七夜雪彦の暗殺教室   作:桐島楓

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 主人公の容姿について、実はふわふわしたイメージしか無かったのですが、雪彦という名前にメガネでとあるキャラを思い出し、そのキャラで固定されてしまいました。
 というわけで七夜雪彦のイメージはゲットバッカーズの弥勒雪彦でお願いします。性格は全然違うけど…
その内主人公プロフィールもあげたいなあ




テストの時間

 テストは本校舎で受ける決まりのため、集会と同じくE組は本校舎に移動しなければならない。

 本校舎へやってきたE組のメンバーだが、普段よりは本校舎の視線が気にならなかった。なぜなら……

 

「―――なんか凄く敵視されてるな」

 

 なんでだろう? と首をかしげているのは、本校舎の生徒からの視線をほぼ独占している雪彦である。

 

(((((この前の集会が原因だよ!)))))

 

 E組のメンバーの心が一つになった。

 雪彦はこの前の集会でのKY発言で本校舎の人間全員から敵視されていた。なお当の本人は、E組差別って本当に酷いな。と間違ってはいないが微妙にズレている天然ボケを発揮していた。

 

 

「いいかE組! エンドだからってカンニングなんてするんじゃないぞ!」

 

 監視役の教師がそう言うと本校舎の生徒たちがクスクスと笑いをこぼす。

 

「ばっちり監視してるからな」

 

 とニヤニヤと笑う教師はきっとE組の誰かがカンニングすると考えているのだろう。どんなふうに晒し者にしてやろうかと考えているのが素人目に分かるほどだ。もっとも、E組の生徒は殺せんせーの授業や、昨日の言葉もあってかモチベーションは完璧と言える状態だった。E組として、超生物を殺す暗殺者(アサシン)として胸を張ろうと。なので、教師の嫌味など多少ムカつきはするものの無視することが出来た。

 実際問題のほとんどをE組の生徒は解けていた。それこそ監視役の教師が驚く程に……しかし、

 

(……この問題も)

 

 国語、数学とテストを解いていく中、中盤以降の問題―――そこでE組は壁にぶつかった。今回テスト範囲外の問題が多く存在していたのだ。

 

(殺せんせーのミス? いや、殺せんせーはそんなミスするタイプじゃない……と、なると―――)

 

 問題を解きながら雪彦は思考をする。可能性を一つ思い浮かべては潰していく―――そして最後に残った可能性は。

 

(あの理事長―――ここまでやるとは)

 

 この学校の支配者である理事長だった。特に殺せんせーとの会話を聞いていた雪彦にとってそれは疑いようのないものだと確信すらあった。

 

 

 テストが終わり返却された日、殺せんせーは生徒たちに背を向けていた。

 

「……先生の責任です。この学校の仕組みを甘くみすぎていたようです。君たちに顔向けできません」

 

 E組全員が50位内に入ることはできなかった。殺せんせーの授業で生徒たちの学力は確かに上がった。それこそ、本当に50位内に入ることも可能なほどに……しかし現実ではそうはいかなかった。

 なぜなら、テストの()()()に範囲が変更されたのだ。そしてE組にはその連絡が来なかった。如何に殺せんせーの教え方が優れていようと、生徒のモチベーションが上がったとしても、()()()()()()範囲のテスト問題ができるはずがない。その結果、昨日の殺せんせーの立てた目標を叶えることは出来なかった。

 二日前に試験範囲が変わるなど通常ありえない。表向き担任の教師である烏間は当然のように抗議した。しかし、理事長の方針とあっては烏間も何とも言えない。学校内で暗殺以外の事柄は全て理事長が握っているからだ。

 

 誰もが暗くうつむく中、ふと視線を感じた雪彦が後ろに振り向くと、カルマが答案と対先生用ナイフをちらせつかせながら雪彦に目配せをしていた。

 

(……マジ?)

 

 雪彦はカルマの意図を明確に理解した。一瞬迷ったが雪彦も対先生用ナイフを取り出す。そして、二人同時に殺せんせーに投げつけた。

 

「にゅやッ!?」

 

 突然の奇襲だが、殺せんせーはそれをよける。

 

「いいの? 顔向けできなかったら、俺たちが殺しに来るのも見えないよ」

「カルマくん! 雪彦くん! 先生は今落ち込んで……」

 

 殺せんせーの言葉を遮るようにカルマと雪彦はそれぞれの答案を出した。

 

 

赤羽業

合計点数:494点

186人中4位

 

七夜雪彦

合計点数:488点

186人中7位

 

 その点数を見てクラスが驚愕した。

 

「カルマ数学100点かよ……」

「雪彦くんは国語が100点だ―――」

「あんたがさ、俺の成績に合わせて余計な範囲まで教えたからだよ。だから出題範囲が変わっても対処できた」

「ノルマ終了後に次々範囲外のところも教えてもらったから、カルマほどじゃないけど対処できました」

 

 雪彦もまさかあの先取り学習がこんな形で役立つとは思っていなかったが、やっておいてよかったと心から思った。

 

「だけど俺はこのクラスから出て行く気ないよ。前のクラス戻るより暗殺の方が断然面白いし」

 

 ちなみに雪彦は暗殺がメインで転校してきたということもあるので、成績とか関係なくクラスから出る気がない。仮に暗殺の必要がなくなっても本校舎に行くなんてゴメンだと思っているが。

 

「で、どうすんの? 自分のせいだーって言って逃げるの?」

「殺せんせーの教え方自体に落ち度はなかった、それなのにリベンジもしないんですか?」 

「ああ、わかったよ雪彦。下手にE組に残って殺されるのが怖いんじゃないの?」

「なるほど、だから今回のことを理由にして―――」

 

 挑発的な二人に殺せんせーがプルプルと震えだす。その様子を見て他のクラスメイトたちもアイコンタクトを送る。

 

「なーんだ、先生怖いなら先にそう言えばいいのに」

「それならそうと言ってくれればなあ」

「ねー、『怖くてここにはいられない』って」

 

 他のクラスメイトたちに煽られ、さらに激しく震えた殺せんせーが顔の至るところ怒りマークを浮かべ真っ赤になり、ついに爆発した。

 

「にゅやーーー!! 逃げるわけがありません! 期末テストであいつらに倍返しでリベンジしてやります!!」

「「「「「ははははは!」」」」」

「にゅやッ!? なんで笑うんですか!? まったく!」

 

 その様子を外で見ていた烏間とイリーナは殺せんせーが出て行かないことに胸を撫で下ろした。

 殺せんせーの立てた目標には届かず、中間テストで彼らは壁にぶつかった。しかし、彼らはそれでも心の中で胸を張った。自分たちがこのE組であることに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ―――」

「どうした雪彦?」

 

 答案を見ながらなにか思案する雪彦に千葉が声をかけた。10位内というトップクラスの点数を取った雪彦だがカルマに負けたことを悔しがっているのでは? と思ったが

 

「ほら、7位って苗字と同じ数字で縁起がいいなと思って」

 

 割とどうでもいいことを真顔で考えていた。聞いて貰えたのが嬉しいのか妙にいい笑顔である。

 

「……お前って少し天然入ってないか?」

「はは、まさか」

 

 千葉にそう言われた雪彦は、ないないと手を振った。

 




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