デジモンアドベンチャー0   作:守谷

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投稿が遅れてしまってすいません。



005 遭遇

 モノクロモンとの戦いの後、フレイドラモンは約束通り、直ぐその場を離れ僕の元に戻ってくれた。

 僕はブイモンに太一達を助けてくれた事に対してお礼を言い、

先程は出来なかった自己紹介をした。

 

 

「僕は守谷天城(あまき)。どちらでも好きな方で呼んで」

 

「じゃあ……アマキって呼ぶことにするよ! よろしくアマキ!」

 

 

 互いの自己紹介を終えた僕等はこれからの方針について話し合った。

まずは現状デジタルワールドで何が起きているかだ。

 今の所、原作通りデジタルワールドは無数のダークタワーと、

イービルリングによってある者に支配されようとしていた。

その者とはデジモンカイザー……一乗寺賢だ。

 

 だがこの情報はあくまで僕の原作の知識であり、実際に知った情報では無い。

だから僕はブイモンに、今のデジタルワールドについて調べまわってほしいとお願いした。

……原作通りであって欲しいと密かに願いながら。

 

 その提案にブイモンは了解と、敬礼で返してくれた。

……多分ブイモンは、これを任務というなの遊びだと捉えているんだろう。

だが本人がやる気ならこの認識の違いも問題は無い。

 そして僕はブイモンに情報を集めるうえでとても大事な条件を課した。

それは自分が選ばれし子供のパートナーデジモンだと誰にも言わない事だ。

 

 その事にブイモンはどうしてと尋ねてきたが、

その方がかっこいいだろ? と返すと、「そうだな!」とニヤリとほほ笑み、

張り切ったテンションのまま何処かに走り去って行った。

……どうやら誤魔化せたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モノクロモンとの戦いから翌日の放課後、デジタルワールドで待機していると、

タケル達がデジタルワールドにやって来たのか、少し離れた場所からのD3の電波をキャッチした。

その反応を元に、見つからない様に姿を隠しながら行ってみると、そこには

タケルとヒカリと前回の選ばれし子供の空と光子郎と、

そのパートナーデジモン。それに加え新たな選ばれし子供である京と、伊織の姿があった。

……どうやら彼らは原作通り選ばれたようだ。

僕は、姿を隠したままタケル達の後を追った。勿論ブイモンを引きつれて。

 

現状では、パタモンもテイルモンも進化する事が出来ないので少なくとも彼等がデジメンタルを手に入れるまでは毎回彼らの後を付ける予定だ。

それと、ブイモンが手に入れた情報についてはまだ何も聞いていない。

聞こうとしたところでタケル達のデジヴァイスの反応を僕のD3が察知したのだ。

 

デジヴァイスには互いの位置を知らせる機能があったがどうやらそれはオンオフの

切り替えが出来るようで、僕は自分の位置情報をオフにしていた。

だからタケル達がその機能をオフにしない限り、僕は一方的に彼らの場所を把握する事が出来ると言う訳だ。

 

 しばらく何事も無く(・・・・・ )歩き続けると、巨大なピラミッドの様な場所に辿り着いた。

 タケル達はピラミッドの中に臆することなく入って行った。

どうやら今日の彼らの目的はこのピラミッドのようだ。

 

原作通りならこの場所には知識と、愛情のデジメンタルが封印してあり、それに加え二体の古代種のデジモン……アルマジモンとホークモンが封印されている。

 

 ……まあ僕が昨日一人でデジメンタルの封印を解いたせいで、

彼らはデジメンタルにデジモンが封印されてる事は知らないが問題は無いだろう。

 

僕はピラミッドの近くの木の陰で彼らが出てくるのを待つことにした。

しかし、しばらくその場で待っていると、何者かが近づいてくる地響きを感じた。

 

 

「……デジモンカイザーがタケル達に気が付いたのか」

 

 

イービルリングを付けられた二体のスナイモンとモジャモンがピラミッドに向かってきている姿が見えた。

僕は見つからない様に木の陰に隠れていると、

外にデジモンが来ている事に気が付いたのか、ピラミッドの中からタケル達が出てきた。

――――先程までは居なかった二体のデジモンを引きつれて。

 

 

「……どうやら知識と愛情のデジメンタルを引き抜く事が出来たようだな」

 

 

その事に安堵の吐息をつき、新たな選ばれし子供である京と伊織の初デジメンタルアップを見届けようとジッと見つめた。

――――だが、二人はパートナーデジモンを進化させることなく、

タケル達と共に、襲って来たスナイモンとモジャモンから逃げようと全速力でピラミッドを降りていた。

 

 

「……どうしてだ? どうしてアーマー進化をしないんだ?」

 

 

 戦う術を持つはずなのにタケル達と共に逃げ続ける京と伊織の姿に僕は疑問を覚えずにはいられなかった。

その上、よく見てみると、京と伊織はスナイモン達からだけでは無く、

自身のパートナーデジモンである筈のアルマジモンとホークモンからも逃げるように

走っているように見えた。

 

 

「……っ、仕方が無い」

 

 

 ブイモンの方を見ると、ブイモンはいつでもオッケーと言わんばかりに僕に向かってサムズアップしていた。

そんなブイモンに僕は笑みを向けると、デジメンタルアップと小さく叫び、

ブイモンをフレイドラモンにアーマー進化させ、タケル達の元へ向かわせた。

そして、僕はカバンからもしもの時の為に持って来たあるモノを取り出しながら、

フレイドラモンの後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――『ファイアロケット!』

 

 

 スナイモンがタケル達に襲い掛かろうとしたその瞬間、

それを遮るように横から炎を纏った何かが現れ、

スナイモンを吹き飛ばした。

 

 

「あなたは昨日の……!」

 

「今は話をしている場合じゃない。

そんな事より……どうしてお前達はアーマー進化しないんだ?」

 

 

 ヒカリの言葉を軽く流しながら、炎を纏ったデジモン……フレイドラモンは

理解出来ないと言わんばかりの表情で二体のデジモンを睨んだ。

 フレイドラモンに睨まれたホークモンとアルマジモンは、

申し訳なさそうな表情でフレイドラモンから視線を逸らした。

 

「それは……まだ私が正式に京さんのパートナーデジモンだと認められていないからです」

 

「……だからオレ達はまだ進化出来ないだぎゃ」

 

「そんな事を言ってる場合じゃ……ック!」

 

 

 フレイドラモンの言葉は先程吹き飛ばした個体とは別のスナイモンの接近によって遮られた。

接近してきたスナイモンを横に飛ぶことで躱すと、追撃と言わんばかりに右手に炎を溜め、

放とうとしたが、その瞬間に先程吹き飛ばしたスナイモンがフレイドラモンに体当たりして

それを防いだ。

 

 

『プチサンダー!』

 

『マジカルファイアー!』

 

 

 フレイドラモンを援護すべく、テントモンとピヨモンは必殺技をスナイモンに放ったが、

その直線状にモジャモンが現れ、その攻撃を受け止めた。

 

 

「これじゃあのデジモンの援護が出来ない!」

 

「……ダメ、やっぱり進化も出来ない」

 

 空はピヨモンを進化させるべくデジヴァイスを強く握ったが、空しくも反応は無かった。

今の空達には、モジャモンの攻撃を躱し続ける以外に出来る事は無かった。

 

 

「うわぁーん! こんな事になるならデジタルワールドになんて来なければよかった!!」

 

 

 京の悲痛な叫びに、タケル達を含む誰もがそんな事は無いと返す事は出来なかった。

京と伊織は今日初めてデジタルワールドに来たのだ。

そんな初めての日にいきなりこんな目にあったのではそう思われても仕方が無いと

タケル達は考えてしまった。

 

それに加え、先程二人がデジメンタルを引き抜いた際、

突然現れたホークモンとアルマジモンに、

ずっと待っていた、自分達はあなたのパートナーデジモンです、私達と共に戦ってください、

等と言われて京達は、喜びとか混乱よりも先に恐怖を覚えてしまった。

だからこそ、京と伊織はホークモンとアルマジモンの言葉を受け止めきれず、

二体と距離を取っていた。

これではアーマー進化させることが出来る筈が無かった。

 

 

「あきまへん。

やっぱりワテとピヨモンはんだけじゃモジャモンを止める事は出来まへん」

 

「あの炎のデジモンも二体のスナイモンに手こずってるみたいだし

協力は望めそうにないわ……どうする空?」

 

「……進化さえ出来れば……!」

 

 

光子郎は先程から何度もテントモンを進化させようとしていたがそれは叶わなかった。

どんどん追い詰められている現状に京は恐怖のせいか、その場に座り込んでしまった。

 

 そんな京の姿を見たホークモンは、これ以上、京は動けないと

判断し、無謀と理解しながらも意を決してモジャモンに飛びかかった。

それを見たアルマジモンもそれに続くようにモジャモンに向かって行った。

 

 ホークモンとアルマジモンはまだ目覚めたばかりで本調子では無い上、

相手は、自分達の格上の成熟期デジモン。結果は火を見るよりも明らかだった。

 

 予想を覆すことなくホークモンとアルマジモンはたった一撃で後方に吹き飛ばされた。

 

 

「……っく、まだだ」

 

 

 だがすぐさま立ち上がり、再びモジャモンに向かって行く二体。

何度も何度も吹き飛ばされても、ボロボロになっても二体は諦めずに向かって行った。

 

 

「……どうして、どうしてさっき会ったばかりの私の為にそこまでするのよ」

 

 

 フラフラになっても挑み続けるホークモン達の姿に京は疑問を覚えずにはいられなかった。

 

 

「――――アイツにとって君は自分の命よりも大事な存在なんだからだろう」

 

 

 京の疑問に答えたのは聞いたことのない声だった。

タケル達は突然の声に驚きながら、その声のした方を振り返ると、

そこには自分達と同じような背丈で、妙な仮面を付けた人間の子供が立って居た。

 


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