幻物語   作:K66提督

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えっと。こんにちわ。また私です。
授業中サボって考えた分のストックを消費して連続投稿です!

……すいません!喋ることないですwww


とりあえず『幻物語 拾ㇳ肆』をお楽しみください!


幻物語 拾ㇳ肆

055

 

「ごきげんよう、阿良々木先輩。まさか貴方の方から私のところまで来るなんて思ってもみませんでしたよ。

 

「え?迷惑だったかって?そんなわけないじゃないですか。

不肖、私こと忍野扇は阿良々木先輩の為ならいくらでも時間をあけますよ?

 

「なんて、神原先輩じゃあるまいし、そんなこと言いませんけどね。

 

「まぁでも私としてはもっと迷惑をかけに来てくれるぐらいのほうがいいんですよ。こうして先輩とお話しすることもできますし、何より暇つぶしになります。

 

「いやいや、そんな顔されても阿良々木先輩。ここって忍ちゃんのいる影の中と違って凄い暇なんですよ?

 

「スカスカで特に何もない。阿良々木先輩の心の中なんてこんなもんです。

 

「あはは、いやぁー、やっぱり阿良々木先輩はからかいがいがありますねぇ。

よく考えてみてくださいよ、先輩。私は貴方にとっての何でしたか?

 

「……嫁って。笑えない冗談をほざきますねこの愚か者は。真面目に答えてください。

 

「……はい、そうです。私は『貴方』の中の『貴方』という存在そのものと同義。いくら心の中をぐちゃぐちゃにかき回そうと中身が一つじゃ意味ないですよね。

 

「はっはー。つまりは完全な無駄足になってしまったわけですよ先輩。

無様ですねぇ、間抜けですねぇ。

 

「なんて、冗談ですよ阿良々木先輩。まったく、情けない顔をしますね、この愚か者は。

まぁ、本来の目的は果たすことはできないですが、こんな辺境まで来てくださった先輩にプレゼントを差し上げます。きっとどこかで役に立つと思いますよ。」

 

056

 

「プレゼント?それって扇ちゃんのレギンスとか?」

 

「私のレギンスが今後の何に役にたつんですか、あぁ、わかりました。ナニの役に立つんですね。死ねばいいのに。」

 

んなことしねぇよ。読者の皆様に誤解されるからそんなこと言わないでいただきたい。

 

「しかし扇ちゃんの制服すら余裕で着こなす僕に今更レギンスなんてプレゼントじゃそんなに効果はないぜ?」

 

「プレゼントとはいいましたが別に物じゃありません。可愛い後輩からのワンポイントアドバイスですよ。」

 

「えぇ~?」

 

「よくもまぁそこまで不満を表情だけで表現できますね、阿良々木先輩。モニターの向こうの皆様にお見せすることができないのが残念です。

とにかく、物語の展開上必要な事ですから、アドバイスだけはさせてもらいますよ。」

 

さっきからちょいちょいメタァな事を……

 

私達二人だけならこうなるのは必然ですよ。

 

「こいつっ……直接モノローグに……!?」

 

「はいはい、いいですか阿良々木先輩。先ほども申しあげたように、私は『貴方』という存在そのもの。記憶や思い出が脳に残るというのなら、私はバックアップ。貴方の生きて来た百数年は、確かに私の中に存在しています。」

 

「ふむ、なかなか深い事をおっしゃる。」

 

「以上です。」

 

「はぁ!?以上!?それだけ!!?」

 

「はい。台本にはそう記載されてますね。」

 

「やめなさい。」

 

ダイホンナンテナイヨ?ホントダヨ?

 

「ふぅ、さて、それではまだまだ名残惜しいですがそろそろ起きましょうか、阿良々木先輩。」

 

「えっ、ホントに終わりなの?なんかこう、内なる自分との死闘とかするぐらいの覚悟でここまで来たんだけど」

 

「貴方はそんなに私と殺し合いをしたいんですか?その辺の少年漫画っぽい事は忍ちゃんのほうでやってくれてますよ。」

 

そういえば『忍ちゃん』て……随分可愛い呼び方だな……

 

「うーん、じゃあ戻るか……?あれ?僕戻り方知らないんだけど……?」

 

「あー、はいはい。送ってきますよー。全く、手間のかかる先輩ですねぇ。」

 

「申し訳ない。」

 

「じゃあ3カウントで、3、2、1」

 

「え、早っ」

 

「あ、ついでに『これ』持って行ってください、0。」

 

カウントが終ると、徐々に僕の姿が霧のように消えてゆく。

 

「え、あ、えっと、ありがとう扇ちゃん!メンタルを鍛えるっていう目的は果たせたのかどうか微妙だけど話ができて楽しかった!!」

 

「いえいえ、私もいい感じに暇つぶしができました。まぁこれからも死なないように頑張ってくださいねー。」

 

消えてゆく僕の手の中には扇ちゃんから受け取った1枚のカードが握られていた。

 

057

 

「う……」

 

頭が痛い。気絶させられた時の影響だろうか?

 

「あれ、もう帰って来たのね。あと数時間はかかると思ったのに。」

 

「忍は……?」

 

「そこ」

 

霊夢が僕の隣を指さす。

 

「頑張れよ、忍……!」

 

今も精神世界の中で激闘を繰り広げているのだろう。隣で少し寝苦しそうな表情を浮かべる忍の手を握ってやると、心なしか表情が軽くなった気がした。

 

「あ、いや、さっさと帰ってきて二度寝してるだけよ?」

 

そのまま握っている手を舐めしゃぶってやった。

 

「「何しとんじゃあ!!」」

 

吸血鬼パンチと博麗キックが阿良々木暦に襲い掛かる!!

 

「痛ってぇ!?何しやがる!?」

 

「こっちセリフよ!!なんで今の流れから手をな、舐める行動につながるのよ!」

 

「お前様はホントにぶっ飛んでおるな。」

 

「ぶっ飛んでるのはお前の方だろ。『アレ』を即効で倒してくるとか、どんな汚い手を使ったんだ。」

 

「汚いと言われるのは心外じゃが、まぁ、少しばかり卑怯ではあるかの。」

 

忍にしては珍しく、苦笑いを浮かべた。

 

「当時の儂があんな簡単に倒せたとはのぅ、肝が冷えた。何、顔を合わせた瞬間に心渡でぶった切っただけじゃよ。『アレ』はいわば慢心の塊じゃからの。不意打ちで必殺できる手段があれば負けはせんよ。」

 

不意打ち―――、それはかつて忍野メメがキスショットから心臓を抜き取った戦法だった。

 

「まぁでも、お互いに無事に戻ってこれてよかった。」

 

「そうよ、忍ならまだしもなんであんたがこんなに早いのよ、あんたこそ何かズルしたんだんじゃないの?」

 

「んん……ズルといえばズルなのかなぁ」

 

「どういう意味じゃ」

 

「えっと、まぁ当然扇ちゃんが出て来たわけなんだけどさ、そこで散々罵られたあげく、謎のヒント?的なものとこれをもらって帰ってきたという感じで……」

 

僕はいつの間にか握られていたカードを二人に見せた。

 

「ちょ、あんたそれ……!?」

 

『扇符・rbjrkm:bv]pjg』

 

「うわっ!?」

 

カードを掲げた瞬間、僕を中心に黒いモヤのようなもやのようなものが噴き出て来た。

 

「霊夢!これって……!?」

 

「スペルカードよ!しかもこの密度……!」

 

「お前様早く止めんか!!どんな影響が出るかわからんのは危険すぎる!」

 

「と、止めるったってどうすれば……!?」

 

扇ちゃんめ、とんでもないものをお土産にしやがって……!

 

「そんなの、こうすればいのよ!!」

 

『神技・八方龍殺陣』!!!

 

霊夢が僕たちのまだ知らないスペルカードを発動させると、

僕の周りをお札が取り囲……み……?

 

「燃えろ!!!」

 

燃えた。

 

「ちょ、うわぁぁあ!!?」

 

 

『ピチュ―――ン。』

 

 

阿良々木暦。幻想郷にて初めての死を迎える。

 

058

 

「んで?なんであんたがなんでスペカなんて持ってんのよ。なんか操れてなかったけど。名前もなんか変だったし。」

 

「えっと、お土産というか、プレゼントというか……とりあえず貰い物です。」

 

「貰い物ぉ?」

 

なんでも霊夢がいうにはスペルカードというのは弾幕勝負を極め、独自の能力、技術を弾幕に応用し作成するものであり、簡単に取得できるものではないらしい。

 

「そもそも原則的に作成者にしかスペルカードは発動すらできないはずなんだけどね。」

 

「原則?てことは例外もあるのか?」

 

「人の持ってるスペカを奪って発動とかは無理だけど、そのスペカを模倣することはできる。つまりは『パクリ』ってやつね。まぁ相当器用なやつにしかそんな芸当できっこないけど。」

 

「そういうことならそのカードはお前様が作ったんじゃろうよ。」

 

「ん?どういうことだ?忍?」

 

「寝相とか寝言とかと一緒じゃ。気を失っている間にそのカードの『イメージ』、つまりは設計図を渡され、それを具現化したんじゃろ。」

 

「寝相って……つまり僕は寝ながらコレを作ったってことか?」

 

「そういうことじゃ。」

 

「寝てる間にスペカ出来上がってるとか……相変わらず『鬼』ってのは何もかもが企画外よね……」

 

「よせやい照れるぜ。」

 

「いつ私があんたの事褒めたのよ。……はぁ、まぁとりあえずあんた達がメンタル修行全部すっ飛ばしてきた事はもうこの際何も言わないけど、あんたのそのスペカ、どう見ても未完成だから、それだけは絶対に制御できるようになってもらうわ。」

 

「制御……どうやってやるんだ?」

 

「知らないわよそんなの。言ったでしょ、スペルカードは個人専用の必殺技みたいなもんなの。だから制御なんて自分の勘でやるしかしかないのよ。普通は作りながら制御方法も調整していくわけだからそもそも前提が違うし。」

 

「え、じゃあ制御なんて無理なんじゃ?」

 

「ま、実践あるのみよ。とりあえず萃香とかフランとかその辺と……」

 

「ちょ、ま、」

 

「ヤイヤイヤイヤイ!!そこまでだ悪者め!お前のせいでアタイの友達が怖がって出てこなくなっちゃったんだぞ!アタイが退治してやるから覚悟しろ!!」

 

「え、誰……?」

 

「アタイの名前はチルノ!氷を司る『さいきょー』の妖精だ!」

 

なんだか元気のいい子が来たな。

 

 


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