絶唱光臨ウルトラマンシンフォギア   作:まくやま

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EPISODE 21 【君と僕の名前】 -A-

 ウルトラマンガイアとなった響がキャロルの生み出したソングキラーと戦いを繰り広げているのと時を同じくして、世界の龍脈交錯点(レイポイント)では他のウルトラマンが噴出したマイナスエネルギーによって生み出された魔王獣と壮絶な戦いを繰り広げていた。

 ロンドンでは翼とゼロがマガバッサーと、バルベルデではクリスと80がマガグランドキングと、ロサンゼルスではマリアの変身したネクサスがマガジャッパと、クウェートでは調と切歌とエースが魔がパンドンとそれぞれ交戦を開始している。

 だが、その状況はどれも思わしいものではなかった。

 

 ロンドン。巨大な双翼を羽撃かせ、激烈な風を伴う衝撃波――【マガ衝撃波】を巻き起こすマガバッサー。まるで砂礫のように軽々と宙を舞い襲い掛かってくる乗用車や信号機などの物体に、ウルトラマンゼロは思わず両腕で顔をガードしてやりすごす。

 吹き抜けるマガ衝撃波を堪え防御を解いたゼロだったが、既に眼前にはマガバッサーの姿が現れていた。回転しながら大きく振りかぶった蒼翼を大剣のように斬り付けるマガバッサー。翼は何処かその動きに、ファラの姿を見ていた。

 

「グウッ! やるじゃあねぇか……ッ!」

(この動き……まるでッ!)

「それがどうだって言うんだよォッ!!」

 

 右腕を胸の前で水平に構え、額から輝くエメラルドの光刃であるエメリウムスラッシュを放つ。それを翼を畳むことで防御するマガバッサー。直撃と同時にマガバッサーの翼が呪文のような模様に包まれ、赤い光を放つとエメリウムスラッシュが光の分子へと分解、消滅した。

 

『そんなものが私に効くとでも思っているのかしら?』

「なにィッ!? クソ、だったらゼロスラッガーで――」

(止せゼロッ! ヤツにはゼロスラッガーも通用しないッ!)

「どういう事だよッ!」

剣刃殺し(ソードブレイカー)……。ファラの持つ刃は、”剣”と定義されるモノ全てを否定、分解する哲学兵装なんだ。私と天羽々斬も、一度はそれで敗れたこともあった。

 恐らくはその力が、あの魔王獣にもそのまま宿っていると考えるべきだろうな)

「エメリウムスラッシュは”光の刃”だから、って事か……。冗談じゃねぇぜったくよォッ!」

『覚えていてくれたなんて光栄だわ剣ちゃん。あらゆる刃を微塵とする災禍の蒼翼、貴方たちに折ることが出来るかしら?』

「ハッ、刃が駄目でもやりようはあらぁッ!!」

 

 叫びながら突進するゼロ。決め手がないわけではないが、其れを放つ隙が存在しない。そこに武器も封じられたとなると、出来る事は自慢の宇宙拳法しか頼れるものは無かった。

 マガバッサーの翼の攻撃を受けつつ、其れを弾き身体に正拳を叩き込むゼロ。一瞬怯んだマガバッサーだったが、翼をはためかせて一度宙へ浮き、まるで獲物を捕らえるかのように強靭な脚部を突き立て強襲してきた。

 

「ぐおぁぁッ!」 (ぐうううッ!)

 

 鋭い爪がゼロの胸部に突き立てられ、両足で激しく蹴り飛ばされる。周囲の建物を砕きつつ倒れ込むゼロだったが、すぐに跳ねるように起き上がり構えを取ってみせた。

 

「……強ぇな、こりゃあ」

(弱音か? らしくもない)

「いいや、コイツはお前と出会って知った言葉……武者震いってヤツだッ!」

 

 どれだけ倒れてもなお起ち上がり、ゼロと翼は果敢にマガバッサーへと立ち向かっていった。

 

 

 クウェート。街中に出現した巨大な火の玉に相対するはウルトラマンエース。空中に浮かぶ火球に向かい、両手を重ね合わせ意識を集中させる。そして掛け声と共に、指先から白色の霧状水流を発射した。戦闘後の火災にも用いられるエースの技、【消火フォッグ】である。

 だがそれを浴びせていてもマガパンドンが生み出す超高熱火球が消えることが無く、逆に高ぶるように熱量を上げていた。

 

(全然、効かない……!)

(この程度じゃまだダメなんデスか!?)

『偽りの日輪、天地万物を焼き尽くす災火は消火器程度じゃ消せないんだゾ? ボンヤリしてると辺り一面焼け野原、この街も全部黒コゲなんだゾ☆』

(そんなこと……ッ!)

(させてやるものかデスッ!)

 

 煽るように轟くミカの声。直後に小型の太陽の如き火球から灼熱を伴う鋭利なカーボンロッドが連続で発射されてきた。其れを腕で砕いていき、ロッドが地面に落ちないように飛び回りながらなおも打ち壊していく。その最中で火球に向けてウルトラスラッシュやパンチレーザーを放っていくが、どれも効果はないようだ。

 

(ええいもうッ! 邪魔な火をどうにかできればいいデスのにッ!)

(水流……爆風……どっちも私たちでは威力不足)

(じゃあウルトラギアで!)

「ここで全パワーを使い切ってどうするッ! 手を抜ける相手ではないが、後先は考えなければならん……ッ!」

 

 身体の内で口論しながら着地するエース。見上げた先に有る超高熱火球は、徐々に大地に迫っている。手段を選んでいる余裕はもう無かった。

 

「出来れば使いたくなかったが、仕方ないか……。二人とも、少しばかりキツめの技を使うぞッ! 大目に力を借りるが、泣き言は言うなよッ!」

 

 星司の言葉に身構え、調と切歌が互いの歌をユニゾンさせてフォニックゲインを高めていく。同時にエースが額の前で腕を交差、それを胸の前へ動かし、その場で激しく回転を始めた。回転はやがてエネルギーを伴い、光の渦となったエースはそのままマガパンドンの作り出す火球へと突進。周囲を高速で旋回した。

 

『ゾなもしッ!?』

 

 やがてエースが着地した後、炎は姿を消し紅蓮の双頭を持つ魔王獣、マガパンドンがその姿を白日の下に晒した。高速回転により大気の裂け目を作り出し、其処へ一時的に対象を封じ込める【エースバリヤー】。この決死を技を用いることで、マガパンドンの放つ炎を大気の裂け目へと封じ込めたのだ。

 だがこの技を用いると体力が大きく消耗してしまう欠点がある。事実ウルトラマンエースは膝を付き肩で息をしていた。カラータイマーが未だ点滅していないのが不思議なほどの消耗だ。

 

(はぁっ……はぁっ……! 私たちの、フォニックゲインで……)

(くぅっ……ふぅっ……! なんとか、してやったりデェス……!)

 

 息を上げながらも語る調と切歌。エースに乗せた二つのフォニックゲインは、廻転するシュルシャガナと断裂するイガリマのもの。それがエースバリヤーの作用と合致することで、本来ならばエース一人でやるべきエネルギーの消費を補い過度な消耗を抑えていたのだ。

 

『なかなかやるもんだゾ。でも、こっちはまだ一枚剝がれただけだかんなッ!』

「……それはこっちもだ。俺たちの時間切れには、まだ早いッ!」

 

 

 バルベルデ。森林と発展途上の建物が、マガグランドキングの起こす地震と地盤沈下で見る見るうちに沈み込み壊されていく。

 瓦解していくその空間は、クリスが自らの内に追いやった忌むべき記憶を引きずり出すには十分なもので、怒りにも似た複雑な感情が押し寄せていた。その思いをぶつけるように、80はマガグランドキングへと格闘戦を仕掛けていく。

 空中回転から流星のように蹴り込む急降下キックを初手とし、胴体目掛けての拳の連撃からソバットを繋げ、右手から放つウルトラアローショットで締める。この一連の攻撃を全て受け切った上で、マガグランドキングは平然と其処に立っていた。

 

『そんな程度のものか、他愛ない』

(くっそ、この野郎が……ッ!)

「気を乱すなクリスッ! 相手の思うつぼだぞッ!」

 

 先生と一緒ならば――。そう思って臨んだ悲劇の始まりの地だったが、どうしてもクリスの心中は穏やかにはなれなかった。両親の命と夢を奪った最も忌むべき場所、何故其れを守護る為に自分は戦っているのだろうかという迷い。その想いは80にも伝わり、結果ユナイトの質を下げることになってしまっていた。

 それを感じているのかは定かではないが、レイアと同化したマガグランドキングは反撃を開始する。右腕の大鋏で80の首を捕まえ、左腕の巨大なクローで叩き付ける。鈍器でただ殴ると言う単純な攻撃だが、それ故に一撃の強さは計り知れない。数回叩き付けられた後にクローで強く突き出すように殴られ、80はその身を大きく吹き飛ばされていった。

 

(うあああぁぁッ!!)

「クッ……! クリス、大丈夫かッ!?」

『折角の巨体だ。派手に追い打ちをさせてもらうッ!』

 

 レイアの声と共にマガグランドキングの全身から発射される黄金の弾丸。まるで乱れ撃つ金貨のようだ。思わず眼前で両腕を重ねて防御する80。避けることも叶わず受け切る攻撃は、二人の体力を徐々にだが確実に削り取っていた。

 なんとか耐えるその心中で、クリスはまた迷う事への焦りに支配されつつあった。言葉にも出せず歯軋りする中で、彼女の肩をそっと優しく猛が叩く。

 

「クリス……」

(……わぁってるよ。世界の一大事だ、アタシが足並み揃わせれねぇでどうすんだ)

「……いや、無理はするな。君にとってこの国がどんな場所であるか、理解らぬわけじゃない」

 

 いつもかけてくれる優しい言葉。気をかけてもらった事につい情けなく感じてしまう。だが、猛の言葉はそこから続いていた。

 

「考えを変えようクリス。ここは君にとって最も忌むべき場所だと思う。だが、君のご両親にとっては命を賭してでも救いたいと思った場所でもある。

 クリスが今此処でこの地を救うことは、ご両親の夢を継ぐ君自身の夢に繋がる事なんじゃないかな?」

 

 自信ありげな風に語る猛に、クリスは一瞬呆然としたもののすぐに笑顔へと変わっていた。

 憎しみの恐怖も根強く残っている。だが彼の言う通り、此処はパパとママの夢の跡地でもある。それを守護ると言う意味を、不器用な解釈ながらもようやくクリスは掴みとった。

 

(……汚ぇなぁセンセイ。そういう風に言われちゃ、やるしかないって気になるだろッ!)

「生徒にヤル気を出させるのも、教師の務めだってね。まだこれからだッ!」

『……地味に不快。この土塊の魔王に、何が出来るかやってみるがいいッ!』

 

 マガグランドキングの胸部結晶体に集束されたエネルギーが放つレーザー光線【マガ穿孔】。建物や地面を円形に抉り取る光の一撃を躱しつつ、クリスと80もまた得意の光線技で反撃していった。

 

 

 

 ロサンゼルス。摩天楼とも呼ばれる世界でも特に栄えた市街は、今は怪しい黄色濃霧に包まれていた。人々はマスクを被りながら、ビルの窓や地下シェルターのモニターから状況を確認する。濃霧の中から時折姿を見せたのは、黄金の鱗とヒレを持つ巨大なシーホース……タツノオトシゴを連想する怪獣。それを組み合う銀色の巨人――アンファンス状態のウルトラマンネクサスだった。

 

「ヌゥン……デヤァッ!」

 

 巨人がその身に力を込めると同時に波紋が広がり、銀色の肉体を赤と青で彩り姿を変える。基底形態から戦闘形態であるジュネッスになり、その手に力を込めて金鱗の怪獣、マガジャッパに攻撃を仕掛けていく。

 

『あぁ~ん、痛ぁ~い』

 

 頭部を狙う拳や胴体目掛けての中段蹴りが確実に決まり、後ろへよろけるマガジャッパ。だがそれと同化しているガリィは、何処までも嘗めたような言葉を放っていく。上体を起こすマガジャッパ自身もそう大したダメージには至っていないようだった。その身を鎧う黄金の鱗が強靭な耐久力を生み出していたのだ。

 ならばと鱗のない腹部目掛けてパーティクルフェザーを撃ち込むものの、火花は散るがダメージになっているようにも見えていない。

 

(これでもか……ッ!)

 

 まるで嗤うように歩を進めるマガジャッパは、その両手の吸盤から外気を吸い込み、ネクサスを引き寄せる。そして密着状態となり、口から硫黄色のガスを噴出。その激臭をもろに喰らってしまい、ネクサスが思わず倒れ込んでしまった。

 

「グゥ……ガハッ……!」

『あぁら、レディのおクチで悶えるなんて心外だわぁ。こちとらちょぉーっと性根が腐ってる扱いされただけだッてのにさ』

(く、うぅっ……何分保つか理解らないけど、メタフィールドなら――)

『賢しい考えは無しよ。このマガジャッパ、ちょっと組成を弄ればただの激臭も即座に命を壊す猛毒となる。アンタが位相差へアタシを連れて行こうとも、既に広範囲へ撒き散らされた毒霧全てを回収することなど出来ないでしょう?』

(人質と言うことか……ッ!)

『効率の良い殺し方と言って欲しいわねッ! ほらほらお喋りの時間じゃなくってよッ!』

 

 一声大きく鳴いたところで、マガジャッパの姿が透明化する。左右を見回すネクサスだったが、相手を捕らえるより先に何かに直撃、跳ね飛ばされた。長い尻尾の一撃である。

 其処に次いでマガジャッパの長く突き出した鼻の部分から水流が発射される。鋭い氷礫の伴う水流は、またもネクサスの死角からぶつけられていく。マリアにとっては予想以上に、この水ノ魔王獣は厄介な相手だった。

 

(強固な鱗皮、透明化、氷塊を伴う水流、毒にもなるガスによる多くの人質……。まったく、腐れた性根に相応しい相手だ……。だがッ!)

 

 右手から光の帯セービングビュートを伸ばし、周囲へと大きく振り回す。光の帯は透明化しているマガジャッパに触れた瞬間、強く拘束するように縛り上げ動きを封じた。

 

『……やるじゃないの。そうでなくっちゃねぇッ!』

 

 ガリィの声に合わせて肉弾戦を始めるべく襲い掛かるマガジャッパ。ネクサスはただ、その動きを確かめつつ応戦に当たって行った。

 

 

 

 そして東京。

 キャロルの操るソングキラーにより、響の変身したウルトラマンガイアもまた窮地に立たされていた。

 ウルトラマンたちの技を覚えるだけでなく、シンフォギア装者の得意技までも完璧に模倣している上にキャロルの纏うダウルダブラのファウストローブによる破壊の歌まで備えているのだ。どれだけ響が頑張ろうと、背負う荷があまりにも重すぎた。

 右手の音叉型の武器を左に持ち替え、マリアのアームドギアと同等の蛇腹剣へと変形させてまるで嬲るようにガイアへと打ち付ける。そして刃鞭はガイアの身体を縛り、そのまま力任せに引き寄せられる。待ち受けていたのは、右腕を響のガングニール同様のガントレットに姿を変え、そこに力を込めたソングキラーの姿が――。

 

 「散々ブチ殴られた借り、返してくれるわッ!!」

 

 大きく振りかぶられたソングキラーの拳がガイアの腹部に直撃。溜め込まれたエネルギーをまるでバンカーのように撃ち付け放つ。それは正しく、立花響とガングニールの得意とする必殺の一撃そのままだった。

 

(これは、私の――)

「グアアアアアアッ!!」

 

 弾け飛ぶガイア。倒れ込むその傍には、エルフナインが居た。

 親愛なる仲間たちの窮地……其れを受け彼女が、彼女と共に在る者が、動き出した。

 

「――風鳴司令ッ! RealizeUX、発動しますッ!!」

 

 

 

EPISODE21

【君と僕の名前】

 

 

 

 兼ねてより、エルフナインとウルトラマンエックスが共同で進めていたプロジェクトがあった。

 ウルトラギアの発動によりシンフォギア装者とウルトラマンとがより深くユナイトし、それに伴い心象同化が大きく進むことで考え得る事案……装者がウルトラマンとの完全融合を果たしてしまい、ヒトで在れなくなってしまうという懸念だった。

 二人が進めたプロジェクト、【RealizeUX】はそれに対するものであった。錬金術で用いるエーテルやウルトラマンの体組織を構成する光量子細胞……彼女らの持つ知識と技術の全てを以って見出した装者のウルトラマン化への対案は、【義体にてウルトラマンエックスを再顕現。彼の持つ”ザナディウム光線”にてウルトラマンをスパークドールズへと強制変化させることで、シンフォギア装者との物理的な分離を為す】と言う最終手段だった。

 全ては装者とウルトラマンたちの為……互いに望まざる事態を避けるべく用意した手段。それが今、別の形で装者とウルトラマン、そしてこの地球の為に行うべきだと彼女たちは決めたのだ。

 

「司令、量子発生装置の起動をお願いします!」

「……本当にやれるのか、エルフナインくん。そう何度もテスト出来てはいないんだろう?」

「それでも、やるしかないんです。みんなを助け、キャロルを止める為に……今のボクたちが出来る事は、もうそれしかッ!」

『私からも頼む、風鳴司令。可能性が生まれたのならば私はそれに賭けたい。ウルトラマンである私がこんな勝手を言うのはおかしいかも知れないが……もう、黙って見ていたくはないんだッ!』

 

 エルフナインとエックスから告げられる覚悟。仲間の危機に対し、自分たちに出来る戦いをする……。最初から一貫していた二人の想いが、結実の時を迎えていたのだ。傍で見ていた弦十郎が、それに気付けぬはずがない。

 それに、現状を見定めていっても各国で行われている魔王獣との戦いもあり響は、ウルトラマンガイアはただ一人であのキャロルと戦わなければならない状態だ。出来るものなら加勢すべきだと、弦十郎も考えてはいた。

 だが、これを実行するのに確実な数字は未だ得られていないのも現状だ。数字で語れぬ思い付きでは無い、綿密な計算に乗っ取り積み上げてきた彼女たちの成果なのだ。それが崩れてしまうのではないかと言う、一抹の不安ばかりがその胸に募っていた。そんな彼の背を押すように、藤尭とあおいが弦十郎に進言する。

 

「量子発生装置、起動を開始します!」

「響ちゃん聞こえる? 少しだけ、ソングキラーを抑えておいて。奥の手を使うわ!」

「藤尭ッ! 友里ッ!」

 

 思わず声を荒げる弦十郎。だが藤尭もあおいも、それに怯むことなく真っ直ぐと言葉を返していく。

 

「現状を(おもんばか)れば、これ以上の選択は無いはずですよッ! サポートはこっちがやってやりますッ!」

「信じましょうッ! 私たちの大切な仲間が……あの二人が積み上げてきたものをッ!」

 

 二人の言葉を受けて、眼を閉じ小さく微笑む弦十郎。そうだ、努力を重ねた子供を信じてやれずに何が大人だ。彼女らの重ねた一生懸命を、自分が否定してどうなるものかと。

 ただそれを胸に刻み込み、力強い声でエルフナインとエックスに返答した。

 

「エルフナインくんッ! エックスくんッ! RealizeUXの発動を承認するッ!! 任せるぞ、君たちにッ!!」

「『了解ッ!!』」

 

 

 

 あおいの指示を受け、立ち上がったウルトラマンガイアが再度ソングキラーへと格闘戦を挑む。此方の動きをある程度読んでいたのか拳戟は防がれていったが、至近距離から瞬発力だけで放つタックルにソングキラーは捕まってしまった。

 

「クッ、離せェッ!!」

(離す、もんかぁッ!!)

 

 背部にエルボーを浴びせられながらも、腰を捕らえたガイアはそのままソングキラーを押し込んでいき、零距離を維持するように固め上げた。

 

 一方エルフナインたちは、移動本部に予め備え付けられた量子発生装置の起動と最大出力を確認。東京都庁跡地周辺に、高濃度のエーテルと光量子が散布されていることを確かめる。

 確認が終了し次第、手持ちの端末からRealizeUXのデータを起動。端末のモニターに錬金術の円形法陣が浮き上がる。其処に集束するエーテルと光量子。それが摩訶不思議な分解と結合、再構成を繰り返し、やがて其処に青く透き通った小さな人形――ダミースパークドールズが完成した。

 

「やった……! エックスさんッ! お願いしまぁぁぁすッ!!!」

『――ああッ!!』

 

 すぐにエルフナインの端末に憑依している電脳精神体のエックスがダミースパークドールズに憑依する。小さな人形に輝きが走った瞬間、散布されていたエーテルと光量子の全てが吸い込まれるようにダミースパークドールズへと集まっていき、それを核としながら分解と結合と再構成を高速で繰り返しながら徐々に力が高まっていくのを感じる。そして――

 

「アイツら、何を――」

 

 ガイアを蹴り飛ばして拘束を解いたソングキラー。その眼前に集束する青い粒子は、電光を放ちながら巨大な肉体を顕現させていく。エルフナインの持つ端末から、無機質なれど心強い成功の音声が流れ出していった。

 

《ウルトラマンエックス、リアライズ》

 

 何処かサイバネティクスな赤いラインを持つ銀色の巨人。胸部にある独特なX型のカラータイマーが何よりも印象的だ。そして黄金の眼を強く輝かせた時、巨人は――ウルトラマンエックスは、何処か感慨深そうに共に力を尽くしたものたちへ声をかけていた。

 

「……ありがとう、エルフナイン。タスクフォースのみんな。

 これで、私は戦える。みんなと共に……大切なものを、守護るためにッ!!」

 

 構えを取り走り出すエックス。空中にジャンプし、身体でエックスの文字を作りながらソングキラーに向けて高速降下と共に【Xクロスキック】を放った。

 空中からの、予想外の闖入者による奇襲。反応の遅れたソングキラーはその直撃を受けてしまい、派手に倒れ込んでしまう。その隙にエックスは、すぐさまガイアの傍に駆け寄り手を貸して立ち上がらせた。

 

「大丈夫か、響」

(……貴方が、エックスさんの本当の姿……)

 

 やや呆然とした響の言葉に首肯で返すエックス。ずっと傍で見て来たはずなのに、何処か新鮮なその姿に響の心は明るい光を取り戻していた。

 

(ありがとうございます。私は大丈夫ですッ!)

「そうだな、君ならそう答えると思っていた。一緒にキャロルを、チフォージュ・シャトーを止めるぞッ!」

(ハイッ!!)

「今更贋作が増えた程度でェェッ!!!」

 

 キャロルの叫びと共に右腕の武器が更に変化、突き出しながら高出力の破壊光線を発射する。これはまるで、マリアが用いていたガングニールの放つ【HORIZON†SPEAR】そのものだった。それを即座にウルトラバリヤーで防御するガイア。エックスは前転受け身から再度走り出し、ソングキラーへと拳を放つ。

 エックスの攻撃を左手で防ぐソングキラー。だがHORIZON†SPEARは途切れさせられてしまい、防御の手を外れたガイアが再度タックルでソングキラーを押さえ付ける。そこから力尽くで押し込み、蹴り飛ばすことで距離を離す。其処へ更に、エックスが【Xスラッシュ】を放ち追撃をしていった。

 

「グウッ!」

(もぉらったぁああああッ!!)

 

 ソングキラーの身体が火花を散らし怯んだところへ猛然と駆けるガイア。その右腕には彼女の得意技であるエネルギーの秘めた拳の一撃が迫っていた。

 大きく踏み込み完璧な間合いを陣取るガイアは、捻りを加えた自らの拳に全ての力を乗せてソングキラーへと最大の一撃を叩き込む。フォニックゲインによって高まり輝きを伴う剛拳は、ソングキラーの胸を貫通するようにそのエネルギーを解き放った。

 

(二体一……これなら!)

「勝てるとでも思うたかァッ!」

「来るぞ、響ッ!」

 

 エックスの言葉とほぼ同時に起き上がったソングキラーから破壊の大渦が放たれる。ガイアとエックス、二人が並んで同時にバリヤーを展開するものの、キャロルの本領であるダウルダブラの一撃は両者のバリヤーを容易く貫通して吹き飛ばした。

 

「響さんッ! エックスさんッ!!」

「貴様らなどに……奇跡を纏うものにも、奇跡を体現するものにも、このオレがァッ!!」

 

 右手より投げ放たれた武器が巨大化、超大型の刃と変化する。それを蹴り込み突撃するソングキラー。その姿は正に翼の天羽々斬が放つ天ノ逆鱗である。直撃すればたまったものではない、ただそれを確信した二人が受け身で攻撃を躱していく。

 だがそれも予測済みなのか、着地の前に武器を元の大きさに戻し再度変形。今度は調のシュルシャガナによる巨大な自在鋸、γ式・卍火車へと変わりガイアとエックスを伐り付けていった。火花を散らして倒れる二人の巨人。そのうちガイアの胸を目掛けて連続で足で踏み付けた。胸のライフゲージはすぐに赤く点滅し、警告音を鳴らせてしまっていた。

 

(ぐぅ、がああああッ!!)

「響ッ! くうッ!」

「邪魔などォッ!!」

 

 左腕から暗黒のエネルギー弾を発射して駆け寄るエックスに当てて喰い止める。弾き飛ばされるエックスを見てソングキラーが再度武器を双斬・死nデRぇラへと変形。一心不乱に薙ぎ払うが如くガイアを切り付けていった。

 

「負けるはずが、斃されるはずがないだろうッ! 誰かに愛してもらい、その輪の中で生きてきたような貴様らなんぞにはァッ!!」

(そんな、ことは……ッ!!)

「否定する気が有るのなら全て受け止めてみせろッ! このオレの数百年間の孤独をッ! 飢えをッ!!」

 

 マウントポジションを取ったまま右腕の武器を再度ガングニールのガントレットに変形させ、エネルギーを高めながら引き絞る。そして点滅するライフゲージに目掛けて、ソングキラーはその拳を打ち付け、滾るエネルギーを炸裂させた。

 

(があああああああああッッ!!!)

「響ぃぃぃぃぃッ!!!」

 

 思わず司令室で叫ぶ未来。だが彼女の声もむなしく、ダメージにより体力の限界に至ったウルトラマンガイアは光と共に消失。傷だらけの立花響の姿となって瓦礫の中で意識を失ってしまった。

 

「響さん!響さぁんッ!」

「しっかりしてくださいッ! すぐに安全な場所にッ!」

「させるものかよォッ!!」

 

 すぐに響の救援に向かう慎次とエルフナイン。其処へ向かってソングキラーがエネルギー波を発射する。迫り来る破壊の波動は確実な死を予見させるが、ヒトの身体がとる反射はただ顔を背けて目を閉じ、腕で顔を守護ろうとする無意味な行動のみ。エルフナインは勿論、慎次でさえも死を確信した瞬間だった。

 

「グ、ゥアアアァァ……ッ! 大丈夫か、エルフナイン……ッ!!」

「え、エックスさんッ!」

 

 寸でのところでエックスが乱入。背中でソングキラーのエネルギー波を受け止め、彼女たちを守護ったのだ。だがその代償か、胸のX字のカラータイマーは赤く点滅しながら危険信号を発していた。

 

「チッ、小賢しい真似を……ッ!」

「手は出させない……。君に、エルフナインは殺させないッ!」

「――貴様も……貴様もそいつをッ!!」

 

 思わず防いだエックスだったが、エネルギー波を止めたソングキラーが忌々しげに彼の頭を掴んで持ち上げ、そのままビルへと力任せに叩き付ける。そこからもう一度頭を掴み上げ放り捨てるように投げ付けた。

 

「ぐはぁぁッ!!」

「エックスさんッ!!」

 

 起き上がれないエックスを踏みつけるソングキラー。キャロルの動きを反映している其れは、何処か憤怒を表しているかのように肩で息をしながらエックスを踏み躙っていた。

 

「――……そうか。ようやく理解ったぞ、この胸の疼きの正体が……。此度の黄泉還りを経て、命題の答えを得て……立花響の、エルフナインの前に立ったオレの胸に蠢く、幾度掻き毟りても足りぬ思いの丈の意味がッ!」

「キャロル、なにを……?」

 

 キリキリと、ソングキラーの顔がエルフナインの方へ向く。赤い瞳が輝く無機質な顔が、何処かキャロルの想いを表しているかのように感じられた。怒りと嗤いのない交ぜになったような、歪な想いが。

 

「――憎悪と嫉妬、だったのだ」

「憎悪と、嫉妬……? なんで、響さんやボクに……」

「――は、ハハハハハッ! 解き明かしてみれば簡単なことだった……。お前たちはみな、”愛されている”からだ」

 

 キャロルから放たれた言葉に一瞬息が止まる。言葉の意味は分かるが、上手く飲み込めない……そう言った顔だった。

 

「理解らぬか。理解らぬだろうなぁ……。他者に愛され、温もりを与えられた我が半身……。”否定(ナイン)”の名を持ちながらも、貴様という存在は否定される事無く受け入れられ、愛されたのだから……」

「それは……!」

「否定のしようもあるまい。自己の存在を受け入れられ、その安寧に身を落としていたのが貴様自身だったのだからな。

 だがオレはどうだ? 遺された命題を為す為に、世界にひとりぼっちで数百年……。想い出に遺るパパの姿と、顔と、温もりを消さぬようにただ蓄えて、繋いで、我が身を錬金術そのものとしてきたッ! 最早パパ以外の誰を愛することもなく、誰にも愛されることもなく、独り傀儡を舞い踊らせては万象の黙示録を作り上げて来たッ! 全てはパパの、錬金術師の宿願を為す為にッ!!

 ……だがそれは貴様らに砕かれた。私とパパとの繋がりを絶たれ、パパとの想い出までもを燃やし尽くして世界を壊そうとしたと言うのに……」

 

 キャロルの独白は続く。慎次の腕の中で呻く響も、傍らで今にも泣きそうな顔で見つめるエルフナインも、踏み躙られたままのエックスも、通信端末を通じてそれぞれの装者とウルトラマンたちにも。

 

「……我が身が黄泉より還って最初に見たモノは、幸せそうなお前の生きる姿だったよ、エルフナイン。新たな地で、仲間と共に、温もりに包まれて――。

 胸が疼いたさ。この身には赦されぬ温もりを、”同じ”であるお前だけが甘受していることに。そして思った。真の万象黙示録を完成させ、この世の全と一つになろうと。其処にはパパも居る。大好きなパパだけが、私に温もりを与えてくれる。私を愛してくれる……ッ!」

「その為に世界へ自分を刻み込み、解剖を――」

「そうさッ! 全ては私がパパに会う為に……パパのところに辿り着くためにッ!

 ……だけどお前たちはそれを止める。何故だ? 子が愛する親の下へ行こうとして何が悪い? 世界を壊すと言う手段が悪か? 魂も何もかもを炭にして舞い飛ぶことが――それしか選択肢が無くとも、それは断破すべし悪しき行いだと……ッ!?

 ――ならば故にオレはお前を、お前たちを、世界を憎悪するッ! 嫉妬するッ! この身の最後一欠片に遺された想いが求める限り……ただ安らかなる温かき愛を、欲するが故にッ!!!」

 

 ソングキラーが吼える。その声はまるで、幼い子供の泣きじゃくる声だ。

 龍脈(レイライン)に乗って流れる咆哮は魔王獣にも伝播し、それぞれが同じように泣き出した。惨憺(さんたん)の”禍嵐”、嫉妬の”禍炎”、憎悪の”禍塊”、哀哭の”禍涙”。キャロルの奏でるあまりにも純粋で無垢なマイナスエネルギーが、魔王獣に更なる力を与え高め上げていく。

 

「クソォッ! なんだよこんなの、どうすりゃいいんだよッ!!」

(キャロルの想い……こんな当たり前の想いを、こんなにも……ッ!)

 

「余りにも深く、激しく、だが余りにも清く澄み渡ったマイナスエネルギー……。こんなものが、あるなどと……ッ!」

(駄目なのかよ……。アタシたちじゃ、アイツを救えねぇのかよぉ……ッ!)

 

(心が痛いよ……涙が溢れて、止まらないよ……ッ!)

(理解り過ぎるほどに理解るから……ひとりぼっちの寂しさも、温もりのない辛さも……ッ!)

「ただ亡き父に愛されたい……。そんな、余りにも無垢な想いまでも利用していたのか、エタルガーッ!!」

 

(それでも、救うと誓った……ッ! あの日の誓い、忘失れてなどいるものか。この光は、その為の――ッ!!)

 

「……約束、したんだ。痛みや、悲しみや、憎しみを……。全部受け止めて、手を伸ばすんだって……。絶対に、キャロルちゃんの手をとって握り締めるんだって……ッ!」

 

 奇跡を纏う少女たちが自らの想いを胸に再起を試みる。それに呼応して光の巨人たちも赤く点滅する胸のタイマーを推してでも構えを作り上げる。踏み躙られているエックスもまた、力を振り絞りソングキラーの足を押し返していく。そして僅かな隙間から回転してその場を逃れ、なんとか立ち上がった。

 

「……私には、君の行いの是非を決めることは出来ない。愛とはなんだ……正義とは、一体……。力で勝つだけじゃ見出せぬ答え……。いつそれが見つかるやも知れぬ、永遠の命題かも知れない……。

 だが、今の私にでも分かる事がある。私は君を、君たちを守護りたい……ッ!!」

 

 走り寄るエックスを蹴り飛ばし倒す。点滅するカラータイマーから、無理に進んだのが目に見えていた。だがソングキラーの攻撃はコレで終わらない。

 

「守護る、か。そんな不安定な義体で、寄せ集めの矮小な力で、貴様は何を守護れるとでも言うのか? 無力で不完全な巨人……お前は何処までもエルフナインのような出来損ないだな」

 

 右腕から伸びた光の剣、マリアの変身するウルトラマンネクサスのデータから得たシュトロームソードでエックスを斬り付けていく。そのダメージに呻きながら、それでも言葉を返していく。

 

「グ、ウウウッ! ……エルフナインは、出来損ないなどではない……ッ!!」

「戯言を吼える余裕はあるか。ならばこれはどうかな?」

 

 右腕を内水平に構え、額から光の刃を発射するソングキラー。エメラルドの光はエックスの身体を焼き、先程の傷痕を確実に貫いていった。この技は、ウルトラマンゼロのエメリウムスラッシュだった。

 

「グアアアアアアッ!!」

「まだ、終わらんぞッ!!」

 

 次いで構えるは右腕を外水平に、左腕を斜め上に伸ばした後、両手を頂点で重ね合わせ腹部のバックル部分で構えを取る。そこから広範囲に放たれる連続光線は、ウルトラマン80のバックルビームだ。

 

「がああああああッ!!」

「エックスさん、もう良いです! 戻ってくださいッ!!」

「駄目だ……私は、まだ……ッ!!」

「もうやめてキャロルッ! そんなにボクが憎いならボクを殺してッ!! そしてボクを最後に、もう誰も傷付けないでェッ!!」

「――ああ憎いさ。だからそう簡単に殺してやるものかよ。

 憎いからこそ、否定されるべき存在であるお前の目の前でお前が愛するもののすべてを否定してやるんだろうがァッ!!」

 

 心の内をただ曝け出したまま、ソングキラーは両腕を水平に伸ばし上体を左へと捻る。そこから反動を付け身体の前でL字を組んで光線を放った。原初のエースキラーが用いた宿敵の必殺技、メタリウム光線がエックスに直撃する。

 

「うぐあああああああッ!!!」

「エックスさんッ! エックスさぁぁぁぁんッ!!」

 

 吹き飛ばされ倒れ込むエックス。最早立ち上がる力もなく、加速を増す点滅はその命の限界を見ているようだった。

 エルフナインの慟哭を聴きながら、血涙と共に何処か愉悦の表情を浮かべるキャロル。そしてソングキラーを操作し、左腕に伸ばした右腕を打ち付ける。そして円運動と共に高められた力をL字に組むことで超熱光線を発射する、ウルトラマンガイアのクァンタムストリームだ。

 間違いない。キャロルはコレをエックスに対する止めの一撃にするつもりだ。だが、だからとて何が出来ると言うのか。

 万策は尽きた。元より一万と一つ目の策として作り上げたのがRealizeUX。ウルトラマンとシンフォギア装者たちを信じるが故にこれ以上の策を立てずに居た己が身を呪う。ただ呪い、傷付ける。それ以外に出来ることなど無かったから。

 

 絞り出すように、彼女が声を出す。

 もう、何処に向かって出しているのかも分からないような声を。

 

「……もうこれ以上、”ボク”の……”オレ”の……”私”の想い出を、踏み躙らないで……。

 

 ――お願い、だれか……」

 

 余りにも小さく、余りにもか細く、余りにも信じることなく、それでも出て来てしまった言葉。

 機械仕掛けの神(デウスエクスマキナ)など存在しないというのに、一体この身は何に縋ったというのだろう。

 彼女の声は虚空に消え、やがて――

 

 

 

 

「これは……司令! 東京上空に新たな時空振動反応を検知ッ!」

「こんな時にかッ!? 規模はッ!!」

「これまでで最も小規模ですッ! この大きさから推定すると……戦闘機サイズの物体が転移してきますッ!!」

「一体、何が――」

 

 

 

 

 ――虚空より、その答えが返って来た。

 


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