「フェイトちゃん!これが今の全力全開!受けてみて、スターライト・ブレイカー!!」
スターライト・ブレイカーが直撃する直前、フェイトちゃんは防御魔法を発動したものの、防御空しく、漆黒の闇がフェイトちゃんを包み込、飲み込んでいったよ。
こっちの世界に来て、全力で砲撃したのは何気に初めてだったけど、相手はフェイトちゃんだし、非殺傷設定だし大丈夫だよね。
他の人に撃つときは・・・、ちょっと考えよう。大怪我させたら不味いし。
しかし、フェイトちゃんはやっぱり強いなぁ。
前世での子供の頃の戦闘力と比較しても、格段の差があったよ。流石、元おばあちゃん。
「おばあちゃん」って言うとフェイトちゃん怒るから、口には出さないけど。
油断するとこっちがやられちゃうから、特訓としてはこれ以上の相手はいないかな。
高町家の人々は、さて置いてだけど。
今日は、良いストレス解、良い特訓が出来たなぁ。
さてさて、気分良く特訓が終わったし、フェイトちゃんと休憩しようかな。
スターライト・ブレイカーの煙が消えた後には、フラフラなフェイトちゃんが立っていたよ。
流石フェイトちゃん!大丈夫そうだね。「ちょっとやり過ぎたかも」って、撃った後に思ったのは内緒だよ。
フェイトちゃんは、フラフラしながらも「菜、菜之葉、スターライト・ブレイカーは、私以外の人には撃っちゃ駄目だよ。時間をかけて、ピンクを克服したと思っていたけど、・・・今度は黒がトラウマになりそう」って言われちゃった。
「またまたフェイトちゃん、トラウマなんて大袈裟だよ」って言ったんだけど、「菜之葉!!本当に気を付けてね」って強めに言われちゃった。
よく「ピンク怖い」とか言っていたけど、フェイトちゃんはちょっと大袈裟だよね。
まぁ実際、スターライトブレイカーを撃つ相手なんて早々いないしね。
そんな会話をしながら、結界を解除して休憩モードに突入。
休憩に入って少し経ったところで、「ところで菜之葉、そのスター・ハートはどうやって手に入れたの??」とフェイトちゃんから、核心的な質問頂きました。
まぁ普通疑問に思うよね。さて、なんて答えよう?
・・・フェイトちゃん相手に、嘘言っても仕方ないか。ありのままを伝えよう。
「たまたま山田君を倒したら、拾ったんだよ。所謂ドロップアイテム?」って言ったら、「ドロップアイテムは違うと思うよ?菜之葉」って言われちゃった。
はい、自分でも言っていて、「無理があるな」とは思ってはいます。
「相手が山田君だから深くは追及しないよ。でも、インテリジェントデバイスを持っているなんて、山田君はやっぱり謎が多いね」とフェイトちゃん。
う~ん、やっぱり誰がどう考えても、山田君は謎な少年だよね。
考えてもきりがないから、今はこれ以上は考えないけど。
さて、特訓も終わったし、海鳴の町を歩きながらフェイトちゃんを我が家に案内しましょうか。
という事で、2人と二匹(?)で、色々と寄り道をしながら、我が家に向かっているよ。
前世で行ったことのある場所を色々巡っているんだけど、フェイトちゃんは懐かしそうだし、案内して良かった。
「全然昔と変わってないね。懐かしいな」とか「ホント2回目の人生を繰り返しているなんて、信じられないよね」とか、他愛もないことを一緒に話してながら歩くこと、30分が経過。
暫く歩いたところで「菜之葉、3人に尾行されているけど・・・。どうする?」と、フェイトちゃんからご指摘いただきました。
そうだね、さっきから3人に尾行されているね。
そんな尾行者3人に対して、アルフは警戒していて、リニスは「あらあら」というご様子。
まぁ尾行している3人は、アリサちゃんとすずかちゃん、そしてこっちの世界の”私”なんだけど。
アルフは3人の事を知らないから、相手が子供とは言え、警戒しているのかな?
見た目は子供でも、力を持っている人はたくさんいるし
だから子供相手でも油断大敵。フェイトちゃんの使い魔としての心がけとしては、バッチリだね。
まぁでも、全く警戒が不要な相手だから、通り越し苦労だけど。
しかし、3人は何でわざわざ隠れているのかな?別に隠れるような理由ないでしょ。
というか、今日はすずかちゃん家で遊ぶんじゃなかったんだっけ??
・・・まぁ敢えて隠れているんだから、こっちから声を掛けなくても良いよね
今はフェイトちゃんを案内しないといけないし。
でも、3人にも何処かのタイミングでフェイトちゃんを紹介しないとなぁ。
いつ紹介しようかな?というか、なんて紹介しようかな??悩ましいなぁ。
あの3人だし、難しいことを考えなくても友達になれるだろうけど、一応設定は考えておかないと。
あと、今はこの場にいないけど、はやてちゃんにも紹介しないとね。
私が色々考えている横で、フェイトちゃんはフェイトちゃんで、「あれって、アリサとすずかとなのはだよね?変わらないなぁ」って懐かしんでいるよ。
「フェイトちゃん、今は昔だから、変わらないっていうのは間違っているよ」
「あ、そうか。でもこの世界にはナノハが二人いるんだね。性別は違うけど」
そう、そうなんだよね。こっちの世界の”私”は、「私であって私でない」存在。
フェイトちゃんと私にとっては、非常にややこしい存在。
私はもう慣れたけど、フェイトちゃんにとってはどんな感じなのかな??
まぁ後で訊いてみよう。
私とフェイトちゃんが話す度に、3人は何か相談しているみたい。
3人は気付かれていないと思っているようだけど、バレバレだからね。
我が家の前に着くあたりで、アリサちゃんを筆頭に3人が私とフェイトちゃんの目の前に登場。
登場したのもつかの間、「菜之葉!私たちと約束できなかったのは、その子とデートがあったからかしら?」って怒られちゃったよ。
デート?いや、デートじゃないよね?お散歩??
「いや、デートじゃないよ。お散歩してただけだよ」って言ったんだけど、「世の中ではそれを”デート”と言うのよ!それに随分と親しそうじゃない!!」って、アリサちゃんにまた怒られちゃった。
そんなアリサちゃんを尻目に「まぁまぁアリサちゃん、菜之君はその子とどういう関係なの??」と、冷静なすずかちゃん。
その冷静さと笑顔が逆に怖いんだけど・・・。
う~ん、フェイトちゃんと私の関係については、さっき「どうやって紹介しよう」って考え始めたところだから、まだ回答が出来てないんだけどなぁ。
前世では家族ってはっきり言いきれたけど、今はなんて言ったらいいんだろう??
フェイトちゃんはフェイトちゃんだよねぇ・・・。
事実をそのまま言う訳には行かないから、まぁ昔馴染みの友達が無難かな?
「フェイトちゃん、旧友ってことで紹介するけど良いよね?」と念話で相談。
「うん、それでいいよ菜之葉」と回答あり。
という事で、相談完了。
どこで知り合ったとかは、具体的な内容は適当に誤魔化そう。
「この子はフェイトちゃんと言って、前に住んでいた場所での友達なんだ。海鳴に来るのは初めてだから、案内していたんだよ」
うん、我ながらそれっぽい言い訳だよね。実際に前世からの関係だし、嘘じゃないしね。
さぁ、フェイトちゃん、あとは自己紹介よろしく!!
「フェイト・テスタロッサです。3人は菜之葉のお友達??よろしくね」
初対面っぽいナイスな挨拶、流石フェイトちゃんだね。
「ふ~ん、呼び捨てなのね。まぁいいわ、私はアリサ・バニングスよ。よろしくね」
「私は月村すずかと言います。よろしくね、フェイトちゃん」
「わ、私は高町なのはです。よろしくお願いします」
と、3人の自己紹介も完了。
「うんうん。無事に紹介が終わってよかった」って安堵しているところで、アリサちゃんから「で、二人はこれからどこに行くのよ?」って訊かれたから、「僕の家に行くよ」って素で答えたら「・・・私達も行くわ。折角知り会ったんだから、女の子同士交流を深めないとね。良いわよね、菜之葉?」って言われちゃった。
・・・まぁ断る理由もないし、良いんじゃないかな?というか、断れ無さそうだし。
「フェイトちゃん、良いよね?」と再び念話で相談。
フェイトちゃんから了解をもらったので、本日は4名が鷹町家にご来訪。
思わぬ来訪で、何かドタバタしそうな予感がする鷹町菜之葉でした。