幻物語   作:K66提督

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あああああああああ!!!!!!
間に合わなかったぁぁぁぁああ!!!!!

あ、明けましておめでとうございます。K66提督です。

2016年、間に合いませんでしたね……
すみません……
大急ぎでなんとか間に合うかどうかって感じでしたがあと少し間に合いませんでした。

こんな駄文でもよければお年玉としてお受け取りください。

では『幻物語 弐拾ㇳ伍』お楽しみ下さい!


幻物語 弐拾ㇳ伍

099

 

『召喚・黒イ嫌ワレ者』

 

『ギャガァァァァァアア!!』

 

裏暦が片手を掲げると、どこからか無数の鴉が現れて僕達に襲い掛かってくる。

 

「スペルカード!!?」

 

「郷に入っては郷に従え。専門家たるもの現場のルールは守らないとね。」

 

「つまりこっちが有利な状況でもその上で私達を圧倒しようって腹づもりなわけね。

随分となめられたもんじゃない?」

 

『獄符・千本の針の山』

 

紅い目を煌々とさせながら永遠に幼き紅い月、レミリア・スカーレットが

襲い掛かってくる鴉達にスペルカードを展開した。

 

「すげぇ……あれだけいた鴉が一瞬で……」

 

「パチェは私達の家族よ。家族に手を出すって言うのなら私も黙っていられないわよ。」

 

「私も、パチェを殺そうなんて絶対に許さない!やろう、お姉様!」

 

「ふふっ、そうね、ちょうどいい見せ場じゃない。私達スカーレット姉妹の力、見せてやるわ!」

 

「レミィ……?フラン……?やるって何を……」

 

『死期・終わりを告げる御旗』

 

『終局・明けることのない夜』

 

「私の『運命を操る程度の能力』とフランの『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』

を掛け合わせて編み出した最凶のスペル!その名も――」

 

『紅符・スカー・デッド』!!

 

「だっさ。」

 

「「!?」」

 

「忍さん!?」

 

お前唐突にそれはねぇだろ!!

レミィ達せっかくカッコつけたのに!

 

「いやまぁ本人達が満足してるならいいと思うがの?でも『スカー・デッド』……プフッ、」

 

「~~~~~~~~~!!?だから言ったじゃないお姉様!

やっぱりこの名前カッコよくないよ!!」

 

「な、何言ってるのよ、カッコいいじゃない。ほら『スカーレット(紅)』と『スカー(骸骨)』『デッド(死)』でちゃんと発音もかけてあるし……」

 

「ぶふぉっ!!」

 

「ほらぁぁあ!!お兄ちゃんまで笑ってるぅぅ!!」

 

「あ、ご、ごめんってフラン!大丈夫、微笑ましくて可愛げのある良い名前だと思うぞ?

それにほら!威力だって絶大じゃないか!残ってた鴉達も全滅だ!」

 

「むぅ……お兄ちゃん褒めてないでしょ……」

 

「アンタ達いつまでお遊戯やってんの!!次、来るわよ!!」

 

霊夢から救いの手、もといお叱りの言葉が飛んでくる。

 

「その通り!鴉を落としただけで俺が止まると思うな!!」

 

『崩落・鹿苑寺金閣』!!

 

「圧し殺せ!!」

 

名前の通り、古い日本式の家の瓦礫が雨のような密度で降ってくる。

 

「明らかに金閣寺の質量超えてんだろこれ……!」

 

「お前様!あれ、消せるか!!?」

 

「無理だ無理!一層は消せてもその後ろからどんどん降ってくる!!」

 

「チッ、なら儂とお前様で『子う守り』で――

 

『大奇跡・八坂の神風』

 

「他人様の家の庭で……」

 

『マウンテン・オブ・フェイス』

 

「随分と好き勝手に暴れてくれるじゃないか?」

 

『祟符・ミシャクジさま』

 

「宴会の邪魔すンな!!」

 

「うおおおおお!!?」

 

すげぇ!流石は神様!

 

「これなら行けるかもしれない……レミィ!フラン!パチュリーの事守ってくれ!僕と忍はアイツと決着をつけてくる!」

 

「もちろんよ!私の家族には指一本ふれさせたりしないわ!」

 

「お兄ちゃん、忍姉、頑張って!」

 

「え、ちょっと待ってフラン、忍姉ってどういう……」

 

「さて、それじゃあ決着を付けに行くとするかの。」

 

「さっきの鴉と言い、今の金閣寺と言い、アイツの能力って多分……」

 

「『斬りつけた相手の能力を奪う能力』じゃろうな、恐らくは。」

 

「つまり、僕達吸血鬼の能力を奪われた瞬間負けが確定するってことか……」

 

「かか、そう臆するなよお前様。ようはヤツの斬撃をうける前に倒してしまえばいいだけの事じゃ。」

 

「忍、そういうのをフラグって言うんだぞ……」

 

「別に殺してしまっても構わんのじゃろう?」

 

「おいやめろ。」

 

『不死・火の鳥― 鳳凰天翔 ―』

 

「お、どうやら藤原の娘も行ったようじゃの。」

 

「それじゃ、僕達も行こうか!」

 

『怪異・一反木綿』

 

『真名解放・キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード』

 

「忍……!お前……!」

 

「か「かか「かかかかか!驚いたか?驚いたじゃろう!!

儂とてこの幻想郷に来て何の変化があったわけではないという事じゃ!」

 

コイツ……そんなの使えるならさっきの金閣寺だって余裕だろ……

 

「さぁ行くぞ暦!安心せい!ヤツがどんな術を使ってきても儂が全て蹴散らしてくれるわ!」

 

「――っ!はははっ!」

 

まさか『暦』って呼ばれる日がくるとはな……!

 

「上等だ!行こう!」

 

100

 

――行くって何処に行く気だ?

 

『幻朧月睨―ルナティックレッドアイズ―』――!

 

ピシッ―――――

パリィイン!!

 

誰かの声が聞こえた気がした。

それと同時に何かが割れる音も。

 

「パチェ!!!」

 

「――っ!な、何が起きたんだ!?」

 

レミィの叫び声でおぼろ気だった意識が鮮明になる。

 

「……弱い。弱いなぁ。ヌルゲー過ぎてつまんねぇよ。幻想郷でもかなりの実力者が揃ってるって思って少しだけチャンスを与えてやったのになぁ。拍子抜けだぜ。」

 

つまらなそうに言うヤツの足元には、赤い水溜りがあり、そこにはパチュリーが物のように転がされていた。

 

「お前……何をした!」

 

「何って、幻覚だよ、全部。最初からな。召喚した鴉の眼に兎の幻術を仕込んでおいた。

後は動かなくなったお前らを素通りしてコレから賢者の石を取り出したってわけ。」

 

『コレ』。

その辺の石ころを扱うのと同じようにヤツはパチュリーを足でゴロリと転がした

 

「幻覚……鈴仙のか……!」

 

「うんそう。あのブレザー兎。……さて、じゃあ目的も果たしたし帰ろうかな。

これ以上お前らの相手するのもなんか馬鹿らしいし。」

 

「まっ、待て!!」

 

「……

 

……ガッカリだ阿良々木暦。お前の選択肢、本当に正解か怪しくなってきたなぁ?――』

 

まるで文句をつけるかのように僕を睨み付けながら裏暦は姿を消してしまった。

 

101

 

裏暦が姿を消した後、まだ息のあったパチュリーを抱えて

妹紅に幻想郷唯一の医者である、八意永琳さんの診療所、『永遠亭』へと案内してもらった。

現在集中治療に入るとの事で、咲夜さんは治療室に同伴。

その他の紅魔館メンバーと僕と忍は永遠亭の客間でそわそわしながら待機している。

 

「お姉様、パチェ大丈夫だよね?きっと元気になるよね?」

 

「だ、大丈夫よ。あの子だって紅魔館の一員なんだから。こんな事じゃどうって事ないわ。

……大丈夫よね?」

 

「安心しなさい。永琳はたまに天然な所があるけど仕事に関しては完璧よ。私の腕だって結局一夜で直しちゃったし。」

 

「う、腕……」

 

「さっき話しただろ?あの野郎に腕ぶった切られた奴がコイツだよ。」

 

「えっ!!?」

 

こ、この大人しそうなお嬢さんが、アイツと血にまみれた死闘を……?

 

「あら。なんだか新鮮なリアクションね。最近だと私達月の民の事を戦闘民族か何かだと

思ってる人等が多いみたいで私悲しいわ。」

 

「今朝腕が治ったからっていきなり殴りかかってきたのによく言うぜ……」

 

「な、殴り……」

 

「心配して相手にしてくれなかったけどねー」

 

「っ!?お、や、やめろよ!!今はそんなの関係ないだろ!!?」

 

「ふふふ、はいはーい。とにかく安心しなさい吸血鬼姉妹。貴女達の家族は必ず

永琳が直してくれるわ。だからいつまでも気を張ってないで少しは心を落ち着かせなさいな。お茶とお菓子くらいなら出せるわよ。」

 

「えっと……出してくるのはやっぱり……」

 

「お願いね、うどんげ♪」

 

「はぁい……少々お待ちを……てゐー!ちょっと手伝ってー!!」

 

『てゐちゃんは只今お留守うさー!!』

 

「いるじゃないの!いいから手伝いなさい!!」

 

『えええぇぇぇぇぇ……』と誰かの断末魔みたいな声を聴きながらようやく僕達は

気持ちを落ち着かせる事ができたのだった。

 

102

 

同刻、治療室内。

 

「八意様。パチュリー様の容態はどうなんでしょうか……」

 

「そうね……簡潔に言ってしまえば治療することはできるわ。」

 

「そ、そうですか……」

 

八意永琳の言葉を聞き、咲夜はホッと心を撫でおろす。

 

「でも問題はその後よ……」

 

「え?」

 

「この子、言うなれば体の核、賢者の石だったかしら?それを抜き取られたってことでしょ?」

 

「はい……パチュリー様は賢者の石は魔法使いの身体を永遠に保つための術式が凝縮された、魔法使い個人個人の研究の結晶とおっしゃっていました」

 

「はぁ……やっぱりそうなのね……今この子には魔術回路らしきものが一切存在してない。

つまりはごく普通の人間の女の子になってしまってるわけなのよ。」

 

「それは、もう魔法が使えなくなってしまったということですか……?」

 

「……それだけならいいんだけどね。身体保存の術式を失った。今まで止まっていた身体や魂の時間が一気に流れ出すからこの子は……時間操作系の能力者である貴女ならもうわかったかしら。」

 

「それは…………」

 

永琳の言う通り、咲夜は彼女が言っていることをすぐに理解した。

しかしどうしてもその事実を口に出す事はできなかった。

この後、目の前にいる自身の主の友人、いや、自身の家族に待ち受けている終わりが

理解できてしまうがゆえに。

 

「彼女を救うことができるのは三つ。

一つはこのままこの診療所に残って姫様の能力で身体と魂の時間を永遠のままにする事。

二つ目は貴女のご主人様かその妹、あるいは付き添いの男の子たちのどちらかに吸血してもらって、眷属となる事。日光の下には出れなくなるけどまぁ元々引きこもりみたいな生活送ってたみたいだし、問題ないでしょう。というか吸血鬼多いわね……?

あとは三つ目……まぁこれはわかりきったことなんだけど、あの男から賢者の石を取り返してくる事。あまり時間もないけどまぁあと一週間はもつでしょう。もたせてみせるわ。」

 

「それが、パチュリー様を救う方法……」

 

「ま、おすすめはこのままうちに残ることだけどね。容態が急変しても私がすぐに対応できるし」

 

「もう一つ……パチュリー様を救う方法があります……」

 

「あら?何かしら……他に何か……」

 

「ようは時間の経過を止められればいいんですよね……なら、」

 

 

――私がその時間を肩代わりします。

 

 




前回コメント沢山頂けて、とても嬉しかったです!!
今回もぜひお年玉(コメント)頂けたらと思います!
それでは今年もよろしくお願いします! 

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