真也「今回もコラボだよー」
こいし「お相手は 大神 龍 さん!」
霧咲 香くんをお借りしましたー。
真也「団子食べ過ぎー……」
こいし「?」
あれはまあ、演出。
それでは
「「「スタート」」」
真也「ふぁーぁ。どこ行こうかなー」
1人呟く彼の側には、いつもいる彼女の姿が無かった。
彼の恋人は、朝早くに起きてちょっと出掛けてくると言ったきりどこかに行ってしまった。
そんなわけで彼は1人で地上を散歩していた。
真也「んー、天子とかぬえとかに会ったらいいなー」
そんなことを言いつつふらふらと歩く。無意識を使ったり使わなかったりで、傍目からすると現れたり消えたりと不思議なことをしている。
本人は特になにも考えているわけではないのだが。
しばらく歩き続け、気付けば魔法の森。
真也「あー、誰かいるかなー……って、あれー。あの人どこかで見たことあるなー」
宛もなく歩いていると視界にどこかで見たことのある人物が入り込む。
空色の髪、ダークブラウンのロングコートに同色のカーゴパンツ。後ろからなのでよく見えないが、記憶をたどれば黒いシャツも着ていたような。
そして、その背中には1本、太刀を差していた。
?「はぁ。俺昨日部屋で寝てたはず何だが……」
どんよりとした雰囲気を漂わせる男は、肩を落として溜息を付く。
真也「なーにしてるのさー」
ふっ、と後ろに近寄り真也が声をかけると、一瞬ピクリと震え、振り向いた。
?「あ?あー、どっかで会ったか?」
完全に忘れられている真也。それを気にすることもなく笑みを浮かべる。
真也「会ってるよー。僕は全無真也。だいぶ前に迅真達と一緒にいたよー」
いつ会ったかまで言われて男はようやくそんなやついたなぁと、思い出した。
?「あ、あー。いたな、そういえば。俺は霧咲香。あの時は忙しかったから記憶から抜けてた」
すまんすまんと謝る香に、気にしないでーと返す。真也は思い出したように口を開く。
真也「そういえばさー。なんでこんなところにいるのー?」
香「あー、たぶん紫に落とされたんだと思う。俺なんかしたっけなぁ」
どこの世界でも紫って迷惑なんだなぁと思う真也だった。
◆
二人は場所を変え、人里の甘味処に来ていた。
香「おー、団子うま」
真也「ここの団子はいつも美味しいよー」
頼んだ団子を頬張りながら幸せそうに咀嚼する香と真也。ちなみに現在2皿目(1皿3本)。
香「悪いな。帰してくれる約束に団子までおごってもらっちまって」
申しわけなさそうに言う割には、どんどん団子を口に運んでいる。真也はそれを気にする様子もなく、あははと笑いゆっくりと食べる。
真也「そういえば香の能力ってなんなのー?迅真と仲良いってことは相当に強そうなんだけどー」
追加を頼みながら香に能力を聞く。香は顔の前でそんなことないと手を振った。
香「あいつ程強くなんかないぜ。俺はただ植物を生み出せるだけだ。まあ、なんでも作り出せるけどな」
それって充分強いじゃん。とは言わない真也だが少し苦笑いを浮かべていた。そして、何か思いついたようで、悪い笑みを浮かべ始めた。
その笑みに気づいた香が、若干引き気味に声をかける。
香「なんだか嫌な予感をさせる笑顔だが、俺になんかするわけないよな?」
真也「んー?あー、いやねー。別になんてことはないー。あー、でもー、ちょっと頼みたいことはあるかなー」
かけられたのを逆によしとした顔で、真也はその笑みのまま少し体を前のめりにする。
真也「ちょーっと欲しい花があってねー?」
香「あー、ちょっと待った。悪いが、俺は植物を生み出すことは出来るが、花をそのままポンと出せる訳じゃないんだ────」
それを聞いた真也はかなり残念そうにしていたが、今度は香が笑みを深くする。
香「────そのままは無理だが、成長速度を変えた種なら出すことが出来る。この意味、分かるよな?」
真也「それってもしかしてー?」
はっとした顔でまたうれしそうな笑みを浮かべる真也。香の顔もにやにやとしている。その間に団子の追加が運ばれてくるが、店員に変な目で見られていたのには気付かなかった。
香「それで、なんの花が欲しいんだ?」
来た団子を頬張っている香からのその質問に、待ってましたとにやりとする。
真也「いくつかあるんだー。欲しいのはね────」
それを聞き終えた香はその通りに種を出し、団子を追加した。
◆
食べ終わった2人は外に出て、人里からも出てきていた。
香「ありがとな。団子を食ったのは久しぶりでちゃいと食い過ぎちまったぜ」
真也「いやまあさすがに15皿も食べるとは思ってなかったねー。うん」
お腹をさする香に、苦笑いで応対する。
さて、と一息つき真也が一歩前に出る。
真也「それじゃー、君の世界と繋いであげる。最後に何かあるかなー?」
手を握りしめ、いつもの不思議な空間を作り始める真也。香は、それを眺めつつなんとなく思いついた疑問を口にする。
香「なぁ、今は楽しいか?」
流れるように出たその問いに、真也は一瞬小さく震えた。そして、特に振り返ることもなく、そのまま喋りだした。
真也「んー、楽しいとは思うよー?まあ、そうでもなきゃ、今日君と会うことも無かったと思うよー」
背中を向けてそう言うが、その言葉には少し悲しい声色を感じる。特に後半は曖昧に濁しているが、絶対にないと言い切っているようにも思えた。
香「…そうか。それならいい」
それだけ言うと、お互い黙りを決め込む。真也の作り出す空間をじっと何もせずに見つめる香。
完成まで見届け、そこに近付く。
香「それじゃあ、その花、大切にしろよ?」
真也「わかってるさー。花言葉まで考えてるんだからー。しないわけないよー」
一瞬のやりとりに混じった真也の想い。それに気付いた香は、ふっと笑いその中に入っていった。
ちょっとすると空間は勝手に閉じられる。香が向こうに着いたのだろう。
そして、また空間を作り出す。見えた先は地霊殿。真也はなにも言わずにそれに入り、その場には誰もいなくなった。
◆
帰ってきた真也はすぐに中庭に移動し、もらった種を植えてみる。正直半信半疑であったが、これで嘘を付いても意味はないだろうと思い、頭の片隅へ追いやった。
そして、植えてしばらくすると香の言ったとおり、真也の欲しいと言った色が綺麗に揃えられていた。
そこにあるのは、黒赤色、ダークピンク、ゴールドに近い黄色、オレンジ、青。こちらはそれぞれ1本づつだった。
また、緑、紫のそれも4本づつしっかり花を咲かせていた。
真也「おー、本当に出来たねー。薔薇の花言葉もばっちりだし、おっけーそうだねー」
彼が香に頼んだもの、それは薔薇だった。植物を生み出すと聞いてすぐにこれが思いついたのだ。これも薔薇の花言葉を読んで覚えていたからである。
綺麗に咲いたそれらを、茎の途中から切り、丁寧に棘を取る。そして、それら全てを部屋に持って行く。事前に紙も適当な物を買って部屋に送っていたのだ。
真也「さーて、こいしはともかく、さとりは意味が分かるかなー」
渡したときの反応を想像しつつ、計13本の薔薇を持って彼は自室に帰って行った。
そしてその夜、地霊殿から嬌声が響くのが聞こえたらしい。
はい、どーでしたかね。
真也「薔薇は大成功かなー?」
こいし「綺麗だった!」
ここで、真也が渡した色別の薔薇の花言葉と本数による意味を書いときます。
こいし宛
・黒赤色…決して滅びることのない愛
・ダークピンク…感謝
・ゴールドに近い黄色…何をしても可愛らしい、希望
・オレンジ…無邪気
・青…一目惚れ
5本…あなたに出会えて本当に良かった
さとり宛
・緑…穏やか
・紫…尊敬
8本…あなたの思いやりと励ましに感謝します
以上が、今話にて真也が渡した薔薇の色別花言葉です。
真也「ぴったりでしょー?」
こいし「狙いすぎだよもう!」
いやぁ、なかなか良い案だと思ったんだ(メタ)
何かあればどうぞ連絡をよろしくです。
次回は、てか次回もコラボの予定。消化するのよー。
それでは次回まで
「「「ばいばーい」」」