ファイアーエムブレム~俺の系譜~   作:ユキユキさん

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遡ってますね。


閑話 ~ヴェルダン王国《ディアドラ・ヘル》

ーディアドラー

 

外へ出ることはあまりない、殆んど隠れ里の中で過ごす。私達の一族は代々、隠れて生きてきたのだ。その歴史の中で、私の母がその掟を破ったらしい。掟を破った後、私と妹を身籠って帰ってきた。悲しみの中で私と妹を産み、亡くなったとお婆様が教えてくれた。

 

その件もあって、里の掟は少し厳しくなったようだ。厳しくなったと言っても、必要な物を買いに行くこととかは許されている。その時は極力、外の人間と関わらないようにしなくてはならないが。

 

外へ出ることが許されているのは、里の中でも数人だけ。その中に、私も含まれている。それは何故か? 私は、一族に流れる血が薄いからだと教えられている。それどころか、一族にとっては複雑な…、少し特殊な血が濃いらしい。それでも里のみんなは優しくて、私はこの里が好きだった。

 

その逆に双子の妹であるヘルちゃんは、里の外へ出ることが許されていない。一族の血が里の中でも一番濃いからだ。そのせいで、ヘルちゃんに自由は無い。常に里の者と一緒にいる、何をするにも誰かと一緒なのだ。ヘルちゃんが、外の世界に憧れているのを私は知っている。だから私は外から里に戻ってきた時、ヘルちゃんの下へ行き話を聞かせてあげる。ヘルちゃんがねだってきたから、それに私も聞かせてあげたいから。

 

 

 

 

 

そんな日々の中で、私はエシャル様と出会った。私の見る前で、あの『赤腕』を倒したのだ。その姿は物語の騎士様のようで、私は彼に見惚れてしまった。そして彼の落とし物を拾い、また会う日まで持っておこうと思った。…その願いが叶うことになるとは、まだ分からなかったけど。高鳴る想いを何とか抑えて、私は里へと戻った。このことをヘルちゃんに話したくて話したくて、仕方がなかったのだ。

 

 

 

 

 

ーヘルー

 

私のお姉様はとても優しい、私に外の世界のお話をしてくれます。私は一族の血が特に濃いから、外へ出ることは決して許されません。ずっとずっと…、里の中にいなければならないのです。

 

そんな私の楽しみは、外の世界のお話です。お姉様と同じように、外の世界へ行っている人のお話も楽しいですけど、やっぱりお姉様のお話が一番楽しいです。…今日もお姉様は外の世界へ行っています、迷い人が里に近付いている為です。…迷い人はどんな人でしょうか? 今から、お姉様のお話が楽しみで仕方がありません。

 

 

 

 

 

戻ってきたお姉様は上の空で、何やら夢を見ているような感じがします。一体、どうしたのでしょうか?

 

「お帰りなさいお姉様、…どうかしたんですか? 何やらいつも以上に、フワフワしている気がするのですが…。」

 

そう声を掛けるとお姉様は、ビクッ! と肩を跳ねてからこちらを向き、

 

「あ…あぁ…ヘルちゃん、気付かなくてごめんね? あの…ただいま。」

 

ぎこちなく笑みを浮かべて、ボーッと私を見る。…と思ったら、私の肩を突然掴み、

 

「ヘルちゃん! 私…私ね、騎士様を見たの! とてもお強い騎士様なのよ!」

 

目をカッと見開いて興奮気味、…ちょっと恐いです。

 

…お姉様のお話を聞いて、私もその騎士様に想いを馳せました。『赤腕』を倒して祈りを捧げる…、その部分がとても素敵。お姉様が言うように、物語の騎士様のようだなって思います。

 

話し終えたお姉様は、騎士様の落とし物であるペンダントを胸に抱いて、終始ニヤついていました。…お姉様のそんな姿、初めて見ました! 私も外の世界で騎士様に出会ったら、こんな風になるのかな? …ちょっぴりお姉様が、羨ましく思いました。

 

その後お姉様は何度か外の世界へ行きましたが、騎士様と出会うことはなかったみたいです。そんな日が何日か続いたある日、お姉様はかなり落ち込んで帰ってきました。話を聞いてみると、あの騎士様にばったり会ったけど…逃げちゃったみたいです。

 

気が動転したからみたいですけど、お姉様はお馬鹿です。せっかくの再会を駄目にしてしまうなんて、次の再会までにお姉様を何とかしなければ。…なんだかワクワクしてきました! お姉様、頑張りましょう!

 

私達が頑張ろうと声を上げてからの数日後、その騎士様は旅立たれてしまったみたいです。…口から魂が抜けていきそうなお顔のお姉様、…不憫です。因みに騎士様のお名前は、エシャル様と言うそうです。

 

…エシャル様、ヴェルダン王国にまた来てくださるのかな? …希望を捨てては駄目よヘル! きっとエシャル様は戻ってきます。だから…一刻も早く、お姉様を元に戻さなくては!

 

 

 

 

 

ーディアドラー

 

エシャル様を森で見掛けてから、約1年ぐらい経った。その経過の途中、城下で鉢合わせて逃げてしまった件もある。だめ押しに、エシャル様は旅立たれてしまった。城下で聞いたから、まず間違いないだろう。

 

私は途方にくれて里へ戻ったが、妹のヘルちゃんに叱咤激励されて希望を持ち続けていた。私…それとヘルちゃんの願いが届いたのか、森で見掛けて約1年。マーファ城でエシャル様に再び、…再び出会うことが出来た。

 

お互い自己紹介をして、私は持っていた落とし物をエシャル様に手渡した。エシャル様は驚いた顔をしてから、私にお礼の言葉と一緒にサークレットをくれた。エシャル様からの贈り物…、夢のようだ。贈り物を貰う前に少しご迷惑を掛けた気がしたけど、そんなモノ…吹っ飛んだ。それに綺麗って、私を褒めてくれた。天にも昇る気持ちって、こんな感じなのね? ウフフフフ…。

 

エシャル様と再会した後、何度も会うことが出来た。そして、このマーファ城城主にしてヴェルダン王国第1王子、エシャル様の義兄であるガンドルフ様を紹介された。見た目は強面で山賊のお頭って感じの人、でも兄貴肌って言うのかな? とても頼りがいのある優しい人だった。見た目で判断するのは良くない、それの典型的な方のようだ。

 

私はエシャル様に会う為、頻繁にマーファ城へ行く。エシャル様は色々と忙しい方なので会えない日が多いのだけれど、ガンドルフ様はそんな時には決まって私の相手をしてくれる。…ガンドルフ様の治めるマーファ城は、里と同じくらい住み良い場所だと思った。

 

エシャル様がお仕事で、ヴェルダン王国とトラキア王国を行ったり来たりしている。両国民も交流が盛んになり、私にとっても刺激的で毎日が楽しかった。そんな日々の中、トラキアの偉い方に唆されたエシャル様が、

 

「シレジア美人に会う為に、この俺エシャルは旅立ちます! …シレジアが俺を呼んでるぜ!」

 

と言い出した。抗議を含めた物理攻撃を仕掛けたけど、何処吹く風…。エシャル様は、ワープを使って旅立たれた。……エシャル様のお馬鹿様!

 

 

 

 

 

数日間、失意に沈んだ私だったけど…、

 

「おう、ディアドラ! エシャルの傍でどんな関係を望むか知らんけど、一緒にいたいなら強くならなきゃいけねぇ! アイツはあ~見えて武人だからな、戦があれば参戦する男だ! そんでもって自由な男、止まることなんて出来やしねぇ! …俺の言いたいことが分かるな?」

 

城下でガンドルフ様と会い、そう言われた私は考える。エシャル様の傍に出来る限りいたいけど、彼は自由な人。何かあれば、即行動するような方だ。このまま共にいたいと思うのなら、その行動力についていける程の体力、力が無ければ傍にいることなど出来ない。

 

それに大切なモノを守る為なら、戦いにも身を投じる。…そんなエシャル様に今の私はどうなのか? ただ守られるだけの女、荷物にしかならない女。…そんなんじゃ駄目! 私はエシャル様の力になりたいから!

 

そんなわけで、ガンドルフ様とデマジオさんに戦い方、斧の扱い方を習っている。非力な私に斧はとても重く、全然振り回せない。それを見たガンドルフ様、まずは体力作りだとのことで軽く走ったり、荷物運びのお手伝いをしながら斧の練習に時間を費やした。それでも斧が重くて大変だったけど、ガンドルフ様が私の為に斧を作ってくれた。今までの斧よりとても軽くて、とても扱いやすい。ありがとうございます、ガンドルフ様! 私、頑張ります!

 

 

 

 

 

久々にエシャル様が戻ってこられたけど、なんか天馬騎士になっていた。しかも、私より年下っぽい娘も連れてきている。…ムカムカする、…これが嫉妬だろうか? そんな私の気持ちも知らずに、エシャル様はニコニコしていた。

 

そしてニコニコしながら、エシャル様からペガサスを贈られた。…名前はハティと言うらしい、…状況がよく分からない。分からないけど、とても嬉しかった。嫉妬も消えて、それ以上に頑張ろうと思った。…私も天馬騎士になります!

 

その日から、たまにエシャル様が戻ってくるようになった。その時は、剣の稽古をしてもらっている。最初は驚いていたけど、今ではとても厳しく教えてくれる。それとエシャル様の弟子、フュリーともそれなりの関係に。…私、負けないから!

 

そんな感じで日々鍛練、私は徐々に強くなっていった。…強くなったと信じたい。ペガサスのハティと共に鍛練をした結果、非公式で天馬騎士になることが出来た。…色々と見えない戦いが、エシャル様とシレジア王国との間にあったみたいだけど、素直に嬉しいと思う。

 

たまにはスコルとハティを自由に、とのことで私も一緒に2頭の生まれた場所に連れてきてもらった。本当はエシャル様お一人で来る予定だったみたいだけど、我儘を言って連れてきてもらった。初めての他国に、私は終始はしゃぎっぱなし。とても楽しかった、…このことをヘルちゃんにもお話をしてあげなくては。…その数日後、エシャル様から杖を贈られた。お揃いの杖、…私の宝物。

 

そんな日々の中、再びエシャル様は旅へ。今回は任務とのこと、…私は更に鍛練を頑張ろう。いつかは一緒に、エシャル様の傍で、そんなことを夢見ながら…。

 

 

 

 

 

ーヘルー

 

お姉様はエシャル様との再会後、あまり里へと戻ってこなくなりました。たまに戻ってきますけど、お話を沢山してくれますけど、…とても寂しいと思います。それにお婆様達が、

 

「ディアドラは外にて行動し過ぎておるの、あの娘は掟よりもエシャルという若者を選んだようじゃ。…残念なことじゃが里を守る為、ディアドラの里への立ち入りを禁止しなくてはのぅ…。」

 

「エシャルとかいう者が贈ったサークレット、それのお陰で一族の気配は断てておる。何故かは分からぬが、それはありがたい。その者の傍におれば、ディアドラも大事なく過ごせるじゃろ…。」

 

…お姉様、ヘルは…ヘルはもう…、お姉様に会うことが出来なくなります。

 

…ですけど、お姉様の幸せはいつも願っています。どうか…、どうか私の分まで…。




なんか日記風っぽくなりました。

次回も閑話かな?



嫁の候補のお復習

1・ディアドラ

2・アイーダ、パメラ

3・マーニャ、ティルテュ、エスニャ

4・フュリー

未定・レイミア、ラケシス、アイラ、ディートバ

って感じですかね?

一番上が、現状での最有力候補ってわけです。まだ、候補が増えるかもね?

全ての候補が出揃い次第、アンケートを取りたいと思います。

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