七夜雪彦の暗殺教室   作:桐島楓

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 あらためてアニメ見てたら速水さんが可愛くて自分の中でトレンド入りしている今日この頃です。


E組の時間

「おはよう雪彦くん」

「おはよう渚」

 

 自分の席に着きながら雪彦と潮田渚はあいさつを交わす。

 転校してからほんの2、3日ではあるが雪彦はクラスに馴染んでいた。人当たりの悪い性格ではないし、暗殺者の一族としての自分と普通の学生としての自分を上手く両立してきた雪彦だが、本人もここまで早く仲良くなれるとは思っていなかった。

 暗殺者の血を引くということから自分が異常だと理解している雪彦は、初日に暗殺技術を披露してしまった事から正直なところ周囲から距離を置かれると思っていた。

 しかし、ここ(E組)は月を爆破し、地球を破壊すると予告している超生物が担任を務め、その担任を暗殺しようとしている生徒のいるクラスである。通常恐れられるであろう暗殺技術も一つのステータスになってしまっている。言ってしまえばこのクラスは雪彦と同じく、少しズレてしまってるのだ。もっとも、そのおかげで雪彦としては非常に過ごしやすい空間でもあるといえる。

 そしてもう一つ……。

 

「おはよう、雪彦くん」

「おはよう―――桃花」

 

 にこやかに手を振りながら挨拶をしてくる少女―――矢田桃花の存在も大きかった。

 

 

 転校初日―――

 

「あの、雪彦くん……私のこと覚えてる?」

 

 恐る恐るといった感じに雪彦に声をかける少女がいた。

 雪彦は一瞬その少女が誰かわからなかった。それでもなんとなく見覚えがあると記憶をたどっていく。中学校―――は今まで別の学校に通っていたので知っているわけがない。少なくとも前の学校で椚ヶ丘中学校に転校した生徒がいるという話は聞いたことがない。

 ならば、小学校―――とそこまでいき雪彦は思い出した。そういえば小学校の時に転校した仲の良い女友達がいたことを。

 

「―――桃花?」

「そうだよ! 雪彦くん私のこと忘れてたの!?」

「そ、そんなことないよ。えっと、ほら! 当時の姿と中々一致しなくて、お互いもっと小さかった……し……」

「……」

 

 矢田にジト目で見られ雪彦はそっと目をそらした。

 

「雪彦くん、私の目を見てもう一回言ってみて?」

「あはは、―――すみませんでした。……そういえば、弟くん元気?」

「この前また体調崩しちゃって……」

「そっか……今度会いに行ってもいいか?」

 

 昔はよく雪彦兄ちゃんと言って懐いてくれていたのを思い出し雪彦は懐かしそうに目を細め、矢田にそう聞いた。

 

「うん、そうしてあげて。あの子も会いたがってたから」

 

 そんなほのぼのとした二人を周囲は生暖かい目で見守った。若干2名ほど悪戯の光を目に灯しているものもいるが。

 

 

 

 そんな感じにクラスの特異性と幼馴染がいたおかげもあって雪彦は割と簡単にクラスに馴染むことができた。悪戯好きなカルマと主にトラップ制作について意気投合したり、千葉龍之介と音楽について語り合ったりと趣味方面でも気の合う者が出来たりと文字通り転校生ライフを満喫していた。

 友人関係だけでなく授業についても面白いと雪彦は転校初日から感じていた。

 殺せんせーの教え方は丁寧で分かりやすく、前の学校でいまいち理解できていなかった場所をしっかりと理解することができた。

 体育の授業も烏間のナイフの扱いなどの基礎訓練だ。雪彦も七夜の体術を学ぶ上で基礎的な武術や武器の扱いは学んでいるが、今の歳になって再び基礎を学び直すと新しい発見などもあり、こちらも楽しんでいた。

 そして、E組にはもう一人専任の教師がいる。この後の英語のイリーナ・イェラビッチ、E組の中での相性はビッチ先生である。ちなみにこの授業でひと悶着あった。

 雪彦が転校してきた初日の英語の授業。

 

「英語で教科書はほとんど使わない?」

「うん、ビッチ先生は実践的な英会話を教えてくれるの」

 

 そう言って英語の授業について説明してくれるのは、神崎有希子という生徒である。転校してきた雪彦は彼女の隣の席になったのだ。まだ届いてない教科書を見せてくれたりと雪彦は世話になっていた。ちなみにその斜め前には矢田がいる。

 

「さあ、授業を始めるわよ。で、あんたが噂の転校生? あのタコにダメージ与えたそうじゃない」

「失敗しましたけどね」

「まあ、簡単には殺せないわよ。私はイリーナ・イェラビッチよ」

「よろしくお願いします。ビッチ先生」

 

 雪彦がそう言った瞬間、イリーナがこめかみにピキリと音を立てて青筋を浮かべた。

 

「誰よ!? コイツに変なこと吹き込んだのは!?」

 

 うがー! とハニートラップの達人とは思えない声を上げるイリーナをよそに赤髪の生徒、赤羽カルマが飄々と手を挙げた。

 

「俺だよー」

「またお前か!? 余計なことしないでよ! せっかく何も知らないことを利用してイリーナ先生って呼ばせよとしてたのに」

 

 この短期間で雪彦はイリーナの立ち位置をはっきりと確信した。

 

「だいたい察した」

「察するな! ていうか察したならイリーナ先生って呼べ!」

「分かりましたビッチ先生」

「」

 

 この数分後に授業が始まった。

 約30分後に雪彦のファーストキスが奪われるのだがそれは余談である。さらなる余談だがその光景を見て2名の生徒が硬直することになったがそれも余談である。

  

 

「そういえば雪彦くん。聞きたいことあるんだけどいい?」

 

 放課後、途中まで帰り道が同じ方向の矢田と帰っているとそう聞いてくる。

 

「……何?」

「眼の事なんだけど」

「ああ―――」

 

 矢田は数少ない雪彦の―――というよりは七夜の特異体質を知っていた。

 

「俺としては暗殺者の家系ってことに突っ込まれるかと思ってビクビクしてたけどね」

「う~ん、私も最初は驚いたけどね。烏間先生が雪彦くんは人を殺していないって聞いてたし、昔からちょっと変わってる所もあったから、ある意味では納得したんだ」

 

 補足するのであれば、実際に何人か殺している殺し屋を間近で見たり、実銃を装備した強面の男を見たりである程度耐性ができていたのも大きいかもしれない。

 

「……俺そんなに変わってたか?」

 

 雪彦としては自分の異常性を理解しているがために外では普通の生活をするように努力していたつもりだったのだが。

 

「一緒にいる時間も多かったしね。それに、何回頼んでも雪彦くん自分の家について頑なに教えてくれなかったし」

「―――確かに不自然か」

 

 不自然さは根本的な問題だった。

 

「殺せんせーを暗殺しようとしてた時は驚いたけど、話してみたら昔と変わってなくて良かったよ」

 

 昔馴染みがいきなり暗殺者としてやってきて、曲芸師みたいな動きで殺せんせーを攻撃する姿を見て桃花は雪彦が自分の知る雪彦ではないような感覚に囚われた。だから、最初に声をかけた時に恐る恐るになってしまったのだ。実際話してみると昔とほとんど変わっていなかった。

 

「そっか……で、俺の眼がどうかした?」

「うん、その眼なんだけど。やっぱり隠してるの?」

「まあ、俺としてはどうでもいいけど、気持ち悪いと思う人もいると思うからね」

 

 雪彦自身は目が青くなることに対してなんとも思って言ってない。というより、感情が高ぶると青く変化するという性質上、実は日常生活では早々変化することなどないのだ。本人が普段は割と、のほほんとしているのもあるが。とにかく、本人は気にしていないがだからと言って周囲に気持ち悪がられる趣味もない、ゆえに特殊なメガネをかけて生活しているのだ。

 

「―――私はすごく綺麗だと思うけどな」

「……ん―――ありがと」

 

 正面からそう言われ雪彦は思わず照れてしまった。

 

「赤くなってる?」

「夕日のせいだよ。ありきたりなことだろ?」

「言い訳としてね」

「っ!?」

 

 再会して早々に手玉に取られてばかりだと雪彦は肩を落とした。雪彦の転校初日はこうして終わった。

 

 

 




矢田さんの話し方こんな感じであってるでしょうか。

主人公のプロフィールとかあげたほうがいいですかね

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