ファイアーエムブレム~俺の系譜~   作:ユキユキさん

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今回は、少しだけあの事件のことが出てきます。


おくれやすさん、megeGⅢさん、Isaacさん、じょりんごゴン太さん、バニング体位さん、Mullerさん、ナナンブさん、シャンアームさん、Edwardさん、いしゅたるさん。

アンケートありがとうございます!


第30話 ~海賊掃討戦《交わる刃・前編》

ーエルトシャンー

 

圧倒的な火力を誇る天馬騎士、その凄まじい炎で海賊達を駆逐する。俺と共に進軍してきた兵達も、イーヴもその光景にア然とする。・・・当然のことだろう、たった一騎に海賊達が為す術もなく、蹂躙されているのだから。だが、この一方的な蹂躙劇よりも、それよりもこの共鳴の方が・・・!

 

「エシャル・・・、エシャルなのか・・・!」

 

これ程の共鳴、未だかつて感じたことがない。・・・魂と魂が響き合う、同じ血が流れる者の証、近くにいない者で挙げられるのはただ一人、死んだとされる愛する甥、エシャルただ一人!

 

「エシャル・・・!!」

 

一瞬、天馬騎士と目が合ったような気がする。驚愕の色と・・・、なんだ・・・?このざわめきは・・・、あの天馬騎士から・・・なのか?

 

妙な違和感をこの身で感じていると、天馬騎士は更に火力を上げてこの戦場を支配する。その光景を見て、ハッとする。

 

「全騎散開せよ!炎より逃れんとする賊徒共を殲滅するのだ!しかし、くれぐれも前へは出過ぎるな!逃げ惑う賊徒共だけを相手にせよ!・・・俺は味方であろうあの天馬騎士と話をつけてくる、イーヴ!これよりお前を臨時の指揮官に任命する、兵達の統率は任せた!」

 

「了解致しました、エルトシャン様!」

 

素早く兵に指示を出し、指揮権をイーヴに委ねる。イーヴならば、被害も出さずに指揮が取れるだろう。これで海賊達は、一人も逃すことなく討ち取れる。

 

・・・後はあの天馬騎士、姿はよく見えない。見えないが確信している、・・・エシャル!俺はエシャルの下へと行かねばならない!行かねばならないのだが・・・、妙な胸騒ぎもする。我が魔剣ミストルティンも俺に警告をする、『闇に注意せよ』と・・・。闇が何を指すのか分からないが、それでも俺はエシャルの下へ。見たいのだ、この目で!愛する甥の姿を・・・!

 

 

 

 

 

ーエシャルー

 

大陸にその名を轟かせるノディオン王家のエルトシャン、獅子王と称されるその武勇は全ての騎士達の憧れ。黒騎士ヘズルの血と共に、魔剣ミストルティンを受け継ぎし聖戦士の一族。そして、俺とエルトシャンは血が繋がっている。それだけならば良かったのに、あろうことかこの俺もまた・・・魔剣を継承出来る程の力を持つ。

 

故に俺は愛された、故に俺は疎まれた、故に俺は奪われた!俺の脳裏に巣食う黒い靄が形を作る、見知っているような男女の姿となる。そして・・・囁く。

 

『奴はお前を狙っているぞ?お前がいたら、息子に魔剣を継承させることが出来ぬ故にな。』

 

『エシャル様、貴方も贄にされるんですよ?貴方の死が・・・必要なのです。家の為にね・・・。』

 

『俺達は貴様を殺すことが出来なかった・・・。故に託したのだ、獅子王に・・・。』

 

『さぁ死んでください、エシャル様・・・。魔剣に斬り裂かれて・・・。』

 

・・・獅子王が俺へと向かってくる、軍から一人離れて俺の下に。目を付けられぬように火力を上げ、ゴミ共を燃やし尽くそうと思っていたのに、一歩及ばず・・・駆けてくる!俺を殺しに・・・!!

 

『『さぁ・・・、死ね!!』』

 

頭に響く黒い声が、俺を死に追いやろうとする。

 

・・・・・・だが俺は!

 

「死んで・・・たまるかよぉぉぉぉぉっ!!」

 

俺にはやらなきゃならんことがある。トラバントと共にトラキアを強国にすること、ガンドルフの兄貴と共にディアドラを見守ること、そして・・・靄に隠された記憶をどうにかすること。記憶はどうでもいいと思っていたが、ここまで邪魔をするならばどうにかした方がいい。それにこの悪寒、頭に響く声と男女の影、まとわりつく闇の影が鬱陶しい!・・・これが、トラバントの言っていた血の呪いなのか?分からない、・・・分からないが声が言うように、獅子王が俺を狙うのなら、たとえ・・・血族だとしても倒すしかない!声の望む死を・・・俺は否定し、立ち向かう!

 

力強くそう思い、愛剣であるキルソードを強く握る。・・・黒い靄が、・・・闇の影が少し薄まった気がした。今こそ・・・磨き上げてきた武を示すのみ、友と大切な者達とこの先を歩む為に、俺の道を妨げるのならば、獅子王エルトシャン・・・!俺はお前を倒す!・・・心の奥で、刃を交えることを望む俺がいる。そんなもう一人の俺と共に、

 

「さぁ・・・スコル!生きる為に強者との一戦、共に駆け抜けよう!」

 

力強い俺の言葉に、大きく嘶き応えるスコル。・・・いざ、生きる為に!

 

 

 

 

 

ーエルトシャンー

 

俺は天馬騎士の下へと駆けた、そして・・・その姿を見た。赤みがかった金髪に、女性的ではあるが整った顔、その身に纏うヘズルとファラと思わしき覇気。俺とアルヴィスの雰囲気を、今は亡き姉上の面影を天馬騎士に見た。・・・やはり間違いなかった、・・・エシャル!魂に響く共鳴と共に感じる懐かしき気配、あぁ・・・エシャル!俺はこの瞬間を、どれ程の時間・・・願ったことか!

 

しかし、そんな想いは打ち砕かれる。声を掛けんとした時に、

 

「死んで・・・たまるかよぉぉぉぉぉっ!!」

 

天馬騎士の、エシャルの鬼気迫る声に最大限の警鐘がなる。エシャルから黒い靄が噴出し、彼の目を紅く染める。だがそれは一瞬で、黒い靄は霧散し、目の色も元に戻る。そして・・・、俺の贈りしキルソードを構えて・・・、

 

「さぁ・・・スコル!生きる為に強者との一戦、共に駆け抜けよう!」

 

その言葉と天馬の嘶き、この場に放たれる殺気。エシャルは俺を狙っている!・・・何故だ!

 

疑問を思い浮かべている暇はない、剣を交えなければ俺自身が危険だ。この殺気は尋常ではない!・・・エシャル、強者になったな!俺を狙う理由は分からんが、久々に剣の稽古をしてやるか!たぎる、・・・たぎるぞ!聖戦士同士の一騎討ち、それも黒騎士ヘズル同士の戦い。不謹慎ながら俺は、この身体中に駆け巡る喜びを抑えることが出来ない!・・・エシャル、剣を交えよう!だが安心するといい、俺はお前の命を奪いはしない。お前は俺の命を狙ってはいるが、決して俺はお前の命を奪いはしない。だが・・・!楽しませてくれよエシャル!お前に何があったのか、剣と剣が・・・刃と刃が交われば自ずと分かる!さぁ、命懸けの語り合いをしようか!

 

「我が魔剣は闇をも斬り裂く・・・!獅子王エルトシャン・・・参る!」

 

俺はミストルティンを天に掲げ、エシャルへと向かっていった。

 

 

 

 

 

ーエシャルー

 

俺は空を駆け、エルトシャンは地を駆け、そして刃と刃がぶつかり合う。

 

ギャリィィィィィン!!

 

「・・・いぎっ!」

 

俺の剣は魔剣とぶつかり合い、力と力が競い合う。しかし、俺の方が押し負けている。俺は空、相手は地。踏ん張りが無い分、空にいる俺とスコルの方が分が悪い。負けてなるものか!と俺は全力を込める、スコルもまた・・・空にて力強く羽ばたくも、

 

「まだまだ甘い!その程度の力、俺の前では無力と知れ!」

 

より一層力を込めた魔剣の前に、俺とスコルは競い負けて弾き飛ばされる。瞬時に手綱を操り、空中にて体勢を整える。流石は獅子王と呼ばれる男、力では負けるか!だが・・・負けるわけにはいかない、俺は負けるわけにはいかないんだ!力では負けるが、速さでならばどうだ?はぁぁぁぁぁっ!

 

 

 

 

 

ギィン!ギィン!ギィン!ギャリン!

 

・・・この!

 

ギィン!ギィン!ギィン!

 

・・・んぐ!

 

ギャリン!ギィン!ギャリン!ギャリン!

 

こな・・・くそっ!

 

ギャリィィィィィン!ギィン!

 

幾度となく空から急襲し、剣戟を繰り広げるが全てを捌かれる。正面、側面、背面、頭上、・・・様々な場所や死角から襲ってはいる。・・・いるがしかし!なんという守りの固さか!速さは勝っているというのに、獅子王の武勇は本物としか言いようがない!俺の速さをその技で、その勘で防ぎきる。・・・されど相手は、俺に反撃を出来ずにいる。守ることで精一杯・・・ということか?・・・俺の速さも捨てたもんではない。まだまだ俺は大丈夫、スコルもまだ・・・羽ばたける。力尽き、飛ぶことが出来なくなるまでやってやる!

 

 

 

 

 

止まらぬ剣戟、互いの刃が幾度も交わりぶつかり合う。その度に、俺の心がざわめく。刃と刃を通して、何かが俺の中を駆け巡る。忘れていた何かが、靄に隠されていた何かが少しずつ、人の形になっていく。

 

そして、それを阻むように・・・、

 

『・・・諦めろ、死ね!』

 

『・・・貴方が死なねば、家が分裂してしまう。・・・故に、死ね!』

 

『・・・妬ましきその血、死ね!』

 

『・・・全ては家の為に、・・・そして力の為に、・・・だから死ね!』

 

『『死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!・・・・・・!!』』

 

頭に響く黒い声、男女の声、何処かで聞いた声、俺の死を望む声、死へと誘う呪われし声、声声声声声・・・!!

 

・・・お前達はなんだ、一体誰なんだ!何故俺を死へ誘う!?俺が何をした!本当に・・・なんなんだよ、お前達は・・・何者なんだよ!

 

『『死ネェェェェェェェェェ!!』』

 

俺は死なねぇ、死ぬわけにはいかねぇと言っているだろうが!・・・俺は死なねぇ、そこまで死に拘るなら、お前達を殺してやるよ!・・・殺してやる!殺してやる!殺してやる!

 

俺は剣を構え、影へと襲い掛かろうとする。しかし、誰かが俺の腕を引いた。振り返ると黒い影、されど温かい懐かしき影、その影はどことなく、獅子王エルトシャンに似ている。

 

「・・・・・・!!」

 

そう思った瞬間、声と影は消え、空を舞う俺、眼下にエルトシャン。・・・危なかった。

 

何を見ていたんだ俺は・・・。一騎討ちの最中に幻を見ていたか?そして、何を思い出す?今はそうじゃないだろう?俺は眼下の男、獅子王エルトシャンを倒さねばならないのに。

 

・・・何時、あの声と影が出てくるか分からない。故に剣のみの対決は、この次で最後としよう。何故剣のみで戦いを挑んだのかは分からない、だが!次の突撃で決まらなければ、炎も使う!俺には魔法がある!

 

魔法があるがその前に、俺の全てを、持てる剣技の全てを賭け、ぶつからなければならない!何が俺にそうさせる?・・・我が身に流れるヘズルの血か?・・・

 

いや、今は考える時では無い。俺はそう思い、キルソードを構え直す。

 

俺の剣技の全てを、次の突撃に賭けて、ただ押し通ることだけを考えろ!

 

決死の覚悟でエルトシャンにへと急降下した時、俺の中にいるもう一人の俺と、エルトシャンに似た影が微笑んだような気がした。それでいいと・・・。




戦闘が手抜き(汗

皆さんの妄想でカバーしてください。


闇が巣食うエシャルの身体、エシャルの記憶、男女とは一体?



アンケート・途中経過

エシャル→ディアドラ 6票・アイラ 3票・パメラ 2票・アルテナ 1票・みんな嫁 1票

ガンドルフ→ディアドラ 3票・アイラ 1票

ホリン→ディアドラ 2票・パメラ 1票・アイーダ 1票

ベオウルフ→パメラ 2票・アイーダ 1票

ヴォルツ→レイミア 1票

ーーーーーーーーーーーー

アレク→パメラ 1票

レヴィン→フュリー 1票


・・・ってな感じかな?とりあえず、挙がっていた名前を全てになるのか?抜けてたらごめんなさいね?

やはりディアドラですか、今のところ。

しかし、まだ分かりません!

後々、名前の挙がったヒロインとの閑話を考えて書きます。挙がっていないヒロインとの閑話も書きますよ?

それを見てとか、後々の物語の進み具合によって考えを改めるのも有りです。

勿論独身で子世代も有りです!たぶん、子世代にまでいくと思いますし。

締め切りはまだまだなんで、色々考えてください。さっきも言いましたが、既に投票してくれた方も変更しての再投票は有りですからね!他キャラも思い付いたら投票よろです!

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