幻物語   作:K66提督

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どうもー、K66提督です。

急激に寒くなって参りましたが、皆様
体調を崩されたりしていないでしょうか。
寝る時にはしっかり布団をかぶって寝てくださいね?

またしても投稿が遅れてしまいました……
なんとか10月中に投稿を、と思っていたのですが間に合わず……
世間が『とりっくおあとり~と~』とか言ってやがる間、
私はPCの前で『Dead or Die』してましたww

そんなこんなでやっと投稿できた『幻物語 弐拾ㇳ参』!
お楽しみ下さい!!


幻物語 弐拾ㇳ参

091

 

早苗ちゃんが探しているはずの萃香が文さんと一緒に戻ってきた。

文さんが目を覚ましたので、萃香が共に天狗の里に出向き事態の収拾をつけにいくと言う。

何でも妖怪の山は、元々鬼が治めていたらしい。

 

「大体この子を差し置いて天狗の長を決めようってのがおかしいんだよね。

今までそういうのは血筋で決めてきたってのに。何を今更会議なんてするのかねぇ」

 

「や、やめてくださいよ萃香さん。そういう期待とか重圧に耐えられなくなったから、

烏天狗部隊から抜けて新聞記者になったんですよ?都合の良いときばっかり娘面も

できませんよ」

 

「親が死んだんだから、立場なんて忘れて枕元で思いっきり泣いてやりな。

それも親孝行ってもんさ。」

 

「あゃゃ……」

 

「それじゃあ暦、私たちは天狗の里に向かうけれどアンタ達はどうするんだ?」

 

「僕達はこのまま元の目的通り、早苗ちゃんの神社に行くよ。

何だか僕達を待ってる人がいるらしいんだ。」

 

「へぇ?守谷の神達が暦を?」

 

「うーん……どうもそういうわけじゃないみたいなんだよなぁ」

 

「はぁ、こ、暦さーん!萃香さん見つからないでs、ってあれ!?萃香さん!?」

 

「あははは!それじゃあ行こうか文!あのバカ共に喝入れてやんないとね!!」

 

「お、お手柔らかに……では、暦さん。早苗さん。この度はご迷惑をお掛けしました……

それから、今はいらっしゃらないみたいですが、忍野忍さんにも心からお詫びを。」

 

「はい。また今度、改めて話を聞きたいです。記者さんなら幻想郷の色々な事に詳しいだろうし。」

 

「っ!……はい!それはもう!!幻想郷の名所から皆さんの恥ずかしい私生活まで、

真実を隠さず読者にお伝えする!!それが『文々。新聞』の売り文句ですから!!」

 

「私生活だとっ……!?」

 

「はいはい、その話はまた今度。問題が一区切りしてからにしな」

 

「そうですね、それではお二方、また近いうちに。」

 

「はい!よかったまた取材に来てくださいね!」

 

「僕も、取材とかなら喜んで受けるよ。」

 

別れの、というよりは再会の為の挨拶を終えると、文さんはお辞儀を一つして

萃香と共に雲を斬るようなもの凄い速さで飛び去っていってしまった。

 

「さて、それじゃあいよいよ僕達も神社に行くとしようか」

 

本来なら、すぐにでも『裏暦』とやらを追うべきなのだろうが、文字通り風のように

消えてしまったため奴がどこに向かったのかもわからない。

とにかく今後の事も考えないといけないし、一度腰を落ち着かせられる所に向かうのが

最適案だろう。

 

「そうですね!少し遅くなってしまいましたし、急ぎましょう!!」

 

太陽も傾き、紅葉と同じく紅色鮮やかに染まった空を僕達は早々と飛び超えていった。

 

092

 

「ようこそ暦さん!ここが私達守谷一家の神社です!!」

 

「あっはい、お邪魔しますー」

 

「何かテンション低いですね!!?」

 

「ん、まぁだってあっちの世界で一応見てはいるわけだし……何か雰囲気変わってるけど」

 

「おかえり早苗ー、あといらっしゃい暦ー。遅かったねぇ何かあったの?」

 

軽く早苗ちゃんで遊びながら境内を進んでいくと、金髪の幼女(忍ではない)が

出迎えてくれた。

 

「久しぶり諏訪子!!早速だけど抱っこしてもいい!?」

 

「う、うん……それにしても相変わらず神に対してなのになんの遠慮もないね、暦は。

まぁそんな所が好きなんだけどさ!」

 

「す、すすっすす好き!?好きって!?諏訪子様何を言ってるんです!!?」

 

「あはははは!!そんなに慌てなくても盗ったりしないから安心しなって早苗!!」

 

「ななななな、何の事ですかね!!?あはは、やだなぁ諏訪子様は!!

ついにボケられてしまったんですか?あ、あはははは!」

 

「早苗後で本殿裏な」

 

「ごめんなさい調子に乗りました。」

 

「許さん。」

 

「うぇえ!!!?」

 

「そ、そこは許してやってくれよ諏訪子……」

 

「冗談だって。早苗はホントからかいがいのある娘だね」

 

「ひどいですよぅ……あぅぅ……」

 

何だかんだでやっぱり仲のいい家族って感じだなぁ

 

「よく来たな、阿良々木。歓迎するぞ。」

 

諏訪子と早苗ちゃんの微笑ましい親子漫才を眺めながら本殿へ辿り着くと、

守谷一家の三柱目。八坂神奈子さんが顔を出してくれた。

 

「神奈子さん。どうも、お久しぶりです。」

 

「う、うむ。久しい、久しいな。それで、その……あの、だな。」

 

「…………?あぁ、忍ですか?忍なら影の中で――」

 

「影の中だな!?わかった!!」

 

僕の言葉を聞くや否や、神奈子さんがダッシュで影の中に手を突っ込んできた。

 

「ちょっ、神奈子さん!?」

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!?うぬ、山の軍神か!?何故うぬがおる!?あっ、やっ、

た、助けよお前様ぁぁ!!」

 

「む、無理言うなって、相手は神だぞ?しかもそんじょそこらの木っ端神じゃない、

八坂の軍神様なんかに勝てるわけないだろ。残念だけど諦めてくれ。」

 

「し、忍ぅぅぅぅぅぅ!!!あぁぁ!!!その突き刺すような目つき!!

眩しいくらいの金髪!!何度見ても昔の諏訪子そっくりだ!!最っっ高だな!!

最近諏訪子はますます私に構ってくれないんだ、だからもっと罵倒してくれ!

もっと睨み付けてくれ!もっと噛みついてくれぇぇぇ!!!」

 

「こ、この薄情者ぉぉお!!」

 

南無。現実は時として非情なのである。

 

「――ぁっらっらっぎさぁぁぁぁああああん!!!!」

 

『スッ……』と一歩右へ避けると、僕が元いた場所をツインテールの少女が

なかなかの速度で滑っていく。流石凹凸のないだけあって摩擦係数が少ないようだ。

 

「そんな、避けられました!!?」

 

「ふはは!!僕はお前と違って一度受けた奇襲は二度と効かないんだよ!!」

 

「くっ……まさか阿良々木さんにそんな学習能力があったとは……」

 

失礼なヤツだな。

 

まぁ、しかし、寛大な僕この生意気な女子小学生の失礼な発言も全て

水に流してやるとしようじゃないか。

 

まぁやり返すけど。

 

「では、僕のターンといこうじゃないか……?いくぞ八九寺ぃぃぃぃ!!!」

 

「きゃーー!!!?」

 

「お前!!わざわざ異世界まで僕を探しにくるなんて可愛いやつめ!!

大好きだぞ、八九寺!ああやばい、もう我慢できない、もっと触らせろもっと嗅がせろもっと絡ませろ!」

 

「きゃーー!きゃーーー!!ぎゃーーーーー!!!」

 

「こらっ!暴れるな!愛が育みにくいだろうが!」

 

「ぎゃあああああああああああああっ!!」

 

『がうっ!!』

 

と、八九寺に噛まれた。約一ヶ月ぶりである。

 

『がりぃ……』

 

そして何故か忍にも腕を嚙み千切られそうだった。

 

「痛え!!何すんだコイツら!特に忍!!噛みつくならあっちだろうが!!」

 

「そうだ!暦ばかりに構ってずるいぞ!ぜひ私にも噛みついて、いや、齧り付いてくれ!!」

 

『がうっ!がうっ!!』

『ギ……ゴリィ……』

 

「痛たたたたたたた!や、やめろ二人とも!両腕がお亡くなりになる!!」

 

「ほら!忍!!神の血は美味いぞ!!さぁはやく!はぁ!はぁ!」

 

「うわぁ……」

 

神聖な境内のド真ん中で幼女にセクハラをし、その末路をまた幼女(神)にドン引きされる

二人がいた。というか、僕と神奈子さんだった。

 

093

 

「やれやれ。しかし、お探ししましたよ、ウララギさん。」

 

「おい八九寺。いくら久しぶりに会ったからって人の名前を今回の物語の黒幕につけるべき呼び名みたいに呼び間違えるな。僕の名前は阿良々木だ。」

 

「失礼。噛みました。」

 

「違う、わざとだ。」

 

「噛みまみた」

 

「わざとじゃないっ!?」

 

「とりま生ー。」

 

「さてはお前、神無月の酒宴でビールの味を覚えやがったな!?」

 

いくら神だからってその姿でジョッキにビールは絵面的にマズいだろ!

文字だからいいけど!文字だったからよかったけど!!

 

「それで、阿良々木さん。」

 

まるで初めから間違いなんてなかったかのように、八九寺は話を続ける。

 

「この世界に来てしまった理由はおおよそ神奈子さん達に伺いました。

私が神無月に行ったことで阿良々木さん達を認識する方がいなくなったせいだとか……

ごめんなさい。」

 

「おいおい八九寺。そんなお前が謝ることじゃないだろ。」

 

確かに八九寺が最後の一人だったことに変わりはないけど、怪異として人に語られない

事にはいずれ僕達は存在を失っていただろう。

 

「つまりは阿良々木さんにお友達がいないのが悪いということですね。」

 

「違っ……くはないけどさぁ……もうちょっとほら……」

 

「あぁ、すみません。もう少しビブラートに包むべきでしたね。」

 

「それを言うならオブラートだ、声を震わせてどうする。」

 

八九寺P今度はミュージカルに進出か?

ららら木さんも出演しちゃうぞっ!

 

「真宵ちゃん相当暦の事心配だったみたいでさー、普段なら話しかけもしないウチ等

にすら訪ねてきたんだよー」

 

けろけろ。

 

聞いたこともない笑い方で諏訪子がそんな事を言った。

 

「えっ、何々?八九寺そんなに熱心に僕達の事探してくれたの??」

 

「……そんなの、心配するに決まってるじゃないですか。

私だって素直に気遣いなくお話できるのは阿良々木さん達くらいなんですから。」

 

「八九寺……」

 

「まぁ別に斧乃木さんも空いてる時間なら会えたりもしますけど忙しそうですし

気を使っちゃうんですよねー。」

 

「僕の中に一瞬でも生まれたシリアスさんに謝れ!!」

 

「あぁ、あの牛乳かけるとおいしい、」

 

「それはシリアル。というかそのネタはもう僕がやった。」

 

「む、そうでしたか。不覚です。」

 

「でも嬉しいよ八九寺。まさか世界を超えてまで会いに来てくれるなんて」

 

「私もお会いできて嬉しいですよ、阿良々木さん。」

 

「さて、漫才は終わったかな?」

 

「いつもの事ながら一度始まると本当に長いのぅ」

 

ずっと僕達の掛け合いを横で眺めていた諏訪子達がタイミングを見計らって、

口を開いた。

 

「お腹も減りましたし、そろそろ夕飯にしましょうか。」

 

「そうだ、今日は暦達と真宵の再開を祝って宴会だ!」

 

「ええっ!?お酒の準備なんてしてないですよ!!?」

 

「じゃあおつかいだ!買ってきて早苗!!」

 

「そんな横暴な……もう日もほぼ落ちてますし、

今から里に下りてもどこも酒屋さん開いてないですって。」

 

「えーー!?やだー!宴会やりたいー!!幻想郷のお酒久しぶりに飲みたいのーー!!」

 

駄々こねだしたぞこの神様。

 

「無理ですよぉ……」

 

早苗ちゃんが助けを求めるようにこちらを見つめてくるが、先ほど忍にも言った通り、

神様の我儘をどうにかできるほど僕に力はない。

 

「神奈子様ぁー……」

 

「うーん……私に言われてもなぁ……諏訪子、今夜中にはどうやっても無理だろ。

また明日でもいいんじゃないか?」

 

「黙れ。」

 

「んはああぁっ!はぁ、雑な扱いもまた良い……」

 

ダメだこの神様……はやく何とかしないと……

 

「話は聞かせてもらったぁ!!」

 

ヘタをすると僕よりヤバイ軍神様に呆れていると、僕達のもとに二つの影が降り立った。

 

「酒宴と聞いて、伊吹萃香、ただいま参上!酒と祭りごとは私に任せな!!」

 

094

 

「萃香!それに文さんも!」

 

「こんばんは阿良々木さん。思ってたより早い再会でしたね……あはは。」

 

「ええ、てっきり再開は最終決戦かエピローグ後かと……」

 

「天狗の里の長問題も萃香さんの鶴の、

というか鬼の一声で全部解決しちゃいましたからね……」

 

「解決したんですか、そりゃよかった。」

 

「良いのか悪いのかよくわかんないんですけどね……」

 

「よくわかんない?」

 

「いつまでも屁理屈を言う年寄り達に一言『本来なら文がやるべきだけど、

そんなに不満なら仕方ない。今後の山の統治は私がやってやる。後でつべこべ言うなよ』

って……」

 

「あ、あぁー……」

 

確かに言いそうだ……

 

「元々管理していたのは鬼の種族でしたからね……誰も文句は言えませんでした……」

 

「それは色々とご愁傷様で……」

 

「いやまぁ、すぐ飽きられると思うんですけどね……?飽きてくれるといいなぁ……」

 

頑張れ、天狗族の方々……!

 

「それで?一体何の宴会なんだい?」

 

「この子が暦達を探してはるばる幻想郷まで来て、無事再会も果たせた歓迎とお祝いの

宴会かな!」

 

「へぇー、外の世界から暦達を……それじゃあ盛大に祝わないと!」

 

「そうそう!せっかくのお祝いなんだし大規模にやんなきゃね!

お酒とご飯があれば参加者は勝手に集まるし!!」

 

「場所とご飯はウチで用意できないこともないんですが……

肝心のお酒を今切らしてて……」

 

「よしわかった!酒の用意は私に任せな!極上のモノを用意してやるよ!

だから早苗は飯を大量にこしらえておくこと!」

 

「は、はいっ!」

 

な、なんだか大事になってきたな……

 

「なぁ萃香、僕達にも手伝えることないか?」

 

「ない!!精々宴会ネタでも考えておくんだね~!期待してるからね!」

 

「え、宴会ネタ!?」

 

「ふっふっふっ、望むところです。

『ロリコンと被害者達の会』の爆笑コントを見せつけてやろうじゃないですか。」

 

「ロリコンは我が主様で間違いないとして、被害者『達』ってなんじゃ。

儂も入っとるわけじゃあるまいな。」

 

「鉄板の吸血鬼ギャグ、期待してますよ!お二方!」

 

「やらん!儂は絶対にコントなんぞやらんからな!」

 

「待って!?それより芸名考え直して!?」

 

「それじゃあ私は眷属の鴉たちも使って参加者を集めてきましょうかね。

広報役は得意分野です!!」

 

「~~~~!!よーし!!盛大な大宴会にするぞー!!早苗ー!私も手伝うー!!」

 

これは……ちょっと本気でネタ出ししないといけないかもしれない……!

 


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