ファイアーエムブレム~俺の系譜~   作:ユキユキさん

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サクッといきます。


第12話 ~密猟集団捕縛

ーエシャルー

 

…文句を言っていたのであろう傭兵っぽい奴が、俺をめっちゃ見てきてる。まぁ俺の方も、抗議を含めた目で見ていたわけだが。あの二人のせいで、俺の服が大変なことになったよ。フュリーの涙と鼻水でね…、現在進行中ですわ。

 

…また揉め始めたよ、あの二人。勘弁してくれないっすかね? これ以上、涙と鼻水を量産させないでくれますか? わりとマジで。はぁ…、自分でなんとかするしかないのかね。とりあえず、フュリーを引き摺って揉めてる二人の下へ。

 

「なぁアンタ達、揉めるのを止めてくれないか? …連れの泣き虫ちゃんが怯えてね、主に俺の服が一大事なんだよ。」

 

と、揉め事を止めろと二人に言う。フュリーは何やら、グリグリと頭を押し付けてくる。抗議のつもりか? …俺は事実を言っただけなんだけど。

 

それがきっかけとなって、二人と仲良くなった。図体のデカイ奴がヴォルツで、傭兵旅団の団長をしているとのこと。軽薄そうな奴がベオウルフ、傭兵旅団のNO.2らしい。この二人、口は悪いが悪人ではないみたいだ。フュリーもそれが分かったのか、ビビりはするものの泣きはしない。俺達三人は酒を、フュリーは温かい果実茶を飲んで話をしているわけだ。

 

んで、二人が揉めていた理由がなんともくだらない。ここら辺で雪男を探しているみたいなのだが、いるいないで揉めていたみたいなのだ。ロマンを求めるヴォルツに共感するけど、金の問題でベオウルフの言っていることも分かる。そもそも、そんな噂がこの村に一切無いのに探すヴォルツがアホなのか? …まぁアホなんだろうな、うん。ペガサスしかいないって、フュリーも言っているし。

 

逆に、俺達二人は何しに来た? と聞かれたから、

 

「この泣き虫フュリーちゃんの助っ人でね、ペガサスを捕獲しに来たってわけ。昨日出会ってばかりだけど、見捨てるのもあれだからな。…真の目的は、シレジア美人を求めてこの国に来ました!」

 

と言いました。フュリーちゃんは、ポカポカ叩いてきますが効きはしません。ぶっちゃけ、下心がありまくりな俺。ペガサスを捕獲してフュリーに恩を売り、お姉様とパメラさんとかいう天馬騎士のお姉さんを紹介してもらうのだ。これが俺のメインであり、ペガサス捕獲はサブ。サブではあるけれど、やるからにはベストを尽くすから安心しろよ? フュリーちゃん。

 

とりあえず、この宿は満室であった。…がしかし、二人と仲良くなったから部屋を空けてくれた。部下の傭兵さん、すまぬ! ありがたく使わせてもらうよ。フュリーと一緒の相部屋だけど、問題なし。…え? 問題あるんじゃないのって? フュリーを女として見ること出来んわ! 昨日会ったばかりだし、鼻水だぜ? 美少女ではあるけれど、…あえて言うなら妹キャラだな!

 

まぁ明日はペガサス探し、今日はもう寝ますかね。談話で時間が経ったし、洞穴で1日寝たから体が痛いし、明日は何が起きるか分からんし、体調完璧で挑みたいじゃん? フュリーもおネムだしね。

 

因みにベオウルフが、頻りにエルトシャンを知らないか? だとか、あまりにも似すぎているだとか、会ったことはあるか? だとか、色々と聞いてきたが…、

 

「名前しか知らんけど。獅子王とかって有名じゃん? 若くして王位継承、武勲高し次代の王ってね。俺の名はエシャルでエルトシャンに似ているけど、会ったことがないのは確実だな。記憶にねぇもんよ、…そんなに似ているのかね?」

 

「ちょいと違うところもあるが、見た感じはエルトシャンだわ。双子の弟っつってもいいんじゃね? って思う。」

 

そんぐらい俺は似ているわけね? …自分で見て似てると思ったけど、双子でも通用するほどか。知らないってのは嘘じゃないけど、血縁関係ではあるんだよな。うーん…、忘れているだけで会ったことあるんかな? 悶々としながら、俺はフュリーと部屋へ向かった。

 

 

 

 

次の日、目覚めた俺は引っ付いていたフュリーを引き剥がし、身だしなみを整えてから部屋を出た。ちゃんとフュリーもついてくる、…眠そうだけど。お前さんの為に今日、ペガサスを探しに行くんですけどね! …この娘、ペガサスを捕獲してなれるんか? 天馬騎士に。そんなことを考えながら受付を済まし、宿の外へ。最近、考えることが多いな。

 

本日は晴天なり! …天気は良いけど、雰囲気は悪い。何事かと思ったら、

 

「よぉエシャル、目覚め一発から悪い情報だ。この先のペガサス生息地だっけ? …密猟者? 賊の集団をウチの仲間が見付けたってよ。賞金首だから顔を覚えていたみたいでな、密猟者じゃなかった筈なんだが…。まぁそれはいいとして、…マズイんじゃねぇの?」

 

とベオウルフが教えてくれた。…なるほど、だから村の雰囲気が悪いのか。俺とフュリーは、そこに用事があるんだけどな。

 

「そんな…、もしかして最近報告にあった怪しげな連中…? 大変だよ…、ペガサスが捕まっちゃう!」

 

その情報で眠気が吹っ飛んだのか、フュリーは顔を青くしている。…さてさて、どうするかね?

 

…まぁ、こうなるわな。俺は賊捕縛の為に、森へと入ることに。フュリーは村に置いていくつもりだったが、なんかついてきたし。ついでにヴォルツとベオウルフ、数人の傭兵も一緒だ。ベオウルフ曰く、

 

「賞金首がいるみたいだからな、稼がねぇと。…このお馬鹿様のお陰で、維持費がな! 探したきゃ働けってことだ。」

 

「運が良けりゃあ、…ペガサスを見れるってわけか。金も手に入る、一石二鳥ってな…。ペガサスを守る為に悪を挫く、…ロマンだな。」

 

とのことですよ? まぁ俺一人でも大丈夫なんだが、ペガサスが捕まっていた場合の保険だな。囮になってもらうって寸法よ、…俺にはワープがあるし。ペガサス相手にレスキューって使えんのかね? ペガサスナイト、人と一緒なら可能だが単体になるとどうだか…。後々の為に要検証だな! それに今回は楽な仕事だろ、なんていったって凄腕の傭兵達が一緒なんだからな!

 

 

 

 

俺達は、10人にも満たない人数で賊を探す。雪の中だし、足音が残っているだろうから簡単だと思うが。何が起きるか分からんからな、そこそこの警戒は必要だろう。

 

「見ろよこの木々が光る様を…、雪が日差しで輝く。この中で雪男、もしくはペガサスに出会ったら素敵じゃないか。絵画の一つみたいだな…。」

 

「まだ雪男言っているのかよ、…いねぇっつってんのにコイツは。」

 

と、余裕で行動しとります。面白くないのはフュリー、彼らの不真面目さが気に入らないみたいだ。俺としては、その余裕が頼もしいのだがね。フュリーちゃんは、まだまだだねぇ…当たり前だけど。

 

フュリーを宥めながら進んでいくと、無数の足跡を発見。近くにいると分かった瞬間、ヴォルツ達は素早く移動を開始する。無論、私語を止め静かに…だ。俺とフュリーも、遅れることなく移動する。そして・・・、

 

「ペガサスの1匹もいねぇじゃねぇか! 本当にここらに出るのか!」

 

「間違いありやせんて親分、確かにここらですって! 天馬騎士を尾行したんすから!」

 

「じゃあなんでいねぇのよ、ゴラァ! 探してからだいぶ経つんだぞ! 早くしねぇと、天馬騎士が来るかもしれねぇ!」

 

声デカっ! …馬鹿なんじゃねぇのアイツら。そんなに騒いだら、ペガサスが警戒すんに決まってんじゃん。フュリーもその通りと頷いている。野生の生物は警戒心が強いからね、…アイツら素人なんじゃね? そんなんで賞金首とかって、笑っちまう。それとも、本業は別か…? 殺しとか…? まぁペガサスが捕まってないのなら、一気に取っ捕まえますかね。

 

一応、ペガサスの住む森だからな。炎は使わず、剣でいきますかね。キルソードじゃ殺しちゃうから細身の剣、手加減するには良い物だ。

 

「風のように突撃し、一気にカタをつけろ! 出来る限り捕縛せよ!」

 

ヴォルツの掛け声に、傭兵達は素早く賊へと襲いかかる。

 

「ななななななんだぁ~…!!」

 

「ひぃぃぃぃぃっ! わけが分からないっす!」

 

突然の襲撃に、賊が混乱する。俺も遅れることは出来んな!

 

「フュリーは自分の身を守ることに集中な、無理は禁物! 命は大事に、…分かったな!」

 

「分かりました! いの、いの…命は大事にです! いいいいいいきます!!」

 

だぁ~もぅ! 突撃すんなっつーの! ダメだこりゃ…!!

 

 

 

 

フュリーを守りながら戦ったのだが、コイツら弱すぎだろ。…と言うが、俺達が強すぎたんか。フュリーは鼻を垂らしているが…、世話の焼ける娘だよホント…。

 

「はい、チーン!」

 

と、ハンカチをフュリーの鼻に押し付ける。…俺はフュリーの母親か! 自分の行動に、やや戦慄する。

 

「慣れない密猟なんか、するんじゃなかったぜ…。」

 

「こうなっちまったら、潔く死刑を待ちやしょう…親分。」

 

やけに潔い賊だし、

 

「これで多少の金は手に入るな、…まぁ、すぐに無くなるんだけどよ。」

 

「…ペガサスを見れなかったのが、…心残りだな。」

 

ヴォルツ達も目的を果たして、一人を除いて満足気ではある。

 

密猟集団捕縛が、何故かほのぼのしている。…まぁ、安全に終わって良かったっつーことで。




もっと内容を濃くしたかったけど。ヴォルツ達との絡みとか。

かなり長く、グダグダになりそうなので止めました。

フュリーがガキ過ぎる、どうしてこうなったんだ?

謎ですわ。

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