運動会を来週に控え、学校での練習もそろそろ佳境を迎えているよ。
あと1週間、頑張って練習しないとね。
学校から帰って、ちょっと息抜きに翠屋に遊びに行ったら、お母さん(桃子)から「菜之君、最近なのはが一人でお菓子を持って、何処か出掛けているみたいなんだけど、何か知ってる??」って訊かれたの。
最近、お父さん(士郎)とお母さん(桃子)からは、「菜之君」って呼ばれているよ。
こっちの世界の”私”と一緒にいると、紛らわしいからね。
ちなみに、お兄ちゃんからは、「なっぱ」って呼ばれてるの。
確かに「菜之葉」から「之」を削れば「なっぱ」だけど・・・。
お兄ちゃんは、身近な年下を揶揄うのが好きだからね・・・。
まぁ、それだけ私のことを、認めてくれているってことで、前向きに考えよう!
それにしても、この時期にお菓子を持って何処かに外出・・・。う~ん、八束神社にでも行っているのかな??
私も前世では、この時期にくーちゃんを餌付けしていた気がするし。
久遠、通称くーちゃん。八束神社にいる妖狐さんだよ。妖狐って言っても、凄く可愛いし、前世ではとても仲が良かったの。
昔、那美さんに名前の由来を訊いたけど「どんなに遠くに居ても、久しく幸せでいられるように」って願いを込めているんだって。
我が家にリニスがいるから、私は敢えて近づいていなかったんだけど、会えないのはちょっと名残惜しいよね。くーちゃんは猫が嫌いだから、仕方ないけど。
取りあえず、お母さん(桃子)には、心配いらない旨だけ伝えておこう。
翌日、それとなくこっちの世界の”私”に訊いてみたら、「じ、神社??そ、そんな所行ってないの。狐さんなんて知らないの」だって。
狐なんて一言も言ってないのに、凄い動揺してるの。こっちの世界の”私”も、嘘が下手だよね。
それが、こっちの世界の”私”の良いところなんだけどもね。
くーちゃんは優しいから、その内、こっちの世界の”私”とも仲良くなるよね。
私が水を差すわけにはいかないから、仲良くなったら紹介してもらおう。
前世では、くーちゃんは良く高町家に出入りしていたし、鍛錬している時にでも紹介してもらおうかな??
でも、私ってリニスの匂いが付いてそうだけど、仲良くなれるかな?
くーちゃん鼻が利くしなぁ・・・。
まぁくーちゃんは意外と鋭いし、こっちの世界の”私”と私の本質が似ているから、きっと仲良くなれるよね。
そうそう、確かくーちゃんって、大福と油揚げが好きだったよね。
流石に家から小学生が油揚げを持っていったら「変な子」だから、神社の近くで狐を見かけたんだけど、大福を嬉しそうに食べていたよ」とか、それとなく話題に出してみようかな。
くーちゃんも喜ぶし、こっちの世界の”私”もwin-winの関係になれるしね。
早く私もくーちゃんと仲良くなりたいなぁって、思っている鷹町菜之葉でした。