目が覚めたらSS501   作:にわかミリヲタ三等兵

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魚雷フィーバーします。


魚雷の威力

ーそうりゅうサイドー

長門、吹雪、響、睦月の4隻が俺の相手となる駆逐イ級を一生懸命探してくれている。まあ普通なら水上艦艇の方が敵艦探しやすいからな...

で、必死に探してもらっているところすまないが...

 

既に敵と思われるスクリュー音は探知してる。

 

俺はパッシブソナーとなっている自分の耳でこの海域にて5つのスクリュー音を捉えた。4つのスクリュー音は自分の周辺。残り1つの音は距離36000mの位置。

事前の説明で機密保持のため周辺には自分たちしか艦がいない事は確認している。一目瞭然だ。

その旨を響に伝えると何かを諦めたような顔をした後に

『目視でないと戦果が確認できないので近づくまで交戦は控えろ』と、まあこんな感じの返事を頂いた。

まあ迷い込んだ民間船とかだったら大変な事になるしな...

音紋も登録してるのは今一緒に航行してる4人分だけだし。

船の種類によってスクリュープロペラの形、プロペラの回転周期、機関の発する音は変わるものである。

たとえ全く同じ形の船だったとしてもスクリュープロペラの表面に付いた細かい傷等で船の出す「音」という物は必ず違ってくる。その音のパターンが「音紋」で、潜水艦等はこれを記録する事で、潜航中であったとしても相手の艦の種類等を特定できるものだが...生憎俺にそのデータはない。だから目視で確認するしかないのである。

さて、今のうちに潜航するか...敵艦が見えてからでは遅い。

(ベント開け)

そう念じるととみるみるうちに自分の身体が水面下に沈んでゆく...

ここからは自分の「耳」が頼りだ。

潜水艦になったせいか浮上して航行するより水の中に潜っていた方が安心できる。浮上している潜水艦ほど弱い物は他にいないだろう。潜水艦が「最強」を誇れるのは水中だけだ。

深度30mまで潜って機関を最大出力にしてしばらく進む。

「敵艦」と仮定したスクリュー音の音源まで20km、本日は晴天、大型艦から小型艦を見つけることができると言われている距離は約28km。既に長門からは敵艦が見えている頃であろう。

浮上して長門に音源の正体を確かめてもいいが、浮上中に敵襲を受けるとまずい。なので我慢してこちらから相手が見えるまで潜り続ける事にする。

またしばらく進む。

距離10000、潜望鏡から駆逐艦が見えるとされる距離から更に4km近づいた。もうくっきり見える...よな?

水面近くに浮上して潜望鏡を使い相手を確認。

...はい、イ級でした。鎮守府正面海域でキラ付けの為にさんざん沈めたイ級でした。

ちなみにこちらの世界でも、何度沈めてもまた同じような場所に現れるので、新人の艦娘の練度向上といった用途に使われるらしい。今回は兵器の性能試験に使用される。なんか扱いがかわいそうだな、イ級。

...だからといってやめはしないが。

妖精さん、深度30に潜航、合戦準備だ。

『合戦準備って...いやいいです』

...この戦闘終わったらもう少し潜水艦の勉強するんだ...何のフラグだこれ?

まあいい、魚雷発射管1番注水。

『注水完了』

外扉開け。

『...開きました。』

魚雷、1番、てぇっ!

腕に装着された艦首の発射管から89式魚雷が1本発射されて、迷いなくイ級のいる方向に向かっていった。

...目標データの入力とかあるらしいが、ミリヲタとはいえ素人なのでパス。妖精さんに任せる事にする。

しばらくすると何かが爆発する様な音が聞こえた。

お、着弾かな?

そう思ってしばし海中に耳を傾けるが、沈んだ時にでるはずの船体のひしゃげる音などが聞こえない。

まさかまだ沈んでない?

そう思い潜望鏡深度まで浮上、イ級の様子を確認してみる。

 

イ級がいない

 

あれ、この光景どっかで見たことがある...

もしかして、と思い潜望鏡で後ろにいる艦娘達の様子をみると...

長門、吹雪、睦月は何かを諦めた様な顔をしていて、

響は呆然としていた。

うん、またやらかした。発射した魚雷1本だったんだけどな...

浮上するか...メインタンク、ブロー。

海面に出て、4人に聞いてみる。

「どうだった?」

すると、いち早く再起動した長門が

「...お前は魚雷を何本発射したのだ?」

「1本だよ?」

それがどうしたの?といった感じで言ってみる。

「...キミの使う魚雷は1本で駆逐艦が吹き飛ぶ威力なのかい?」

響が「信じられない」といった様な表情で聞いてくる

やっぱり吹き飛んでたか...

「...威力の確認はできた?」

「何を言ってるんだいキミは?駆逐艦が一瞬で粉微塵に吹き飛んだらデータなんてとれる訳がないじゃないか...」

響に怒られました。だってしょうがないじゃん、1本しか使わないであの威力だったら手加減のしようがない。

「どうすればいい?」

「...このまま進撃してもっと強い敵と戦ってみるか?このままではどのぐらいの威力なのか分からんぞ?」

長門が提案する、その案賛成。

「俺はそれでいいと思う」

「はあ...それしかないだろうね...それじゃ行こうか?」

響がそう促すと、艦隊は敵の主力艦隊へ向けて進撃を開始した。俺は潜航した状態で艦隊についていった。

 

しばらく進むと複数のスクリュー音が聞こえだした。

数は3つ、内2隻は先ほど音紋登録したばかりの「イ級」のようだ、後の1隻は初めて聞く音だ。

まあ、「鎮守府正面海域」の「主力艦隊」でこの編成だから多分軽巡ホ級だよな...

近づいて確認するとまんまホ級だった。数日前まで俺は提督やってたから艦種の判別はつくな...

軽巡相手に魚雷2本はオーバーキル気味だったので使うのを1本に減らして、3隻の敵艦に向けてそれぞれ1本ずつ発射した。

その結果

駆逐イ級は吹き飛んで跡形もなくなり、軽巡ホだけが辛うじて原型を留めて沈んでいった。

威力えぐいな...




ハープーン使わずじまい...どっかで必ず使います。

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