2〜3日間隔で投稿出来るように頑張ります。
ー提督サイドー
俺の名前は太田広義だ。この横須賀鎮守府で提督をやらせてもらっている。元は海上自衛隊の音響測定艦の艦長だったんだが、先の海戦で沢山の艦(フネ)と人材を失った上層部が生き残りの俺を横須賀の提督に据えたんだ。まあ所属してた艦も停泊してた時に深海棲艦にやられたから異論は無いし、現在の仕事にやりがいを感じている自分もいる。
さて、数日前より我が鎮守府に妙な艦娘(?)がいる。
敵中核艦隊の哨戒区に迷い込んでしまった長門を中心とする艦隊を単艦で救出したそいつの名前は...
『SS501 そうりゅう』
初めてその名を聞いた時耳を疑った...今まで存在が確認された「艦娘」は全て第二次世界大戦中の軍艦が元になっている。だがこいつはその時代から約60年後に登場するはずの艦だ。ありえない、と思った。しかし本人の話や長門たちの報告を聞いてみるとどうやら本当の話らしい。放った、たった2発の魚雷を正確に命中させ、軽巡を跡形もなく粉微塵に吹き飛ばすことなど太平洋戦争中の潜水艦に出来る事ではない。
本当にとんでもない艦が鎮守府に来たものだな...
このことはすぐに海軍軍令部に報告しなければならない。そしてそのためには「そうりゅう」を調査して少しでも情報を集める必要がある。
そこで急遽「そうりゅう」の性能試験を行った。
先程試験が終了し、艦隊が帰投したと連絡が入ってきたからもう少しで試験に立ち会っていた秘書艦である「響」が報告書を纏めて持ってくるだろう。
執務室にて書類作業をしていると、ドアをノックする音がした。
『響だよ...』
お、来たようだな...
「おう、入っていいぞ」
ドアが開き、響が執務室に入ってくる。そして俺の机の前で立ち止まると、数枚の紙に纏められ、ホチキスで留めてある書類を俺に手渡した。
「おう、ご苦労、どこかの椅子に座っててもいいぞ?」
「そうさせてもらうよ」
そう言って響は遠慮なく応接用のソファに腰掛ける。
そうして俺は『新型艦ノ性能ニ関スル報告』と書かれた書類を読み始める。
まず最初に書かれていたのは「そうりゅう」の速力だ。
速力 水上13kt
うん、水上速力は「艦」だった頃と同じだな。そう思い水中速力の欄に目を落とす。
水中 不明
本人曰ク20kt
...うん?なんだこれ?
疑問に思い響に尋ねる。
「なあ響」
「どうしたんだい提督?」
「水中速力のところの『不明』って...」
すると響は疲れたような表情で
「見たまんまだよ...」
と言った。
...なんだ?どうしたんだ?
「なんかあったのか?」
「水上速力まではよかったさ...測定する対象が見えてたからね。問題は水中だよ、探信音波をどれだけ放っても反応は無い、水中聴音機でも聞こえるのは水の流れるような雑音だけ、「消えた」っていう感じかな?そんな感じで必死に探してると遠くの方に「そうりゅう」が浮上してさ、なんでも20ktは出してたと言うじゃないか...そんなに速度を出してたのに「音」すら聞こえないなんて...訳が分からないよ...」
なんと言ったらいいか...ものすごい静粛性だな、海自の間でも「静かだ」と話題になっていたが...まさかここまでとは...
「そ、そうか...大変だったな...」
響をねぎらいつつ報告書を読み進める。
『交戦ノ状況』
魚雷合計4発発射
戦果
駆逐イ級3隻粉砕
軽巡ホ級1隻撃沈
尚コノ戦果ハ『新型艦』単艦ニヨルモノデアル
「粉砕」か...ずいぶん凄い表現だな、どうも小型艦では相手にならないらしいな。しかしソーナーにも引っかからなくて魚雷の威力はこれか...かなり使えそうだな、「そうりゅう」は...
そう思いながら報告書を読んでいると、執務室のドアが再びノックされた。
誰だ?
『大淀です...』
「おう、入れ」
ドアを開けて入ってきた大淀の顔は少し青ざめていた。
何があった⁈
「提督、例の『新型艦』の補給が完了しました」
「お、おう、そうか」
なんだ、補給の報告か...しかしなんで顔色が悪いんだ?
大淀から渡された紙を読む。
『補給完了報告』
「新型艦」ニ対シ2戦分ノ消耗資材ヲ補給
ああ、確かにここに来る前に1回戦ってたな...それで合計2回分か。
燃料 20
尚コレニ関シテハ食事トシテ支給
一回の出撃で約10消費。少ないな...さすが潜水艦といったところか。さて、次は...
弾薬 1200
......。
「なんだこりゃぁぁあぁあああ!!!!」
はあ⁈1200⁈なんかの間違いだろこれ⁈え、何?一回の出撃で約600?大和が全力出しても325だぞ⁈
「大淀、何かの間違いだよなこれ⁈」
「私も初めはそう思いましたが、何度確認してもその数字なんです...」
「まじかよ⁈」
大型艦を建造できるぞこれ⁈本当にこの潜水艦どこに配属させればいいんだよ...普通に艦隊に組み込んでは割に合わないぞ...
これが全力消費ならまだいいが、たしか「そうりゅう」はハープーンとかも装備してたよな?それらは1発も使ってないらしいし、おそらく魚雷にもまだ余裕があるんだろうな...全力消費したらどうなるんだこれ?考えるのも恐ろしい...。
いっそのこと艦隊には入れずに単艦で行動してもらおうかな?うん、もうそれでいこう。
さて、だいぶ資料揃ったな。そろそろ海自...海軍軍令部へ報告に行くか。
手に入れた情報をまとめて、俺は響とともに軍令部へ出向き。会議にて「そうりゅう」のことを明かした。
最強とも言える潜水艦が出現した事実は、その場にいた全員に驚愕を持って迎えられた。
会議に出席していた各地の提督達は「ぜひその艦を我が鎮守府に!」等と言ってきたが、「そうりゅう」の消費する資材の量が分かると、顔を引きつらせ、苦笑しながら引き下がった。
最終的に「そうりゅう」の扱いに困った軍令部総長が1番資材の配給量が多く、ドロップ艦だったということもあり、半ば押し付ける形で「そうりゅう」の我が横須賀鎮守府への配属を決定した。
因みに魚雷1発100の計算ですw
チートなのでこれぐらいの制限はつけないと。
ハープーンもだいたい同じぐらいにしたいと思います。