ファイアーエムブレム~俺の系譜~   作:ユキユキさん

48 / 62
早起きさん、偽善さん、感想ありがとうございます。

今回は文字数が多いです。

その分、ちょっと雑かも。


第37話 ~帰国しますよ

ーエシャルー

 

ヴァン達に、明日の夕方あたりにまた来ると言い、街の宿に戻ってきた俺。一応、病み上がりであるし、明日はヴァン達をトラキアへ飛ばすのにワープを使う。早めに身体を休ませるのが吉とみた、・・・つってももう夜なんですけどね。さて・・・、では早速部屋へ戻って寝るとしますか、なんて考えていると・・・、

 

「お戻りになりましたか、エシャル殿。」

 

宿の受付付近にある食事スペース、そこにいたパメラさんに声を掛けられた。

 

まだ寝てなかったんだなぁ~と思いつつ、パメラさんの下へ。

 

「やぁやぁパメラさん、まだ寝てなかったんだな。寝る前に一杯、・・・というわけでもないんだ?・・・え~と、俺を待っていたとか?」

 

そう言うと、パメラさんは頷く。

 

「明日の早朝にはここを発ち、シレジアへと戻る予定ですので別れの挨拶を・・・と思いまして。」

 

・・・そういえばパメラさん、シレジアの天馬騎士でしたね。俺達と共にいるわけにはいかないよね?やっぱり、責任ある立場でもあるし。俺の能力を駆使すればいつでも会えるのだが、それでも別れというのは悲しいものだよね。

 

「その為に俺を待っていたのか、・・・パメラさんは律儀だね。ノリでオーガヒルに泊まってこなくて良かったよ、うん。」

 

そんなわけで、寝る前にパメラさんと話をしました。シレジアの様子にフュリーの脳筋が治らない件、レヴィンが国内から逃げ出そうとしていること等。・・・最後のレヴィンネタは重要だと思うんだけど、というかアイツ・・・マジで旅立つつもりなのか。ラーナ様、自分の息子を縛り付けなくていいの?

 

「・・・これ以上はエシャル殿の明日に響きますね、ここまでお付き合いいただきありがとうございます、エシャル殿。」

 

俺は明日、忙しなく動く予定であるし、パメラさんは早朝発つしでこれ以上は明日に響くか。パメラさんとは数ヶ月間、会うことはないだろうと考える。美人に会えなくなるのは寂しいね、・・・・・・そうだ!パメラさんにお守りを渡そう!

 

「こちらこそ、色々とありがとう。ここで別れたら数ヶ月は会えなくなるだろう、故にパメラさんにはこれを贈ろう。お守りとして、肌身離さず持っていてくれると嬉しい。」

 

そう言って、懐から石のペンダントを取り出し渡す。ただの石ではないぞ、赤く光る石で綺麗なのだ。トラキアの山で発掘しました!最初は透明な石だったんだけど、俺が持ったら赤になりました。そんな赤い石で作ったこのペンダント、きっとパメラさんを守ってくれると信じている。なんせ俺の力の色、ファラの色なんだからさ!

 

「とても綺麗な赤、エシャル殿の瞳のようですね。言われるまでもなく、肌身離さず持たせていただきます。・・・ありがとうございます、エシャル殿。これがあれば、私は頑張れます。」

 

そう言って微笑むパメラさんに別れを告げて、俺は部屋へ戻った。ナイス笑顔だパメラさん、・・・良い夢が見れそうだ。

 

 

 

 

 

・・・で朝になったのですが、・・・良い夢を見ましたよ?なんつーか、パメラさんとディアドラが夢に出てきてね。・・・それだけでいいだろ?察してくれよ、俺も男なんですよ・・・って違う!良い夢だったんだよ?目覚める前は。・・・目覚めたら最悪でしたよ、俺に抱き付いていたんですよ・・・ある人が。・・・そう、・・・エルト兄様が!何しちゃってくれてんですかね、この人は!・・・せめて、・・・せめてディアドラだったら!

 

とりあえず、俺に抱き付いて寝ているエルト兄様を投げ飛ばし、ベッドから出る。蛙の潰れたような声を出したエルト兄様は起き上がり、何事もなかったかのような爽やかな笑顔で、

 

「おはようエシャル、爽やかな朝だな!これで俺は一年間、本気で頑張れる!」

 

と言ってきた、・・・ホモの方ですか?エルト兄様。

 

「・・・おはよう、エルト兄様。・・・して、何故に俺のベッドで?今日の朝には、・・・マディノを出ると聞いたのですが。というか、早々に出立した方がよろしいかと・・・。」

 

俺はエルト兄様に対し、挨拶と疑問、そして早く帰れと言っておく。因みに、俺はノディオンへは行かないと言ってある。グラーニェ義姉様とアレス君には会いたかったんですけどね、・・・何となくまだ行かない方が良いかな?っと思いまして。それに詳しくは知らないけど、俺が死んだとされる事件のことがちらついてね。俺と剣を交えたエルト兄様は、何となく察してくれて無理に来いとは誘ってこなかった。エルト兄様もレクスの話を聞いていたからね、何かしら思う所があったっぽい。・・・変なことをしなければいいけど。

 

・・・まぁそんなわけで、俺の言葉を聞いたエルト兄様は、

 

「馬鹿かお前は!これから暫くエシャルと会えなくなるんだぞ、エシャル分を補充しておかなければならんだろうが!せっかくの再会、されどまた遠退く距離!アグストリアでもエシャルは死人、しかも箝口令が敷かれているからな。迂闊に口に出せんのだ、故に帰る前に添い寝でな!・・・因みに死んだエシャルとトラキアのエシャル将軍は別人、そういう風にアグストリアには伝わっているから安心しろ!・・・あっ、一応エシャル、お前・・・顔を隠した方が良いかもな!別人として伝わってはいるけれど、顔を見れば一発だろ!血の共鳴は仕方ないにしても、顔だけは隠しとけ!・・・良いじゃないか、仮面の将軍エシャル・・・謎の魅力があるな!」

 

エルト兄様のマシンガントーク、・・・よくもまぁこう喋れるもんですな。エシャル分って何なの?エルト兄様の動力源なの?新しい栄養素なの?・・・とそれはいいとして、箝口令を敷く程のことなんかね?俺。だけど仮面を付けるのは良いかもな、・・・顔を見れば一発か。考えとこ・・・。

 

朝から大声を出せば怒られますよね?途中でイーヴさんが来まして、エルト兄様を連れていった。駄々をこねていたけど、グラーニェ義姉様とアレス君が帰りを待っているとイーヴさんが言ったら、

 

「・・・!!今から帰ったとしても、1ヶ月は・・・会っていないではないか!グラーニェ、アレス、・・・すまない!今、エシャル話を土産に帰るぞ!というわけでエシャル、また会える日を心から待っているぞ!因みにお前のことは、信頼の置ける者にしか話さんからな、安心しろ!・・・あっ、ラケシスにも教えてあげなければ!ふはははははっ!これから忙しくなるぞ、・・・イーヴ!何をしている、早く来い!・・・では、さらばだ!!」

 

・・・嵐のようなお人ですな、・・・本当に。

 

パメラさんが去り、エルト兄様達がマディノを去った。後はカナッツ君達を集めて、ヴォルツ達に後を任せて、オーガヒル城を燃やして、ヴァン達を連れ帰る。・・・アイーダも忘れちゃいけない、・・・やることがありすぎるね!

 

 

 

 

 

俺はカナッツ君達を集め、すぐにでも引き継げるように手配しておく。昼過ぎにはヴォルツ達もマディノへと戻ってくるだろう、その時速やかに引き継げればいうことなしだね。そのことを厳命して、カナッツ君達を解散させる。うーん、カナッツ君達の顔付きが自信に溢れているね!今回の作戦も被害は軽微だったからね、・・・後始末は少し大変だけど。マディノの方々にも感謝され、トラキアの名に恥じない結果を残したんだからな、自信が付いて当たり前だろ。

 

カナッツ君達に指示を出した後、俺は眠るアイーダの下へ。アイーダの傍らには、ディアドラとレクスが。俺に気付いたディアドラは俺の下へと駆け寄り、

 

「おはようございます、エシャル様。」

 

と、顔を綻ばせながら挨拶をしてくる。俺も当然笑顔で、

 

「ああ、おはようディアドラ。何もないようで良かったよ。」

 

と言って頭を撫でる。俺の暴走で昨日は無理をしたっぽいからな、元気そうで本当に良かったよ。目を細めてなすがままに撫でられるディアドラを見て、無表情ながら優しい雰囲気のレクスが口を開く。

 

「一日見ておりましたが、アイーダは大丈夫でしょう。後は目覚めるのを待つだけ、・・・いつ目覚めるかは不明ですがね。」

 

レクスの言葉に改めて安心する俺、・・・後はアイーダが目覚めるのを待つだけか。アイーダが目覚めたらまずは謝り、そして色々と話がしたいな。そうすれば、あの事件のことも少しは分かると思うし、アイーダの身に術を施した者の影ぐらいは掴めるかもしれない。

 

安心した俺を見たレクスは、

 

「では、私もフリージへ戻るとしましょう。レプトール様に、そして姫様方にへと吉報を届けないとなりませんので。・・・一週間以内に、姫様方と共にトラキアへと赴きますので、その時はどうぞよろしくお願い致します。アイーダのこともどうか・・・、それとディアドラ様。私の言葉、お忘れなきようお気を付けくださいませ。・・・それでは、失礼させていただきます。」

 

そう言って一礼したまま、ワープ?でこの場を去った。・・・ティルテュとエスニャ、二人と会える日は近いのか。楽しみだな、と思いを馳せていると、

 

「・・・ディアドラ、私のことも忘れないでください!・・・それに、負ける気もありませんから!」

 

と自己主張をするディアドラ、なんか珍しいね?それに負ける気がないって、誰かと戦うの?

 

 

 

 

 

アイーダの様子を見ながらディアドラと話していると、ヴォルツ達が戻ってきたとの一報が入った。俺はディアドラにアイーダのことを頼むと、宿を出て港へと向かう。するとそこには、既にヴォルツ達が戻っており、ベオウルフを中心に戦後処理の引き継ぎをしているっぽい。カナッツ君とレイミアさん、ベオウルフは忙しそうだ。ヴォルツは二日酔いと船酔いのダブルパンチで顔が青いし、クーちゃんは悩ましい顔をしている。・・・俺はその悩ましい顔が気になったんで、話を聞いてみようと思った。

 

「お疲れ様、クーちゃん。作戦終了ってことだけど、どうかしたのか?昨日の夜は楽しそうにしてたのに。」

 

宴を楽しそうにしていたのに、どうしたというのだろうか?声を掛けたことで俺に気付いたクーちゃんが、

 

「あっ、エシャルさん。エシャルさんもお疲れ様です、・・・私、そんなに気になる顔をしていますか?」

 

それを皮切りに、クーちゃんは理由を教えてくれた。

 

何でも今回の戦いで、レイミア傭兵隊に所属する女傭兵が数人亡くなり、傭兵隊の維持が難しくなった。元々女性だけで結成されたわけで、構成人員が少なかった。それでいて今回の依頼で、更に人員が減ってしまいってことらしいね。それで帰りの船にて、傭兵隊を解散させるか、このままギリギリで活動するか、ヴォルツ傭兵旅団に吸収してもらうかを話し合ったんだと。あ~・・・、俺達が来るまで苦戦していたみたいだからね。レイミアさん、たまに難しい顔をしている時があったけど、傭兵隊のことを考えていたんだろうね。未だにどうするかは決まっていないらしく、それで悩んでいるらしい。そりゃあ悩むだろうね、・・・存続の危機ねぇ~、・・・ふむ。

 

とりあえず、戦後処理の引き継ぎが終わったっぽいから、今日中に俺達は撤収するってことを伝えなくては。

 

「お疲れさん、・・・俺達は今日中にトラキアへ戻らせてもらうぜ?色々とやることがあるんでね、戦後処理は任せたぞ。因みに今回の報酬は、最低限の額で手を打たせてもらった。」

 

「最低限とかって、お前らのお陰で勝ったようなもんなんだからよ。それなりにもらってくれた方が有り難いんだが、・・・レイミアともそんなことを話していたわけだし。」

 

俺の言葉にベオウルフはそう返してきた、レイミアさんも頷いている。・・・そう言われてもなぁ、カナッツ君達には掲示額以上の報酬、俺は特に必要無しだからな。実際、予想以上にもらっているわけなのだよ、たとえ最低限だとしても。故に、マジでこれ以上はいらないんだよね。

 

「いや、既に最初の掲示額・・・報酬より多くもらっているからな。更にもらうっていうのは無しだ、これもトラキアの矜恃ってことで分かってくれ。それにお前達にも色々あるんだろ?俺達の報酬分は、そっちで使ってくれよ。・・・納得出来ないってんなら、その報酬分でレイミア傭兵隊を雇っちゃおうかなぁ~・・・って。」

 

と冗談半分で言ったつもりなんだけど、ベオウルフがニヤリと笑った。

 

・・・ん?

 

「そうかそうか、レイミア達を雇うってか!流石はエシャル、そう言うと思っていたぜ。お前ならクーに話を聞くと思っていたし、話を聞いちまえば無意識に助け船を出すからな。」

 

・・・なん、・・・だと!?

 

「俺らんとこに入れるわけにはいかんのよ、これ以上増えたら俺が死ぬ。解散と言っても、傭兵とはいえ女だ。纏まった集団なら何とかなるが、個人となると・・・な。傭兵隊を維持するにも人数が厳しい、・・・そこでトラキアの将軍エシャル様の登場だ。」

 

言わんとすること、分からんわけでもない。問題児の多いヴォルツんとこに入れば、副長のベオウルフは過労死する可能性が。レイミアさんにクーちゃんはともかく、他の女傭兵さん達は個人で活動するには名が売れてない。現状を維持して雇ってくれそうな人物、或いは国。彼女達を知る人物である俺が一番、彼女達も俺を今回の依頼で知っているからな。・・・確かに有力だわな。

 

「トラキアのエシャル将軍は、オーガヒルの海賊を配下に加える程の人物。まぁ俺から見れば、先を見据えて準備をしているとしか見えない。・・・もっと言うなら、何かしらの戦い・・・戦争が起きる。そう考えているとみた、・・・高確率でヴェルダン王国がキナ臭い。・・・違うか?」

 

・・・いや、本当に・・・流石はベオウルフ。普段のおちゃらけが嘘のように鋭い、歴戦の傭兵旅団副長の名は伊達じゃない。

 

完全に読み通りだよ、ヴェルダンがキナ臭いってのは真実だ。万が一に備えて、今回の依頼が来た時から考えていた。海賊の中で仲間・・・、配下に出来そうな奴等は迎え入れると。少しでも戦力が欲しいからな、うん。もしヴェルダンに何かあっても、トラキア兵は迂闊に動かせない。隣国もまた敵、手薄になった所を攻められてはな。その時は俺が動く、トラバントからは自由権を与えられているし、ワープの遣い手である俺ならばどうとでも動けるが故に。・・・まぁキナ臭いだけだから、保険ってことで計画していたんだけどね。この依頼の為に来てみれば、それが確信に変わったよ。ロプト教団の影が大陸で暗躍している可能性があるのなら、ヴェルダンは・・・いや、大陸を巻き込む動乱は起きるとな!

 

そう考えると、レイミア傭兵隊を雇うのはアリなのでは?彼女達は傭兵故に経験豊富、即戦力になることは確実。それに今はちょっと違うが、トラキア王国は傭兵国家。彼女達もやり易いと思うしな、うん。トラキアを強国にする力になってくれるんじゃないか?

 

「そういうわけで、レイミア達を雇うってーのは悪いことでは・・・「雇おうじゃないか。」・・・おう。」

 

レイミア傭兵隊、俺が雇おうじゃないか。この先の動乱を生き残る為に、トラキアを、俺に関わった者達を守る為に。・・・・・・これも、神からの啓示なのかもな。

 

 

 

 

 

・・・で、レイミア傭兵隊を雇うことにしました。契約期間は決めてなく、彼女達の意志一つで決めてもらいます。好きな時にやめられるってことです、破格の対応ですね!まぁ正確に言うなら、トラキアの俺んとこを本拠地に活動してもらうってーのが分かりやすいかな?・・・のか?俺もよく分からんのだけど、全然駄目じゃんねぇ!甘いってーのは分かっとります、わはははははっ!

 

後・・・詳しく話して分かったんだけど、彼女達の大半はイザーク出身なんですって。トラキア帰国後、やることやったらイザークへ行く予定なんで、道案内をしてもらいましょうかね。・・・レイミア傭兵隊の初仕事が道案内、何かすみませんて感じになりますね?

 

「・・・何か本当にすまないねぇ、エシャル様。私の采配が振るわないが為に、迷惑掛けちまって・・・。その分はきちんと働くし、色々と勉強させてもらうよ。私の力不足が原因なんだしね・・・、うん。エシャル様は自由でいいとは言っているが、私達は契約解除を言われるまでは働かせてもらうよ。これからよろしくお願いしますよ、エシャル様。」

 

レイミアさんがめっちゃ凹んでいる、・・・まぁ頑張れってしか言えないよね?今回のことは何も言えんよ、自分で考えて行動して学ばないといけないからね。・・・そう、これから先・・・傭兵隊を率いるつもりなら。後、契約解除まで働くって言うなら、働いてもらいますからね?・・・これからたぶん、いや・・・確実に動乱が起こりますから。

 

因みに、レイミア傭兵隊にはマディノに残ってもらいます。戦後処理が終わったのなら、迎えに来ますが。実際、レイミア傭兵隊を主軸にヴォルツ傭兵旅団が参加、俺達トラキアはあくまで助っ人なわけだし。依頼の主軸は最後まで見届けなければならんだろ、助っ人の俺達はともかくさ。まぁ俺達トラキア勢が大勝しちゃっているから、ちょいと傭兵の皆さんの影が薄くなっちゃっているけど。今から俺が単身、オーガヒルへ行って城を燃やすからな。傭兵達が海賊の本拠地を攻め滅ぼした、と声高らかに民達が誉め称えるだろう。オーガヒルから戻ってきて、戦後処理に加わっているからね。言われるのも時間の問題さ、・・・マディノの調査隊がオーガヒルへ渡るのも。そういうことなので、カナッツ君達をトラキアへ戻してから、早急にオーガヒルへと渡らなければ。

 

 

 

 

 

そうと決まれば、カナッツ君達にディアドラ、眠りこけているホリンを叩き起こし、アイーダをお姫様抱っこさせて集まってもらった。

 

「今回の依頼、海賊掃討戦での我等トラキアの仕事は終わりだ。報酬は帰国後、各自に渡される。渡されたのなら即時確認し、報告せよ。その後は解散し、各々好きなように行動することを許可する。」

 

カナッツ隊の面々にそう言ってから、カナッツ君個人に対しても、

 

「カナッツ君の指揮もなかなかのものだった、君を大隊長に推す日も近いかもな。俺より先に帰国するわけなのだから、トラバント王へ先立っての報告をよろしく頼む。ヴァン達のこと、レイミア傭兵隊のことも忘れずに報告してくれ。」

 

「はっ!了解致しました!」

 

続いてディアドラにホリン、

 

「ディアドラには良い経験と共に、相当な負担と苦労をも経験させてしまった。この埋め合わせは帰国後、絶対にするから何をしてほしいか考えていてくれ。ホリンもマディノで加わったわけで、トラバント王とは面識がない。アイーダを俺の館にいる使用人に任せた後は、ディアドラと共にトラバント王の下へと赴き、きちんと挨拶をするように。後は自由にしてよし!」

 

「・・・!?何でも、何でもと言いましたね?・・・頑張ります!」

 

・・・何を頑張るの?ディアドラさんや?お手柔らかに・・・ね?

 

「・・・他国の王へ挨拶、・・・俺にきちんと出来るだろうか?」

 

一応マリクル王子と面識があるんだから、自信を持ちなさいホリン。

 

そんなわけで俺は・・・、

 

「俺も彼らの下へと行き、後始末をしてから帰国する。先程言ったことが重要ではあるが、彼らを迎える準備もしてくれたら有難い。・・・では、帰国後な。・・・ワープ!!」

 

俺は集団ワープにて、カナッツ君達トラキア兵とディアドラ、ホリンらをトラキアへと送った。う~ん、・・・更にワープ能力が上がったな。今回の依頼で割りと使ったからな、レスキューを含めて。まさか一回でカナッツ君達を送れるなんて、二回になるかと思ったんだがな。まぁ、能力が上がることは良いことか。さて・・・・・・。

 

そろそろオーガヒルへ行く頃合いか?そう判断した俺は、ヴォルツ達・・・ヴォルツは死んでるからベオウルフ達に別れの挨拶をする。

 

「それじゃあ俺はオーガヒルへ行く、そしてそのままトラキアへ帰国させてもらうからな。ヴォルツにも挨拶したいが、アイツ・・・死んでるからな。俺がよろしく言ってたと伝えてくれ、・・・まぁ色々と世話になったなベオウルフ。今度会う時は戦場、敵同士だったら笑えるな!」

 

「笑えねぇよ!こっちの分がかなり悪いわ!もしそうなったら、交渉させてもらうからな!たとえ天下無敵のヴォルツ傭兵旅団でも、トラキアとは敵対したくはねぇ。俺達は、『命を大事に』がモットーだからな!」

 

ベオウルフと俺、そして傭兵達とで笑い合う。今日は味方でも、明日になったら敵ってーのが傭兵稼業の辛い所。俺達の出会いと敵対しなければいいな、・・・っていう願いも込めて笑う。

 

そして・・・、

 

「・・・マジな話、近々大きな動乱が起きる。お前達にとっては稼ぎ時かもしれんが、相手と引き際はちゃんと見極めろ。・・・死ぬなよベオウルフ、そして傭兵諸君。・・・俺は、・・・俺達はお前達と戦いたくない。・・・じゃあな、また会おう!」

 

俺はそう言うと、スコルと共に大空へ。そんな俺を見上げてベオウルフは、

 

「俺達は死なねぇよ!・・・俺達は、・・・俺達のモットーは『命を大事に』だ!覚えとけよ、エシャル!!」

 

そう言って手を振ってくる、皆が手を振ってくる。・・・『命を大事に』か、・・・ベオウルフの奴、・・・その時は俺に任せろよ!!

 

 

 

 

 

マディノからオーガヒルへと来ましたが、既に準備は整っているようですね。舞い降りてみればヴァンを先頭に、強面の海賊達がズラリと並んでおります。・・・昨日の宴ん時は、雰囲気が雰囲気なんでそうでもなかったが、素面で見るとなんか恐いね。ガンドルフの兄貴んとこはそんなに感じなかったが、海賊は更に荒々しいね。・・・う~ん、それなりの訓練を施して前面に出せば、威圧と武力で良い部隊が作れんじゃね?とか思ってみたり。

 

「おぉ~、既に引っ越し準備は出来てるみたいだね。感心したよ、ヴァン。・・・時間があまりない故に、まずは城の外へ行こうか。・・・自分達の城の最後、その目に焼き付けて新たな道の標とするがいい。」

 

そんな俺の言葉に、

 

「エシャル様のご配慮、感謝しやす。・・・お前ら!エシャル様のお言葉は聞いただろう、急いで動きやがれ!分かったな!!」

 

「「「「「へいっ!!」」」」」

 

ヴァンの一声で動き出す荒くれの海賊達、ブリギッドさんに若頭?っぽい奴らを先頭に城の外へ。・・・どれ、盛大に燃やしますか。

 

 

 

 

 

「・・・その目に焼き付けろよお前達、この炎でお前達の海賊生活は終わりを告げる。そして今日よりお前達は、トラキアの黒刃エシャルが配下として新たな一歩を踏み出すのだ!・・・・・・ボルガノン!!」

 

圧倒的な炎の一撃にヴァン達は呆け顔となる、そして・・・自分達が今まで過ごしてきた城が炎に包まれる様を、涙を流して見詰めている海賊達。

 

・・・炎に包まれ崩れ行く城と共に、オーガヒルの海賊は滅んだ。そして・・・、この海賊掃討戦から世界は、動乱へと向かっていくことになるのであった。




序章メインはこれで終わりです。

次は閑話になります。


物語は戦いに移っていきます、上手く書けるか分からんけど。


とりあえず閑話では、多少のイチャイチャを書けたらいいなと思います。

書いて欲しい組み合わせが合ったら、活動報告のどれかに書いてください。シチュエーションも軽く書いてもらえると有難いかも。しかしその場合、下手な話になっても怒らないでね?


次はちょっと『なろう』の方を書きますんで、投稿が遅いかも。


エシャル

【挿絵表示】


ブリギッド

【挿絵表示】


トラバント

【挿絵表示】


ディアドラ

【挿絵表示】



新たに書いたエシャルがヴェルトマーよりの顔に。ブリギッドがイケメン、トラバントが若い、ディアドラが可愛い、・・・以上!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。