雪ノ下陽乃が、よく眠れますように   作:my茸

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今回は陽乃さん視点です。
これで「遭遇」の居酒屋編終了です。
やや短いですが、区切りを良くしたらこうなってしまいました。

『死なないことは(ry』の更新なかなかできなくてすいません。




2話/一歩

『ねえ、比企谷くん、私さ、この研究が終わったら結婚するんだ』

 

──私は何を言っているんだろう。

こんなことを言うつもりはなかった。

比企谷くんだって急にこんな死亡フラグめいた事を言われても困るだろう。

…ほら、『何言ってんのこの人?』って眼で見てきた。

でも、ごめんね。

お姉さんはその問いには答えられないよ。

だって答えを知らないから。

ああ、思わずにはいられない。

私は、なんて事をなんて人に言ってしまったんだろう、と。

 

──比企谷くんなら、きっと気付いてしまうのに。そして、気付かれたら、私は、わたしは多分、戻れなくなる。

 

───────────────────

 

「──陽乃さんは(・・・・・)結婚、したいんですか?」

 

思った通りだった。

私は今、追い込まれている。

それも三つも年下の、男の子に。

 

「結婚したくない女の子なんていないよ?ほら、静ちゃんが部活の顧問だった比企谷くんなら分かるでしょ?」

 

「平塚先生の話はやめてあげて下さいよ…」

 

うん、ごめんね静ちゃん。

本当にごめん。今度婚活パーティー見つけてきてあげるから許して。

脳内静ちゃんにめちゃくちゃ謝り倒す。

まあこれで誤魔化せたっぽいし、静ちゃんに感謝かな?

 

「で?陽乃さん、どうなんですか?…さっきみたいにやり過ごせると思わないでくださいね」

 

………。

う──ん。やっぱりだめかぁ。

静ちゃんたら使えないんだから。

謂れのない誹りを受けている静ちゃんはまぁ置いておいて、本当にどうしよう…この状況。

あぁ、なんでそもそもこんな考えなくちゃいけないのかしら。イライラしてきた。

 

「それを比企谷君に言う義理は無いよね?」

 

笑顔のまま、イラつきを表現する。

…『笑顔で苛つきを表現』っておかしい事を言っているのかもしれない。でも、私にとってはもう呼吸と同じくらい普通のこと。

これをやれば大抵の人は言う事を聞いてくれる。

 

「だったらなんですかさっきのは。面倒くさいので言いたいことがあるならさっさと言って下さいよ。ハチマンお家帰りたい。それとその不気味な仮面もやめて下さい」

 

あら容赦ない。

それにしても、さすが比企谷くんだよね。あれをやってもまだ突っ込んで聞いてくるなんて比企谷くらいだよ。

…でも今はそれを嬉しく思っている私がいる。

じゃあ…ちょっとだけ。

 

「…比企谷くん」

 

我儘言っても…いい、よね?

期待を込めた視線を目の前の青年に送る。

 

「はい」

 

あら嫌そうな顔。

 

「今度の日曜…h」

 

「暇じゃないでs」

 

食い気味に拒否される。

 

「ダウト」

 

食われたら喰い返す…倍返しよ。

…古い?こういうのはノリよ。

 

「…………負けました」

 

何に?

え?え?勝負だったの?

内心訳わからなくてテンパっているけど私は顔に出さない。…エリートですから。

片眼鏡は付けてないけどね!

 

「ふ、ふふん。じゃあ敗者の比企谷くんには今度の日曜に私とデートしてもらいます!」

 

ここまできたら私の勝ちね。

…本当に何と戦ってるのかしら。

 

「所用の虫歯の治療があるので」

 

「ふふ♡私がドリルしてあげようか、比企谷くん?」

 

「たった今治りました」

 

多分、この時の私はこの日一番の笑顔だったと思う。

 

───────────────────

 

約束をしてから少しして、時計を見ると11時。終電もない時間だった。

幸い私も隣の彼もここから歩ける距離に住んでいるから、今は2人で酔い覚ましに夜の散歩をしている。

ふと隣から視線を感じた。見ると、比企谷くんがどこか納得してない顔をして私を見ている。

 

「どうしたの?」

 

逡巡する彼は、ゆっくりと、聞いてきた。

 

「えっと…あの、婚約者がいるのに俺と出掛けていいんですか?」

 

その質問は、いつもの皮肉じゃなくて私を心配してのものだと直ぐに分かった。

だから、伝えようと思う。

 

「…さっき比企谷くんはさ、私に、結婚したいのか?って聞いたよね?」

 

首肯する彼を確認して続ける。

 

「結婚は、したいよ。私も女の子だからね」

 

「…なら」

 

「でもね」

 

言わせない。

何故かは分からない。でも、彼の口からそれを聞きたくなかった。

 

「それは彼としたい訳でも、来年直ぐにしたい訳でもないの」

 

返事はない。

比企谷くんのことだから、きっとどう声を掛けようか悩んでいるんだろう。

でも、同情(そんなの)は、要らない。

 

「だからさ、比企谷くん。…これから、宜しくね?」

 




やっはろー!比企谷小町です!
今回は小町が担当だよー!

カンペ(兄)「かわいい」

…と、まあごみぃちゃんはほっといて。

いやー、陽乃さん、やりますなぁ〜!
高校以来久し振りにお姉ちゃん候補が出てきて小町感激です!
このまま政略結婚なんかやめてお兄ちゃん貰ってくれないかなぁ…。
でもまあ、いろはさんもいるからね。
お兄ちゃんはどっちを選ぶのかなぁ〜?

カンペ(兄)「どっちもやだ」

全く…ごみぃちゃんはしょうがないなぁ。







…もし売れ残っちゃったら、仕方がないから小町が貰ってあげるよ、お兄ちゃんっ♪

ではでは皆さん、また次回で‼︎

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