目が覚めたらSS501   作:にわかミリヲタ三等兵

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10月に投稿できると言った自分を戦車で轢き潰したいです...
これでもかと学校行事が重なりまくりました。
生きてます。
これからもよろしくお願いします。


出番

「「大規模作戦?」」

「そうだ、大規模作戦だ」

...イベントですね、分かります。

「それは...今までの作戦とは何が違うんですか?」

みんなが聞きたかったことを吹雪が代表して質問してくれた。

「...よし、では順を追って説明しよう」

初めからそうしろよ。俺はともかく、いきなり『軍令部より大規模作戦が発令された』なんて言われても反応に困るぞ?

そんな視線を一身に受けたためか、提督はバツの悪そうな顔をして頭を掻いた後、事の発端から説明を始めた。

以下は自分なりに内容を砕いて整理してみた物だ。

 

どんなに沈めてもいつの間にやら海域に復活している深海棲艦。

このままではいつまでたっても元の海は取り戻せない。

そこで軍令部は考えた。

『本丸叩けばいいんじゃね?』と。

早速偵察機を飛ばしてそれらしきものを探してみたらあるわあるわ。

自分たちが建設した覚えのない前線基地やら飛行場やら...

善は急げとすぐさま手の空いていた佐世保鎮守府に見つけた前線基地のうちの一つを調査、無理のない範囲で攻撃するよう指示した。

軍令部の期待を背負った佐世保の提督は『別に攻略してしまっても構わんのだろう?』とばかりに資源吹き飛ぶ覚悟で戦艦大和、武蔵、航空母艦赤城、加賀、重巡洋艦最上、軽巡洋艦矢矧の6隻により構成される超重々艦隊を編成。自信満々で出撃させる。

しかし盛大にフラグをおっ立てた代償は重く、出撃させた艦隊は当該海域に到着するなり想像を上回る量と性能、そして見たこともない形の深海棲艦機による猛攻を受け、抵抗虚しく大破艦が続出。しかし悪夢は終わらない。

空襲の後に現れた一隻の戦艦。

黒いドレスを着込んだそいつは桁違いな攻撃力と防御力をもって艦娘艦隊を翻弄した。大和型の砲撃もあまり効果は無かったという。

1人残らず大破させられた艦娘達は、トドメを刺さんばかりに追いすがる深海棲艦隊を何とか振り切り、ほうほうの体で帰投した。

あまりにも酷い反撃にプッツン来た佐世保の提督はこれでもかと言わんばかりに敵に一矢報いるべく艦隊を海域へ派遣しまくったのだが...

戦果はもちろんゼロ。

艦娘こそ失わなかったものの、大量の資源だけが消えるという最悪の結果に終わった。

横須賀や呉には及ばぬとはいえ佐世保鎮守府の戦力や練度は他に引けを取らない。

『まあ大丈夫だろう』と高を括っていたところへ飛び込んで来た大敗北の報に軍令部は大騒ぎとなった。

どうすりゃいいんだと。

しかし上層部たるものいつまでも慌てているというわけにもいかない。

資源不足に陥った佐世保の支援をしながら徐々に冷静さを取り戻した軍令部はこの無理ゲー状態を何とかすべく検証を開始した。

 

どうやったら攻略出来る?

 

敵の出撃パターンに何か決まりは無いのか?

 

いきなり現れた黒ドレスは何者だ?

 

大量の資源の支援を約束して、渋々納得させた舞鶴鎮守府をこの検証作業に当たらせることになった。

ある時は資源消費の少ない低火力艦隊を編成し、どうすればこの無理ゲー状態を解消出来るかを調べたり、

またある時は潜水艦を使って敵地へ侵入し、通信を傍受、今回現れた『謎の深海棲艦』の情報を収集しようとしたり。

大破撤退を繰り返し、艦隊も、資源も、提督の胃も例外なくボロボロになりながらそれでも粘り強く検証を続けた舞鶴鎮守府のおかげで、新たな深海棲艦についての情報と、敵に存在するいくつかの法則を発見することができた。

1つ目は敵の名称について。

深海側の通信を傍受したところ、暗号まではさすがに解読できなかったものの、平文の中に『姫様』という単語がいくつか散見され、実際に黒ゴスが通信通りの行動をとっている事により、敵の上位種が姫と呼ばれていることが判明。軍令部はこの報告を元に、新たに見つかった深海棲艦を『姫型』と呼称。また、艤装の特徴や出現した場所によって個々の命名をする事にした。

...ちなみに例の黒ゴス戦艦は『戦艦棲姫』となったそうだ。

...うん、知ってた。

それは置いといて2つ目にわかった事。

それは敵の出現法則だ。

どういう訳だか知らないが複数の目標を同時多発的に攻撃すれば敵の姫型のいくつか、前述の戦艦棲姫等は出現しないという事が分かった。戦力を分散させるのはあまり得策とは言えず、1つの攻略目標に集中するのが普通だが、今回の作戦に関してはその方が楽という事だ。

そんな訳でだいぶ攻略の目処が立った。しかし、その頃すでに舞鶴は満身創痍。

そこで今度は呉と横須賀に攻略を、佐世保と舞鶴は無理のない範囲で通常通りの海域の監視、掃討を指示した。

 

...なんというか...佐世保と舞鶴お疲れ様です...

「...とまあこのような経緯で我が鎮守府が作戦を担当する事になったのだが...」

と、ここまで澱みなく説明をしていた提督の声がピタリと止んだ。

ここまで一字一句逃すまいとやる気に満ちた表情で話を聞いていた艦娘達は急に口を閉じた提督に戸惑っていた。

提督は依然説明を再開せず、ある一点をじいっと見つめていた。

何だ何だ?何があった?

艦娘達は戸惑った表情で周囲を見渡している。

「...ふぁぁ...むにゃ...」

一部を除いて。

「おい加古ぉ!寝るなぁ!!!!」

「...んぁ?」

「あはは〜そう怒るなって提と...あるぇ〜?提督がふたーりぃ〜」

「朝から飲むな隼鷹ぉ!!!!」

この鎮守府に大作戦を前にした緊張というものは存在しないらしい。

周囲に爆笑の渦が巻き起こった。

どんな真面目シーンであろうともマイペースをスロットル全開で突っ走る天然系キャラ達には通用しなかったらしい。

その後も夜間出撃で眠い、古鷹から聞くから寝させろとごねる加古に、ある艦娘が便乗、引きこもる等と言い出し、それに突っ込む提督と朝が弱い組、夜間出撃組が加わった天然連合のボケ突っ込み合戦が激化。事態が沈静化するまでに暫くの時間を要した。

その間俺も含めた他艦娘達の腹筋は崩壊寸前の状態になっていたりする。

「はぁ...話を戻すぞ」

話が元に戻る頃には提督が一生懸命作り上げた真面目な雰囲気はすっかりなくなっていた。

ご苦労様です、提督...

「...話は以上だ。これより出撃するメンバーを発表する」

再び周囲がざわつき始め、いつの間に抜け出していたのか大きめの紙筒を抱えた響がドアを開けて入って来た。

おぉ、秘書艦仕事してる。

目の前、黒板に貼り出された名簿を艦娘(一部艦息含む)全員で覗き込む。

 

 

出撃名簿

 

道中支援対潜作戦任務部隊

担当横須賀鎮守府

戦艦 日向

軽空母 隼鷹

軽巡 五十鈴

駆逐 綾波 響 叢雲

 

インドネシア及ビポートダーウィン派遣艦隊

スラバヤ方面

 

主攻略呉鎮守府

スラバヤ方面攻略任務部隊

軽空母 飛鷹

重巡 筑摩 利根

軽巡 矢矧 能代 酒匂

支援横須賀鎮守府

同作戦支援部隊

軽巡 龍田 木曽 由良

駆逐 朧 満潮 霰

 

バタビヤ方面

 

主攻略呉鎮守府

バタビヤ方面攻略任務部隊

戦艦 山城

重巡 足柄 妙高

軽巡 天龍

駆逐 曙 霞

支援横須賀鎮守府

同先遣偵察部隊

潜水艦 伊号58潜 伊号19潜

 

ポートダーウィン方面

 

主攻略横須賀鎮守府

ポートダーウィン基地攻略任務部隊

戦艦 長門 陸奥

空母 赤城 加賀 飛龍 蒼龍

支援呉鎮守府

同道中支援部隊

重巡 摩耶 鳥海

軽巡 大井 北上

駆逐 時雨 白露

 

ウェーク島派遣艦隊

 

横須賀鎮守府

先遣

潜水艦 そうりゅう

道中攻略部隊

第一艦隊

軽巡 川内 神通 那珂

駆逐 吹雪 睦月 夕立

第二艦隊

軽巡 球磨 多摩 夕張

駆逐 如月 望月 弥生

呉鎮守府

砲撃部隊

戦艦 金剛 榛名 比叡 霧島

補給

潜水母艦 大鯨

 

 

「作戦ごとの詳しい説明は各部隊ごとに呼び出して行うこととする。以上、解散」

 

 

......先遣...俺?

...キタァァァアアアア!!!!

やっと海に出れるぞ!出撃していく艦娘達を見送るだけの日々からやっと解放された!

ここ最近ずっと出撃しないで資料読み漁ってたから凄く気まずかった...ってこれ引きニート?...いや、働く意欲あるから大丈夫だ!多分...

と、とにかく海に出れるんだ!戦果がっつり上げてやる。

 

ふと、出撃ってだけでこんなテンション上がるとかどこのバトルジャンキーだよと思い、一旦冷静になって改めて眼前の名簿をよく見てみる。

 

...はて、この編成どこかで...

W島だろ?で...如月...

 

「...あ」

先程まで考えなしに喜んでいた自分を殴りたくなった。

数メートル後ろで川内が『夜戦のチャンス!!!!』と騒ぎ始め、58が俺の肩に手を置いて『おめでとうそうりゅう!戦果期待してるでち!』と祝ってくれているが、それどころではなかった。

この編成はやばい...

 




次回やっと海に出ます。

「本営」を「軍令部」に変更しました。

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