真也「今回は看病回ー?」
こいし「私、恥ずかしいよぉ」
(やべえ、可愛い)
はい、今回の回は久しぶりのいちゃいちゃ、なんてことは無く、わりと真面目な話ですね
真也「その割にはほのぼのもあるよねー」
こいし「ほんと好きだねー」
別にいいじゃないかぁ!
それでは
「「「スタート」」」
お疲れ様
物失騒動の日から2日後
未だに真也は部屋で寝ていた
こいし「うーん、まだ寝てるなぁ。いつもならもう起きても良い頃なんだけどなぁ」
なかなか起きない真也を心配するこいしは、真也の寝るベッドの脇に椅子を置いて座っていた
そして、その心配は行動に表れており、こいしは眠る真也の手を左手で握っていた
チク
タク
部屋には時を刻む音が小さく響き、部屋からは寝息と、寝息をたてる少年を心配する少女の吐息しか聞こえなかった
話す相手もいないので、部屋は静まり返り、ただただ時間だけが過ぎていく
そんな中、こいしは唐突にしゃべり始める
こいし「……私は、真也に傷ついて欲しくないのになぁ。どうして私はすぐに傷ついて、泣いちゃうんだろう。今回の事も、私がもっと落ち着いていたら真也があんなに怒ることもなかったし、すぐに収まったのに」
自分のなってほしくないことにばかり、自分のせいで向かって行ってしまったあの時のことをこいしは思い出し、また目元が熱くなる
こいし「真也は私のことをいつも必ず守ってくれるけど、じゃあ真也のことは誰が守るの?真也を守りたいと思ってるのは、私だけなのかな。それに思ってるだけじゃあ、駄目だよね。行動に移さなきゃ、思うだけなら誰にでも出来るしなにも変わらないよね」
未だ起きぬ少年を、愛おしそうに、それでいて悲しそうに顔を撫で、そして行動を起こせない自分を悔いるように、撫でた手を膝元で強く握る
こいし「……私は、真也のためなら動けるって、自信はあるのに。それなのに、いざっていう時に私の体は動いてくれない。なんで?まだ誰かを完全に信じることに躊躇してるの?それとも、私が傷付いてさらに事が悪化してしまうのを知らないうちに考えて、怯えているの?私はいったいどうしたいの?」
強く握った手から力を抜き、力無く自身の膝に落とした。こいしは自嘲気味に笑みを浮かべながら、落とした手の平を見ながら、何がしたいのかも分からない自分の心の内にその手の平に熱いものが落ちた
こいし「私はそれなりには、弾幕ごっこなら、強いって思ってる。だけど、それでも真也には適わない。でも、力が無いからって、それで真也を助けられないって誰が決めたの?そんなことで諦めてちゃ、真也に笑われちゃうよ。真也のことは、私が守るって、決めたんだから……!」
自問自答で自身の力のなさを痛感しつつも、その答えに真っ向から反対する。目からはまだ熱いものが落ちてくるが、こいしはそんなことを気にしていなかった
こいし「私が真也を守るって、そう、決めたんだから。絶対に、大事な人を失いたくないから。今度は真也を助けてみせるから。お願い、目を覚ましてよ……!」
起きてくれなきゃ、自分がいくら決意しようと独りよがりで終わってしまう。こいしはそう思いつつ、目の前の少年が起きることを願う
その願いは
叶う
握っている手を握り返される
こいし「真也?」
すぐに気づいたこいしは声をかける
真也「うぅん……、まだ体が重いなぁ。あ、こいし、おはよ。もしかしてまたずっとここにいたの?」
未だ重い体を起こしつつ、側にいるこいしに声をかけた真也
泣いていたことを悟られないように、こいしは少し目元を拭ってから
こいし「うん。真也がこうやって寝てるときはいつものことでしょ?」
実際、こいしの言うとおり、真也が疲れすぎで眠るたびにこいしは真也の部屋で真也の看病をしていた
それは真也の体調が気になるのもあるが、一番は真也が二度と起きないのではという、こいしの一抹の不安からでもある
今のところ、それが当たってしまったことは無いがいつか本当のことになってしまいそうで、こいしはただ怖かった
それでも真也の前では出来るだけ明るく振る舞うために、いつもそれを閉じた心に封じ込めていた
……実際は、真也が起きてくれた喜びに忘れていることもあるのだが
こいし「ていうかさぁ、またなんて言わないでよ。いっつも心配してるんだからね?」
自身の厚意を無碍にされているように感じ、こいしは指呼し頬を膨らませる
真也「あ、いやね?僕のことを心配してくれるのは嬉しいけど、こいしも自分のことを考えて欲しいなって。僕のことなんか放って置いて……「ねぇ。それ本気で言ってるの?」……ごめん。言っちゃ駄目だったね」
少し苦笑を浮かべつつ話していた真也だが自分のことを蔑ろに言った瞬間、こいしに遮られ真意を迫られる
こいし「……私はさ。真也に自分のことをどうでもいいようになんて考えて欲しくないの。いつも言ってるよね?真也が傷つくのは見たくないって。私は真也が大好きだから、そんなこと言って欲しくないの。……お願いだからさ、もっと自分のことを労ってよ……」
その目に宿すは悲しみ、しかしどこかに怒りも含ませて真也を射抜く。声も、心なしかいつもより低く真也にはそれだけで無い心が締め付けられるような、胸にどんと衝撃が響くように思えた
真也「ほんとにごめん。こいしのことを何も考えずに言っちゃったね。僕は大丈夫だから、ちゃんとこいしとの約束を守るから」
こいし「むしろ私のことしか考えてないから、真也は自分のことを考えてないんでしょ?」
真也「あ、あはは……」
こいしの想いに応えるように真也は真面目に答えたが、こいしに痛いところをつかれて苦笑いしか出来なかった
こいし「もう……ちゃんと自分のことも考えてよね?私のことを考えてくれるのは……嬉しいけどさ」
少し頬を膨らませながら言ったこいしだが、最後は顔を赤くしつつ声が小さくなった
それでも真也には聞こえていたので
真也「うん。分かってる。こいしが僕のことをよく考えてくれてるのもね?」
本当に嬉しそうに、表情にも一遍の悲しみもなく目にも悲しみの色はまったく無かった
その様子にこいしはまた赤面するが、それでも同じように嬉しいのは確かだった
真也「ところでさ?こいし、僕が寝てる間に泣いたよね?」
こいし「……っ!」
先程まで嬉しそうに笑っていた真也は、こいしの隠そうとした涙に気がついていた
バレないと思っていて、完全に意表をつかれたこいしは激しく動揺するがなんとかそれが真也にバレないように自分を落ち着かせ
こいし「……うん。真也のことが心配で……ね?」
否定せずに真実を話した。しかし深いところはなにも言わずに。一番上に当たる部分のみを簡潔に伝えた
真也「……そっか。ありがと。こいしがなにで泣いてるのか気になっただけだから。気にしなくていいよ?……少し目元が赤いけど、可愛いのは変わらないなぁ」
疑うそぶりもなく真也はこいしの言葉を信じ、少し苦笑いをしながら話を終わらせる。最後にこいしが赤面するような言葉を付け足して
もちろん、それが聞こえているわけで、こいしは激しく赤面しつつ真也に笑顔を向ける
それは大好きなものといれる安堵感、自分のことを一途に考えてくれる嬉しさ、それに自分が抱いた一抹の不安への反省の意を込めたものを
真也「うん、やっぱりこいしは可愛い。あー、まだ疲れが抜けてないみたいだから、もう少し寝ようかなー。たぶんね、僕は無くしたものを取り戻す度に能力の反動が大きくなってると思うんだ。だから、ちゃんと起きるのは明日になると思う。それまで僕の部屋にいるの?」
最初にまたこいしを赤面させるようなことを口に出しつつ、いつもより寝ているのが長い原因をこいしに伝える真也。最後にこいしへの質問を投げかけつつこいしを見つめる
もちろん、こいしは最初の言葉で顔は赤くなっていたが、能力の反動を聞いてどことなく安心したようにも見える
そして、真也の質問に対しての返答は……
真也「こいし?どうするの……って、あーうん、そんな気はしてたよー」
こいし「えへへ♪」
自身も真也のベッドに潜り込み寝ている真也に抱きつくことで答えた
なんとなく予想していた真也は、嬉しそうに笑みを浮かべ抱きついているこいしの頭から帽子を取って椅子に置くと、頭を撫でる
真也「うーん、もう少しこいしを撫でていたいけどそろそろ限界みたいだからー。おやすみ、こいし。また明日ね」
そう言うと真也はゆっくりと体を倒して横になり、また寝息をたて始める
その様子をにこにこと笑いながら見ていたこいしは、なぜか満足げに真也に抱きついてから
こいし「明日も一緒にいれるのが嬉しいよ……おやすみ、真也。お疲れ様」
最後の言葉は無意識に、でも本心から言ってこいしも眠りに落ちた
こいしの第三の目は、物失騒動でまた閉じてしまったがこの日からまた少し開くようになったとか
そして、翌朝様子を見に来たさとりは2人がお互いを抱き合いながら寝ているのを見て安心してそっとドアを閉じたとか
はい、幸せな夢見てそうでした
真也「こいしは暖かいー」
こいし「真也もだよ?」
(うわぁ、ただでさえ暑いのにまた熱くなった)
さて、次回はコラボを含めた日常です
真也「今回はいっぱいコラボの希望が来てたみたいだからー作者も張り切ってるよー」
こいし「まあ、書くのは遅めだけどね」
なんですかこの上げてから落とすのは
まあ、いろんな人から来てるから頑張りますよ!
あ、募集はまだまだしてますので、今回のコラボは特殊なので気になった方はどうぞ!
では次回まで
「「「ばいばーい」」」