目が覚めたらSS501   作:にわかミリヲタ三等兵

6 / 28
提督初登場です。


横須賀鎮守府

俺の索敵能力がよかったせいか、艦隊は敵に見つからずに横須賀まで後数時間、という距離まで近づいていた。

ここまで長かったなぁ...。

等と感慨に浸っていると、1つの疑問が浮上してきた。

何故たった3隻の戦力で沖ノ島海域に居たんだ?

レベリング...にしては異常だしな...長門に至っては大破して止めを刺されかけてたし。

「大破進撃」「捨て艦」といったような言葉が頭をよぎり、どうしようもなく不安になる。

もしかしてこれから行くところはブラック鎮守府?

...ははは!まさかな、いくらブラック鎮守府とはいえ戦艦を捨てるのはおかしいだろ、長門達の様子も変わっては居ないし。考え過ぎ...だよな?

「む、もうすぐ港が見えてくる頃だな」

グダグダと思考してると長門の声が聞こえた。

もうそこまで来たか...まあいい、細かいことは後だ、まずは目先の事を考えよう!

「入港して大丈夫なのか?」

まずは聞いてみる。

「うむ、一応一報入れておいたから大丈夫だと思うぞ?」

そ、そうか?ならいいか...

そうこうしているうちに横須賀港が見えてきた。

 

 

軍艦が一隻も見当たらない

横須賀って確か米軍と海上自衛隊の基地だよな?何で艦艇が居ないのかな?まあいいか?

自分達が上陸する予定の場所には数人の人がいて、手を振りながらしきりに『おーい』等と叫んでいる。

...ブラックではないのかな?少し安心。

入港してしばらく進み、海と陸の境界にあるスロープ...艦娘が出撃したり帰還するであろう場所から陸に上がると、

1人の男性(たぶん提督)が青い顔してこちらに走って来た。

「お、おい長門大丈夫か⁈」

「あ、ああ。そんなに心配しなくても...通信は入れただろう?」

「長門さん、大丈夫ですか⁈」

ついでに1人の艦娘...加賀が長門に駆け寄る。

「おお、加賀か、心配要らんぞ?」

「ふう、よかった...おい!今すぐ入渠の手配を!!!!」

提督が後ろにいる艦娘に指示を出す...ホワイト鎮守府確定。

あっという間に長門がどこかへ連れて行かれる。

「はぁ...大事に至らなくて良かった...」

安心したのか提督が溜息を吐いている。おい、俺の事放置かよ。

「あの!司令官さん!こちらが例の...」

見かねた吹雪が俺を提督に紹介する、かたじけない...

「うん?あ、ああ!連絡が来ていたから事情は知ってるぞ?うん...ふむ、君が例の新型艦かね?いきなりで申し訳ないが君には幾つか質問したい事があるのだ。ついてきて貰えないかな?」

吹雪に指摘され、今まで忘れていたかのようにオロオロした後、こっちにキリッとした無表情で有無を言わさずに「ついてこい」と言う。しまらねぇなこの提督...。

「異論は無いです」

自分も真剣な顔で答え、自分は提督の後について行く事にした。

上陸した場所から暫く進んだとこにある赤煉瓦の建物に入り、無言で提督の後について行く。

俺と提督の2人だけで建物の廊下を歩いて行く。なんで護衛が居ないんだろうな?「正体がよく分からない」艦が来たらもっと警戒していいはずなのに...

暫く廊下を進んだ2人は「提督執務室」と書かれた部屋に入ると、提督はその部屋の窓際に置かれた椅子に座った。

「君もそこに座りたまえ」

と、別に置かれた椅子を紹介されるが...

「いえ、そのままで」

艤装つけたままだし、座って自分の腰の位置にあるスクリューに傷がついたら大変な事になるし、普通のスクリューなら交換すればいい話だが...俺の「ハイスキュードペラ」はいわば一点物だ。近代潜水艦の静粛性はこのスクリューによって成り立っていると言っていいからな。

直立不動の体勢をとる。

「そうか...」

「あの、少しよろしいでしょうか?」

先程感じた疑問を聞いてみる。

「何だ?」

「どうして護衛をつけないので?私を警戒していないのですか?」

「確かに警戒はしているが、君は長門達を助けてくれただろう?敵意は無いと思う。違うか?」

なるほどね...

「いえ、違いません」

「ならいい、早速本題に入ろう、君の名前は?」

またかよ...これで名前聞かれるのは何回目だ?

「日本国海上自衛隊第1潜水隊群第5潜水隊所属のそうりゅう型潜水艦1番艦、SS501『そうりゅう』です」

艦の所属なんて記憶してないはずだが、すらすらと口から言葉が出てきた。どうしてだろうな?

「...まず結論から言わせて貰おう、この国にはもう『海上自衛隊』という組織は存在しない」

 

...へ?

 

「それは...どういうことですか?」

妖精さん、なんか分かるか?

『さあ?』

妖精さんでさえ分からないのか...

「ふむ...まず君は現在起きている状況をどこまで把握している?」

と言われても...

「いえ、何1つ」

と答えるしかないんだよな...

「君の言っている事が正しいならば...「そうりゅう」は最初の方に喪失した艦だから何も知らないのは理解は出来るが...よし、説明しよう・・・」

提督から「この世界」について説明を受けた。

整理すると

2012年までの歴史は同じだった。しかし違うのは次の年からで...

 

2013年4月 沖ノ島沖で海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」が消息を絶つ。

防衛省は事故と判断し、潜水艦救難艦「ちはや」を同海域に派遣するが、「ちはや」も連絡が途絶える。

この時点で何かが起きた事が判明、衛星で確認するも海上に何の反応も無い事から2隻が消息を絶った原因は「どこかの潜水艦の攻撃によるもの」と判断し、ヘリコプター護衛艦「ひゅうが」に護衛艦「こんごう」を随伴させ、同海域に派遣。しかし、2隻は1枚の画像を残して救難信号を発しながら海中に没した。

そこに写っていたのは「攻撃をしてくる謎の黒い人型の生物」であった。

政府は何も居ない海域から突如出現する原因を深海から出てくるのでは?と仮定、同時にまるで軍艦の様な攻撃を放つ事からこの生物を「深海棲艦」と呼称、これを脅威と判断し、直ちに防衛出動命令を発令、大量の海上自衛隊艦艇を派遣するも、ヒトとほぼ同じというこちらの攻撃が当たり辛いサイズの体から放たれる「戦艦」レベルの攻撃に歯が立たず返り討ちにされ、更にこの「深海棲艦」は世界中で存在が確認されると同時に世界のシーレーンを完全に破壊、日本の港にも現れ、在日米軍艦艇や残存自衛艦艇、民間のタンカー等を悉く沈めた。

もう駄目だと人々が諦めかけた時に、突然「妖精」という存在が現れ、放置されていた艦艇修理用の鋼材等を使い1人の「少女」を作り出すとその少女は港の近海の深海棲艦を撃破、一連の行動が終わると少女と妖精はその様子を呆然と見ていた海自の関係者にこの様な要求をした。

「『艦娘』を建造、運用出来る鋼材、ボーキサイト、弾薬、燃料、そして私達を指揮出来る人間が欲しい」




世界観を説明しました。次話に続きます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。