利となったわけだ』
「そしてお三方もまた、東京に向けて飛翔していきました。決戦の地へと向かう為に」
・File.29
【鏖殺錬金超人ソングキラー】
「名前:ソングキラー
種別:鏖殺錬金超人
身長:75メートル
重さ:45,000トン
能力:模倣したウルトラマンたちの必殺技とダウルダブラの能力を併せ持つ」
「Dr.ウェルと同じく、黒い影法師を依り代として蘇ったボクの半身である錬金術師、キャロル。殲琴ダウルダブラの聖遺物より生み出したファウストローブの力を解き放ち、先の魔法少女事変にて碧の獅子機を生み出したのと同じように魔弦硬糸で作り上げた錬金超人です」
『影法師がデータを与えていたのか、その姿はかつてウルトラマンエースやウルトラ兄弟たちを苦しめた異次元超人エースキラーの姿を取っていた。
エースキラーの最大の特徴は、なんと言ってもウルトラマンたちの戦闘データを組み込むことでその得意技を我が物とし、そのまま扱えることが挙げられるだろう』
「キャロルの生み出したソングキラーもその例に違わず、この世界に降臨したウルトラマンたち……ゼロさん、エースさん、80先生、響さんのガイア、マリアさんのネクサスのデータからそれぞれの得意技を模倣し、しかも自らの持つ武器を装者の皆さんが持つアームドギアと同じ形状を変化、攻撃に転用していったのです」
『その上これまで出現した闇の巨人たちの力も奮い、またそれらと同様にソングキラーもダウルダブラを身に纏うことで操るキャロルの力である想い出を償却して放つ超高出力のフォニックゲインで、相対していた響を追い詰めていった。
圧倒的な猛攻を繰り返すキャロルのソングキラー。それに対し、私たちは今まで計画していたプログラムを実行した』
「【Realize.UX】……此方側の錬金技術を以てウルトラマンエックスを疑似顕現させる、ボクとエックスさんで組み上げたプログラム。元来は装者の皆さんとウルトラマンが完全に融合してしまった時を見越して、両者を強制分離させる為に組み上げたものでした。
ですがそれが、キャロルを止める為に使うことになるなんて……」
『だが止めねばならない理由があった、仕方ない事さ。
そうしてエルフナインやみんなの助けを得て錬金技術で作り出した義体のアルケミー・スパークドールズに宿る事で、私は遂に立ち上がることが出来た。そして響のガイアと共にキャロルを止める為に立ち向かっていった』
「ですがマイナスエネルギー体であるキャロルから湧き上がる憎しみの炎は、受け止めようとした響さんを吹き飛ばし、不完全なエックスさんもキャロルに激しく弄られて窮地に陥ってしまいます……。他の皆さんは魔王獣との戦いを繰り広げており、誰にも助けを求められぬ中……それでも思わず声に出してしまいました。
『誰か、助けて』と……。誰も助けてなどくれないと、理解っていたはずでしたのに……」
『――だが、世界は其れに応えた。時空を越えて現れた小型の飛行物体……そこに乗っていたのは一人の青年。彼こそが私の居た世界での相棒にして私にその身体を貸してくれていた地球人、大空大地だったのだ』
「大地さんはエックスさんと再びその心を一つに合わせ、
『だが大地が居れば私も百人力……とまでは行かず、辛うじてキャロルの意表を突くことで倒れずに居たというだけだった。
しかしみんなの想いは大地にも繋がれており、大地もまた小難しい理屈よりも私が信じる皆を信じてくれた。その想いと共に、私たちは今まで出会ったウルトラマンたちから譲り受けた力……ウルトラマンたちのサイバーカードを駆使し、ソングキラーへ大きな一撃を与えることが出来た』
「しかしそこで、エタルガーが更なるマイナスエネルギーを放射。キャロルの哀しい想い出を無理矢理呼び起こし再燃させることで、破壊の権化にしようとしていきました。
ですがエックスさんと大地さんも、一つの限界を超えた強化形態――エクスラッガーと呼ばれる、ボクらの世界で言う完全聖遺物を用いて変わる――虹色の巨人、エクシードエックスへと強化を果たします!」
『それでもなお強大なキャロルのマイナスエネルギーを償却して放ち続けるソングキラー。だが我々に力を貸してくれたのは、他ならぬ世界中で戦っていたみんな……。
皆がレイラインを通じてエネルギーを放ち、響がそれを束ね、エルフナインがそのフォニックゲインを力に変えて私と大地に放ってくれたんだ』
「みんなの想いを受け取ったエックスさんと大地さん、そしてエクスラッガー。七色の輝きと共に繰り出したエクシードエックス最大の浄化の技、【エクシードエクスラッシュ】でソングキラーを完全に行動不能にし、そして遂にキャロルを救い出すことに成功したのでした……!」
・File.30
【超時空魔神エタルガー】
「名前:エタルガー
種別:超時空魔神
身長:55メートル
重さ:35,000トン
能力:全身から光弾を放ち、相手の心の弱い部分を実態ある幻として露呈顕現させる」
『この戦いにおける黒幕の一人、それがこの超時空魔神エタルガーだ。
黒い影法師を従え、ヤプールと共同戦線を敷きつつもその力を利用しスペースビーストをもその手中にしていた邪悪な魔神だった』
「存在自体はヤプールを討ち倒した後に皆さんから教えてもらっていましたが、実際に前に出て来たのはバム星人の四次元世界で、調さんと切歌さん、北斗さんの前に出現したのが最初でした」
『次いでキャロルの復活と共に響と未来、メフィラス星人の前に現れ、本格的な行動を起こしこの世界へ侵攻してきた。
そしてキャロルの操るソングキラーが倒されたことで、遂に戦場へと現れたのだ。自らの目的を高らかに宣言しながら』
「エタルガーの狙いは、この『地球そのものに内包されているマイナスエネルギー』でした……。
月遺跡……バラルの呪詛により人類は共通言語と共に相互理解の術を喪失ってしまいました。その先史文明期を発端とする、人間同士の争い……。ヒトがヒトを殺す為にノイズを生み出し、ノイズを諸共に駆逐する為に神代の兵装である聖遺物が兵器として用いられ……。
歴史と共に科学技術の発展があり、それと同時に人はまた、戦争という血で血を洗う哀しいマラソンを続けてしまいます」
『地球から生まれた命を無碍にするそれらは、地球そのものを傷付けていくと言う結果と共に膨大な時間をかけて溜め込まれていたマイナスエネルギーに相違ない。
エタルガーはヤプールや影法師たちを利用し、自らの力を用いて地球のマイナスエネルギーを使って完全復活と更なる力を得るべく今まで行動していたのだった……』
・File.31
【暗黒魔鎧装アーマードダークネス】
「名前:アーマードダークネス
種別:暗黒魔鎧装
身長:62メートル
重さ:39,000トン
能力:装着者の持つ力を何十倍にも増幅させ、光の者を破壊する」
『地球のマイナスエネルギーを解放したエタルガー。自らの完全復活だけでなく、もう一重に用意されていたヤツの狙い……それこそがこの、アーマードダークネスの召喚だった』
「遥か宇宙から飛来したこの漆黒の鎧は、呼び水となったマイナスエネルギー……その中心点に居たエタルガーへと集まり、その身に装着されていったのです」
『聞くところによるとアーマードダークネスは自らの意志を持ち、装着者に莫大な暗黒の力を与える伝説の武具とされている。
だがその闇の輝きは装着者の命を以て力と変えるものであるらしく、真の装着者以外の命を喰らい尽すらしい』
「其れを支配する為にエタルガーが取った手段が、地球のマイナスエネルギーと影法師の力を利用するという事でした。自身の命の代わりに地球の命の一部でもあるマイナスエネルギーを影法師の力も合わせて増幅させ、邪悪な鎧を繋ぎ止めていたのです」
・File.32
【超時空暗黒魔神エタルダークネス】
「名前:エタルダークネス
種別:超時空暗黒魔神
身長:65メートル
重さ:45,000トン
能力:アーマードダークネスの武具と、それが齎す光を破壊する暗黒光線を放つ」
「エタルガーがアーマードダークネスを身に纏い、暗黒の力を解き放った姿です。その圧倒的な力は、大地さんとユナイトしたエックスさんをも窮地に陥れるほどでした……」
『私と大地も、ウルトラマンとウルトラマンティガのサイバーカードを用いた最強のアーマー、ベータスパークアーマーで対処していく。だが、エタルガーとアーマードダークネスの力はそれすら凌駕するほどに強大だった』
「漆黒の三又槍から放たれるレゾリューム光線はウルトラマンたちの持つ光の力を奪い破壊する力を持っており、その力で構成されているエックスさんのベータスパークアーマーも例外なく砕かれてしまいます……。
そこへエタルダークネスに操られながら襲い来るソングキラー。響さんもキャロルを助ける為に使ったS2CAで力のほとんどを失っており、気持ちだけ逸っても加勢に行くことも出来ずに居ました……」
『だがそんな窮地を救ってくれたのは、他でもないキャロルの虚ろな一言とそれを聴いたエルフナインだったな。
エタルダークネスに操られたソングキラーに対し、その場で組み上げたコントロールの簒奪とマイナスエネルギーの正方向変換の錬金術式。大地には分からなくとも私には即座に理解出来たぞ』
「えへへ……そう言っていただけるとボクも嬉しいです。
その術式をエクスラッガーを用いてソングキラーに注入することで、コンピューターウィルスのようにソングキラーを侵蝕、その動きを封じることに成功しました!」
『そしてそれだけに留まらず、光のエネルギーと化したソングキラーを媒体にしてベータスパークアーマーに宿るもう一つの力を解き放った。
【サイバーウィング】……光の力を電子の翼のように広げ、皆に力を分け与える能力。それを世界各国で戦っている装者とウルトラマン、そして力を使い果たしていた響を回復させていったんだ』
「其処からは各所で怒涛の猛反撃でした。翼さんとゼロさんはロンドンでマガバッサーを、クリスさんと80先生はバルベルデでマガグランドキングを、調さんと切歌さんとエースさんはクウェートでマガパンドンを、マンハッタンではマリアさんことネクサスがそれぞれ魔王獣を討ち倒し、そして響さんも復活と共にウルトラマンガイアへと変身、エックスさんの加勢に入りました!」
『各国から他のウルトラマンたちも帰還し、全員でウルトラギアを発動。それがエタルガーとの決戦の幕開けとなっていった!』
・File.33
【フィンディッシュタイプ・ビースト イズマエル】
「名前:イズマエル
種別:フィンディッシュタイプ・ビースト
身長:60メートル
重さ:60,000トン
能力:全てのスペースビーストの能力を兼ね備える」
『戦いの地である東京に集結したウルトラマンたち。その前に立ち塞がるエタルダークネスもまた、更なる驚異を出現させた。その一体がこの最強のスペースビースト、イズマエルだ』
「全てのスペースビーストの長所と能力を一体化させた姿らしく、この世界に出現したビースト以外の能力の発揮していました。
鋭い爪に火炎弾や電撃波、位相差への自由移動や幻覚を発生させての撹乱など、多彩な攻撃で攻め立てていきました」
『これに立ち向かって行ったのは、マイナスエネルギーに対する専門家である80とクリス、そして対ビーストのプロフェッショナルであるネクサスことマリアだった。
ウルトラギアを用いての猛攻を繰り返すが、先に挙げたイズマエルの持つ多くのビーストの力が三人を翻弄し、追い詰めていく。だが皆の歌が重ね合っている今、彼女ら全員の力は大きく高まっていた!』
「三人の必殺光線はマイナスエネルギーを浄化し、殺意に塗り固められたスペースビーストを滅する力があります。その輝きを浴びたイズマエルも、それには耐えられず光と共に消し去られていきました!」
・File.34
【異次元怨念超獣ヤプール】
「名前:ヤプール・キラーフルトランス
種別:異次元怨念超獣
身長:58メートル
重さ:93,000トン
能力:これまで斃してきた超獣の怨念がヤプールに力を与える」
「イズマエルと同じくして現れた、ヤプールの怨念の欠片……自らを超獣と化し、エタルダークネスの手の内に在って尚、ウルトラマンたちを斃す為に歪にその身を組み上げたヤプールです」
『しつこいと言う以外に言葉が無い……正しくそんな相手だった。
本体である巨大ヤプールのみならず、ベロクロン、キングクラブ、ドラゴリー、バラバ、ジャンボキング、Uキラーザウルスの各長所を取り込み、ソングキラーの元になったエースキラーの派生機であるビクトリーキラーの持つキラートランスでその長所を具現化。
ますます歪な合成超獣として我々の前に立ち塞がった』
「其処へ立ったのは、調さんと切歌さんと共に在るエースさん、そして翼さんと一体化しているゼロさんの、刃を操る御二方でした!」
『刀、鎌、鋸の三種を操り攻め入るエースとゼロ。だがヤプールも前述の超獣たちの力を使い分け、二人を襲い攻撃していく。
底知れぬその力は、エタルダークネスを中心としたヤプール、イズマエルの三体は互いに連環してマイナスエネルギーを高め合っていたのだ』
「しかし高まり合う皆さんの力はその連環を崩し、エースさんとゼロさんもまた必殺攻撃でヤプールとの戦いに終止符を打ったのでした!」
『同時に私と大地、そして響の変身したガイアも共にエタルダークネスに持てる力を叩き込むことに成功、アーマードダークネスを彼方へと吹き飛ばした!
……だが、その時ヤプールは最後に言い遺していた。『破滅の未来で、待っていろ』と。それが何を意味していたのか、我々はすぐに識る事となった……』
・File.35
【邪心王 巨大暗黒卿】
「名前:巨大暗黒卿
種別:邪心王
身長:1,500メートル
重さ:0トン
能力:生命体の中に潜むマイナスエネルギーを支配、邪悪なるものを召喚する」
「アーマードダークネスの内に潜み、エタルガーの命で動いていながらもエタルガーやヤプールを利用し、密かに自らの目的を進めていた存在。それが邪心王――ボクらが黒い影法師と呼んできた、意志を持つマイナスエネルギー集合体でした」
『時にヤツらは人……風鳴翼、雪音クリス、北斗星司、小日向未来に棲み付き、エタルガーの力を併せて内に秘めていたマイナスエネルギーを増幅、闇の巨人や最強超獣を生み出した。
またDr.ウェルやキャロル、キャロルの生み出した4機のオートスコアラーへとその身に受肉、変化を行なっていた。地球という器に溜め込まれていた膨大なマイナスエネルギーを得る為に……』
「そしてエタルダークネスを倒したことで、ついに本格的な動きを開始します。
邪心王は自らの姿を現し、アーマードダークネスごとエタルガーを操ってキャロルが再編した万象黙示録の完成を宣言……自らの目的を明かしました。
それは、ウルトラマンの存在する総ての世界を滅亡に導き、万象黙示録の果てにある世界――異形の海と呼ばれる位相へとこの世界を変える事だったのです」
『そしてその邪心王の目論みに誰よりも早く気付いていた者が居た。
奇しくもそれは邪心王によってマイナスエネルギーに記憶と肉体を与えられた存在。かつてこの世界に仇を為した男、Dr.ウェルだった』
「ドクターがマリアさんに託していたレポートには邪心王に関する情報と彼なりの考察が載ってあり、ドクターの中で彼の存在を定義付ける一文が最後に記されていました。
【根源的破滅招来体】……それが、邪心王という存在に対する定義であると」
『破滅招来体として、邪心王はこの世界を異形の海へ変えようとする。その為に邪魔な我らウルトラマンたちを排すべく、エタルガーをも生贄にして異形の海への扉を開き其処へ飲み込もうと捕えていった。
なんとか必死で耐える私たちだったが、先に倒れてしまったのは意外にもウルトラマンガイア……響だった』
「響さんが得た光は地球の命そのものとも言えるもの。そこへ地球そのもののマイナスエネルギーをぶつけられてしまい、響さんへの直接的なダメージとなってしまったのです……。それも、かなり大きな……」
『響だけじゃない、エタルガーとの戦いを終えた直後の我々や共に一体化している者達も大きなダメージを負っており、最早邪心王とまともに戦える状態ではなかった。
それでも侵蝕の手が緩むことは無く、我々は遂に最後の手段を取るに至った。それは我らウルトラマンの力を一つに合わせ、異形の海の位相侵蝕を僅かにでも遮る事だった。
だがそれにみんなを巻き込む訳にはいかない……。そう思った我々は、皆に希望を託して一体化を解除。バラージの盾となったマリアを中心に集い、位相侵蝕を可能な限り押し止めていったんだ』
・File.36
【破滅魔虫ドビシ】
「名前:ドビシ
種別:破滅魔虫
身長:62センチ
重さ:6.8キログラム
能力:無尽蔵の群体による突進と噛み付き攻撃」
「ウルトラマンたちに強制分離され、シンフォギアを纏って戦う力も出せないまでに疲弊した装者の皆さんや大地さんの前に襲いかかって来た破滅魔虫の群れ……。これも邪心王――暗黒卿が召喚した破滅招来体でした」
『無尽蔵に現れる巨大なイナゴのようなこの蟲は、天の光を遮りる闇となり、電波や光波を喰らい、人々の世界から繋がりと言うものを奪いにかかっていった。そしてその牙は大地や装者のみんなにも向けられ、猛然と襲い掛かっていった』
「ドビシたちは個々の戦闘力はさほど高いものではありません。ですが、何よりも厄介なのはその圧倒的物量。マイナスエネルギーがある限り無尽蔵に出現するドビシたちは、地球上空を遮ると同時に外敵の排除を行うかのように牙を剥いていきます。
それはみなさんが乗る特殊車輌――ジオアラミスにも集り、残された希望の芽を食い荒らすかのように突撃。ハイウェイを走っていたジオアラミスは空中へ投げ出され、爆散してしまうことになりました……」
『その後も風鳴司令や慎次と戦いを繰り広げるものの、圧倒的な物量差に撤退を余儀なくされる……』
「シンフォギア装者の皆さんとウルトラマンの皆さんを一度に失ったこの時は、人類にとって敗北と絶望を叩き付けられる瞬間となりました……」
・File.37
【破滅魔人ブリッツブロッツ】
「名前:ブリッツブロッツ
種別:破滅魔人
身長:60メートル
重さ:66,000トン
能力:胸部外殻内に仕込まれた結晶体でエネルギーを吸収、反射する」
「世界が絶望に包まれたその瞬間、僅かに繋がっていた希望の糸は寸でのところで手繰り寄せられていました。
かつてヤプールに与してクリスさんと切歌さんを襲い、また次にはエタルガーの操るスペースビーストにその身を侵されながらも調さんと切歌さん、北斗さんに助けを求めた異星人……彼らもまた邪悪に翻弄されてしまった者たちであるバム星人たちが、ジオアラミスに乗っていた皆さんを救い出してくれていたのでした」
『僅かでも遺恨を清算すべきと思ったのか、バム星人らはみんなに治療を施してくれた。だが膨大なマイナスエネルギーをその身に浴びていた響は目覚めず、邪心王の魔の手はバム星人の住まう四次元空間にまで伸ばしてきた。
それがこの、破滅魔人ブリッツブロッツだ』
「大きな翼をはためかせ襲い掛かるブリッツブロッツに、バム星人たちや装者のみなさんを守護る為に大地さんが独り戦いを挑みます。それと並行して装者のみなさんと未来さんは、マイナスエネルギーに囚われた響さんをサルベージすべく意識の最深層にアクセスしようと試みます。
響さんにとって大切なものの一つである、【自分やみんなの居場所】の象徴――リディアン音楽院の校歌を電気信号とフォニックゲインに変換し、響さんの意識の中に直接流し込むと言う策でした」
『その時一緒に用いられたのが、大地のデバイザーの中に残っていたエクスラッガーの電子データだった。エクスラッガーは【強い想いを現実化】させる能力を持つアイテム……シンフォギアの世界で例えるならば完全聖遺物だな。
私と大地が自らの世界での戦いの発端となった大敵グリーザとの戦いで一度敗れた際に、私たちを呼び戻してくれたのも親愛なる仲間たちの声や想いとエクスラッガーの力に依るものだった。
また前述にある、ソングキラーからキャロルを救い出すことが出来たのも装者みんなやエルフナインの想いを受けたエクスラッガーが、大地の信念である協和、共存の想いと交わった事で成功した事であったと付け加えておこう』
「ボクの方でもダウルダブラのデータを転用したフォニックゲイン増幅器を用いて未来さんの歌を僅かでも増幅強化。そんな、響さんに向けられた幾つもの想いを込めた歌が一つになり、サルベージ作戦は成功を収めることが出来たのです!」
『響の復活と共に、装者のみんなは大地と合流しブリッツブロッツへと相対。元の世界に帰ることとバム星人たちを守護る為に戦闘を開始する。
だがブリッツブロッツの胸部結晶体は、レーザー光線等だけでなくフォニックゲインによる攻撃までも吸収、反射してしまう特性を持っていた』
「打つ手が失われたかと思いましたが、この場には装者の皆さんとは違う視野を持つ人、大地さんが居ます。大地さんに作戦立案と指揮を任せ、また大地さんも装者の皆さんに守護ってもらう形でお互いがお互いの為に命を預け合い、再度破滅魔人へと向かって行きました。
今度は正真正銘、ウルトラマンたちの力を借りずに人々だけの力で」
『そうして立てた大地の作戦は、大地とクリス、バム星人の攻撃部隊との一斉射撃でブリッツブロッツの胸部結晶体に敢えて過度なエネルギーを溜め込ませ、響と翼の同時攻撃でコレを暴発。その直後に調と切歌のユニゾンコンビネーションアタックによる急所への断撃……。
今にして思えば相当無茶な作戦だったと思う。だがそれを成し遂げることが出来たのは、偏に一人がみんなの為に、みんなが一人の為に――【ワン・フォー・オール オール・フォー・ワン】の精神がみんなに在ったからだろう』
「大事な仲間を助ける為に一致団結した皆さん。より強く固まった絆は、破滅の意志などに決して負けはしない。
そう言わんとするかのように、人の持つ力だけでこのブリッツブロッツを倒したんです!」
・File.38
【伝説深海怪獣コダラー】
「名前:コダラー
種別:伝説深海怪獣
身長:62メートル
重さ:94,000トン
能力:超剛弾性の身体と強靭な爪を持ち、あらゆるエネルギー攻撃を反射する」
『バム星人たちの四次元空間から帰還した大地と装者たち。其処で見たものは、蹂躙された東京の地……地獄と形容するに相応しい凄惨な世界だった……』
「皆さんが四次元空間でブリッツブロッツと戦闘を繰り広げていた時、こちら側の世界では異形の海の侵蝕が更に進み、そしてその破滅位相から破滅を齎す魔獣が襲来していたのです。
黙示録にも記されていた、三体の獣が」
『このコダラーは海から現れたもの。【深海より遥か深淵へ封印されしもの】と銘打たれていた。暗黒卿が召喚した、海の破滅魔獣だ。
海中を自在に移動するだけでなく、眼から放たれる電撃光線と超怪力による高い攻撃力を誇るコダラー。背部には強固な甲殻を持ち、弾性に優れた身体前面は相手の打撃の威力を吸収する。しかも、放たれた光線を増幅反射させる攻守ともに隙の無い怪獣だった』
「国連の海上戦力を蹂躙しながら進むコダラー。そんな強敵の前に立ったのは、調さんと切歌さんとウルトラマンエース、そしてクリスさんとウルトラマン80でした。
限定解除状態
『強大な力と巨大な爪でエースとシュルシャガナ、イガリマの双刃を受け止め、エネルギー反射能力は80とイチイバルのあらゆる光線を受け止め、全て反射していった』
「ですがそれに対して、二人のウルトラマンは一斉攻撃で反撃に出ます。
クリスさんと80先生の全力を込めた一撃をも反射するコダラーでしたが、それを受け取った調さんと切歌さんとエースさん。二人のユニゾンとエースさんのウルトラホールを介することで爆発的に威力が高まった光球を受け、自らの許容限界を超えた威力に遂にコダラーを倒すことが出来たのです!」
『ウルトラマンエースにはウルトラ兄弟の力を同じように収束させてぶつける最大の必殺技、【スペースQ】があると聞き及んでいたが……ウルトラマン80だけでなくクリスと調、切歌との絆であるフォニックゲインをも全て収束させて放ったのが、この一撃だったのだろうな』
・File.39
【伝説宇宙怪獣シラリー】
「名前:シラリー
種別:伝説宇宙怪獣
全長:120メートル
重さ:82,000トン
能力:あらゆる熱エネルギーを吸収し、火炎やレーザー光線として発射する」
『破滅位相から現れた三体の怪獣……闇天から現れた二体目が、このシラリーだ』
「【天空より遥か彼方へ追放されしもの】……そう言われたこのシラリーは天空に蔓延るドビシたちを喰らい千切り、その羽撃きで放たれた衝撃波は空を往くあらゆるものを弾き飛ばし、口から放たれる超高熱火炎は市街地を焼きながら進んで行きました」
『そんなシラリーを迎撃すべく、人類は自らが持つ叡智の炎……世界に有する総ての核兵器を解き放った。
母なる星と其処に生きる人々を傷付けてでも得ようとした勝利の為に振り下ろされた剣……。だがその威力の全てを、シラリーは吸収してしまったのだ』
「核の炎を自らの力に変えて更に飛ぶシラリー。その前に立ち塞がったのは、翼さんとウルトラマンゼロ、そしてマリアさんが変身するウルトラマンネクサスでした。
どちらもエクスドライブウルトラギアを用いて応戦。今回の事変の始まりの地であるオーストラリアで相対したのですが、シラリーの激しい攻撃はお二人を寄せ付けずにいました」
『だが翼とマリア、そしてゼロ。三人のコンビネーションは決して引けを取ることは無かった。
果敢に攻め入る三人は、互いに身を寄せ合い刃を展開しながら回転する事でシラリーの炎やレーザーによる猛攻を弾き飛ばし、ゼロの双振りの刃で長い首を両断、懐に入り込み鵬翼を広げるかのような霞切りで遂にシラリーの真打を叩き込むことに成功した!』
「そしてその傷を目掛けてマリアさんことウルトラマンネクサスが、オーバーレイ・シュトロームの要領で両腕に高めたエネルギーを直接、拳撃と共に力の全てを放ちシラリーを撃破したのでした!」
・File.40
【閻魔獣ザイゴーグ】
「名前:ザイゴーグ
種別:閻魔獣
身長:66メートル
重さ:70,000トン
能力:鮮血色の光線を吐き出し、棘からしもべを召喚する。地面を血の海のように変えて往く」
「破滅位相より現れた三体の怪獣……死の大地から進撃してきた三体目が、このザイゴーグでした」
『ヤツは私と大地の居た世界にも存在していて、太古に世界を地獄へと変えようとしたがその時存在したウルトラマンティガによって、婆羅慈遺跡に封印されていた怪獣だった。
それが陸の破滅魔獣として出現したのは、私も大地も驚きを隠せなかった』
「そんなお二人が決死の戦いで斃したザイゴーグは、ボクたちの世界にも絶望を与えるべく突き進んでいきました……。
コダラー、シラリーと共に、装者の皆さんらを欠いた世界を守護る為に再度出現したゴモラⅡを薙ぎ倒し、まるで私刑にかけるかのような一方的な蹂躙でゴモラⅡを殺害したのです……」
『彼とは僅かとは言え想いを繋ぎ分かり合えた命……。その無念を晴らすかのようにザイゴーグへと向かって行ったのは、私と大地がユナイトしたウルトラマンエックスと響の変身するウルトラマンガイアだった。
響もまたウルトラギアをエクスドライブ化させて応戦し、私と大地はマリアと共に在ったウルトラマンダイナとウルトラマンコスモスが授けてくれた力にウルティメイトゼロのカードを合体させて生まれた新たなアーマー、【ウルティメイトサーガアーマー】で戦いを挑んでいった』
「響さんのガイアの連撃にも怯まず、エックスさんの新たな力にも容易く負けることなく棍棒状の右腕や巨大な尻尾、破壊光線で激しく攻め立てていきます。
しかもその胸部から伸びた触手で響さんとエックスさんの力を吸収、地面を血の池地獄のように変えていき地を侵蝕していきました……。
しかし、その危機に対し手にある力を振り絞っていたのは響さんやエックスさん、大地さんも変わることはありませんでした」
『右腕に彼女のアームドギア全てとベータスパークソードを集結変形させた巨大な光の槍と化し突撃するガイア。それに合わせて私たちも、最大の一撃であるサーガディウムプラズマーを撃ち放った。
二つの攻撃が重なり合い、ガイアの撃槍がザイゴーグの胸部を貫くと共に私の光弾が撃ち込まれ、その兇悪な巨体を爆散させた。
こうして私たちは、三体の破滅魔獣を討ち倒していったのだった』
・File.41
【破滅閻魔虫ゴーグカイザードビシ】
「名前:ゴーグカイザードビシ
種別:破滅閻魔虫
身長:62メートル
重さ:68,000トン
能力:鋭い鎌爪と鮮血色の光弾を放つ」
「このゴーグカイザードビシは、空を覆うドビシたちが集合、其処にしもべの怪獣を召喚するザイゴーグの棘が組み合わさったことで生み出された怪獣です」
『個々の戦闘力は並の怪獣を凌ぐが、再一体化を果たし70億の人類が我らに向けてくれたフォニックゲインを得たみんなの敵ではなかった。
だが問題なのはその数的優位性だった。暗黒卿からほぼ無尽蔵に湧き出すドビシの融合体であるカイザードビシもまた、その数は無尽蔵と言っても過言では無かったのだ』
「その物量は六人のウルトラマンたちでも捌き切れるものではなく、片や世界中の人々に戦うウルトラマンたちの姿を届け続ける放送発信地点を、片やボクたちが居る皆さんの【帰る場所】である移動本部を標的に襲い掛かってきました。
皆さんが手の届かないところへの襲撃……ですが其処にも、代わりに手を伸ばす方が居たのです!」
『発信地点のところには”この世界最強の人間”と銘打たれる風鳴弦十郎司令と、その懐刀である緒川慎次が控えていた。
元より彼らは人間離れした戦闘能力を有していたが、それは対怪獣においてもいかんなく発揮されていったな』
「風鳴司令たちの戦いはボクも目を疑いましたが、それ以上に大地さんは受けた衝撃が凄かったようでしたね」
『無理も無いだろう、私や他のウルトラマンたちだって驚いていたんだ。大地にとっては正しく未知の存在だっただろう……。よもや真っ当な兵器も無しに巨大怪獣を倒してみせるなんてな……』
「大人の貫録と言うものでしょうか……まだまだ不思議な事がいっぱいです。
そしてボクたちがいた移動本部に迫るゴーグカイザードビシたち。それから救ってくれたのは、なんと再三に渡り響さんと未来さんに干渉してきた悪名高い宇宙人、メフィラス星人でした」
『此方もまた予想外の事態だったと言わざるを得ないだろう……。我々ウルトラマンからしたら、まさかヤツが手助けをするなど思いも寄らなかったからな』
「全ては未来さんの、メフィラス星人へ向けた提案でした。
『本当に大切なものを知る為に、響さんのように人助けをしてみてはどうか』という提案。それに乗ったメフィラス星人が、手始めにとゴーグカイザードビシたちを単身で撃破し、その上ドビシの餌を天に設置することで無数のドビシを誘導、無力化することまでしてくださったのです!」
『信じがたい光景ではあったが、ヤツの行いのおかげで我々が戦いやすくなったのもまた事実だ。そこは、感謝せねばなるまいな』
・File.42
【暗黒魔超獣デモンゾーア】
「名前:デモンゾーア
種別:暗黒魔超獣
身長:888~∞メートル
重さ:88~∞トン
能力:邪なる神の力で氷結地獄を生み出し世界に終焉を齎す」
『――そして全ての破滅魔獣を討ち倒したその時、暗黒卿の中から蠢き解き放たれたモノがあった。
ヤプール、エタルガー、スペースビースト、魔王獣、破滅魔獣、そしてこの世界の地球に内包されていたマイナスエネルギー……ありとあらゆる負の力を全てその身に溜め込み、邪悪は遂にその身を依り代にして邪神を顕現させたのだった』
「それがこの、暗黒魔超獣デモンゾーア……。元来はかつてとある世界にて超古代文明を滅ぼした邪神が復活。その世界のウルトラマンと死闘を繰り広げ、光あるものたちが起こした奇跡の前に敗れます。ですがその怨念が、超古代に存在したウルトラマンと同位の存在――闇の巨人と融合して生まれたのがデモンゾーアでした」
『此方側で生まれたデモンゾーアは顕在化したマイナスエネルギーの究極形態であり、広義で視れば根源的破滅招来体の一であり全であるとも言える存在だ。
その深く果てしない闇は地球全土へと広がり、異形の牙を解き放っていった。氷塊の驟雨、地獄の劫火、破壊の雷霆、血蝕の泥濘……魔王獣や破滅魔獣の放つ攻撃を更に強化した猛攻が世界に、そして我々に降りかかっていった』
「破滅と終焉……その絶望が地球を飲み込んでいく。全ては暗黒卿の、デモンゾーアの思うが侭に……。
――ですが」
『世界に生きるものたちは、決して諦めなかった。私たちウルトラマンを信じ、世界に流れ続ける少女らの歌を信じ……最期の最後まで、【生きる】と言うことを諦めはしなかったのだ。
そんなみんなの想いが途切れかけた70億の絶唱を蘇らせ、再度我々に力を与えてくれた』
「でもそれだけでは届かない……。それを知り動いたのが、他でもないキャロルだったんです」
『破滅魔獣らとの戦いに赴く前、キャロルは暗黒卿と同じマイナスエネルギー体である自らの存在と叡智が生み出した【想い出を償却】する力を用いることを切り札として提言していた。だがそれは、皆で掴み取ったキャロルの生命を全て償却する事に相違なく、誰もその案に乗ろうとはしなかった。
だがデモンゾーアの力と起こり続ける惨状を前に、彼女の決意は強く固まっていたんだ……』
「誰も……ボク自身もキャロルを止められませんでした……。
理解っていたんです。想い出を償却し、70億の絶唱を超えるフォニックゲインを生み出すキャロルの力が無いと、デモンゾーアには届かないと言う事実を。
そしてキャロルもまた皆さんに、胸の内に秘めた想いの丈を解き放っていったんです。世界を噛み砕こうとした自分の想い出を使ってでも、パパが愛したこの世界を守護り抜いて欲しいと……」
『そうしてキャロルの生命そのものであるフォニックゲインを受け取った我々。荒れ狂うエネルギーの奔流の中、装者のみんなもまた自分たちの切り札を解き放った。シンフォギアに秘されたフォニックゲインのオーバーブーストアタックを放つ歌である、絶唱を』
「世界中から齎された70億の絶唱、キャロルの償却した想い出、シンフォギア装者たちの唄う絶唱……現時点で考えられる最大量のフォニックゲインが、六人のウルトラマンたちに集束していきました。
そうして発動するS2CAウルティメイトバージョン。全てのフォニックゲインを響さんのガングニールで集束、マリアさんのアガートラームで制御と再配置を行い、奇跡を超えた更なる奇跡をその手にしようとしました」
『だがこの膨大なフォニックゲインは、どれだけ皆で負荷を抑えても制御が追い付かない程に膨れ上がっていた。しかしそこへ、一つの絆が手繰り寄せた小さくとも大きな希望の欠片が大地の手に委ねられていたんだ。
私たちに与えられた最後の一片――【ウルトラマンオーブ】のサイバーカードが』
「そのカードの発動と共に荒れ狂うフォニックゲインは皆さんを包み込む
『【ジェネレイトエクスドライブ・ウルティメイトユナイト】。咆哮したその励句が、人と光と歌の完全融合を為し、幾重にも奇跡を超克した存在を誕生させた。
【ウルトラマンシンフォギア】……闇黒魔超獣を討ち払い世界に光を齎すべく誕生した、”光の巨神”の姿だった』
「ウルトラマンシンフォギアが放つ超絶的な輝きはデモンゾーアの攻撃を全て相殺しつつ受け止め、マイナスエネルギーの塊でもある闇の波動を光へと転化させていきました。
……本来マイナスエネルギーとは、怒りや憎しみなどの負の感情から発生するエネルギー。そしてそれはボクたちが生きる世界――地球にも同じように喩えることが出来ます。
この世界で最も長く傷付き耐え続けてきた、ボクらの地球……。それがマイナスエネルギーを発してまで訴えていたことは、『生きたい』と言うたった一つの単純な願いでした。
皆さんはそれを知り、その想いに手を差し伸べて握り締め、強く抱き留めることが出来たから膨大なマイナスエネルギーを正方向に転換することを為し得たのです」
『人の心から光が消え去ることは無く、その胸の歌が途絶えることは無い……。
我々が最後に放った光、【UNLIMITED UNITE BEAT】を受け、デモンゾーアとそれが齎す闇は完全に消滅した。
天空を、夢を、笑顔を、絆を、明日を――未来を信じて握り締めた光が、この地球を救ったんだ』
『……こうして、シンフォギア装者の少女たちと、我々ウルトラマンとの戦いは終わりを迎える事となった。
ヤプールやエタルガーといった邪悪な敵、邪心王のようなこの世界を闇に還す破滅招来体が襲い来る中で、彼女らも時に悩み傷付きながらも決して諦めることなく大切なものを守護る為に戦っていった』
「失われた命も少なくはありませんでした……。ですがその中でも、バム星人やゴモラⅡ、メフィラス星人のエルヴィスさんやキャロル……手を繋ぐ事が出来た方々も確かに居ました。
そうして手を取り合えたからこそ、ボクら地球に生きるものたちはウルトラマンの皆さんと共にこの戦いを越えられたのだと思います」
『それは我々もまた同じだ。みんなと出会う事が無ければ……みんなと繋がりその歌が無ければ、この戦いに勝利することは出来なかっただろう。
改めてこの場で、みんなに感謝を伝えたいと思う。本当に、ありがとう』
「ボクらも同じです。この世界を、其処に生きるみんなを守護っていただき、本当にありがとうございました。
ウルトラマンの皆さんが教えてくれたこと、気付かせてくれたことを決して忘れずに、
『ああッ! 私たちもそれを願い、彼方よりみんなを見守っていようッ!』
「それでは、今回はこれで終わりとなります。今作【絶唱光臨ウルトラマンシンフォギア】、最後までお読みいただきありがとうございましたッ!」
『暖かい応援、本当にありがとうッ! またいつか何処かでッ!』
「お会いいたしましょうッ!!」