デジモンアドベンチャー0   作:守谷

11 / 65
 総合評価が100を超え、何か記念の話を書いた方が良いのかなと思っている内に、
総合評価が6倍になっていまいました。

 もしやと思い、ランキングを見たらランクインしていて驚きました。
……正直、うれしいかと聞かれると……そうじゃないかもしれません。
この作品は原作が好きな人があまり楽しめない作品だと思っているので。

それに純粋に文章力や、オリ主人公の存在に自信が無いと言うのもありますね。


……今回の話は、正直読まなくてもいいかもしれません。
ですが、作者的にはこの話はどうしても入れたかったので書かせていただきました。

……読んでいて面倒だと思われた方の為に、後書きにこの話の内容を簡潔に書いておきます。


……後、評価100記念の話は書かない事にします。
理由は、そもそも主人公の仲間と呼べる存在がブイモンしか居ないのと、
そんな話を書く暇があったら話を進めた方が良いと思ったからです。


009 進化条件

 暗黒の海に行った日の夜、僕はライドラモンに乗ってデジタルワールドを移動していた。

 

 

「――――この辺がよさそうだね。よし、今日はここにしよう」

 

 ダークタワーが建っていないエリアに来た僕はそう言うと、

ライドラモンから降りて、ライドラモンのアーマー進化を解いた。

 

 

「まずは進化だ。行くよ、ブイモン」

 

 

 ブイモンのおうと言う返事を聞いた僕は、手に持っているD3に少し力を入れ、思いを込める。

その瞬間、D3から光が飛び出し、ブイモンを包み込んだ。

その光が消えた場所にはエクスブイモンが立っていた。

 

 

「よし、やっぱり成熟期にはもう問題無く進化出来るみたいだね。

……次は本番、完全体へ進化だ!」

 

 

 僕はそう言うと、再びD3を握る手に力を込める。

そして、先程よりも強い思いを込めた。

 

 ――――が、D3は全くの反応を見せなかった。

 

「……くそ、今回も駄目か」

 

 

 ブイモンのパートナーとなった日から僕達は何度か、こうして完全体に進化させる特訓を行っていた。

始めたては、成熟期にすら進化出来なかったブイモンだったが、今ではこうしてエクスブイモンに進化できるようになっていた。

……だが、何度やってもそれ以上の結果が出る事は無かった。

 

 

「……アマキ」

 

「…………そうだな。少し休もう」

 

 

 ここまで来るのに結構走らせてしまったしね、と僕は付け足しながら

僕はエクスブイモンの進化を解き、その場に座り込んだ。

 

 

「……アマキ、本当にオレ達だけで完全体に進化する事が出来るのか?」

 

 

 ブイモンの言う、オレ達だけと言うのは、タグや紋章無しに、と言う事だ。

ブイモンがデジタルワールドの異変を調査していた時、その話を聞くついでに

選ばれし子供のパートナーデジモンが完全体に進化する方法を聞いて回っていたらしい。

 大半のデジモンはそんなの分からないと答えたが、

知っているデジモンは皆口をそろえてこう言ったようだ。

『その選ばれし子供のタグと紋章が必要だ』と。

だからこそ紋章とタグ無しにこんな事をしている現状に疑問を覚えているのだろう。

 

 

「……ブイモン、僕の話を聞いてもらってもいいかな?」

 

「……おう」

 

「…………選ばれし子供と言うのはそもそも、デジタルワールドが危機に陥った際に、

召喚される子供達の事。つまりデジタルワールドを救う為に来た人間という事だ」

 

 

 それ位オレでも知ってるよと言うブイモンの不満げな言葉に僕は小さく笑う。

 

 

「そしてその選ばれた子供達には、パートナーデジモンと

デジヴァイスというアイテムが与えれる。

デジヴァイスには、他のデジヴァイスの位置を特定する力、闇を打ち払う力、

そして、デジモンを進化させる特殊な力など様々な能力が備わっている。

……それに加え、選ばれし子供達には自身の心の特性をあらわした紋章が存在し、

それとタグを組み合わせる事で、完全体に進化させる事が可能になる」

 

「だからそれ位オレも知ってるよ!

オレだってアマキが学校とかに行ってる間、色々聞きまわったんだから」

 

「分かってるよブイモン。

別にブイモンが知らないと思ってるからこの話をしたわけじゃないんだ」

 

 

 そう言うと僕は一息ついて、少しの間、目を閉じた。

……ここから先の話は僕が知っているデジモンアドベンチャーの設定では無く、

只の想像の話だからだ。合っているかも分からない話をするか少し迷ったが、

僕は覚悟を決め、目を開け、先程よりも真剣な眼差しでブイモンを見つめた。

 

 

「……ブイモンは話を聞いて疑問に思ったことは無い?」

 

「疑問って……何が?」

 

「選ばれし子供はパートナーデジモンを進化させる事が出来る。

―――――なら、パートナーデジモンは選ばれし子供が居ないと進化出来ないのか?

っていう事」

 

「うん……そりゃ出来ないんじゃないかな。

だってオレ達パートナーデジモンは、

アマキみたいな選ばれし子供が居て初めて進化出来るんだから」

 

「――――野生のデジモンは選ばれし子供無しに進化するのに

どうして、パートナーデジモンは進化出来ないんだ?」

 

「――――――――!」

 

「全て……いや、殆どのデジモンは生まれた瞬間は、幼年期のデジモンだ。

そこから時間が経ったりして成長期のデジモンになる。

そこから様々なデータを得たり、戦闘経験を積んだり住んでいる場所の環境が変わったりすることで成熟期、完全体、そして究極体へと進化する。

そう、選ばれし子供や、紋章やタグの力無しにデジモンは進化出来るんだ。

それなのにブイモンは、パートナーデジモンはそうではないと言うのかい?」

 

 

 僕の言葉にブイモンは下を向いた。

……答えが分からないのであろう。

僕が言っている事が正しいのか、それとも間違っているのか。

……正直に言って僕自身自分の考えが合っているのかは分からない。

 

 

「……確かにパートナーデジモンは通常のデジモンとは少し性質が異なるだろうと思っている。

だけと、それでもパートナーデジモンは一人だと進化出来ないと言うことは無い筈なんだ。

実際、テイルモンっていうパートナーデジモンも、選ばれし子供無しに成熟期に進化したしね。

……まあこれは、テイルモンが選ばれし子供無しに厳しい状況を生きて来たからこそ生まれた例外なのかもしれないけどね」

 

「……つまりアマキはパートナーデジモンが選ばれし子供無しに進化出来るって事がいいたいんだね」

 

「まあそうだね。

厳しい経験を積まないといけないかもしれない、長い年月が必要なのかもしれない。

だけどこれだけは覚えていてほしい。パートナーデジモンは選ばれし子供無しに、

紋章やタグ抜きに進化出来るかも知れないと言う事を」

 

 

 僕の言葉にブイモンは深く頷いた。

 

 

「……かなり話が脱線してしまったね。

僕が本当に話したかったのはパートナーデジモンは、選ばれし子供が居ても紋章やタグが無ければ進化出来ないのかって事」

 

「……そもそも紋章とタグって何なの?」

 

「いい質問だね。

紋章は、持ち主の心が示す、もっともすばらしい個性を元に作られたモノで。

タグは、心の特質の力を増幅しさせるブースターみたいなモノ。

この二つがある事で完全体に進化させる事が出来る」

 

「……でもアマキはそれが無くても進化出来るかも知れないと思ってるんだろ?」

 

「……うん。

紋章は、自身のもっともすばらしい心を形にしたような物。

タグはそれを増幅させるもの。

……前の選ばれし子供の一人で例えたら、

自分のもっともすばらしい心が勇気だと言う事を紋章で理解し、

進化させる際に自分にとって一番込めやすい心『勇気』を思いっきり込め、

その勇気をタグによって増幅させ、ある一定の心の値を超えた時、

デジモンが完全体に進化する。……僕はこういう原理になっていると考えているんだ。

そして、仮にそうだとしたら紋章やタグが無くても、強い思いがあればデジモンを進化させる事が出来るんじゃないかと僕は思っているんだ」

 

 

 もしそうだとしたら僕にも可能だと思っている。

何故なら僕は、この世界――――原作を守る為なら命も惜しくないと思っているからだ。

僕自身、死ぬのは怖い。でもそれ以上に僕の大好きな世界、デジモンアドベンチャーの原作が僕と言う存在のせいで崩れかけていて、そのまま壊れてしまうのが何よりも怖かった。

 ……そもそも僕には太一達のように飛び抜けた一つの心が存在しないかもしれない。

でも、それなら込める思いを一つにしなければいいのだ。

原作を守りたいと言う偽善の心、転生者なのでやるべきだと思う使命感、罪悪感、

心の何処かで自分にそんな力があると思っている傲慢な心さえも利用すれば

進化出来る筈……と、思っていたのだが、僕にはブイモンを完全体に進化させる事が出来なかった。

何故進化出来ないのかは分からない。

僕の心が足りないのか?

それともパートナーデジモンが進化するのには紋章やタグが必要なのか?

考えても分からない。

だが僕はどうしてもブイモンを完全体に進化させれる様にならなければならない。

――――原作を守る為に。

 

 




この話の内容は簡潔に言うと、
主人公はタグや紋章無しで進化出来ると考えているという事です。

こんな簡単な話をまとめるのにこんな長い文章になってしまい申し訳ございません。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。