こちらへの投稿は遅くなるかと。
まぁ何はともあれ、久しぶりです。
ー海賊ー
「がぁぁぁぁぁっ! クソがぁっ!!」
なんなんだよあの傭兵共は! アイツらのせいで、暴れることが出来やしねぇ! 完全に、俺らと街を分断していやがる! アイツらを突破しない限り、獲物にありつくことが出来ねぇ…! 攻めて来てくれりゃあ、勝ち目があるってもんだが守りに徹していやがる。しかも一人一人が強者、突破するどころかこっちの被害の方がデケェ…! クソゥ…!!
俺達に協力を求めてきやがったガザックの野郎、奴とも連絡が取れやしねぇ。何していやがるんだアイツは! 他の連中も俺達と同じように、攻めあぐねて苛ついていることだろう。なんせ無抵抗なゴミを殺せねぇし、お宝は手に入らねぇし、女は犯せねぇんだからな! こんなことなら、あの女…殺すんじゃなかったぜ。新しい女が手に入るとばかり思っていたからよ、犯りながらぶっ殺しちまったけど・・・勿体ねぇ。あ~…!! むしゃくしゃするぜコンチクショー!!
そんなモヤモヤの中で、朗報が飛び込んできやがった!
「間違いねぇのか! 本当にいたんだな!!」
「間違いありやせん! 女が5、6人いやしたし、男も1人だけですぜ! ありゃあ…商人ですぜ! 女とお宝が手に入りやす!」
女が5、6人にお宝か…。ここらが荒れていることを知らねぇってことは、他国の商人だろう。…ここで逃したら、この先また、禁欲生活になっちまう。それにイライラが溜まっちまうからな、…襲うしかねぇだろうな!
「よっしゃお前ら! その商人を襲おうじゃねぇか! ただ襲うだけじゃあツマらねぇからな、獣を追うように狩ろうじゃねぇか! 楽しんで行こうや!!」
「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」
楽しみだなぁ~…オイ! 子分達もやる気に満ちていやがるし、俺も俄然…やる気だぜ!
ーホリンー
なるべく素人っぽく走っているが、エシャル殿の言うように鍛練になるな。何も考えずにただ走る、体の重心やら足運びやらを考えずに。それだけで、こうも負担が掛かるとはな。忘れていた感覚だ。
「死にやがれ!」
海賊の一撃を受け流しながらの逃走、手を抜いているからか一苦労する。いつもは一撃必殺、一瞬で倒すのだが。…なるほど、相手をいなすということは、こうも難しいものなのか。そして…、相手の殺意を受け続ける。それが、ここまで辛いものだとは思わなかった。この状況下で、相手を倒さずに逃げながら誘導する。相手は欲望の中で襲撃をしてきて、俺にいなされ続けている為に苛立ちと殺意が凄まじい。……正直、しんどい。
俺達は走る、先頭を走るのはレイミア殿。彼女が目的地までの道案内、俺達は彼女を追い掛けるだけでいい。…いや、彼女達は…か。俺だけ殿、先ほどから殺意を浴びまくっている。…まだ、目的地に着かないのだろうか? 体力的に問題ないが、精神的に問題ありなのだ。本当にしんどい、…俺の少し先を走る傭兵のクーさんは、
「ひぃぃぃぃぃっ!!」
半泣きで走っている。彼女は剣を持たせれば、隼の如しと言われる程の剣士だ。そんな彼女が半泣きなのである。丸腰で殺意を浴びるということは、腕利きの傭兵でもしんどいのだ。しかも、掴まれば犯され殺される。…そりゃあ、…半泣きにもなる。
斧がかすっても、矢が刺さろうとも、俺達は走ることが出来る。痛いと思う前に、傷が治るからだ。海賊達はそれで、更に殺気立つ。思い通りにいかないからだろう、ムキになって追ってくる。…それよりも気になることがある。矢が刺さったままの状態で傷が治っているのだが、…この矢はどうするのだろうか? …全てが終わった後にも戦いがあるということか、…しんどい。今になって思う、エシャル殿は鬼師匠であると。
色々と考えながらいなし、走る俺だがそろそろ限界が近付いてきている。精神に負担が掛かると、こうも体力を消費してしまうのか。これも修行…、エシャル殿の言葉が良く分かる。だが俺は最後まで…! そう思った時、俺の前を走っていた彼女達が足を止めた。俺も足を止めレイミア殿を見ると、彼女はニヤリと笑った。やっと目的地に着いたというわけか、…安堵のため息が漏れる。そして…、俺達に海賊達が追い付いた。
ー海賊ー
俺達は、商人らしき男の馬車を襲った。しかし、その男は剣術の心得があるらしく、激しく抵抗してきやがった! その隙を突いて、馬車の中に隠れていやがった女達が逃げ出した。抵抗していた男も、女達の後を追って逃げやがった。…まぁいい、当初の目的通りに行こうか!
「野郎共! あの行き止まりまで追い込むぞ! 楽しい楽しい狩りの始まりだ、男は途中でぶっ殺しても構わねぇ! だが、女達は殺すんじゃねぇぞ! …いいなぁ!!」
ギャハハハハハ! 楽しませてもらうぜぇ~!!
奴らを追い込みつつも、攻撃をしまくっているんだが、
「商人の癖にしぶとい奴だ!」
女達を逃がす為に一番後ろを走る男、コイツが凄まじくしぶとい。俺らの攻撃を紙一重で避けながら、反撃してきやがる。素人みてぇな奴だが、なかなか出来る奴みたいだな。それに攻撃が奴に当たったとしても、奴は平然と逃げ続けている。斧がかすったとしても、その傷は消えていく。矢が刺さっても、痛がることもせずに走る。…なんなんだ? コイツは!? 何か細工をしているんじゃねぇか?
そんな奇っ怪な奴に苛立ちながらも、順調に追い込んでいく。奴らは俺達が追い込もうとしている場所へ、自ら逃げていく。ギャハハハハハ! 馬鹿な奴らだなぁ、自分達から死地に向かっていくなんてよ! 楽でいいぜ、楽しめるしよぉ~!! それにあの男、そう簡単に死なねぇみたいだし。いたぶる楽しみもあるなんてよ、俺達はツイているみたいだなぁ!
「…追い詰めたぜ? お前らの未来は俺達の慰み者決定だなぁ! 覚悟しろやぁ!!」
もう逃げられねぇぜ? 袋のネズミってわけだ。あの奇っ怪な男も、数の暴力の前では無力。奴を弄んで殺した後は、女達を・・・グヘヘヘヘヘ!
「かかれぇぇぇぇぇっ!!」
「「「「ヒャッハァ~ッ!!!」」」」
子分達が一斉に襲い掛かる、…終わったなぁ~!!
……終わったと思った瞬間、子分達の斧が、矢が、空を裂いた。…空を裂いたんだ。…断末魔の悲鳴は? ……男が消えた!? …女達もいねぇ! …最初からいなかったかのように、俺達の前には岩肌があるだけ。…何がどうなっていやがるんだ!? 先ほどの勢いは消え、俺も子分も混乱する。俺達は…化物にでも、化かされちまったのか?
そんな混乱中の最中…、
「うぎゃあああああああああっ!!」
突然、子分の一人が燃え始めた。な…何が!? そして…、
ヒュン! ヒュン! ヒュン! ヒュン!
左右の茂みから、矢が飛んでくる。矢と同時に、炎やら雷が俺達に襲い掛かる。
「ぎゃあっ!」
「ぐぁぁぁぁぁっ!」
「いてぇ…! いてぇよぉ~…!!」
「ひぃぃぃぃぃっ!」
子分達が次々と討ち取られていく、一体…何が起きていやがる!
突然の襲撃に浮き足立つ俺達に、更なる追撃が…! 茂みから傭兵達が飛び出してきた。さっきの襲撃で負傷している子分達が、更に討ち取られていく。……追い込んでいたつもりが、誘い込まれていたってことか!? じゃあ…あの男は、あの女達は! 俺は狼狽え、立ち竦んでしまう。…子分達が殺られていく様を見ながら、…俺の視界は闇に閉ざされた。
ーエシャルー
「わははははは! どうよヴォルツ、成功も成功、大成功じゃね?」
「流石はエシャル、俺達の圧倒的勝利じゃねぇか。そして俺はペガサスに乗っている…、ロマンだぜ。」
俺はスコルにヴォルツと乗って、ホリンにレイミアさん達を支援しつつ、後を追っていた。ホリン達をレスキューで救出した後、上空からファイアーで賊を燃やし合図をした。そして…、眼下に広がる一方的な蹂躙劇。いやぁ~、勝利って素晴らしいね!
それにしても海賊達はバカだね、ホント。普通に考えれば、こんな所に商人なんざ通りかからんよ。他国にも知られているらしいじゃん、危険地域ってさ。…まぁ、俺は知らなかったけど。手を抜いているけど、あんなに強い商人もいなければ、女達もいない。逃げ足が無駄に早い商人達なんざいるかよ。
まぁ、この調子で幾つかの海賊達は殺れるだろうな。この作戦に引っ掛からない奴等は、そこそこ頭が良い。頭の良い海賊達は放って置いて、馬鹿な海賊達から駆逐だぜ。
…っと、レスキューで救出したホリン達を忘れていた。早く戻らないと、嫌みを言われちまう。…なんでヴォルツと二人なの? ってか? それはアレだよ、ヴォルツが乗りたいと言ったからだよ。薄い本も厚くなるなんて言うなよ? マジで…。
次回はたぶん、誰かが出るかな?
投稿は、いつになるかは不明です。