ファイアーエムブレム~俺の系譜~   作:ユキユキさん

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何となく、ここにしました。


第5話 ~竜が飛ぶ国

ーエシャルー

 

ヴェルダンからワープ、来た場所といえば山!ここは何処だアグストリアかな? なんていったってヴェルダンからのワープだからね! 近場っしょ! わはははは!

 

………山以外何にもねぇ、マジで何処ですかね? 山っつっても、緑の少ない山ばっか。岩山っつーのかな? 人里あるんすかね?

 

とりあえず、山歩きを実行する俺。ワープは最終手段、そもそもここが何処か分からない。分からないから、ワープが出来ません。ヴェルダンの時にやったランダムワープ、知らぬ土地でそんなんやったら危険やで!

 

…やんなきゃよかったランダムワープ、見知らぬ土地に辿り着くとは思わなかった。このままだと遭難するぜ、ヘルプミーってなわけよ! …やっぱワープしちゃおうかな? 鮮明に思い浮かべることの出来る場所、ヴェルトマーの僻地、マーファ城、ヴェルダンの村、綺麗な湖。…少な! ワープ候補地が少ない件について、…なんでやねん!

 

 

 

 

ヴェルダンで鍛えたこの足腰、この程度でへたれません。それに山歩きも楽しいもんだ、景色もいいし。欲を言うなら人里カモン! 人っ子一人いやしねぇ、マジで何処だよ。ヴェルダンから旅立って2日、もう既にホームシックな俺。一人は寂しい、食料がヤバイ、俺様カッコいい。…ぐすっ、

 

「助けてくださぁぁぁぁぁい!!」

 

山の中で助けを叫ぶ俺、せめてここが何処かだけでも教えてください!

 

人里求めて4日、流石にもうヤバイです。食料尽きて、一人が寂しすぎて死にそうです。風呂、もしくは水浴びがしたいです。マジでヴェルダンに帰ろうかなぁ…、でもカッコ悪いよなぁ…。今日中に人里を見付けよう、見付けることが出来なかった場合はヴェルダンに帰ろう。死ぬよりマシだよね! …ラストスパートじゃボケェェェェェ!

 

全てを懸けてハイになっている俺を、誰も止めることは出来ない。…何処だぁ、人里! 俺の面前に姿を見せやがれ! 高山病もなんのその、山々を駆け巡る俺はもはや山神。人知を超えた存在となっている、…気持ち的にね。そんな俺のゴキブリパワーが尽きかけている、流石に限界か!? と思いかけた時に見えたモノ。あれは…、

 

「やったぜ村だ集落だ! これで勝つる!!」

 

テンションアゲアゲで駆け出したのだった。

 

 

 

 

 

ーパピヨンー

 

「おらぁ! 剣を捨てな、隊長さんよぉ! ガキがどうなってもいいのか!」

 

賊が子供に斧を突き付け、こちらに剣を捨てろと要求してくる。

 

「パピヨン隊長、どうすれば…。」

 

部下の一人が私に問いかける。これが他国の子供であれば、気にも留めずに賊ごと斬るのだが…。人質は紛れもなく我らが国の民、見殺しにすることなど出来る筈もない。

 

「…分かった、こちらの武器は捨てよう。その代わり、子供に危害を加えるのはやめろ!」

 

そう言って、私は剣を捨てる。部下も私に習い、各々の武器を手放した。賊はニヤニヤ笑い、

 

「それでいいんだ隊長さんよぉ、俺も子供を殺すなんてこたぁしたくねぇからな。」

 

クソが! どの口がそんなことを言う! 既に6人もの民を殺した癖に…! 私は悔しくなり、賊を睨む。そんな私の目が気に入らないのだろう、苛立った様子で、

 

「…んだぁ! その目はよぉ! 立場が分かってんのか、あぁ!!」

 

賊の斧が、子供に強く押し付けられる。少し刃が肌を裂いたのだろう、子供の服に赤い染みが浮かび上がる。子供は声を上げず痛みに堪えている、…強い子だ。その我慢強さに敬意を評し、絶対に助け出したい。しかし現状は、救出するのは難しいと言わざるを得ない。…くっ、どうすれば。

 

そんな逼迫した状況に、乱入してくる男がいた。少々汚れてはいるが、身なりが良い。鷹のように鋭い眼差しは、只者ではないと私の勘が囁く。そんなことより、突然の乱入。賊を刺激してしまったのでは…!

 

「なんだテメェ! 軍の関係者かなんかかぁ!? …ガキがどうなってもいいみたいだなぁ!」

 

やはり刺激してしまったか!? クソ…! 一か八か、賭けに出るしかないか!

 

「……どんな状況? …子供が人質で皆さんがピンチ?…んん?」

 

状況が飲み込めていないのか、コイツは! …コイツのせいで、事態は一刻を争うことになったというのに!

 

「…なるほど、その小汚ねぇ賊が悪党か。理解した、…ならば!」

 

今更理解など…! と思った矢先、男の体が光った瞬間。子供が賊の下から消え、男の下に。

 

「「「「はぁ!?」」」」

 

私達と賊の声が重なった。一体何が起きたのだ!?

 

「隊長さん? でいいのかね? 人質は救出したわけで、…後は分かるだろ?」

 

男の言葉で我に返る。私は努めて冷静に、

 

「賊を捕らえるのだ!」

 

と声を上げた。

 

 

 

 

 

ーエシャルー

 

なんかよく分からんけど、子供を救出。賊は、兵士の皆さんに捕まったみたい。まぁとりあえず、良かったのかな?

 

「…うぅ~……!」

 

何やら子供が呻き声を。よく見ると、怪我してんじゃん! 人質にされた時に傷付いたんか! んなことより治療だな! …ライブ!

 

………よし! 子供の傷は治ったな、一件落着ってわけだ! 良かった良かった! と自己満足している中で、ポンッと肩に手を置かれ、

 

「協力に感謝する、…で少し話を聞かせてもらえないだろうか?」

 

…ですよねぇ~。隊長さん? は、話を聞きたいようだ。まぁ話すことはいい、だがその前に…。

 

「…その前に、飯を食いたいんだけど。…良いですかね?」

 

ぐぅ~…と腹が鳴り、隊長さん? が苦笑いをしていた。…恥ずかしいわ!

 

 

 

 

……まぐまぐ。貰ったパンは一つだが、ものっそ旨い! 空腹はスパイスだ! このパンは、助けた子供の親から頂いた。お礼がこれしかないって、終始申し訳ないオーラを出していた。逆に俺の方が、申し訳ない気持ちで一杯だよ! たまたま遭遇した為に助けただけで、お礼を貰う為に助けたわけじゃない。

 

なんとなく雰囲気で感じたけど、この村? 貧しいんじゃないですかね? そんなんで、お礼としてパンを一つ。本当に申し訳ない、だがしかし…! せっかくくれるってんなら貰うだろ! お礼を拒否するのは人にあらず、好意は受け取らないと駄目でやんす。

 

満腹とはいかないけど、満足したぜ。ちゅーわけで、パンを食い終わるのを待っていた隊長さん。

 

「お待たせしてすみませんね。…んで、話って俺についてでいいんですかね?」

 

「ああ、立場上…聞かぬわけにはいかないからな。」

 

まぁそりゃそうだわな、…軽く話しますかね。

 

 

 

 

自己紹介を互いにしてから、ヴェルトマー家から逃げているのは伏せつつ、これまでのことを話した。つっても、ヴェルダンからのことですが。ワケありの放浪魔法剣士? とでも思ってくださいな。俺の事情を話したところ、隊長さん…パピヨンさんはやや呆れている。

 

「ワケありなのは多少引っ掛かるが、ヴェルダン王国に関わりがあるのか。しかも王族…、身なりを見れば分からんでもない。…いやそれ以上に、ワープとレスキューか。エシャル殿は、なかなかの…いや、かなりの腕を持っているようですな。」

 

「いやぁ~…、それほどでも。」

 

照れてみた。照れる俺を気にせず、パピヨンさんは、

 

「賊のこともあるし、ワケありとはいえ助力してもらったこともある。…一応、トラバント様に報告せねばなるまい。エシャル殿には悪いが、一緒に来てはくれないだろうか?」

 

「…上司に報告? ならば仕方がないよね、…付き合いましょう。」

 

ここで断れば、最悪犯罪者になってしまうだろう。ヴェルトマーの他に、追われる奴等が増えるのは勘弁。ついていくしかないっしょ。俺の言葉を聞いて、安心したパピヨンさん。彼は、

 

「申し訳ない、では…足を呼ぶので。…おい! 私の飛竜を連れてきてくれ!」

 

…おぉ、飛竜ですってよ奥さん。……んん? 飛竜?

 

立派な飛竜が現れて、パピヨンさんがそれに乗る。

 

「エシャル殿、貴殿も我が飛竜に乗ってくれ。…安全な空の旅を約束しよう。」

 

俺はパピヨンさんの手を掴み、飛竜の背に乗る。…彼ってドラゴンナイトっすかね? 聞いとこ。

 

「パピヨンさんパピヨンさん、貴方はドラゴンナイト? 因みにここって、トラキア王国ですかね?」

 

「…? いかにも私は竜騎士で、ここはトラキア王国だが。互いに紹介をする時に言ったのだが…。」

 

何言ってるのコイツって顔してるね、サーセン! …それにしてもトラキアねぇ~、遠くに来たもんだわ。とりあえず、トラバント様とやらに会わないとね。考えるのはその後だ、…ってトラバント? トラキアの王様ですやん! なんてことを考えながら、俺はパピヨンさんの飛竜で空へと舞った。




トラキア~。

まだ先だけど、次はレンスターになるんだろうね。

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