ファイアーエムブレム~俺の系譜~   作:ユキユキさん

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ブイブイいくぜぃ!


第16話 ~シレジア女性、強し・・・

ーエシャルー

 

レヴィン王子とのエンカウントが終了したわけなのだが、そんなことはどうでも良いのです! 俺の立場がどーのとかも捨て置け! 今、最も重要なのは…、

 

「パメラさん、私の肩書きは気にしないでください。旅人エシャルとして、貴女の普段通りに接して頂けたのなら嬉しい。…今から俺も普通に戻るんで! いやぁ~…、丁寧な言葉は肩が凝るね!」

 

俺にはこっちの方がいいっすね! レヴィンと話して、改めて思ったよ。…今を楽しく俺らしく、ユルユル生きる! ってことをね! 俺から凛々しさが消え、ヘラヘラとした本性を見たパメラさんは、

 

「なるほど、フュリーが言っていたのはこのエシャル殿ですか。…フュリーの言うように、こちらの方が良いですね。」

 

ニコリと笑って、そう言ってくれました。あぁ…、その笑顔でご飯3杯は食えますよ!

 

「その顔で、実力があって、血筋が良くて、立場も良くて、そして…本性は人なつっこいだとぅ…! エシャル…! 今日からお前は俺の好敵手! いつかギャフンと言わせてやるから、首を洗って待っていろ!」

 

勝手に激昂して、一方的に好敵手。そして、出ていくレヴィン。…ホントになんなの?

 

レヴィンが出ていった後、パメラさんから色々と聞きましたよ。まずはペガサスの件。天馬騎士の総括はラーナ王妃とのことで、俺のこととペガサスのことを報告したらしい。フュリーからの話、パメラさんからの話、それを聞いたラーナ王妃は、

 

「……エシャル様と言われましたか? …そうですね、…2頭のペガサスはそのエシャル様に引き取って頂きましょう。今後のお付き合いも含めての贈り物、そういうことです。…フフフ、良き関係が築けたら言うことなしですね。」

 

とか言っていたみたいです。この国で、俺のことを言ったのは二人だけ。言ってないのに…俺の正体というか、所属を知っていますな。知った上での贈り物ですか、注意しないとヤバイお人のようですな。俺が死んでいることも知っているよな? やっぱり…。トラバントと同じように、公式での発表だけのことだと思うけど。まぁ…、俺なりに気を付けよう。

 

次にフュリーの件。彼女は無断でペガサス探しに行ったことを、メチャクチャ姉に怒られたらしい。その後は姉に号泣されて、自分のしたことの重大さに気付いたとのこと。俺が拾わなかったら、確実に死んでいたと思うし。姉もフュリーの死を覚悟していたと思うからな、生きていたことが嬉しかったんだろう。

 

意地悪なディートバちゃんも安心したらしいね、自分が挑発した結果がこの事件? だから。出会い頭に、フュリーの頬を伸ばしたみたいだけど。とりあえずペガサスを見付けたわけだから、見習い天馬騎士の叙勲は受けられるみたいね。今後の活躍を期待しよう、一応。

 

最後は、賊のことやね。賊は、牢や取り調べの準備等をしなくてはいけないから、明日ってことに決まったようで。賞金はなかなかに高額、ヴォルツ達…特にベオウルフが喜びそうだ。全ては明日ってことだな、うん。つーことは、村に戻って伝えなきゃいけないな。んで明日、ヴォルツ達や賊達をワープで連れてこればいい。場所は、この調練場で良いみたいだし。

 

 

 

 

…とりあえず、重要なことは聞いたな。つーことで、俺がここにいる理由はもう無いってことで。早々に、村へ戻るとしましょうかね。

 

「それではパメラさん、俺は村へ戻りますよ。ヴォルツ達に伝えて、明日の準備…はしなくてもいいか。とにかく、ヴォルツ達に早く伝えなくてはいけないからね。」

 

誰かしらに絡まれるのも、面倒だからな。レヴィンかフュリーに会ったら、絡まれそうだ。特にレヴィン、何処かに消えたみたいだけど…、顔を合わせたら何かしてきそうだ。一方的に、ライバル宣言してきたし。そんなわけなんで、俺は村に戻ります。パメラさんに軽く手を挙げて、挨拶をしてからのワー……。

 

「エシャル殿…! ちょっと…。」

 

パメラさんが何か言いたそうだが、既にワープの準備が…、

 

「お待ちください! エシャル様…!!」

 

バーン!! と誰かが調練場に勢いよく入ってきて、大声で俺を呼び止める。俺様ビクゥ…! となって、ワープを中断してしまいました!

 

ぬぉ~…、心臓がバクバクしとるがな! 誰だよ、デカイ声出して乱入してきたのは! 声からして女性だとは思うが、パメラさん級じゃないと怒るでしかし! 若干の苛立ちも込めて、乱入者に鋭い視線を向ける。そこには…、

 

「お待ちください、エシャル様。私に少し、お話をさせてください…!」

 

べらぼうに綺麗な女性がおりました、パメラさん級でございます! 緑髪のロングで片目をやや隠し気味の美女、優しげな目元がパメラさんとは違う。…どことなく、誰かに似ている気がするんだけど。まぁ気にしないでおこう! それよりもイカンな俺! 険しい顔のままでは、美女に失礼ではないか!自称紳士が聞いて呆れるわ! 違う意味で心臓がバクバクとなる、落ち着くんだエシャル!

 

俺は自身の両頬を、ピシリと叩いて仕切り直す。そして笑顔を向けて、

 

「私に何か、用事でもあるんですか? ただ話し掛けられただけで、私には至上の喜びしかありませんが。」

 

素直な言葉を言う。美女に声を掛けられて、喜ばない男などいない。いたとしたら、…ホモだろう!

 

「…用事と言いますか、その…。お…お礼を言いたくて…。」

 

顔を赤くして、しどろもどろになるお姉さん。…お姉さん? 美女よりしっくりくるな。お姉さん的オーラが、半端なく感じるぞ。それよりもお礼ですか、…天馬騎士としてかな? 下っぱフュリーを助けたことに対しての。………んん? フュリー? そういえばどことなく…、このお姉さんがフュリーの? そうならば、名前は…、

 

「私に礼…ですか? 思い当たるモノが浮かばないのですが…。それよりも、貴女の麗しき名を聞かせて頂けたら…。」

 

軽く惚けて、名前を聞いてみる。

 

「あ…失礼致しました! 私は天馬騎士隊所属の、マーニャと申します。その…フュリーの姉です…。」

 

最後の方は聞き取り難かったが、マーニャさんでフュリーの姉ね。やっぱりかー。

 

 

 

 

俺の消えかけている知識によると、マーニャはフュリーの姉。動乱時に戦死する、以上。…もう知識でも何でもねーよ、重要なのは戦死だけだよ。こんな美人さんが、将来死んでしまうのか…。なんで死ぬのか分からんけど、正直勿体無い。…せっかく出会ったんだから、俺が出来る範囲で助けたいものだ。

 

…で、お礼となるとフュリーのことだな。たまたまだから、礼を言われるようなことではないけど。彼女からしたら…ってヤツか。フュリーのことを小さく言ったのは、俺に迷惑を掛けたからなんだろうね。

 

「マーニャさんで、フュリーのお姉さんですか。…なるほど、フュリーを保護したことに対してのお礼…、と言うことですね。」

 

マーニャさんは頷いて、

 

「はい、その通りです。遅れましたが、私の妹であるフュリーを救って頂きありがとうございました。ペガサス探しにも協力して頂いたお陰で、妹も見習い天馬騎士になることが決まりました。エシャル様には妹共々、出来る限りのお世話をシレジアにおられる間はさせて頂きたいと思います。」

 

…世話ってどんな世話ですかね!? エシャルさんは、ドキドキっす! …フュリーはいらないけど。

 

「世話だなんて…、そこまでしなくても良いですよ? お礼の言葉だけで十分です、当然のことをしたまでですから。」

 

フュリーの存在が恐いんで、断ることにします。逆に、世話をすることになりそうだし。

 

断ったんだけど、食い下がってくるマーニャさん。…何故に? 必死すぎて恐いんですけど。なんだか鬼気迫る表情でもあるし、美人だから尚のこと…ねぇ? 俺がちょっと引いていると、

 

「見るに堪えないぞマーニャ! 黙って見ていれば…エシャル殿に迫りすぎだ! お前は今日、会ってばかりだろう? 何故にそこまで世話をしたがる!」

 

俺とマーニャさんの間に、パメラさんが割って入る。ナイスタイミング、正直助かったよ。それに俺も気になっていたことを聞いてくれたし、何故にそこまで…?

 

「…今のうちから婚活をしようかと。シレジアには良い方がいません、いたとしても高齢です。ならば他国の方しかありません、旅人でも良いのです。いえ…旅人の方が良いんです。既成事実を作って、シレジアに永住してもらいます。そして私色に…。」

 

「…そうか、婚活か。今から先のことを考えるとは、マーニャはやはり真面目だな。だが、がっつき過ぎるのは良くないと思うぞ? 相手のことも考えなければ…。」

 

「そんな悠長なことを言っている暇はありませんよ、パメラ。ただでさえ私とパメラは、男性以上に優秀、女性であるのが惜しいと言われているのです。現に、男性の方々に私達は畏怖されつつあるではありませんか。国内で恋人、夫を探すのは至難。ならば、機会がある時に押さないでいつ押すのです?

 

フュリーの話では、エシャル様はかなりの実力を持っていると。そのような実力者の方と出会うことなど、そうあるものではありません。積極的に自分を売り込んでいかなければ、高齢の方の愛人、生涯独り身は確実。私は愛人も嫌ですし、独り淋しく死ぬのも嫌です。私が独り身で、フュリーが夫持ち…。そんな未来を想像するだけで…、うぅ~…。」

 

「…マーニャ、お前の言うことは尤もだ。…確かにエシャル殿は、二人といない程のお方だ。…ふむ。」

 

マーニャさんの未来設計図が恐いっす、そしてパメラさんも共感してるっぽい。なんだか雲行きが怪しくなってきた、身の危険を感じる…。俺は少しずつ、二人から離れていく。

 

…………!!

 

二人が振り向き、俺を見た!

 

「「申し訳ありませんエシャル様(殿)、少々よろしいでしょうか…?」」

 

俺は美女に弱い、ここで留まり、話をしてしまったら…! 俺は反射的にワープをしてしまう…。すまぬ、マーニャさんにパメラさん。俺はまだ…身を固めることは考えてないっす!




シレジア女性は強い。強い女性は売れ残る。故に必死で男性を漁るのです。

作者の勝手な妄想ですが・・・。

エシャルは優良物件ではあるね。過去が謎だけど。

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