デジモンアドベンチャー0   作:守谷

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戦闘を期待していた方がいらっしゃったらすいません。

後、今回から原作キャラの性格改変が酷くなっているかもしれません


011 接触

 僕達がヤマト達の元に辿り着くと、そこには既にキメラモンに敗れ、ボロボロの姿になったツノモン達の姿があった。

 

 

 

「おや、アンタは噂の仮面を付けた選ばれし子供かい?」

 

 

 僕達の存在に気が付いた謎の女……アルケニモンは嬉しそうな声色で話しかけてきた。

……散々自分達の計画を邪魔してきた選ばれし子供達のデジモンをボコボコに出来て

今までの鬱憤を晴らせてテンションが上がっているのだろう。

 

 

「どうする? アンタもコイツに挑むかい?

ここでアンタ達がコイツを倒せたら私達は当分の間はデジタルワールドを荒らすのをやめてあげてもいいよ?」

 

 

 余裕たっぷりの表情で僕にそう投げかけるアルケニモン。

……全く負ける気がしないと思っているのだろう。

だが実際はアルケニモンの思う通り、こちらにキメラモンを倒す力は無かった。

 

 

「……いえ、止めておきます。そのデジモンに勝てる気が全くしないですから」

 

「……面白くない餓鬼だね」

 

 

 あっさりと引いた僕にアルケニモンはつれないなと言った表情を見せた。

その姿から、もしかするとこのまま引いてくれるかも知れないと思った僕は、

アルケニモンに不快な思いをさせない様に言葉を選びながら提案する。

 

 

「……降参です。現状僕達には貴方のキメラモンを倒せる術がありません。

負けを認めます。……なので今回は、僕達を見逃して貰えないでしょうか?」

 

「う~ん、そうだね……」

 

 

 お願いしますと、頭を下げての提案にアルケニモンは顎に手を当てながらどうするか考えている。

……恐らくアルケニモン自身もこれ以上戦闘を続けようとは思っていない筈だ。

今この場所に残っているのは帰るタイミングを失っただけ。

キメラモンの強さを見せつける事が出来たし、選ばれし子供達のパートナーデジモンをボコボコにする事も出来た。

これだけで十分鬱憤は晴れているはずだ。

それにアルケニモンの親玉は、アルケニモンに選ばれし子供達を抹殺するように命令していないだろう。

だからこの提案はすんなり通ると思っていた。

だが、アルケニモンはその提案を受けるのに条件を付けたした。

 

 

「そうだね……あんたがその変な仮面を取って、

地面に頭を擦り付けてお願いすると言うなら見逃して上げてやるよ」

 

 

 アルケニモンのその言葉に僕を含めたこの場に居る全員が驚愕した。

 

 

「お前……大の大人が子供に対して何言ってんだよ!」

 

「そうよ! 大人げないわ」

 

 アルケニモンの言葉に誰よりも先に反論したのは後ろで話を聞いていたヤマトで、その次は空だった。

そんな二人の言葉をアルケニモンは鼻で笑った。

 

 

「なんだい? この条件が飲めないっていうのなら、今すぐ戦いの続きを始めてもいいんだよ?

それともなんだい。コイツの代わりにお前等が土下座するっていうのかい?」

 

 

 アルケニモンの言葉にヤマト達は黙り込んだ。

誰だってこんな最低な奴に土下座するなんてプライドが許さないだろう。

……だが、それでもヤマトは時間が経てば、年下にそんな事させられないと言いながら

僕の代わりに土下座をするような気がした。

……いや、それよりも先にヤマトのすぐ後ろに居る丈が先にそれを実行するだろうと思った。

 目を見ればわかる。今の丈は、アルケニモンの命令に怒りを覚えているような表情でも、

自分は関係ないと言った表情でもない。

何と言うか覚悟を決めたような表情だった。

恐らくだが数秒もしない内に丈は僕の代わりに土下座をするだろう。

 

 ――――だが、こんな事を彼等にさせるつもりは欠片も無かった。

 

 僕は仮面を外し、それを地面に置くと、そのまま地面に正座し、頭を地面につけた。

実は僕は土下座をしろと言われた時、正直に言うと、それ程嫌悪感を覚えてはいなかった。

僕が土下座をするのにここまでかかった理由は、この仮面を外す事に対して抵抗があった。ただそれだけだった。

 

 仮面を外してから、特に抵抗感を感じさせないまま土下座を行った僕の姿が予想外だったのか、

アルケニモンは少しだけ驚いたような反応を見せた。

 

 

「…………本当に面白くない餓鬼だね」

 

 

 アルケニモン的には、僕の屈辱に歪む顔が見たかったのだろう。

だが僕自身はこの土下座に対して特にそんな感情を覚えることなく、ただ純粋に

こんな事でアルケニモンが引いてくれると言う事がむしろラッキーだと心の底から思っていた。

 

 寧ろ、僕の後ろにいる怒りで震えるライドラモンの方が堪えていた。

……だが、ライドラモン自身もキメラモンに敵わない現状、こうするのが一番だと分かっているから動かなかった。

いや、ライドラモンも、僕がこの土下座に対して特に嫌悪感を覚えていないのが

分かっていたからこそ動かなかったのかもしれない。

 

 後ろのライドラモンの表情を見て少しは満足したのかアルケニモンは口元を少し吊り上げると、

僕達に背を向け、キメラモンの方へ歩き出した。

 

 

「……今日の所は見逃してやるよ。

これに懲りたらもう私達の邪魔をするんじゃないよ!

――――ほら、キメラモン、帰るよ」

 

 

 そう言ってアルケニモンは何時までも僕達の方を向いているキメラモンの腕を叩き、基地に帰らそうとした。

だが、キメラモンはそれに対して全く反応を見せなかった。

 

 

「? なんだい、アンタ自分を作った親の言う事も聞けないのかい!」

 

 

 そう言ってアルケニモンは鞭を取り出し、それでキメラモンの腕を思いっきり叩いた。

アルケニモン的にはこれは只の威嚇だった。

自分を作った親の言葉を本気で無視しているとは思っていなかったのだろう。

だから少し痛めつければキメラモンはいう事を聞くとアルケニモンは思っていた。

 

 だがキメラモンは言う通りにはならなかった。

近くに居たアルケニモンをいくつもある内の一つの腕で薙ぎ払うと、

奇声を上げながら、無造作に必殺技を周りに放ちだした。

 

 突然の出来事に、このままでは危険だと判断したライドラモンは僕の方へ走り出そうとしたが、

突然ライドラモンを狙うように放たれたキメラモンの必殺技を

躱す事は出来ないまま命中し、遥か後方へ吹き飛ばされた。

 

 

「ライドラモン!!」

 

 

 

 吹き飛ばされたライドラモンの元に僕は駆け寄ろうとするが、それを拒むかのようにキメラモンは僕が向かおうとした方向に必殺技を放った。

……どうやらその場から動くものに対しては、狙って必殺技を放っている様だ。

ヤマト達もそれを見てその事に気が付いたのか、その場にしゃがみ込み、攻撃が来ない様に祈っていた。

 

 

「―――――この、いう事を、聞きな!!」

 

 

 

 すると何処かに吹き飛ばされていたアルケニモンは、フラフラの姿のまま再び僕達の前に姿を現すと、

大量のイービルリングを取り出し、そのすべてをキメラモンに放った。

全てのイービルリングがキメラモンの体の至る所に装着され、キメラモンは抵抗するように暴れながら苦痛の声を上げた。

それからキメラモンは少しずつ大人しくなっていき、無造作に放つ必殺技の数を減らしていった。

そして最後には、ピクリとも動かずに体を停止させた。

 

 

 ……どうやらキメラモンの暴走は収まったようだ。誰もがそう思った時だった。

突如キメラモンは、今までにないくらい大きなエネルギーを口に溜めだしたのだ。

――――八神ヒカリの方を向きながら。

 

 これはまずいと判断した僕は、走り出した。

プロットモンを抱えたまま動かないヒカリの元に辿り着くと、座り込んだまま動かないヒカリの腕を引っ張って無理やり体を起こし、

そのまま距離を取ろうとした。

が、その瞬間、無慈悲にもキメラモンの必殺技がこちらに向かって放たれた。

 

 もう避けれないと判断した僕は、せめて彼女達だけでもと、ヒカリの背中を思いっきり押して距離を取らせた。

いきなり背中を押されたヒカリは小さく悲鳴を上げながら、数メートル程先の地面に正面から倒れ込んだ。

その時、下敷きになって居たプロットモンからも軽く悲鳴が聞こえた。

 

 あの距離ならこの後キメラモンの必殺技が僕に当たって発生するであろう余波もそれ程無いだろうと、

なんとなく察知出来た僕はそのまま逃げるような素振りを見せず、ただ自分に迫った死を受け入れるように立った。

 

――これで、ぼくは、―――――――――ー

 

 『ライトニング、ブレード!!!』

 

 その時、遥か後方に飛ばされていた筈のライドラモンの声が聞こえた。

その声と同時に僕の近くまで迫っているキメラモンの必殺技にライドラモンの必殺技が飛んできて、そのまま命中し、

二つの必殺技はそこで爆発した。

 

 そのお蔭で、僕はキメラモンの必殺技を直接食らう事は無かったが、

その爆発の余波で、後方に吹き飛ばされた。

吹き飛ばされた僕はその勢いで後方の何か……木に右腕から勢いよく激突した。

 

 その際に頭も軽く打ったのか、意識が薄れていく。

薄れゆく景色で最後に見えたのは、キメラモンと共にこの場を立ち去るアルケニモンの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ッ」

 

 

 目を覚ますとそこには知らない天井があった。

その状態のまま目線だけを動かして辺りを見てみると、ここが病室のベッドの上だという事が分かった。

 

 

「―――――! 目が覚めたんですか」

 

 

 突然横の方から声が聞こえて来た。

顔を動かしてそっちを見てみるとそこには光子郎の姿があった。

 

 

「……あなたは……」

 

「あ、自己紹介がまだでしたね。僕は泉光子郎と言います。

泉でも、光子郎でも好きに呼んで頂いて結構です。

よろしくお願いします、守谷くん(・・・・)

 

「……ブイモンから名前を聞いたんですね」

 

「はい。ですがブイモンを責めないで下さい。

ブイモンは貴方のお願い通り、全く貴方の事を話してくれませんでした。

名前だけは、病院に入る為に必要と言って渋々ですが教えて貰いましたが」

 

「責めるつもりは無いですよ。こんな状況になったのは自業自得ですし」

 

 

 そう知って僕は体を起こそうと、右腕に力を込めたが、何かに固定されているのか、全然動かなかった上に、

かなりの激痛が右腕を襲った。

 

 

「あ、ダメですよ安静にしてなきゃ! 貴方の右腕は、折れてはいませんでしたが、ヒビが入っていたんですから」

 

 

 その言葉に僕は右腕をよく見てみるとそこにはグルグルに包帯が巻かれ、固定された右腕があった。

その右腕を見てようやく自分が病院のベッドの上に居る本当の理由が分かった僕は、

ヒビですんで運がいいなと思いながら、包帯が巻かれていない左腕を使って体を起こした。

 

 

「……そう言えば僕が庇った選ばれし子供はどうなりました?」

 

「ヒカリさんの事ですね? 大丈夫です。貴方のお蔭で目立った怪我は見られませんでした」

 

 

 その言葉に僕はホッと胸をなでおろした。

選ばれし子供が入院する羽目にならなくて一先ずは安心した。

 だが安心ばかりはしてられない。

 

 何故なら原作よりもとんでもなく早い段階で、キメラモンが現れてしまったのだ。

キメラモンに対抗するために完全体に進化できるように準備はしてたが、今の所成功出来たことは一度も無く、

進化出来ない理由も分かっては居なかった。

正直に言って絶対絶命の状況だ。安心なんてしている暇は無かった。

 

 そんな事を考えていると、突如病室の扉が開いた。

そして、そこから入って来た京と目があった。

 

「……あ、みんな! 守谷君が目を覚ましてるわ!」

 

 

 病室の扉を開けた京は僕の姿を確認すると、後方に居るであろう他の選ばれし子供達に

嬉しそうに結構な声量でそう伝えた。

 

 その行為に光子郎は病院ですので静かにと小さく注意すると、京はハッとなり、少し顔を赤く染めると、

小さく反省の言葉を漏らした。

 

 そんな小さく縮こまっている京の後ろ扉から、

先程までデジタルワールドに居たヤマト、空、丈、タケル、伊織、ヒカリが入って来た。

 

 

「良かった。目が覚めたのね」

 

 

 初めに話しかけて来たのは空だった。

空は僕の姿を見て心から安心したかのようにホッと胸をなで下ろした。

空の言葉で自分がどれ位眠っていたのか気になった僕は、

恐らく詳しい時間が分かるであろう光子郎に質問した。

 

 

「……そう言えば僕はどれくらい眠ってたんですか?」

 

「ざっと3時間位ですね。キメラモン達が去った後、

丈さん……この方が貴方をここまで運んできてくださいました」

 

「……そう言えば、俺達自己紹介がまだだったな」

 

 

 光子郎の言葉で、その事に改めて気が付いたヤマトは、自己紹介を始めた。

 

 

「俺は石田ヤマト。お台場中学校の2年生だ」

 

「じゃあ私も。私は武之内空。ヤマトと同じでお台場中学校の2年生よ。よろしくね」

 

「さっき光子郎君が紹介してた丈だよ。城戸丈。この中で一番年上の芝学園中等部の3年生だよ。

よろしく」

 

「僕は高石タケル。学校はお台場小学校で、学年は5年生。部活はバスケット部に所属してるよ。

よろしくね!」

 

「じゃあ次はあたし! あたしは井ノ上京。お台場小学校の6年生でーす!

気軽に京ちゃんと呼んでくれてもいいわよ!」

 

「……僕は火田伊織です。この中で一番年下のお台場小学校の3年生です。

どうぞよろしくおねがいします」

 

「私は八神ヒカリ。お台場小学校の5年生。

あの……そんな姿にさせちゃって本当にごめんなさい」

 

「気にしなくて良いよ。この姿になったのは自業自得だから。

僕は守谷……アマキです。よろしくお願いします」

 

 

 下の名前を言わないでおこうかと思ったが、恐らくブイモンが話していだろうと考え、それは止めた。

 

 

「……そう言えば、先程も話しましたが、ブイモンは貴方の名前しか教えてくれませんでした。

なので守谷君が入院している事を守谷君の家族にまだ知らせられていません。

良ければこちらから連絡しておきますので電話番号を教えて頂けないでしょうか?」

 

「……いえ、後で此方から連絡をしておきますので。

お気遣いありがとうございます」

 

 

 光子郎に電話番語を知られてしまったら住所まで特定される可能性が高い。

選ばれし子供達と積極的に関わりたくない僕にとってそれは許す事の出来ない提案だった。

 

 

「そう言えばブイモンは何処に居るんですか?」

 

「貴方のパートナーデジモンは、今はピヨモン達と一緒にデジタルワールドに居るわ。

病院に連れてきてあげたかったんだけど、あの子は声を抑えられないタイプの子だと思ったから……」

 

 

 そう言って乾いた笑い声を漏らす空。

……確かにブイモンなら、僕の包帯の巻かれた姿を見るだけで、病室で騒いだりするかもしれない。

いや、騒ぐだろう。ブイモンは優しいデジモンだからね。

 

 そう思っていると、突然京は、あ、っと何かを思い出したかのような声を上げ、

ランドセルから何かを取り出した。

 

 

「……これ、守谷君のでしょ?」

 

 

 差し出されたのは真っ二つになっている僕の仮面だった。

 

 

「守谷君を丈先輩が背負って病院に向かう時見つけたんだけど、

その時には真っ二つになってたわ……」

 

「……別にいいですよ。それ安物ですから」

 

 

 その仮面を見て、自分が仮面を付けていない事を今更ながら思い出した僕は、

何故か申し訳なさそうにする京にそう返しながら真っ二つに割れた仮面を受け取った。

……こんな状態で貰っても捨てる以外の選択肢は無いんだけどね。

 

 真っ二つに割れた仮面を見ながらそう思っていると、

ヤマトが一歩こちらに踏み出し、真剣な眼差しで僕を睨んだ。

 

 

「……お前はどうしてそんなモノを付けていたんだ?」

 

 

 ……ついにこの質問をされてしまった僕は、ヤマトになんて返すべきかと考えた。

仮面を付けていた理由は、原作外の存在の僕が原作に少しでも影響を与えない為。

それと、転生者だから選ばれし子供達に後ろめたい気持ちがあったからだが、

それを話す訳にはいかない。

ならどう返すべきか。

 

 

「だんまりか。どうやら俺達に後ろめたいことがあるようだな」

 

 

 そう言って僕の目の前まで来たヤマトは僕の胸元を掴み少し持ち上げた。

 

 

「止めてくださいヤマトさん! 守谷君は怪我人なんですよ!」

 

「それにあの時、お前のパートナーデジモンには友情の紋章の印が刻まれていた。

どういう事だ? お前の持つデジメンタルは勇気のデジメンタルの筈だろうが」

 

 

 僕の一番近くに居た光子郎は、ヤマトの突然の行動に驚きながら必死に止めようとするが、

ヤマトはそれを無視して僕に質問を続けた。

 

 ……成る程。ヤマトは、僕が友情のデジメンタルを使用していたことに怒りを隠せなかった様だ。

僕が勇気のデジメンタルを持っているのに使用していると言う疑問と、

自分とガブモンの繋がりの証とも呼べる友情のデジメンタルを

僕みたいな存在が使っていると言う事に

対しての怒りが混ざって抑えられなかったのだろう。

 

 すぐ目の前まで迫ったヤマトの目を直接見れずに逸らしながらどう返すべきかと考えている時だった。

 

 

「ヤマト……君の気持ちは分からなくもない。

だけど彼は怪我人だ。その上、この怪我は僕達を助ける際に出来た怪我なんだ。

君はそれを分かった上で彼にそんな問い詰め方をするのかい?」

 

 

 ヤマトの肩に手を置いてそう言った丈の言葉にヤマトは暫く黙りこむと、

悪かったなと小さく謝罪しながら僕の胸元を掴んでいた手を放した。

 

 そんなヤマトの姿に一同はホッと胸をなで下ろした。

 

――――だが、騒動はこれで終わりじゃなかった。

 

 そんな空気の中、突然病室の扉が開かれた。

そこから出て来たのは、頭にゴーグルを付けた選ばれし子供……太一だった。

 

 

「……どうやら目が覚めてるみたいだな」

 

 

 広いとは言えない病室にこんなにも人数が居る事に太一は

多少呆れた表情を見せながら、僕の前へとゆっくりと歩いてきた。

 

 

「……ヒカリから話は聞いている。

お前はキメラモンの攻撃からヒカリを救ってくれたみたいだな」

 

「……そうですが、別に貴方たちが気にする必要は無いですよ。

今回の怪我は自業自得の様なモノですから」

 

 

 ヒカリを助けた事に対してのお礼の言葉を言いに来たと思った僕はそう言って、

太一の謝罪の言葉を止めるような言葉を返す。

だが太一が次に起こした行動に僕は驚かずにはいられなかった。

 

 

「……後でいくらでも謝る。望むなら土下座だってしてやる」

 

「……どういう事……」

 

 

 僕の言葉はそこで途切れた。

太一に頬を思いっきりビンタされたからだ。


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