2回目のリリカル   作:にく丸

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再会

フェイトちゃんに会いに行く途中、折角だからリニスに時の庭園を案内してもらっているよ。

ゆっくり歩きながら移動しているけれど、「久しぶりに来ましたが、何も変わってませんね」って、リニスも懐かしそう。

 

フェイトちゃんは、いつもここで暮らしているんだね。

時の庭園をじっくり見るのは初めてだし、フェイトちゃんの生まれ故郷を知ることが出来て、なんだか嬉しいかも。

 

でも、広い場所に暮らすって、私的にはなんだか落ち着かないなぁ。

「掃除するのが大変そう」とか思っちゃう私は、残念な人かも。

 

歩いている途中、遠くで2つの懐かしい魔力を感じたの。

この魔力は、アルフとフェイトちゃんだね。

 

魔力を感じるってことは、時の庭園に居るってことだよね。二人は留守にしていなくて良かった。

でも、魔力の動きが激しいから、2人で特訓しているのかな?

 

2人の魔力を感じてから、10分ぐらい歩いたところで、リニスが「フェイトはいつもここで特訓しているんですよ」って大きめの部屋に案内してくれたの。

 

リニスと二人で部屋に入ってみると、特訓はもう終わっちゃったのか、部屋の中はとても静かだったの。

フェイトちゃんは部屋の片隅で、壁にもたれ掛かりながら休んでいたよ。

 

汗も拭かずにそのまま休んでいるようだから、よほど疲れているんだね。

私達が部屋に入って来たことに、気付いていないみたいだし。

 

アルフはアルフで魔力を蓄えているのか、寝ちゃっているし。

 

それはそうとフェイトちゃん、私が知っている子供の頃のバリアジャケットを着ていないんだよね。

デザインとしては、大人になってから着ていたバリアジャケットとそっくり。

確信は持てないけれど、これは私の知っているフェイトちゃんなのかな?

 

私が色々考えている横で、フェイトちゃんの様子を見たリニスは「全くフェイトは変わりませんね」って言って、笑みを浮かべていたよ。

 

「フェイト、そんな恰好でいると風邪をひきますよ」

 

リニスの声に驚くフェイトちゃん。そして飛び起きて警戒するアルフ。

アルフはリニスの事は知らないのかな?リニスからも、アルフの事は聞かなかったし。

 

アルフと二人しかいる筈のない空間で、いきなり声が聞こえて警戒したフェイトちゃんだったけれど、リニスの姿を見た瞬間、ヘロヘロだったはずなのに、勢いよくリニスに抱き付いたの。

 

前世からのフェイトちゃんの望みが叶った瞬間。

昔を思い出す度に、「リニスも一緒に過ごせたら」って言っていたもんね。

 

「リニス、リニス」と泣き続けるフェイトちゃん。

「大きくなりましたねフェイト」と言いながら、フェイトちゃんを抱きしめるリニス。

 

微笑ましい光景であり、なんだか嫉妬しちゃうよね。

私の嫉妬はリニスに対するモノなのかな?それともフェイトちゃんに対するモノなのかな?

 

良く分からないけれど、再会できて良かったよね。

暫くして落ち着いたフェイトちゃんに、リニスが私を紹介してくれたよ。

 

リニスが「フェイト、彼が私を助けてくれた菜之葉です」って言った瞬間、フェイトちゃんの表情が変わったの。

 

ほんの僅かな変化だったけれど、伊達にフェイトちゃんを長年見ていないよ!

「菜之葉」の名前に反応していたよね?やっぱり私の知っているフェイトちゃんかも!

 

そんな私の思考を知ってか知らずか、フェイトちゃんから、「初めまして、私はフェイト・テスタロッサと言います。貴方がリニスを助けてくれたんですね。本当に有難うございます!」って言われたよ。

 

畏まってお礼を言われると、何だか歯がゆいよね。取りあえず私も自己紹介しないと。

「フェイトちゃんって呼んでいいかな?初めまして、鷹町菜之葉です。リニスと使い魔契約を結んでます」って自己紹介したら、私の名前を聞いて、フェイトちゃんは完全に動揺しているみたい。

 

ちょっと鎌をかけてみよう。

 

「フェイトちゃんって、黒いバリアジャケットを着ているけれど、黒が好きなの?僕としてはフェイトちゃんは女の子っぽいから、ピンクとか好きそうかなって思うんだけど」って訊いてみたよ。

 

唐突な質問にリニスは驚いていたけれど、フェイトちゃんは律儀に「ピ、ピンクはですね、色々あって苦手なんです・・・。バリアジャケットが黒いのは、色々考えてこれがしっくりきたというか、着慣れているというか、何と言うか」

 

あ、これは私の知っているフェイトちゃんだ。

前世でも一時期から、何でか知らないけど、急にピンクが苦手になったって言ってたし。

 

もうストレートに言ってみよう。

 

「フェイトちゃんは相変わらずだね。昔と何も変わってない。まぁそれがフェイトちゃんの良い所なんだろうけど」

 

「え~っと」と、私の急な発言に戸惑うフェイトちゃん。

「フェイトちゃんが先に死んじゃってから、ヴィヴィオも私も、皆も凄く寂しかったんだよ。でも、今は元気そうだね。また会えて嬉しいよ、フェイトちゃん」

 

私のこの言葉を聞いたフェイトちゃんは一瞬固まっちゃったけど、すぐに私の言っている言葉の意味を理解したみたい。

 

また涙ぐみながら、「なのはより、なのはより先に死んじゃって、私も自身も凄く悲しかったんだよ。でも、また、こうして会えるなんて・・・。これは夢・・・じゃないよね」って言われて抱き付かれちゃった。

 

今は性別が違うから、抱き合ってて良いものか悩ましいけど、まぁ今ぐらい良いよね?

感動の再会だし。

 

「私もまた会えて嬉しいよフェイトちゃん、私は性別が変わっちゃったけど」って言ったら、「性別が変わっても、なのははなのはだよ」って嬉しい事を言われたけれど、こっちの世界にも私(高町なのは)がいるから、複雑なシチュエーションだよね。

 

あまりよく考えていなかったけれど、こっちの世界の”私”とフェイトちゃんの関係はどうしたら良んだろう??

・・・まぁ後で考えればいいか。

 

私とフェイトちゃんのやり取りを見て、アルフは何が起きているのか分からずに唖然としているのに対して、リニスは状況を理解して見守ってくれているの。

 

さて、フェイトちゃんと何を話そうかな??

色々話したいことが山盛りで、何から話そうか迷っている鷹町菜之葉でした。


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