七夜雪彦の暗殺教室   作:桐島楓

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 オリキャラとちょっとだけ雪彦の前の中学の話がでます。

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買い物の時間

 修学旅行を間近に控えた土曜日、荷物の用意をしようとした雪彦だがある問題に直面した。

 

(しまった―――そういや前の修学旅行でどこぞの高校生と乱闘になって鞄壊れたの忘れてた)

 

 他にもいくつか足りないものがあるのを確認すると雪彦は仕方ないと立ち上がった。

 

(仕方ない、買いに行くか)

 

 

 

 休日のショッピングモールとは混むものである。一人で買い物来ている者もいれば、友人、家族できている者もいる。そんな中で―――

 

「なあ、一人で買い物ってのも面白みがないだろう?」

「俺たちと回ろうぜ」

「この前までコイツ入院しててさあ、女の子と出歩いたりしてなかったんだよ。コイツの為も思ってさ」

「……」

 

 と、こんな風にナンパされているのは速水凛香である。修学旅行用の買い物をしに来たのだが、本当に運悪くガラの悪い高校生たちに絡まれてしまった。当初こそ断っていたがいつまでも解放されず無言になってしまった。それをいいことに

 

「無言は肯定と受け取るぜ」

 

 そう言って高校生は速水の腕を取った。

 

「あっ―――やめっ」

 

 そう声をあげよとした瞬間

 

「あれ? 誰かと思ったらあの時高校生の人」

 

 そう声が聞こえた。私服を着た雪彦だ。そして、その声を聞いた高校生は一気に硬直した。

 

「な、なな七夜さん」

 

 何故か年下雪彦になぜかさん付けで呼ぶ高校生。

 

「ナンパ? 別にいいけど―――その娘俺の知り合いなんだけどさ、まさかまた嫌がってるのに連れて行こうとしてるの?」

 

 雪彦は目つきを鋭くしながら指をパきりと鳴らす。

 

「いえ、とんでもないです!」

「マジかよあの学校の生徒かよ―――」

「バカ! ここで言うな―――すみません! もう行きます!!」

 

 そう言って高校生たちは去っていった。それを見届けると何時もの少しのほほんとした表情に戻る。

 

「ねえ、七夜―――あの人たちになにかしたの?」

 

 知った顔に助けてもらえて落ち着いた速水は雪彦にそう聞いた。

 

「まあ―――色々? 当時は俺も若かったし……あ、壊した鞄の代金貰えばよかった」

 

 今の高校生こそが、前の学校の修学旅行で雪彦たちと乱闘騒ぎを起こした張本人だった。念のため補足しておくが雪彦たちから絡んだわけではない。

 

「鞄? 鞄を買いに来たの?」

「うん。壊れちゃってね」

 

 目当ての物が同じだったこともあり二人一緒に鞄を取り扱っている店に向かった。

 

 

 速水と雪彦がショッピングモール内を歩いていると、突然雪彦が襲われた。180cm近い大柄に趣味の悪い金のピアスをつけたプリンカラーの頭の持ち主にラリアットで……。

 それを見て速水はさっきの高校生の仲間が報復に来たものだと思ったが。

 

「雪彦―――裏切りやがったな?」

「いや何がさ」

 

 ラリアットを普通に受け止めながら雪彦はそう言った。

 

「彼女なんてつくる気ないっすわ~とか言っておきながら貴っ様アア!! こんな可愛い娘と買い物だと!?」

「いや、彼女じゃないけど」

「彼女じゃない……だと? それなのにデート!? つまりとっかえひっかえしてると……。おのれ! そんなに綺麗な顔が偉いかァ!? 羨ましいじゃねえか畜生!!」

 

 神よ!? などと膝を付きながら叫ぶ男―――山岡大河を速水は唖然と見ている。見た目は寺坂に近いのに中身は岡島のようだと。

 

「あ~、ゴメン速水。こいつは前の中学で一緒だった山岡大河。気軽にプリンと呼んでやってくれ。一応俺の友達……かなあ?」

「なんで疑問符付けるんだよ!? 俺たち親友だろ!? 中一のとき、夏の浜辺で拳で熱く語りあったのを忘れたのか!?」

「その親友にいきなりラリアットかましたのかよ―――。あとそれやったの二年の夏でゲーセンの前な。警察呼ばれて逃げるのが大変だった思い出しかないよ」

 

 やれやれと言いながら大河は立ち上がった。その顔には久しぶりに友人と会った喜びが現れている。殴りあったこと自体はいい事ではないかもしれないが、そのお陰で二人は遠慮することのない友人となれたのだ。

 

「たく、相変わらずクールに突っ込みやがって」

「お前が騒がしいから釣り合いが取れるだろ。ところで大河―――後ろ」

「ん?」

 

 大河が後ろを振り向くと警備員のおじさんが腕をポキポキと鳴らしながら立っていた。180cmある大河よりさらに頭一つ分背が高く、腕は丸太のようである。そして何故か顔に深い刀傷がある。こう言っては失礼だが、なぜデパートの警備員をやれてるのか不思議なくらい、その筋の人オーラが出ている。

 

「あっ」

「君、悪いけど事務所まで来てもらうよ」

「ちょっと待ってくれおっちゃん! アイツは!?」

「どう見ても君が絡んでいたぞ。つまり君が加害者で彼が被害者、OK?」

「……助けてくれ! 雪彦!」

「その人唐突にラリアット打ってくるから気をつけてください」

「情報提供に感謝する」

 

 そして大河は首を捕まれドナドナされていった。それに雪彦はひらひらとハンカチを降る。

 

「いいの?」

 

 速水が聞くが雪彦は慣れたように

 

「大丈夫、30分もすれば戻ってくるから。それより、カバン見に行こう。俺も持ってないから買わないと」

「―――七夜がE組に簡単に馴染めた理由が分かったわ」

 

 E組は個性の強い面子が揃っている。その中に普通に馴染んでいたのは前の学校でも個性的な人がいたからか、と速水は納得した。

 

「いや、前の学校もあんな色物ばかりじゃなかったぞ―――バレンタインとクリスマスにカップル税を導入するように国に掛け合おうとした奴とか、ラグナロクに備えて戦士が必要とか、革命戦士を自称する奴はいたけど、後は何故かカップリング押しとかいうのが多かったな。主に女子がクラスメイトの―――」

 

 E組とは別のベクトルで色ものが多いと凛香が思ったかどうかは定かではない。速水はこれ以上考えると頭がパンクしそうだと、考えるのを止め二人でカバンを取り扱っている店に向かった。

 

 余談だが30分後に予見通り大河は戻ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪彦の前の学校のクラス(※あくまでネタで本編には登場しないし関係ありません)

 

3年Z組:本人たちは知らないが問題児を集めたクラス(全員勉強やスポーツ、美術のスペックだけは無駄に高い)、むしろ集めたことで歯止めが効かなくなってることには誰も気づいていない。

 

Zの由来:出来るだけ遠くに置いておきたいから

 

女子:8割近くがプリヤのミ○のような趣味。女顔の雪彦はターゲットになりやすかった(なんのターゲットかは秘密)。この年齢では買ったり見てはいけないものを、買って、見て、描いて、布教するため教師と両親は頭を抱えている。本人たちは自由権を盾に日夜戦い続けている。

 

男子:意中の相手がその趣味だったせいで恋愛に飢えて、リア充を憎んだり、厨二的な意味で変な方向に向かってる。なぜかそれが行き過ぎて学校の外で変な宗教とされ、生徒が教祖扱いされて休日に数百人が黒づくめの衣装で校庭に集まってミサをしているため教師と両親は頭を抱えている。こちらもまた自由権を主張している。

 

担任:女性で美人だが口が悪く生徒を猿扱いする。昼休みに創作活動をしてそのまま午後の授業をサボろうとする女子や、フェンリルの封印が解かれたといいどこかへ旅立とうとする男子を制御できるのがこの人しかいないので学校にも保護者からも黙認されてる。ちなみにドSで彼氏は出来ても約3日で逃げ出してしまう。最速記録は3時間。

 

 雪彦はこのクラスに3週間ほどいました。大河との喧嘩や修学旅行の乱闘が主な理由で放り込まれた。

 2年生までは普通のクラスです。転校せず一年間このクラスにいたら普通とのズレとかどうでもよくなっていた……かも。

 

乱闘騒ぎ

 雪彦たちの中学校の修学旅行(当時2年生)で宿泊していたホテルで起きた。2年Z組の女子を無理やり部屋に連れ込もうとした高校生を2年Z組の男子たちが「戦いの時は来た! いざ進め戦士たち!!」などと言いながら止めに入りそのまま乱闘。

 当時2年B組だった雪彦は友人の大河が殴られているのを見てなんとか止めようと割って入ったが、高校生にカバンを壊され、殴られ、ビールをぶっかけられキレて本格参戦した。

 ちなみにその乱闘をみた女子たちはそれすらネタにしてその高校生たちそっくりキャラが登場する本を制作し発売したために、高校生たちは母校でいろんな誤解を受けている。そのため高校生たちからいろんな意味で恐れられている。


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