真也「また空いたねー」
こいし「もう慣れたよ」
すいません、久しぶりにやったゲームが楽しくてつい…
真也「終わらないよー?」
こいし「終わるのいつになるんだろうね」
はい頑張ります
では
「「「スタート」」」
(今回から前回話に出た「先頭の鬼」を「先鬼」、「隣にいる鬼」を「子鬼」と表記します。一々先頭だとか隣だとか会話文の前につけるとそれだけで長くなってしまうからです。名前の理由は特にないので気にしないでください)
先鬼が言い放った一言で隣の子鬼や周りにいる妖怪も同じように真也に罵詈雑言の嵐を浴びせ始めた
ヤマメとキスメはさすがに言い過ぎだと感じ止めようと声を出したが、いくら2人で声を出しても多勢に無勢には勝てずかき消されてしまう
その最中にいる真也は、いや真也とこいしは
真也「……………………」
こいし「……なんでよ、能力1つで決めつけるなんてないよ……そんなの……あんまりだよ……」
周りが熱を帯びていく中、反比例するかのように凍りついていた
どんどん熱くなる周りの空気に対して、どんどん凍りつく2人の空気
こいしは真也にかけられる罵詈雑言の嵐にひどく心を痛めていた
こいし「(まだ完全に決まった訳じゃないのに、決めつけて、そうやって真也を1人にする。何も分かってないよ。真也がそんなことをするはず無いって私が一番知ってる。絶対に違うのに!なんで皆真也を責めるの……)」
少し開いていたはずの心の瞳は大好きな者が周りから責められることに耐えられず、また少しと閉じていく
それに気付いている真也は
真也「(結局、こうなるんだ。能力1つで悪人に仕立てて、そうやってまた1人にするんだ。勝手に決めつけちゃってさ。別に僕はもう慣れてるから、どうってことはないよ。でもね、僕が責められてることで悲しむ人がいるんだから。こいしだけ……いや、もしかしたらフランや天子、ぬえとかも悲しんでくれるかもしれない。それでも一番悲しんでくれるのは隣にいるこいしだから。それに、閉じていた心の目がやっと少し開いたのに、また、僕のせいで、君たちのせいで、閉じている。このことだけでも、僕は君たちに対して容赦なく反撃することも出来るよ。でもそれは、こいしが望むことじゃないから。たとえ、どんなに嫌われていても、こいしに嫌われたくないから、こいしは地底の皆が大好きだから。だから僕は何もしない。でも……それでも、こいしを悲しませた罰……受けてもらうよ……!)」
そんなことを考えながら気づかぬうちに自身の持つ黒いペンダントを握り締めていた
すると
真也「いーよもー、どーせ僕が違うって言ったってさー聞く耳持たないんでしょー?じゃあもういいからー」
いきなり声を出した真也に熱くなっていた周りの空気も急速に冷たくなる
そして、暴言を吐き続けていた妖怪達の代表と言わんばかりに先鬼が
先鬼「じゃあ、やったことを認めるんだな?」
そう言うと、ペンダントを握り締めていた手を離した真也はこいしの手を取り少し浮かび
こいし「え?」
真也「やってないことを認めるだなんてー、そんなことするわけ無いじゃーん。そんなに僕のことを犯人にしたいならー捕まえてみなよー……捕まえられるもんならねー」
それだけ言うとそのまま空を飛んで2人は何処かへと逃げ出した
地上にいる先鬼などの集団は、取り逃がしたことを憤慨しつつ
先鬼「早く追えっ!逃がすんじゃねえぞ!」
子鬼「さっさと捕まえてやったことを吐かせろ!」
周りにいる妖怪と鬼達に指示を出していた
いきなりのことで唖然としていたヤマメとキスメ
ヤマメ「……どうしようか。このままここにいても意味はないね」
キスメ「……とりあえず、地霊殿に向かう?」
どうするか悩むヤマメにキスメは地霊殿に行くことを提案する。ヤマメが首を縦に振ったのを見て、2人は地霊殿を目指して飛んでいった
その様子を眺めていたものか1人
?「あら?地底で何か起きたのかしら?」
その者が見ていたことに誰も気付かなかった
いや、唯一真也は気付いていたが、気にもしなかった
そして、次の時には、もういなくなっていた
唐突に手を取られ、空へと連れ出されたこいしはしばらく飛んでから、真也の横に並び心配そうな目で見つめる
その視線に気付かないわけがない真也は
真也「大丈夫だよー僕は何ともないからー」
そう言って隣に並ぶこいしにいつもの笑みを見せた
どこか納得いかない表情のこいしだが、これ以上は真也に気を使わせると思い、話題を変える
こいし「……わかった。これからどうするの?何か宛あるの?」
そう聞かれた真也は特に考えた様子もなくすぐに
真也「いやー?あの人達なんでか知らないけど地上探してるからーしばらく空をさまよう感じかなー?」
こいし「いや、それじゃ普通に地上から見えるでしょ。どこかに隠れよ?」
そう言ったが、こいしの鋭い切り返しで少し考える真也
同じように考えるこいし
2人はしばらく考えていたが、何も思いつかなかったようで
真也「とりあえずー無意識に逃げた方が良いかなー?」
こいし「私もそれで良いと思う。たぶんあの人達じゃ見つけられないだろうからね」
いつもの策を真也が出し、こいしが了承する形で2人は能力を使い地上を逃げ始める
地上を逃げる2人が無意識に立ち寄った橋
そこにパルスィがいた
パルスィ「私の家の食料とマフラーが無くなるなんて……やったやつが妬ましいわパルパル」
なにやらパルパルしている様子に真也とこいしは能力を止め、近づいて話を聞こうとする
真也「あーパルパルだー。なにパルパルしてるのー?」
こいし「まーたパルパルしてるのね」
2人がいつの間にか近くにいたことにもパルパルしているパルスィだが、俯き少し考えると真也を妬ましい目で睨み
パルスィ「あなたね、ものが無くなる騒動の犯人は。あんまり決めつけたくはないけど、あなたの能力なら出来るでしょうし」
そう言った
こいしはまたこの話かと、また真也が疑われるのかと、うんざりしつつパルスィに話しかけようとしたが、真也が先に声をかけたことでこいしは止まる
真也「あー、皆そう言うけどー僕は何もしてないよー?昨日はこいしと雛と遊んでたしー」
昨日していたことを軽く話す真也にパルスィはまた少し考えて
パルスィ「地上の奴がどうかなんて知らないけど、たぶんそんなこと言ってもあいつらは信じてくれないわよ?そんなことを普通に言うあなたが妬ましいわパルパル」
真也「だよねー。パルスィはどうなのー?」
そう言われたパルスィは隣にいるこいしをちらりと見てから
パルスィ「……私は今はもうあなたがやったとは思ってないわよ。あなたが普通に嘘をつくようには見えないし、隣のこいしもなんの反応もしてないからほんとのことだろうし。私は信じてあげるけど、他の人はどうするのよ。あー嘘をつかないなんて妬ましいわパルパル」
なんとかパルスィは真也がやってないことを信じてくれたが、他の人のことを考えてなかった真也はあははと苦笑いで誤魔化す
その様子に呆れてため息をついたパルスィは、真也に1つアドバイスをする
パルスィ「予想だけど、この地底の皆のなにかものが無くなってると思うわ。地霊殿の奴がどうかは知らないけど、たぶん間違ってないでしょう?」
真也「うんー、そうだねーさとりもお空もお燐も探し物してたよー」
自身の予測が間違ってなかったことを確かめたパルスィは、真也をじっと見て
パルスィ「たぶん、無くしたものはだいたい食料がこちらは多いわ。地霊殿では分からないけど、覚り妖怪や八咫烏、死体好きの火車が無くしたものは分からないけど、なにかしら大切なものなんじゃないかしら?」
真也「すごいねーその通りだよー」
次々と予想を確信に変えていく
真也は純粋にパルスィを誉める
パルスィ「まあ、今までのはあまり関係ないかもしれないけど、私が言いたいのはどっかの怪力バカからあるものを取ったら、たぶん、というか確実に殺しにくるわよ?あなたを」
真也「えー!それって勇儀のことでしょー?僕が取るなんてはずないのにー」
パルスィが伝えたかったことを聞いて真也は不満そうにそう言った
今まで会話に入らなかったこいしは2人のやりとりをぼーっとしながら聞いていたが、どこからかとてつもない殺意が放たれていることに気付いた
それは話していた2人も気付いたようで
真也「……もしかしてー」
パルスィ「……やっぱりね」
こいし「……これってかなり危ないかな」
とてつもない殺気を放っている者が、明らかにこちらに向かっていることにも気付いた3人
真也とこいしは能力をすぐに使えるようにして
真也「パルスィありかとね!」
こいし「ありがと!」
それだけ言うと無意識に潜りどこかに消えていった
パルスィはそれを少し呆然としつつ見ていたが、殺気の主がいつの間にか近くにいたことで我に返る
パルスィ「……はっ!私は……。あ、この感じは……」
首をギギギという音が聞こえるくらいゆっくりと振り向くと
そこには
勇儀「……真也はどこだ……!」
いつもの豪快な笑みなど微塵も感じさせない、弱肉強食の頂点に立つ鬼の、その中でも四天王と呼ばれるもっとも強い者の怒り狂った表情をした勇儀が立っていた
はい、真也とこいしが逃走中です
真也「追っ手怖すぎないー?」
こいし「これ見つかったら終わりだよね?」
さぁ?どうでしょうかね。なんとか撃退すればいいんじゃないんですか?
真也「怒り狂った勇儀を撃退とか……キツいね」
こいし「さすがに厳しいでしょ」
周りを警戒する2人の後ろに……ハンター…!
真也「うわぁっ!」
こいし「きゃあっ!」
なんてね、冗談ですよ
では次回まで
「「「ばいばーい」」」