幻物語   作:K66提督

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初めまして!K66提督と申します!

今日から初心者投稿を始めさせていただきたいと思います!

……なんてね、もう弐拾超えてるのに何言ってんだこいつって感じなんですけども。


一ヶ月ぶりの投稿ということで、皆さんに忘れられてるんじゃないか、
失踪したと思われてるんじゃないかと内心ビクビクです。

違うんです、学校生活とバイトに追われる毎日で、なかなか書く暇がなかったんです。
……いいわけですね。もっと頑張ります。

そんなわけで挙動不審になりつつも書きあがった『幻物語 弐拾ㇳ肆』
ぜひぜひお楽しみください!

あ、あと感想欲しいです(ボソッ)


幻物語 弐拾ㇳ肆

095

 

「ファミマみた?」

 

「そんな気軽にコンビニの場所を確認されても!」

 

「おい、儂を放置するな!!」

 

『ドッwwww』

 

霜月某日、守谷神社では幻想郷の各地から人妖入り乱れて参加者が集まり、

大宴会が行われていた。

あまりにも参加者が集ったので、室内だけでなく境内全体を宴会会場にして

軽いお祭り騒ぎだ。

 

「いいぞー!新入り吸血鬼ー!」

 

「お兄ちゃんさいこー!!」

 

「……ふぅ、なんとかウケたな。二人ともお疲れ。」

 

萃香の宣言通り、本当にネタをやらされた(ご丁寧に特設ステージまで用意されていた)

僕達だったが、八九寺Pの秘蔵ネタ帳のおかげで無事に乗り切ることができた。

 

「なんで儂がいじられキャラなんじゃ……そもそもあの場面で……(ブツブツ」

 

「私はあと三つぐらいネタをやりたかったですけどねー。忍さんがこれじゃ仕方ないです。

お、この葡萄酒すっごい美味しいですよ。阿良々木さんもどうです?」

 

いつの間に持ってきたのだろうか、ジョッキいっぱいに入ったワインを煽る八九寺。

 

「僕はいいよ。お茶もあるし。」

 

「相変わらずお酒を飲まないんですね、阿良々木さん。」

 

「僕的にはお前がそんなにお酒にハマると思わなかったけどな……」

 

お酒が嫌いな神様はいないと言うが、どうやら本当だったようだ。

 

『おーい!!暦ー!!』

 

「ん?」

 

少し遠くの所から小さな影が僕達に両手を振って呼びかける。

多分諏訪子の声だ。

 

「ほら三人とも、そんな端っこにいないでこっちおいでよー!!」

 

「やれやれ、主催者様のご命令とあっちゃ仕方ないな。」

 

諏訪子の呼びかけに応え、周りより少し広めな場所に陣取っている一角にたどり着く。

集まっているメンバーは諏訪子に神奈子さん。霊夢、魔理沙にレミリア……

幻想郷に来たばかりの僕でもかなりの実力者ぞろいなのがわかった。

 

「……すごいな、迫力ありすぎだろ、このメンツ。」

 

「あ~、こよみら~、あはは、こよみ~こっちこいこっち~」

 

「うわ、魔理沙酔いすぎだろ。お酒弱いのか?」

 

まぁ、呼ばれたし行くけど。

 

「あぁ、この子宴会になるといつもこうなのよ……酒に弱いってわけじゃないんだけど

『タダ酒なんだから吞まなきゃ損だぜ!!』なんて言って調子にのるから……」

 

「へぇー、そういう霊夢は?呑んでないのか?」

 

「私はタダ酒よりタダ飯。山の幸をふんだんに使った物が沢山あって美味しいわよ。」

 

「えへへぇ、ぎゅ~~っ」

 

「あーあー、ほら魔理沙、アンタ記憶残るタイプなんだから。後で後悔するから止めときなさいって。」

 

「い~やぁ~だぁ~ずっとこよみといるの~」

 

「…………。」

 

「あれ?阿良々木さんの事ですし、間髪いれずに襲い掛かると思ったら。

意外にも何もしないんですね?」

 

「失礼な、いいか、八九寺。相手がお前ならまだしも、酔っている女の子相手に襲い掛かったりする下種野郎じゃないぞ僕は。」

 

なでなで。

 

「相手が私ならまだしもなんですか……」

 

当たり前だ。

むしろ積極的に襲い掛かる。

 

「久しぶりね、暦!!」

 

「やぁレミィ、久しぶり……じゃなくないか?昨日会ったばかりだと思うぞ?」

 

「え?昨日?そうだったかしら……なんだか一ヶ月ぶりくらいな気がしたわ……」

 

ナンデダロウネー

 

「まぁ、いいわ。それより聞いて頂戴よ!今日から早速人里の学校に行ったんだけどね!?」

 

「お、おう。」

 

一度始まったレミィの愚痴は長かった。

フランが全然言うことを聞いてくれないだとか、

先生なのに敬語を使ってもらえないだとか、

生徒たちがうるさくて授業にならないだとか。

 

早くも心が折れてそうだ。

 

「お兄ちゃーーーーーーーん!!」

 

『ゴスッ……』

 

「ぐはっ、」

 

「コーーヨーーミィィィィ!!!」

 

『ドゴォ!!』

 

「ぐはぁぁぁぁぁっ!!?」

 

「ご、ごめんなさいっ……!」

 

『プニョン』

 

「ぐ、え……えっ!!?」

 

『プニョン』……だと……!?

 

「もー、大ちゃんってばー、それじゃあ抱き着いてるだけじゃん」

 

「ふぇ?……あっ!ご、ごめんなさい!!」

 

「構わん、続けたまえ。」

 

「……はぁ、結局は乳ですか、阿良々木さん。

所詮は貴方もただの一般男性だったということです。

男性が巨乳好きなのは一般常識ですからね」

 

「なっ、違うぞ八九寺!!確かに僕はおっぱいが好きだが、巨乳だけが好きなんじゃない!

僕は全てのおっぱいを平等に愛する自信がある!!」

 

「胸なら私にも自信があります!!どきなさい、そこの緑髪巨乳の妖精!

私とキャラが被っているんですよ!阿良々木さんは渡しませんよ!!」

 

「わ、私だって好きで大きいわけじゃ……!重いし、体育の時痛いし、

学校でも男の子達にバカにされるし……いい事なんて全然ないです!!」

 

「……チッ」

 

舌打ち……?

 

音のした方に視線を向けると、

 

「……レミィ?」

 

「わ、私じゃないわよ!?」

 

じゃあ誰が……

 

「なによ妖精の分際で……」

 

声のしていたのはレミィのさらに先、いつの間にかレミィの少し後ろで控えていた

 

「……さ、咲夜さん?」

 

「ハッ……な、なんでしょう?」

 

『ニコッ』といつものように笑いかけてくれる咲夜さんだが、

その笑顔が若干引きつっている。

 

「咲夜貴女ねぇ……」

 

「あ!お、お料理が無いですね!すぐにお持ちいたしますのでお待ちを!」

 

「ちょっ、待ちなさ、……まったく。」

 

咲夜さん……一体どうしたんだろうか?

 

「そうだ、それより大ちゃん。良い事無いなんて言っちゃいけないぞ。

少なくとも君の胸のおかげで僕は救われたんだ。」

 

「え?そ、そうなんですか……?」

 

「あぁ、フランとチルノのダメージも即回復さ。」

 

「何!?大すけのおっぱいにはそんな能力があったのか!?」

 

「だ、大すけって呼ばないで!!」

 

「いいなぁ、フランも欲しいー」

 

「え、あ、え?」

 

「こらこら、あまりはしゃぎ過ぎるなよ、君達。

本当ならもう家に帰らせる時間なんだからな。」

三人の保護者役としても参加しているのだろう。

慧音さんが皆のもとにやってきた。

 

「あ、慧音さん。こんばんは。」

 

「あぁ、こんばんは。阿良々木君。」

 

慧音さんに挨拶をしたところで、彼女の後ろにもう一人いる事に気が付いた。

 

「慧音さん、後ろの人は……?」

 

「ん、あぁ、そうそう、暦にも紹介したかったんだ。私の古くからの知り合いでな。

ほら、妹紅。紹介するからこっちに来ないか」

 

「ちょっ、慧音、何度も言ってるけど私はこんな事やってる場合じゃ……!?」

 

「……?」

 

慧音さんに無理矢理引っ張りだされた白髪の少女は僕の顔を見て驚きの表情を浮かべる

 

「おい……二度も私の前に姿を現すなんていい度胸じゃねぇか……!」

 

しかし、驚きの表情はすぐに怒りのモノへと置き換わる。

 

「え?」

 

『不死・火の鳥― 鳳凰天翔 ―』!!

 

慧音さんに『妹紅』と呼ばれるその少女の一撃は

宴会場を業火に包まれた戦場へと豹変させた。

 

096

 

『キャアアアアアアアアアアアアア!!!』

 

「も、妹紅!?何しているんだ!」

 

「ごめん慧音、事情は後で話すから早く子供達と一緒に避難してほしい。」

 

「お、おい妹紅!?」

 

慧音さんがなんとか止めに入ってくれたが、彼女が止まる様子もない。

 

「くそっ、何だっていうんだよ……!」

 

「てめぇに会えたのはある意味ラッキーだこの外道!不浄の業火に焼かれて死ね!!」

 

『パゼストバイフェニックス』!!

 

少女は早くもスペルカードを展開し、僕の視界を炎で埋め尽くした。

 

「ぐっ……」

 

避けたら神社が燃える……!

 

『扇符・愚か者には相応なる修正を』!!

 

「ぎり、ぎ、りっ!」

 

『きゃあああああ!!』

 

しまった、消し逃した……!?

 

「間に合えっ……」

 

『ジ……、ゴウッ――』

 

「ぐ、あああああああああああ!!」

 

流れ弾に襲われそうになった女の子を庇うことには成功したが、

 

「熱い、と言うか痛い……!?太陽に焼かれてるみたいだ……!」

 

「……?何だ……?お前今、何で……?」

白髪の少女は僕を怪訝な表情で睨み付ける。

僕が女の子を守ったことに驚いているのか……?

 

「お前様!その炎、恐らく退魔の系統のモノじゃ!」

 

「落ち着け妹紅!阿良々木君は危険な妖怪ではない!」

 

「退魔?」

 

「危険じゃない?」

 

「「それってどういう事なんだ?」」

 

「「ん?」」

 

097

 

「つまりは妹紅達は既にウララ木に襲われ、ここにいる阿良々木君を奴と勘違いし、復讐の為に攻撃を仕掛けたと。」

 

え、その呼び方定着しちゃってるの?

誰だ広めたヤツ。

 

「本当にすまなかった!!顔を見た瞬間頭の中が真っ白になって……!」

 

「あぁ、いや。別に大丈夫だって。ほら傷だってもう回復したし、

誰もケガだってしなかったんだから。」

 

ホントはまだちょっとヒリヒリするけどそこは黙っておくのが

大人というものだろう。

 

「そうよ妹紅、何回殺しても全部バカにしたようなオーバーリアクションするだけで

何にも手応えないんだから」

 

霊夢が妹紅の炎でほど良く温まった料理を頬張りながら言った

 

「死ななくてもとんでもなく痛い事には変わりないんだけどな!?

事あるごとに滅殺しようとするのやめていただけません!?」

 

「あ、これおいしー」

 

「聞いて!?」

 

「な、何だか吸血鬼のわりに随分……」

 

「気さくというか、気の置けない男だろ?阿良々木君は。」

 

「慧音。」

 

「実はな、妹紅。私が彼に初めて会った時もお前と同じような状況だったんだ。」

 

「えっ?」

 

「生徒達が吸血鬼に襲われている、とバカな勘違いをしてしまってな。実際戦ったのは彼と

一緒にいる金髪の娘……忍野忍と言うのだが、私が負けて戦いが終った後、彼らは

憤慨することもなくむしろ気絶した私を心配してくれたんだ。」

 

「へぇ……良い奴らなんだな。」

 

「本人達は絶対に認めないがな。」

 

「………よし。」

 

「妹紅?」

 

「阿良々木。」

 

ぎゃいぎゃいと騒いでいた僕達の所に妹紅が寄ってきた。

 

「ん?」

 

「謝った矢先にこんな事言うのは変だって事は理解してる。それでも聞いてくれるか?」

 

真剣な眼差しで僕らを見つめる妹紅に、僕や周りの皆も姿勢を改める。

 

「阿良々木。私はヤツを、もう一人の阿良々木暦を殺したい。殺さなきゃならない。

そのために力を貸してくれないか。」

 

098

 

「こんなのがもう一人……?ちょっと妹紅、どういう事か詳しく説明しなさいよ。」

 

「いや、実は私もどういう事なのかあまりわかってないんだが……」

 

「それじゃあそこは僕が説明する。紫さんからアイツの正体くらいは聞いてるから。」

 

「紫に……?あいつ、今度は何企んでるのよ……」

 

「それじゃあ、まずはアイツの正体からなんだけど……」

 

『別に説明なんてしなくてもいいだろーよ』

 

「……!?」

 

「い、今のって!?」

 

どこからか聞こえた声に反応し、みんなの目線が僕に集まる。

だけど今のは……

 

「はーい、どうもー。噂をすれば立つ影こと話題の男、『阿良々木暦』でーす。」

 

「っ!!てめぇ!」

 

今度こそ探していた敵を前にした妹紅は即座に臨戦態勢をとった。

 

「お、あの時のイケメンじゃん。その後お姫様とはいかがですかー?」

 

「うるせぇ!!そんな事てめぇに関係ねぇだろ!!」

 

今にも攻撃を始めようとする妹紅の肩に手を置き、制止する。

 

「妹紅、今はとりあえず落ち着いてくれ。アイツがどんな能力を持っているかがまだ

わからない以上手は出せない。」

 

少なくとも吸血鬼の本気の拳を片手で受け止める程度の力があるのだ。

 

「そうそう、そんなに警戒しないでさぁ、穏便に、平和的に話を進めようぜ。」

 

「それで、何しに来たんだよ、『人間。』」

 

「だからそんな身構えるなよ、『吸血鬼。』お前に用はないからさ。」

 

「……?」

 

どういう事だ?僕に用がない……?

それじゃあ誰に……

 

「そこの、紫の服を着た魔女さんだ。」

 

ヤツが指した先には、七曜の魔法使い、パチュリー・ノーレッジがいた。

危険を察知したのか、小悪魔さんがパチュリーを庇うように前に立つ。

 

「……やれやれ、たまの気まぐれで外に出て来たらこんな事になるなんて。

やっぱり図書館の外じゃ碌なことが起きないわね。」

 

「図書館の中でも碌なことないですけどね……」

 

ドラゴンや吸血鬼が暴れたり、コソ泥魔法使いに本を盗まれたり。

なるほど確かに碌なことではない。

 

「それで?一体何の用かしら自称人間さん?」

 

「自称じゃなくて正真正銘の人間だってば。」

 

「並の妖怪なんかより禍々しい妖気を発しながら何を……まぁいいわ。

それより質問に答えてくれないかしら。」

 

「そうやってすぐに解答を求めるなよ。最近の若者の悪い癖だぜ。」

 

「……おい『人間』、いい加減に答えろよ。それとも何の用も無しにここに

来たのか?」

 

「チッ……あーあー、全くお堅いね、『吸血鬼』。そんなに短気じゃ長生きできないぜ?

あ、そっか不死身か。」

 

「おい。」

 

「はいはいはいはい、いいよ教えてやる。魔女さん、僕が欲しいのは賢者の石だ。

賢者の石を譲ってもらいたい。」

 

「……どんな金属でも黄金に変え、体内に含めば永遠の命と万能を司る力を得ることができる古代錬金術師が目指した空想の物質。そんなもの、私が持っているとでも?」

 

「あぁ、持っている、確実に。火水木金土日月の七曜、つまりは万能を司る力。

そして老いることのない魔女の肉体。それは賢者の石の力だ。」

 

「あら、思っていたよりも頭がキレるみたいね。でも少し違う。

七曜を司る力も、魔女の身体も、賢者の石を作り出すために『必要不可欠な要素』。

賢者の石を使ったことによってこの力を手に入れたのではなく、

この力を手に入れたことで、賢者の石を作り出すことができる。

つまり、賢者の石は不老不死の薬でも、世界を支配する力を持つ石でもない。

あれは―――」

 

「生命を、世界を生み出すことのできる神の血液。それが賢者の石の正体だ。」

 

パチュリーの言葉を遮り、ヤツは始めから全て知っていたかのように

得意げに語る。

 

「……それを知っていてなお、あの石を求めるというのなら、私は絶対にあの石は渡さない。」

 

「安心しろよ、僕は世界の全てをぶっ壊して新しい世界を作るとか、そんな事を言ってるわけじゃないんだ。……やり直す。そこにいる『阿良々木暦』が選んだ選択肢を僕も選ぶために、あの凄惨な春休みからもう一度。」

 

「なっ……!?」

 

春休みをやり直すだって!!?

 

「キスショットを殺さない。

ギロチンカッターも、エピソードも。そして……

羽川も。今度は殺さない。」

 

羽川を……殺した……?

 

「……余計な事を言ったな。とにかく、あの世界を、あの春休みを僕はもう一度作り出す。

そのためにはパチュリー・ノーレッジ、君の『体内』に埋まっている賢者の石がどうしても必要なんだ。」

 

「お断りよ。私はまだ、死ぬ気はない。」

 

「はぁ……ま、そうだよなぁ、ハイどうぞ。ってわけにはいかないか。

わかった。じゃあ譲ってもらうのは諦めて――――

 

 

 

 

―――――力ずくで、お前から抉り取ろう!!!!」

 


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