東方無集録   作:生きる死神

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はいども、新年明けましておめでとうございます。
今年は完結出来たらいいなぁ。

真也「あけおめー」

こいし「ことよろー」

相変わらず息ぴったりだね。
新年明けながら、最後の日常編でっす。

それでは
「「「スタート」」」


番外編!新年一発目!あけおめことよろ!

 

 

 

 

もうすぐ新年になる大晦日の12月31日。時刻は日付の変わる30分前。年越しそばを皆で食べた真也とこいしは初詣に行くために外に出ていた。さとりたちも一緒だ。

目指す先は博麗神社。出店などもでているらしく、巫女が忙しくしているのが目に浮かんだ。

まだ時間があるので、ゆっくり歩きながら向かっていた。わいわいと話ながら、真也は1年を振り返っていた。

来た当初はよくわからず、適当にふらついて今住んでいる地霊殿にたどり着いた。勝手に中に入って人探しをしていたらこいしに出会い、そのまま仲良くなった。

異変が起き、彼女を好きだと気付いて、同じ想いだったのを知って、嬉しかったのは今となっては懐かしい。

それから2人でいろんなところに行き、知り合いを増やし、仲良くなり、2人の仲もさらに深まった。

夜桜を見た日や、夏祭りの日、最近ではクリスマスの日は特に思い出に強く残っている。

初めてあったときは今ではある4つのものが無く、彼女も心を閉ざしていた。しかし今は、開き楽しそうに笑っている。楽しいことばかりではなかったが、こうして笑顔が見れているのが本当に幸せで、とても嬉しかった。

思考の海に1人入っている真也に気づいたこいしが声をかける。

 

こいし「考え事?」

 

真也「んー、1年を振り返ってだけー。いろんなことがあったなーって思ってねー」

 

こいし「ふふ、そうだね。心も懐かしいことが読めるよ」

 

4人の話の輪から抜けて、左隣で下から見上げる彼女。内心で可愛いと思いつつ返し、お互い懐かしげに過去を思い返す。

1人で考えてたことは、2人になって会話になった。お互いが会ってから感じたことや思い出を話し、その時を思い出してはまた思ったことを話した。

ゆっくり歩いていたはずだが、日が変わる前に神社に着いた。境内は人や妖怪でごった返しており、下手にはいればはぐれてしまいそう。5人で固まって賽銭箱を目指して歩みを進める。

道中知り合いもおり、軽く声をかけて挨拶もして、出店も見ながら歩くこと十数分。

本殿につく少し前に日付が変わる。どこかで歓声が聞こえたが、なにか催しでもやっているのだろう。

 

真也「あけましておめでとー。これからもよろしくねー」

 

こいし「ふふっ、こちらこそ。よろしくね?」

 

お互いに新年の挨拶を済まし、本殿に着く。いつもよりは人がおり、この様子は巫女もほくほく顔だろうなと思い浮かべた。

小銭を投げ入れ軽く手をたたき、合わせる。今年も良い年になるように願い、その場を後にする。

 

真也「これからどうするー?僕らは初日の出見たいから残るけどー」

 

さとり「私たちは帰るわ。明日もやることがあるし、これからも見る機会はあるから」

 

道から少し外れたところでこの後の予定を話す。真也とこいしは初日の出を見るために地上に残り、さとりたちは仕事のため戻ることになった。

手を振って別れると、2人は何をしようかと考えていた。

すると、

 

霊夢「あら、真也とこいしじゃない。なにしてんの」

 

何故か酒瓶を持った霊夢が現れた。特になにをしていたわけでもないので、そのまま何もしていないと答えるとちょっと来なさいと連れて行かれる。

ついて行った先は、神社裏。春なら桜の美しい場所だが、今は冬なので寒々しい枝の木しかない。

しかし、そんな場所で行われていたのは宴会だった。メンバーは見覚えのあるような者ばかりで、出店の通りで会った者もいた。

 

真也「これはなにしてるのー?」

 

霊夢「年越し前から飲み明かしてんのよ。新年もまた仲良く飲めるように、だったかしら。妖怪の集まる神社ってなにごとよもう」

 

わいわいしながら酒を飲んで雑談で盛り上がっていた。かなりの量の瓶が転がっており、全員相当飲んでいるのがわかる。霊夢が持っていたものも気付けばどこかに消えていた。

呆れ顔で手から消えた瓶と、来年も変わらぬこの光景を思っていたようだが、根は優しいのだろう、すぐに平然とした顔に戻った。

そんな彼女をおいておき、適当に見回しているとフランの姿が見えた。2人は霊夢に一言移動することを告げ彼女のところに移動した。

 

フラン「ふふ~ん♪あ、こいしと真也だ!2人も来たんだね!」

 

こいし「霊夢に会ったら連れてきてくれたの!」

 

会って早々会話の盛り上がる2人に対して、真也はその周りにいるその姉やらメイドやらと、目だけだが火花が飛び散るような戦いをしていた。誰も何も言っていないが、その視線のみで会話しているようだった。

 

真也「(面倒だなー)」

 

強い視線を投げかけつつ、頭の中に面倒という単語が浮かんてきてすぐに別の場所に目を移す。ちょうどその先にはこころとぬえたちがいた。

会話に盛り上がっているこいしに声をかけるのもあれだったので、何も言わずに場所を移動した。

 

こころ「お、真也だ」

 

ぬえ「やっほー」

 

真也「ちょーど見えたから来てみたー」

 

2人が手を振ってきたので軽く振り替えしつつ近付く。戒律の厳しいらしい聖の元だから酒も飲んでいないだろうと思っていた真也だが、聖は別の場所にいるらしく、自由に酒を飲んでいた。

 

ぬえ「いやー、やっぱ宴会は酒がないとね!」

 

真也「わかるー」

 

こころ「つまみも欲しい」

 

適当な器を借りて真也も酒を飲み始めた。ここでも去年を思い返しつつ雑談に花を咲かせ、日の出までの時間を潰すことにした。

そんなこんなで時間は日の出前。大半の者が眠そうな顔で、瞼を擦っている者もいる中、真也は元気に酔っぱらっていた。

 

真也「んー、もっと酒ちょーだーいー」

 

ぬえ「もうないってばー……」

 

こころ「飲み過ぎ……」

 

酔いどれ真也の応対にそろそろ疲れてきた2人。そこに助っ人が現れる。

 

こいし「あれ、真也が酔っぱらってる」

 

ぬえ「ちょうどいい時に来た!」

 

こころ「真也をどうにかして」

 

ちょっと頬の赤いこいしがふらりと歩いてきた。酒を飲んだのだろうと容易に分かる。彼女が来たことに気付いた真也はすぐに飛びつく。文字通りに、だ。

 

真也「こいしー」

 

こいし「わっ!ちょ、危ないって。それに周りに人いるから!」

 

真也「僕しーらなーい」

 

こいし「あーもう!ほら、ちゃんと立って!」

 

飛びついてきた彼をしっかり受け止める辺り、こんなことがあったのだろう、とぬえとこころは思った。ふにゃふにゃになっている真也を立たせると、2人に声をかける。

 

こいし「ごめんね?ちょっと酔いが醒めるまで別のところに行くよ」

 

ぬえ「いーよいーよ、そのまま2人で楽しんできなよ」

 

こころ「これが楽しそうってことなのか」

 

肩を貸して軽く甘えてくる真也を上手くいなしつつ、2人からの茶化しに何も言わずにその場を後にする。移動した先は神社横の森の中。気にもたれ掛からせ、一息つく。

 

こいし「よいしょ、っと。宴会の度毎回酔ってるの気のせいかな」

 

過去にもあった宴会を思い出し、毎度酔われて甘えられていることに気付く。が、時すでに遅し。木にもたれ掛かっていたはずの真也が音もなくこいしに抱きついた。

 

こいし「ふえっ!?」

 

真也「んー、こいし暖かい。あー、そろそろ初日の出の時間だねー」

 

驚く彼女を気にすることなく呑気な顔して話す。すぐに呆れた顔になったこいしだが、この後の展開を読むことは出来なかった。

それは……、

 

真也「それじゃー、場所いどー」

 

足下に不思議な空間が出来ると言うこと。そして、重力に従って落ちるのだった。

 

こいし「きゃあああ!?」

 

いきなりのことに悲鳴を上げ、目をつぶってしまったこいしだが、ふわりとした浮遊感とともに、誰かに体を持ち上げられていることに気付く。

恐る恐る瞼を開くと、そこに広がっていたのは新年初の日を受けて明るくなってきた美しい青空。照らされた雲は白を輝くように見せる。そして、真正面に映る愛しい彼。にこりと笑ってごめんねと謝ってきた。

 

真也「酔いはさっき無くしたんだけどー、驚かせたかったんだー」

 

こいし「う、うん。え、でも私飛んでな……!」

 

ふと気付いた飛んでもいないのに体の浮いているような感じ。少し首を回すと横に彼の体があったことで今の状況に気付いた。

そう、お姫様だっこされていたのだ。

気付いてしまったことで、顔を赤くして少し暴れてしまう。しかし、それが逆効果になりさらに強く抱きしめられるような形になってしまう。

 

こいし「え、あ……うぅ」

 

真也「危ないよー。すぐに飛べばなんとかなるけど落ちちゃうよー」

 

そうしていることに特には意味はなく、飛べばいいだけなのだが、真也が離す様子が無くその上こいしがあわあわと思考が停止してしまった。

そうこうしている間に、新年に迎えられた太陽が姿を見せた。今年も変わらず幻想郷を照らしてくれるだろう。

 

真也「ほら、見えたよ。初日の出」

 

こいし「え、あ、うん。綺麗……」

 

促されてようやく再起動を果たす。遮るものもなく、その姿を優々と見せるその美しさに感動するこいし。

新年明けから真也に振り回されている彼女だが、それでも彼とまた新しい1年を過ごせることを感謝していた。

彼も両手にかかる愛しい重さをしっかりと感じつつ、去年以上に彼女を想い愛すと決心した。

その心も読んでしかしなにも言わず優しい笑みを浮かべる彼女に、照れたような顔で笑いかける。

2人の仲は新年になってさらに深くなるだろう。そこに立ちはだかる苦難さえ乗り越えてくれるはずだ。

新年に祝福された少年少女はしばしその姿を目に焼き付け、それから家に帰っていった。

 

 




どーでしたかね。
これにてこの日常章は終了です。
6ヶ月もここだけでかかっていることに正直目を背けそうですが、ラスト突っ走ります。

さて、次章から最終章ですが、みなさん砂糖はしっかり貯まっているかな?
しばらくは砂糖とは無縁の話になります。足りなかったらどこか見返そうね!(露骨なステマ)

最終章、2人を襲う苦難、そして……。

それでは次回まで
「ばいばーい」

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