そろそろ学校も始まるということで何だかリアルの方であたふたしてしまって
またしても投稿が遅れてしまいました……
というか、これからはこの投稿ペースに安定してしまいそうです。
待ちきれない方がいらっしゃいましたら、催促していただければ短いかもしれませんが、投稿させて頂きます。
それでは、ギャグ濃度100%、『幻物語 捌』
お楽しみください!
030
「いただきます!」
『いただきまーす。』
フランの声に続いて、僕、レミィ、パチュリー、美鈴さん、咲夜さんが続く。
ちなみに忍はよほど疲れたのか、先に咲夜さんにドーナツを作ってもらって先に眠ってしまった。なおドーナツはよほど美味しかったらしく、
「馬鹿な……ミスドを超えた、じゃと……!?いや、しかし、そんなはずは……じゃがこの味は……」
と一人で悶絶していた。恐るべし、咲夜さんドーナツ。メイドーナツとでも言うべきだろうか。
「それでそれで!?その後お兄ちゃん達はどうなったの!?」
「え、あ、ああ。どこまで話したっけ?あ、そうだ。ゾンビ軍団に囲まれてもうダメだと思ったその時!僕のよく知った人が助けてくれたんだ。誰だと思う?」
「えー?えーっとねー、んーとねー、わかった!咲夜!咲夜でしょ!」
「え?うーん……咲夜さんはまだ会ってなかったかなー?」
「妹様、私と暦さん達は今日あったばかりですわ。」
「あー、そっかー。」
「八九寺真宵。それも大人になった、ね。」
レミィが得意げに答える。
「え!?そうなの!?」
「う、うん……」
「すごーい!お姉様!なんでわかったの!?」
「ふふ、私のカリスマがあればこのくらいのことはお見通しなのよ。」
「あれ?でも確かレミィにはもうこの話したよね?」
「ちょ、ちょっと!?暦!?」
「えー?なにそれお嬢様ずるーい!」
「くすっ、」
「咲夜!?なんで笑うのよ!」
「はははっ」
「こ、暦まで!もぉぉぉ!」
「な、なんだか皆さん別人みたいですね…」
「ええ、恐らくは彼の影響でしょうね。」
「彼……暦さんのことですか?」
「え?僕?」
「ええ、あなたが来てからみんな変わったわ。」
「そうかな……そんなことないと思うけど……」
「いいえ、こうして紅魔館のみんなが集まって食事するなんて、今までじゃありえないもの。暦、貴方のおかげよ。」
「レミィがこうして好意を素直に伝えられているという時点で何かしらの影響があったことは間違いないわね。」
「……パチェ、あなただって今日はやけに口数が多いじゃない?」
「なっ、そ、そんなことないわよ……?」
「フランはお兄ちゃん大好きだよー!!」
「わ、わたしも……ぉ、ぉsたぃしてぉりまぁ……」
「咲夜?何か言った?」
「え、い、いえ……何でもありません……」
「あ、あはは……あの咲夜さんまで……何かの能力なんですかねぇ……」
美鈴さんは不思議そうな苦笑いを浮かべ、そう言った。能力?吸血鬼にそんな能力あっただろうか…?
「ふふ、ありえるかもね、さしずめ『気が置けない程度の能力』とか、かしらね?」
「へ?気?吸血鬼にそんな能力ありましたっけ?」
「あぁ、いえ、よくあるんですよ。幻想郷に迷い込んだ人が特殊な能力に目覚める、なんてことが。」
「気が置けない、ねぇ。」
それはないと思うけどなぁ。僕って第一印象大体悪くなりがちだし。
「ちなみに私が『運命を操る程度の能力』、咲夜が『時間を操る程度の能力』、それでフランが、」
「『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』だよー!今は上手く使えないけど!」
「私が『気を使う程度の能力』。パチュリー様は『七曜を操る程度の能力』をお持ちです。」
「み、みなさんもの凄い能力をお持ちですね……」
その内二人とは戦ったんだよな……よく生きてたなぁ、僕……。
「そんなこと言っても、先ほどお嬢様が言ったことが本当なら暦さんの力も使い方によってはそうとう凶悪ですよ?なにせ警戒ができないんですから。暗殺にはもってこいの能力です。」
咲夜さんが可愛らしく人差し指を立てて、怖いことを言った。
あ、暗殺って……
「そんな怖いことしないですって」
「わかってます、冗談ですよ。」
午前三時、そろそろ吸血鬼には眠くなってくる時間、食後に美味しい紅茶を飲んでいると、レミィが話を切り出してきた。
「そうだ、ねぇ暦、貴方これからどうするの?」
「どうする……うーん、どうしようもないかなぁ。」
「そう、それならしばらくここにいるといいわ。フランや私たちに貴方が過ごしてきた物語をもっと教えて頂戴。」
「お世話になってもいいなら願ってもない申し出なんだけど……いいのかな?」
「私は一向にかまわないわ。」
「私もメイドとして腕がなりますわ。ここはお客様が少ないですから。」
「お兄ちゃんまだここにいてくれるの!?やったあ!」
「えっと、じゃあお言葉に甘えて。」
「決まりね。」
「それでは、お部屋はあのままのお部屋をお使いください。」
「わかりました。」
「ご馳走様。それじゃ、私は図書館に戻るわね。」
「あ、えーっと、パチュリー、さん?」
「パチェでいいわ。」
「そう?じゃあ、パチェ。僕あの図書館見てみたいんだけど、案内してくれない?」
「あら、あなた本を読むのね。以外だわ。」
「読むって言っても有名どころやライトノベルばかりだけどね。」
「ライト……あぁ、結界の中の図書館にあった一風変わった本のことね。」
「多分。えっとそれで……」
「別にいいわよ。そのかわり明日にして頂戴。今日はもう疲れたわ。」
「あ、うん。じゃあ僕ももう寝ようかな。」
「そう?じゃあ咲夜、部屋まで送ってあげなさい。」
「かしこまりました。お嬢様。」
「そんな、いいですよ。別に。」
「でも暦、部屋までの道わかるの?迷子にでもなったら生きて帰ってこれるかわかんないわよ?」
紅魔館って迷宮かなんかですか……?
「じゃ、じゃあお願いします……」
「ふふっ、かしこまりました。」
031
咲夜さんに連れられながら僕が必至に道を覚えようと歩いていると、とある衝動に駆られた。
「あの、咲夜さん。」
「はい?なんでしょう?」
「ここってお風呂って、ないですかね……?」
「お風呂……ですか?でも……」
咲夜さんが戸惑うのもわかる。吸血鬼は己の能力によって体をより健康な状態に保とうとするので、どれだけ汚れても次の瞬間にはもう綺麗になっているので、吸血鬼には入浴という行為の必要性が全くないのだ。
「でも、違うんです。そういうのじゃないんです!日本人としての血が騒ぐというか、心の汚れまでは綺麗になっていないというか……」
「は、はぁ。」
「とにかく!お風呂を!僕にバスタイムを!」
「そ、それはよろしいんですが……大丈夫なんですか?吸血鬼の方は流水に弱いとお嬢様に聞いていたのですが……」
「水ではなくお湯なので無問題です。」
僕はキメ顔でそういった。
「そ、そうなんですか!?お嬢様にお風呂にお誘いした時、『吸血鬼に流水はNGだから入れない』って断られたのですが……?」
「恐らくはレミィが風呂ギライでそれらしい嘘をいったんでしょうね。そもそも吸血鬼の真祖レベルの怪異なら弱点は弱点なりえないですから、その気になれば鏡にも映れますし、太陽だって日焼けがひどい程度で済みます。」
「そ、そういうものなんですか……」
「人のイメージを元にして存在しているようなものですから、その辺は結構曖昧なんです。」
「そうですか、そうですか……わかりました……」
「さ、咲夜さん?」
「では暦さん、お風呂はそちらになりますので、自由にお使いください。失礼いたします。」
「え?あっ」
いつの間にか部屋についていたようだ。咲夜さんは部屋の向かいの部屋から四つほど隣の扉を指さし、消えてしまった。
「さて……」
今日一日がんばった僕に至福のバスタイムのご褒美といこうか。
032
「うヴァーーーー……、さいっ……こう……」
これだけ大きなお屋敷だから、お風呂もかなり豪華な大理石のお風呂とかだろうと思っていたのだが、意外も意外。咲夜さんの趣味だろうか、なんと紅魔館のお風呂はTHE・和風の檜風呂だった。なんだか神原家のお風呂を思い出す。
「よく考えたら一人で風呂に入るなんていつぶりだろうなー」
いつもは忍が乱入してくるから一人でゆっくり浸かるなんてことは滅多にないのでなんだか新鮮な気分だ。
「いや、それもおかしいんだけどさ。」
……さみしい。まいった、こんなにも自分が寂しがりやさんになっているとは、ぜんぜん気が付かなかった。会話がないっていうのが辛い。
「……そろそろ上がろうかな……っと?」
「え?あれ……?って、こ、暦!?な、なんで!?」
湯船から出ようと体を起こしたところでいきなりレミィが現れた。何やら首から看板を下げている。
「なになに……?『お嬢様が嘘ついた罰です。お風呂に入ってください。』……だってさレミィ。」
「そんなっ、だからって暦が入ってるときに……さ、咲夜ぁぁぁぁぁ!!」
しかし叫んでも咲夜さんは現れない。どうやらそうとう怒っているようだ。
「なぁレミィ、咲夜さんかなり怒ってたみたいだし、ここは大人しく入った方がいいんじゃないか?」
「う、うるさい!そもそもなんで暦はそんなに平然とガン見してるのよ!レディの肌はそんなに簡単に見てもいい代物じゃないのよ!せめて目を背けるとかしなさいよ!」
「レディねぇ……レミィはどちらかと言えば『れでぃ(笑)』じゃないか?」
「な、なんですって!」
「確かにかわいいよ?顔は。だがしかしこれをレディと言い切るにはある一部分が圧倒的に足りない。僕はおっぱいならどんな大きさでも愛する自信があるが、流石に『無い』おっぱいを愛することはできない。せめて肌とおっぱいの境目がわかるくらいのおっぱいになってからでなおしてほしいものだな。はぁーあ、おっぱいおっぱい。」
「そ、そんな……お、お、おっぱ……胸のことばっかり言わなくてもいいじゃない!これから大きくなるもん!私レディだもん!」
はいはい、れでぃれでぃ(笑)
「うううううう!!し、」
「し?」
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!」
『神槍・スピア・ザ・グングニル』!!!
「え、ちょ、まっ、ストップ!レミィストップ!」
こんなところでそんなの撃ったらお屋敷が大惨事に!
「ふ、ふふふ……大丈夫よ、紅魔館は爆発には慣れてるもの……きっと美鈴辺りが一時間くらいで直してくれるわ……(多分)」
「いやいや、無理だって!ていうか今多分って言わなかった!?わかった!謝る!謝るから!ごめんって!レミィは全世界のみんなが満場一致でみとめるレディだって!」
「もう遅い…我が紅の槍に刺され、一瞬のうちに消滅するがいい!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
『バァン!!』
「お姉様だけお兄ちゃんとお風呂入るなんてずるい!フランも入る!!」
「え!?フ、フラン!?」
「フラン!よかった、助かった……!」
「あれ?お姉様?なにやってるの?ダメだよーお風呂で暴れちゃ。」
「そ、そうだそうだー。」
「くっ、……暦、覚えてなさい……」
「まぁまぁ、いつもは忍が入ってくるから、慣れてるんだよ。」
「忍?」
「キスショットのことよ。」
「キスショット?キスショットなのに忍なの?」
「うーんと、なんて説明したらいいかな、まぁまた今度話すよ。」
「あら、じゃあそれも暦の『物語』ってわけなの?」
あ、タオル巻いてる。そんなに恥ずかしがることないのになぁ。
「うん、ある意味僕の中では一番印象深い物語かな。」
「じゃあここでお話ししてよ!私今聞きたい!」
「この話は結構デリケートだからなぁ、忍に確認とってからじゃないと。それにお風呂で話すにはちょっと長すぎるかな。具体的には映画が三本に分割できるくらい。」
「エイガ?なによそれ。」
「僕がいた世界での娯楽の一つかな。」
「へぇ、興味深いわね。パチェに作ってもらおうかしら。」
「へ?作るって、何を?」
「何をって、エイガを。あの子はすごいのよ、ロケットってやつまで作ったことあるんだから。」
「ロケット!?そ、それって宇宙まで行けるロケット!?」
「ええ。使ったのは月に行った時っきりだけど」
「行ったことあるの!?月に!?」
「ええ、ちょっと月のうさぎにケンカ売りにね」
「月にうさぎって、そんな、おとぎ話じゃあるまいし」
「なにいってるのよ、吸血鬼や魔法使いがいるんだもの、月にうさぎだっているわ。」
「そ、そんなもんかな?」
昔忍にも同じような事を言われたな……
「あうー、熱いー……お兄ちゃん洗ってーー」
「まかせろ。」
「ちょ、ちょっとフラン!?」
「ん、あれ、フランの方がおっきいんだね。」
「っ!?そんなわけないじゃない!ちゃんと見なさいよ!」
「いやいや、三ツ星おっぱいソムリエの僕が大きさを見間違えるわけないよ。」
「なによその資格!?とにかくフランの方がお、大きいなんて、そんなことありえないんだから!」
「レミィ、僕の奥さんが好きだった漫画に出てくるキャラの名言にこんな言葉がある。『ありえないなんて事はありえない』。」
「うるさいわよ!もうっ、もうっ!」
「むふー。気持ちぃー、お兄ちゃん髪洗うの上手だねー」
「お褒めに預かり光栄です、フランお嬢様。いつも忍の髪を洗ってるからね、慣れたもんさ。」
「へぇー、あーー、気持ちいー」
「う、ね、ねぇ暦?」
「何?」
「そ、その……私の髪も洗えばさっきの失礼な発言、聞かなかったことにしてあげてもいいわよ?」
「わかった。シャンプーからお風呂上りのドライヤーまで全部任せたまえ。僕のフルコースでレミィを風呂好きにしてやる。」
「もう、お姉様ったら。自分もやってほしいなら素直にそう言えばいいのに。」
「姉として、吸血鬼として色々と譲れないものがあるんだよ、きっと。」
「ふーん、へんなの」
「……よし!フラン終わり!湯船に入って待っててよ」
「はーい!お姉様こうたーい!」
「ふ、ふふ、しょうがないわね、この私の髪に触れることができるのだから光栄に思いなさい。」
「強気でいられるのも今のうちだぞ、レミィ。僕のマッサージテクニックで骨抜きにしてやんよ。」
「やれるもんならやってみなさい。高貴なこの私を満足させられるかどうか、お手並み拝見かしら。」
033
「……ふぅ!レミィも終わり!どうだった?」
「んあぁー……やめちゃやぁだぁー……もっとぉ、もっとやってよぉ……もっとレミィのことゴシゴシしてぇ……」
「お兄ちゃん、お姉様聞こえてないと思うよ?」
「気持ちよかったみたいで何よりかな。」
ちょっとやり過ぎた感じもあるけど……
「暦、お兄ちゃぁん、もっと、もっとぉ……」
「どうしようフラン、なんか君のお姉様すっごいかわいいんだけど」
「どうしようお兄ちゃん、もうお姉様のことお姉様として見れないかもしれない」
鼻息が荒いぞフラン。