幻物語   作:K66提督

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お久しぶりです。K66提督あらためド阿呆です……
……何が『このペースで安定する』だよ!!
めちゃくちゃ期間あいてるじゃねぇか!!
見てくださってる皆さまに申し訳ないと思わねえのか!(セルフ罵倒)

はい、というわけで、以前の投稿ペースに比べてかなり遅いアップになってしまいました……
専門学校というのは予想以上に忙しいものなのですね……
なのでこれからは心優しい皆さまがこめかみに筋をつけながら笑顔で(#^ω^)
待ってくれていることを信じて、のんびり投稿していきたいと思います。

いつもいつも謝罪ばかりになってしまって申し訳ありません。

それでは幻物語 ⑨、もとい玖!

「ゆっくり読んでいってね!」



幻物語 玖

034

 

レミィとフランの髪を乾かした後、僕は客間へ、レミィはフランにひきずられて自室に向かった。

 

「ふあ~ぁ、なんだかここに来てからトラブル続きで凄い疲れたなぁ。」

 

「随分と遅いお帰りじゃな、お前様。」

 

「あれ、忍、起きてたのか。」

 

「お前様やダメリアの叫び声がうるさ過ぎて寝られんかったわい。」

 

「あちゃ、それは悪いことしたかな。」

 

「まぁ、いいわい。話したいこともあったしのぅ。」

 

「話したい事?」

 

「フランドールの時の怪異憑依のことじゃ。怪異が自分の魂に怪異を宿すなんてこと、本来ならかなりの危険行為なんじゃぞ?わかっておるのか?」

 

「わかってるよ、もうこの身で体感済みだ。」

 

「何……?」

 

「あ……」

 

「どういう意味じゃ、ほれ、言うてみい。」

 

「あ、えーっと、そのですね……かくかくが、しかじかで……」

 

「ふむ。……はぁ!?全盛期の儂を憑依させたぁ!!?アホかお前様!!!そのまま呑まれておっても何らおかしくないんじゃぞ!!」

 

「は、はぁ……申し訳ないです……反省しております……」

 

「全く……それで?」

 

「え?」

 

「自分が自殺しかけていたこともわからんお前様じゃ。大方誰かにいらん入れ知恵をされたんじゃろう?ん?」

 

そう凄惨にほほ笑む忍の額には青筋が、そして金の瞳は少しずつ鮮血の色に染まっていった。

 

「え、えと、それがだな……」

 

まずい、忍ちゃんめっちゃ怒ってる。激おこ(死語)だ。

 

「ん?誰じゃ。ダメリアか?それともあの紫の魔女か。ドーナツのメイドでもありえん話ではないな。よし殺す。ドーナツメイドだけ残して皆殺しじゃ。」

 

「ち、違う違う!扇ちゃん!扇ちゃんが教えてくれたんだ!」

 

「……あぁ?オウギィ?あのなんか『黒い』娘のことか?」

 

「そ、そうだよ!扇ちゃん!忍野メメの姪で僕の後輩の後輩の忍野扇ちゃん!」

 

「しかしあの娘は小僧が認知したことによって怪異性を失い、普通の人間生活を送り、普通に死んだはずじゃろうが。」

 

「僕もそうだと思ってたんだけど……どうもカクカクが」

 

「なるほどのぅ、シカジカというわけか。……奴は元々お前様が無意識に生み出した怪異じゃからの、まぁ再発してもそこまでおかしくはないか。」

 

よかった。どうやら納得してくれたようだ。

 

「しかしのぅ、お前様よ。あの娘のせいで死にかけたということは、やはり手の込んだ自殺ということになるんじゃぞ?」

 

「いや、でも助けてくれたのも扇ちゃんで……」

 

「自分が自分を守るのは当然じゃろ。」

 

「そ、そう言われるとそうなんだよな……」

 

結局扇ちゃんは何がしたかったのだろうか

しかし、その真相は明らかにはならないだろう。いや、既に明らかになっているといってもいいのだろう。

彼女はいつだって僕の質問にこう答えるのだ。

 

『私は何も知りません。貴方が知っているんですよ阿良々木先輩。』と、

 

人を小馬鹿にした、無邪気な笑顔で。

 

[newpage]

035

 

幻想郷生活二日目。

現在の時刻は午後六時である。

 

「ん……ふぁああ。日も落ちてきたし、そろそろ起きようかな。」

 

普通の人間では遅すぎる起床だが、吸血鬼としては結構早起きな時間だ。

 

「忍、そろそろ起きようぜ。もう日も落ちかけてるし、きっとレミリア達も起きて来てるよ。」

 

「あ~?なんで儂があやつ等に合わせなならんのじゃ。少なくともあと三時間は寝る。」

 

「長いよ。昨日合わせて何時寝る気だ。ほら、起きろって。」

 

「チッ、めんどくさいのう。それじゃあ、ほれ。」

 

忍が寝転がったまま、僕に両手を伸ばしてきた。

 

「なんだよ。」

 

「だっこ。連れてけ。」

 

このダメ幼女が……

 

「お姫様だっこしていい?」

 

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036

 

「咲夜さん。おはようございます。」

 

「あら、暦さん。おはよございます。お早いお目覚めですね、眠れませんでした?」

 

「いえ、そんなことないですよ?ぐっすり眠らせてもらいました。」

 

「だからまだ起きるには早いと言ったんじゃ。ほれ、戻って寝なおしじゃ。」

 

「あら、ずいぶんとだらしない生活を送っているのね。忍野忍さん?」

 

「あ、レミィ。おはよう。」

 

「お、おはよう……あ、あなた……」

 

「「は?」」(僕、咲夜さん。)

 

「あ”?」(忍。……さん。)

 

こわっ、

 

「え、ちょ、レミィ?レミリアさん?いったい何を……?」

 

「だって、昨日お、お風呂で、あ、あんなことされたんだもの……責任をとってもらうしかないじゃない……」

 

「「お前様(暦さん)?どういうことかの(ですか)……?」」

 

あぁ、『ゴゴゴゴゴゴ』って擬音がはっきり見えるよ……

 

「い、いや、何もない!何もやってないから!というかそもそも咲夜さんが……!」

 

「「問答無用!」」

 

「聞いておいてそれはひどくない!?」

 

あ……戦場ヶ原……ごめんな、約束守れそうにないや……

 

(キュッ)『バチィン‼‼』

 

「おわっ、」

 

「妹様!?」

 

「もう、ダメだよ。ケンカしちゃ。昨日みんなで仲直りしたばっかりなのに。」

 

「……申し訳ありません。少々取り乱しました。」

 

「ちっ、……お前様、後で詳しく話を聞かせてもらうからな、覚悟しておけ?」

 

目がマジだ……

 

「お手柔らかにお願いします……」

 

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037

 

「はぁ?風呂に入っただけぇ?」

 

「だ!だけって!は、裸を見られたのよ!?もう暦にお嫁にもらってもらうしかないじゃないの!」

 

「ふん、そんなこと言い出したら今頃我が主様は全世界の女の夫じゃわい。」

 

「えっ!?暦さん!?それって……!?」

 

「いやいやいやいや!冗談!冗談ですって!そりゃ確かに見た女の子の裸は両方の手で数えられる人数超えてるかもしれないですけど、いくらなんでも全世界はないですって!」

 

「語るに落ちとるぞ、お前様。」

 

「ち、違うんだ!僕はただ一人でお風呂に入ってただけなの、に……?」

 

自らの無罪を主張していると、ふと上着の裾が引かれた。

 

「じゃあ、暦は私をお嫁にもらってくれないの?」

 

「そんなわけないだろう。いったい誰がそんなことを言ったんだ。」

 

「ダメーッ!!」

 

「え、ちょっと!?フラン!?」

 

「だめ!お兄ちゃんはフランと結婚するの!」

 

「いいかげんにしろよ、紅鬼姉妹が。我が主様の伴侶になろうなど、おこがましいにもほどがあるわ。地獄の底に帰省させてやろうか?」

 

「上等じゃない。紅魔館の新しいモニュメントにしてやるわよ!」

 

「待った待った待った!なんでそんな物騒なことになるんだ!」

 

「暦さん、大丈夫です。あれはじゃれあってるだけですよ。」

 

「「スペルカード!」」

 

『妖刀・心渡り』!『神槍・スピア・ザ・グングニル』!

 

「ほんとですか!?じゃれあってるんですか!?あれで!?」

 

「お姉様―!頑張れー!」

 

「なんじゃ?貴様は参加せんのか?妹のほう。」

 

「え?でも私弱くなっちゃったんでしょ?」

 

「あくまで吸血鬼として、じゃ。」

 

「それに弾幕ごっこなんだから、人間でも参加できるぐらいなのよ?」

 

「あ!そっか!じゃあ私もやる!」

 

『禁忌・レーヴァテイン』!

 

「いっくよー!」

 

『ガキィィィィィィ‼‼』

 

「ちょ、フラン!?なんでこっちくるのよ!?」

 

「かかっ!まずは雑魚をつぶす作戦か!妹の方はなかなか頭が回るようじゃなっ、ぁぁあ!?」

 

『ギャィィィィィン‼‼』

 

「ふははは!私だ!」

 

「なっ、妹の方が、もう一人じゃと!?」

 

「まだまだ!第二、第三のフランもいるよ!」

 

『禁忌・フォーオブアカインド』!

 

「ほら、皆さん楽しそうじゃないですか。」

 

「う、うーん……た、確かに?」

 

楽しんでいると言われればそう見えなくもないのかな……?

 

「そうですよ、さぁ、お子様方は置いておいて、お食事にしましょう。パチュリー様もお待ちですよ?」

 

「あ、ほんとですか?」

 

そうだった、大図書館を見学させてもらうんだった。

 

「はい、暦さん達が起きたら図書館までご案内するよう言われておりますので、お食事が終ったらお連れいたしますね。」

 

「はい、お願いします。」

 

「ちょっと咲夜!あなた主である私をほったらかして何やってるのよ!はやく手伝いなさい!」

 

「おいお前様!このままじゃラチがあかん。飯でもなんでも好きにすればいい、だから『あっち』モードで戦わせろ!」

 

「アハハハハ!これでどーだー!」

 

『QED・495年の波紋』

 

「震えるぞハート!燃え尽きるほどヒート!おおおおっ刻むぞ血液のビート!」

 

「ちょっ、フラン!それ吸血鬼倒す方!」

 

「お姉様達相手なんだから間違ってないでしょ!」

 

確かに間違ってはいない。でも半吸血鬼化してなかったら結構危ないぞ、フラン。

 

「やあああっ!『月光色の波紋疾走(ムーンライトブルー、オーバードラーイブ)』!」

 

「「ぎゃぁぁぁ!?」」

 

「行きましょうか、咲夜さん。」

 

「そうですね。参りましょうか。お嬢様方も終わりましたらいらっしゃってくださいね~」

 

「は~い!」

 

「「……」」

 

元気よく返事できたのはフランだけだった。

 

[newpage]

038

 

「お待たせ致しました。どうぞ、お召し上がりください。」

 

「おぉ!?おおおおお!!」

 

「忍、行儀悪いから椅子の上に立つなって。」

 

「いや、だってお前様よ、これはまずいじゃろ!もとい、美味いじゃろ!なんていうかもう、ぱないの!」

 

よだれを垂らして騒ぐ忍の前には、これでもかと言わんばかりの

ドーナツドーナツドーナツドーナツドーナツドーナツドーナツドーナツドーナツドーナツドーナツドーナツドーナツドーナツドーナツドーナツ!

 

「こ、これ全部儂が食べあがってもよろしいんですかの!?」

 

「もともと怪しい日本語がさらにひどいことになってるぞ、忍」

 

「もちろんですわ。忍様のためにお作りいたしましたので、どうぞ気のすむまでお召し上がりください。」

 

「マジでか!じゃああと2セットくらい揚げておけ!これではまだ足りんからの!」

 

「かしこまりました。」

 

ずうずうしい客だなコイツ……

 

「暦さんはこちらをどうぞ。」

 

「あ、すみません。ありがとうございます。……おおっ。」

 

僕の朝(?)食は白米と味噌汁。魚の干物という和食の基本のようなラインナップだった。

 

「凄いですね、咲夜さん。心なしか輝いて見えますよ。」

 

「そんな……、毎日私の味噌汁が飲みたいだなんて……!大胆すぎます、暦さん……!」

 

「そんなこと言ってないわよ。咲夜。それより私もドーナツがいいんだけど。」

 

「ん?レミィは和食嫌い?」

 

「そんなことないんだけど……ほら、この魚骨とるのが面倒じゃない。それにお箸だって得意じゃないし……」

 

「……?でも吸血するときって骨まで全部食べるんじゃないの?」

 

「あー。そうね。そういえばここに来るまではそんなこともしてたわ。」

 

「来るまで?今はどうしてるんだ?」

 

「ここは妖力や魔力。その他不思議な力が充満してるから、人から直接吸血する必要はないのよ。その辺の元気が有り余ってる妖怪とか人間離れした人間に血液だけ提供してもらってるわ。もちろん合意の上だし、謝礼も払ってるわ。」

 

「情けない吸血鬼じゃのう。」

 

「仕方ないじゃない!好き勝手に襲ったりしたら……したら……」

 

「一言で言えば『鬼巫女あるところ暴れる者なし』と言ったところですね。」

 

「あぁ……なるほど……」

 

「ねぇー忍ー、フランにもドーナツちょうだーい。」

 

「おい、これはもう儂のドーナツじゃ。触れるでないわ。あと気安く呼ぶな。」

 

「忍、あと2セットも食べるんだろ?別に2個3個ぐらいあげたっていいだろ。」

 

「チッ、主様に言われてはしょうがないの、まぁその分追加で揚げてもらうとするわい、好きにしろ。」

 

「あんなこと言ってますけど……いいですか?」

 

「ええ、問題ありませんわ。むしろメイドとしての腕がなります。暦さんも沢山おかわりしてくださいね。私もそっちの方が嬉しいですから。」

 

「はい、じゃあお言葉に甘えて。はりきっておかわりさせてもらいます。」

 

「うふふ、無理はなさらないでくださいね?」

 

昨日も体験したけど、咲夜さんの料理は本当においしかった。きっと高級料理店の職人さんでさえ、うめき声をあげるだろう。

 

ちなみに結局忍は4セット平らげた。


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