戦艦「長門」
艦これの提督だった時に手に入れた瞬間、「こいつはカッコカリ」と即座に決めて練度を上げるべく特別な任務以外はずっと第1艦隊に入れていた艦娘だ。カッコカリ出来ないまま自分は潜水艦になったが...。
そんな長門が今自分の目の前...5000m先にいて、沈められそうになっている。
これは助けない訳には行かないな!
ながもんを攻撃する奴は許さん!、という訳で深海棲艦を敵と認定。
敵が分かったはいいが...でもどうすりゃいいんだ?
考えながら辺りを見ると、右腕に何かがある事に気が付いた。
「これは...」
それは潜水艦(多分そうりゅう型だろう)の艦首だった。右腕の違和感はそれだったのか...厨2?
まあ、戦える事が判明したからそれで良いや。
改めてそうりゅうの非貫通型潜望鏡を覗いて深海棲艦の状況を確認してみる
敵は3隻、艦これやってたから艦種はすぐに判別できた。
戦艦 タ級 黄色のオーラだから多分フラグシップだろう
戦艦 ル級...赤色だからエリートだな
軽巡 ヘ級エリート
あとの3隻は艦娘が撃沈したのか?...敵は単横陣、勝ち誇った顔(だと思う)で艦娘の方を見てる。
味方...艦娘側も3隻
長門 大破
吹雪 恐らく小破
睦月 中破
酷いな、てか何でこんな編成でこんな艦隊と戦ってるんだよ!無茶過ぎだろ...。
仕方ない、敵が油断してる内に行動に移ろう。妖精さん、戦闘準備は?
『いつでも行けます』
よし、取り敢えず敵艦を左端から指標「イ」「ロ」「ハ」と呼称する。
『イロハ順って...だいぶ古いような...』
うるさい、二次大戦の潜水艦以外はそんなに詳しくないんだよ!
とにかく発射管1〜6番に89式魚雷装填、1、2番は指標「イ」、3、4番は「ロ」、5、6番は「ハ」に設定
『装填完了、調定も出来ました。』
いくらアクティブホーミング魚雷とはいえしっかりと狙った目標に行く様に設定しないと1隻の敵に全弾向かう、なんてのもあるかもしれないからな。
発射管1〜6番注水、外扉開け...でいいんだよな?
『注水完了、外扉開きます。』
そうすると僅かに、本当に僅かに音がして右腕に付いてる艦首の魚雷発射管の扉が開いた。
準備は全て整った。これが俺の人生初の魚雷発射だ!
「1番から6番、てぇ!!」
艦首魚雷発射管から発射された89式魚雷は探信音を放ちながら迷いなく55ノット...時速にして約102km程のスピードで深海棲艦隊へ向けて突入していった。
頼むぞ...。
『順調に向かっています』
よし、まだ着弾してないが続いて再装填、1から3番は指標「イ」、4から6番は「ロ」を目標に設定。
『装填完了』
89式の威力は高い...らしい、詳細は分からんが。似た様な物にMk48という魚雷が有るが、1発でフリゲート艦を文字通り「叩き割る」程に威力が高い。しかし、被弾しない前提で造られる「フリゲート」と、被弾に備えて分厚い装甲を貼る「戦艦」では防御力が桁違いだ。軽巡ぐらいならいいが、戦艦が魚雷2発で沈められるとは思わない。だから念のために再装填しておく。
おっと、そろそろ魚雷が敵艦に命中する様だ。
『3、2、弾着...今』
「⁈」
直後に深海棲艦が濁った水柱に包まれて見えなくなった。
「おお...」
どうやら全弾が各目標に命中してくれたらしい。水柱すげぇな...
暫くすると水柱が消えて敵艦の様子が明らかになった。
指標「イ」...タ級と指標「ロ」...ル級は傾斜してるものの戦闘可能らしい。動揺してるのか辺りを必死に見回していた。大破かな?
指標「ハ」のヘ級は...どこだ?、えっと...あ、あれか?
ヘ級のいた場所の周囲には艤装だった物の欠片が散らばっていた。撃沈。
...
なんだこの威力⁈、ヘ級なんて一撃で吹き飛んでるじゃねぇか!、戦艦も中破させられればいいぐらいに思ってたよ、89式舐めてたな...艦これの補正か?、ヘ級には1本で良かったのかな?...1発無駄にしたな...。
まあ今はいい、気を取り直して戦艦に止めを刺すぞ!
「1、4番、てぇ!」
3本ずつ発射しようと思ったがヘ級の状況を見て1本ずつにした。オーバーキルはもうしたくない...。
暫くするとまた水柱が上がり、タ級とル級は傾斜しながら徐々に海面に没していった。
「よっしゃあ!」
大成功とは言えないが何とかやったぞ!、これで大丈夫だよな?、そういえば艦娘達はどうなったかな?
そう思い艦娘の艦隊に潜望鏡を向けてみると。
艦娘達は呆然とした顔で敵艦がいた場所を見ていた。
...まあ敵艦がいきなり轟沈したらそうなるわな。
これからどうすっかな?、コンタクト取ってみるかな?
妖精さんどうする?
『単艦ではこれからどうしようもありません、接触を具申します。』
よし、分かった。深度30まで潜行、機関全速、艦娘艦隊に距離2000まで近づいてくれ。
2000mぐらいなら相手がこちらの潜望鏡を見つけられるしな。
『了解。ベント開け、機関全速』
復唱が聞こえると背中の後ろの方でスクリューが回転する音がし、自分の身体が前に進み出した。
暫くして艦隊から2000mまで近づいた俺は、妖精さんに耳で聞こえる周波数の探信音を3つほど発してくれと頼んだ。
『何でです?』
敵と誤認されたくないからだ、いきなり攻撃されたらやばいし。
『それもそうですね』
念には念を入れだ。
こうして俺は探信音(よく映画で駆逐艦が鳴らしてる音)を3つ打つと、10mまで浮上して潜望鏡で艦娘の様子を確認してから慎重に水面に出た。
次回視点変わる予定です。