ユーリくん奮闘記   作:融合好き

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前回において融合識別を誤った使い方してると指摘がありましたが、それは単に作者のミスです。修正する気力もないのでとりあえず流すようにお願いします。




ユーリくんの矛盾

 

 

「行くぞ…………俺のターン!」 太郎 SPC 8→9

 

 

チーム太陽。三人目、山下太郎さん。

 

朱色の髪と、赤いジャージが特徴的な爽やかな印象を受ける好青年。に見えるのもそうだが、その性格はかなり熱くて頑固。また相当な意思を持つ油断ならない相手、なんだそうだ。僕は相変わらず殆ど知らなかったです。ミゾグチさんは便利だなぁ。(KONAMI感)

 

しかし、色々とんでもない成り行きでこんな自体になったとはいえ、2対3という絶対的なディスアド(だいたい僕のせい)を変な方法で覆した挙句、実力者であるシェリーさん及び情報通たる執事を味方につけたと考えれば僕もなかなか捨てたもんじゃないね。いやマジで。そもそも僕以外だったらもっと意味不明な事態になってた気がするし。…………僕がいなかったら多分歴史改竄なんてされなかったとは言ってはいけない。

 

でもまあ、仕方ないんです。確かに僕達が頑張った結果として5D'sは一敗してしまったけど、まさかその後にチームユニコーンが勝利するなんて流石に予想外ですよ予想外。主人公の運命力が良くも悪くも現実的であることが悪い方向に行ったんだろうか? いや、運命なんて割と適当なのは彼女の時点で身に染みてるんだけどね。

 

 

「カードを一枚伏せ、バトルだ!

 

俺は眠れる巨人ズシンで、グリーディーヴェノムフュージョンドラゴンを攻撃! ズシンパンチ!!」

 

 

…………っと、そろそろ集中しないと。

 

油断大敵。あんだけメタ張ったユニコーン戦ですらたった一回の横着で沈んでしまったわけだし、曲がりなりにも原作アバターを殴り殺せそうなインチキカード(実際にできるかは知らない)がいる以上は気をつけねば。

 

相性が良いと意気込んで呼び出したグリーディーくんもぶっちゃけ役立たずになっちゃったし、どうやってライフとかを削るかね。さっき谷川さんにやった戦法とかかな…………まあ、流石に二度は通じないだろうけど。

 

 

「眠れる巨人ズシンの攻撃力は、バトルするモンスターの攻撃力に1000加算した数値となる!

 

お前のグリーディーヴェノムフュージョンドラゴンの攻撃力は3300! よってズシンの攻撃力は4300だ!」

 

「…………むぅ」

 

 

眠れる巨人ズシン。効果自体は前世におけるアバターに耐性をつけたようなカードだが、厄介なのはただ打点を上回るだけのアバターとは違い、上昇値が地味に高めな点。

 

逆に、アバターよりも劣るのは一時的とはいえ魔法罠を封殺することはできないのと、モンスターとの戦闘時にのみ発動する強制効果であるために直接攻撃の意味が無いこと、自軍の高打点を利用する戦法が不可能であることなどが挙げられる。

 

だが、どちらが強いのか、と聞かれるとやはりズシンに軍牌が上がるはず。耐性をつけただけとは言っても、そも戦闘に滅法強いアバターが微妙にうざったい耐性をつければそりゃあ強いに決まってる。ビートダウンがメジャーなこのゲームにおいて、戦闘に必ず勝てるというのは間違いなく絶対的なアドバンテージなのだから。

 

 

「僕のターン…………」ユーリ SPC 7→8

 

 

彼のエンド宣言に合わせ、割と気合いたっぷりにカードを引く。なんかこのデュエルでは妙に運命力が低い気がするし、ここで最良とはまではいわずとも、そこそこのカードを引ければ…………ふむ。

 

悪くない。むしろいいカードを引けた。が、これをするのは中々に難易度が…………いや、その道理を覆してこそデュエリスト。時間はかかりそうだが、さて?

 

 

「僕はカードを一枚伏せ、ターンエンド」

 

「俺の、ターンだ!」 太郎 SPC 10→11

 

 

彼のフィールドには、眠れる巨人ズシンに伏せカードが2枚。そして永続罠のドラゴン族封印の壺。対する僕は伏せが2枚のみ。

 

スピードカウンターもそうだし、アドバンテージにはかなり差があるが、まあズシンだけならばさほど面倒な事態にはならないだろう、うん。

 

実際、ズシンの攻撃力は戦うモンスターの攻撃力で決まる。要するにモンスターがいない原状での攻撃力は0だ。仮に追加でモンスターを召喚するにしても、一気にライフが0になることはないはず。

 

というかマジでどう来るんだ…………? アニメでは難敵たるスタダがひたすら出張っていたからあまり気にしてなかったけど、がら空きならズシンって割とどうしようもないよな…………。

 

そんな僕のある種当然の疑問に答えたのは、ある意味では真っ当で、考えてみればこの上なく当たり前で、そして僕には予想外な戦法だった。

 

 

「俺は手札から、《異次元への案内人》を召喚!」

 

 

 

 

 

《異次元への案内人》

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1400/守1000

①:このカードの召喚に成功した時に発動する。

このカードのコントロールを相手に移す。

②:エンドフェイズに発動する。

相手プレイヤーはこのカードのコントローラーの墓地からカード1枚を選択し、ゲームから除外する。

 

 

 

 

 

現れたのは、かなり昔…………それこそ確か、融合が全盛期だった頃に登場したカードであり、微妙に見覚えがある…………やべぇ、あの外套どんな効果だっけ?(素)

 

いや、確かに、本当に微妙に見覚えはあるんですよ? ええ。自慢じゃないですけど僕は融合時代には遊戯王にどハマりしてましたからね。確かあのカードも持ってましたとも。ええ、ええ、本当に。いやマジで持ってたからあのフード間違いなく。私嘘ツカナイアル。

 

でも…………やべぇ、マジでわからん。なんだっけあのカード…………。ま、まあ、そんなのはこの世界だといつもの事だからいっか…………ほら、ちょっと見覚えがあるから逆に気になっただけだし…………。

 

 

「異次元への案内人の効果発動!

 

このカードが召喚に成功した時、このカードのコントロールを相手に移す!」

 

「…………ああ、なるほど」

 

 

僕がそんな感じで無駄に必死に記憶を漁っていると、その謎の外套マン(仮)はせっかく召喚されたというのに何故か即座に僕の元へと馳せ参じる。

 

割と謎の行動に一瞬だけ困惑してしまったが、考えてみればズシンは戦闘において無敵かつ絶対的な効果を持つ。となると下手にモンスターを並べるより文字通りに的を用意した方が【ズシン】デッキとしてはこの上なく真っ当なのか。

 

 

「…………むう」

 

 

悩む。いや、悩む云々以前に別に何か手を打てるわけでもないんだけどとりあえず思考する。

 

言うまでもなく、このゲームにおいて「(一部例外を除いて)絶対に殴り勝てる」というのは厄介だ。あんな効果を相手に逆に殴り殺せる例外が軽く5体ほど浮かぶのはなんとも言えないが、それでも現状ではそれを用意するのは流石に厳しい。というか蛇神ゲーやらオベリスクやらアバターを用意しろと? 無理です。

 

となると今度は効果破壊、となるわけだが…………対策で召喚したはずのグリーディーが爆☆殺されてしまった現状を鑑みるに、それも中々難しい。かといえこのまま「的」を用意されて嬲り殺される或いはバーンで焼かれるのは論外だし…………むむむ。

 

…………融合素材にするか? いや、でも今はたまたま融合魔法がないし…………くそぅ、バーン対策のカードを多数投入しているのが仇に…………!

 

僕の今のライフは(この糞ルールのせいで)たったの1000。このままでは…………。

 

 

「バトルだ! 俺はズシンで、異次元への案内人を攻撃! ズシンパンチ!」

 

『眠れる巨人ズシンの効果で、その攻撃力は相手モンスターよりも常に1000上回ります………!

 

そして、榊選手のライフは1000! これは決まったかぁー!?』

 

 

いえ、そっちからすれば残念でしょうがまだ決まりません。フラグ立てありがとうございます。

 

 

「………永続罠、《融合塹壕ーフュージョン・トレンチ》を発動します。

 

このカードがある限り、フィールドに存在する融合モンスター以外のモンスターは攻撃できません。

 

ズシンの耐性はあくまで対象を取る効果のみ。ならば当然これは有効です」

 

 

ズシン対策カードその2、攻撃抑制+直接攻撃(戦闘回避)。

 

まあ、正確に言うならこのカードはズシン云々よりも融合以外をメタるカードなんだけど、これがどうして中々侮れないんだな、マジで。特にこのルールだとね。或いは彼等だから、なのかもしれないけど。ほら、パーミッションって比較的レアカードだし。

 

…………そんな凄い便利カードなのに、このルールだと、ほぼ確実に次のターンで除去られるんだけどね!おのれスピードワールド!

 

 

「くっ…………エンドフェイズ、俺はお前の墓地から《グリーディー・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》を除外!

 

俺はこれで、ターンエンドだ!」

 

「僕のターン、ドロー」 ユーリ SPC 9→10

 

 

さらっと致命的なことをされたような気もするが、とにかくこれで僕も大台(カウンター10)に乗ったか、などと考えながら、ドローしたカードを確認する。

 

引いたカードは当然のように融合魔法。知ってた。流石は僕。もっとブレてもいいのよ?

 

でも、このタイミングでこのカードが来たのならそうだな…………予定(グリーディーくん大活躍)とは大分変わるけど、これで行こうかな。

 

 

「リバースカード、《高速詠唱》を発動し、手札の魔法を墓地に送ることでその効果を発動します。

 

墓地に送るカードは《簡易融合》。このカードは、エクストラデッキからレベル5以下の融合モンスターを呼び寄せる効果を持ちます。

 

なお、ちょっと理解しづらいかもしれませんが、このカードを経由した場合、『魔法カードのプレイ』には該当しないので、スピードワールドのダメージは受けません。また、本来のコストも無視できます。

 

ちなみに、高速詠唱のデメリットは別なので、次のターン、僕は魔法カードを発動できません」

 

「…………?」

 

 

あ、理解してないなこりゃ。いや、難しいのはわかるんだけどね?

 

思えば、確かこの人アニメでもこの理解しづらいルールによって敗れたはずだったし。こんな複雑怪奇なルールを懐古デッキ(柔らかい表現)でどうこうしろって言う方が無茶なのかもしれないけど。

 

 

「…………とりあえず、レベル4、《暗黒火炎龍》を融合召喚し、異次元への案内人と合わせてオーバーレイ!

 

2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

「エクシーズ召喚…………!」

 

「現れろ、ランク4!

 

《No.66 覇鍵甲虫マスター・キー・ビートル》!」

 

 

 

 

 

《No.66 覇鍵甲虫マスター・キー・ビートル》

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/昆虫族/攻2500/守 800

闇属性レベル4モンスター×2

①:1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、

このカード以外の自分フィールド上のカード1枚を選択して発動できる。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、

選択したカードはカードの効果では破壊されない。

②:フィールド上のこのカードが破壊される場合、

代わりに選択した自分のカード1枚を墓地へ送る事ができる。

 

 

 

 

 

 

 

召喚せしは、黄金に煌く外殻が特徴のカブトムシ…………狙いが見え見えだって? 知ら管。

 

 

「マスターキービートルは1ターンに一度、オーバーレイユニットを一つ使い、フィールドのカード一枚に効果破壊に対する耐性を付与する!

 

僕が選択するのは当然、フュージョントレンチだ!」

 

「なんだと…………!?」

 

 

そう、この布陣、見覚えのある(トラウマになってる)奴も多いのではなかろうか。

 

これぞ前世において横行し、《虚無空間》が制限カードになった要因(※多分違う)たる戦法、必殺・虚無キービートルである! 安置キービートルでも可。

 

エグい割にぶっちゃけなんか地味だが、というかこの世界的にあっさり対処される予感が否めないが、今は何よりもライフとか時間とか手札とかその辺りが欲しいのだ。だから的を増やしたのです。僕が融合するために。融合を、使いたいだけなのに…………!

 

 

「スピードワールド2の効果で追加ドロー。それをそのままセットして、ターンエンド!」 ユーリ SPC 10→3

 

 

考えるとますます惨めになりそうなので、最後にとりあえずいつも通りモンスター引けないか試して惨敗しターンを譲る。どうせ僕はモンスター引けないですよええ。

 

ま、なんとかなるでしょ。多分。…………次くらいは。

 

 

「俺の、ターン!」 太郎 SPC 12

 

 

さて、どう来る?

 

言ってはなんだが、今の僕は悪足掻きをしているに等しい。

 

既に2人のデュエリストを相手にしている以上はどうしても仕方ない部分はあるのだが、それにしてもこの戦況は誰が見ても僕がピンチだと思われることだろう。…………ユリ辺りなら逆に布陣を固めてブラフでも仕込みそうだけど。

 

まあ、そんな特殊事例は今回該当しないから省くとして、問題なのがその上で彼がどんな行動をして来るのか。

 

地味に卑劣な攻撃抑制に加えて未知のカードがあるにせよ、自身のアドはそれこそ絶対的。そんな中、ライフ1000なのにこれ見よがしと召喚された「的」。

 

このゲームで大切なのは、カード云々よりも先に技量や運命力、そして並びに精神力(・・・・)。それは、おそらく原作(・・)を知っている僕でしか理解し得ない概念だろう。

 

ゲームであって、遊びではない…………もう思い出すことすらできない記憶にそんなフレーズがあった気もするが、それも違う。これは遊戯なのだから(・・・・・・・・・・)

 

遊んでもいい。巫山戯てもいい。無視してもいい。壊すことすら、持つものの自由だ。…………だが、僕は、このゲームを死んでも手放さなかった。

 

何が理由なのか、それこそ僕は忘れてしまった。嘘だ。良く覚えている。僕は死ぬ前に、死ぬ時に、死んだ後に。

 

……………………いや、別に、僕の生まれがどうとかそんなのは全く関係ないんだけどね。むしろ何考えてんだ僕。巫山戯てるのか。油断、かなぁ…………(適当)

 

 

「…………。

 

俺は、スピードワールド2の効果を発動!

 

スピードカウンターを10個取り除き、お前のそのモンスターを破壊する!」

 

「…………………」

 

 

当然、僕の行動にしばらく悩んでいた彼だったが、やはりと言うか当たり前と言うか、結局は思惑通りに破壊効果を選択する。…………ごめん、嘘ついた。思惑なんて可能性を適当に並べていただけです。相手がエクシーズ召喚でもしないと予想範囲内だったりします。そもそもこの状況でできることの方が少ないし…………。

 

 

「…………。

 

僕は、マスターキービートルの第二の効果を発動。

 

このカードが破壊される場合、代わりにこのカードの対象になったカードを墓地に送ることができる」

 

「…………なっ!?」

 

『なんとぉー!? これは───』

 

「さて、どうします?」

 

「───っ!」

 

 

どうするのか。

 

それはすなわち、彼がどこまでもズシンに頼るのか、或いは伏兵を呼ぶのかの二択。

 

現状では「的」扱いだとはいえ、曲がりなりにも「壁」がいる状況で彼は僕を仕留められない。だが、当然それはズシンによって「的」にすることはできる。

 

だが、ズシンだけでは僕を仕留めるのは難しいはずだ。所詮はたかだかモンスターが一体。ワンマンデッキだからこそ「もしも」が恐ろしいはず。

 

この辺りは決まった切り札が「融合」カードなんていう曖昧な僕ならではの思考なのだけれど、彼は少なくともそれを恐れているわけで。

 

 

「っ…………。

 

俺は、《マグネッツ1号》を召喚…………!」

 

 

 

 

 

《マグネッツ1号》

通常モンスター

星3/地属性/戦士族/攻1000/守 500

コンビプレーが得意な戦士。強い磁力を発し、誰にも逃げられない。

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

しばし沈黙したまま様子を伺えば、プレッシャーに耐えられなかったのか、冷静に戦況を判断したのか、真意はわからないが、彼が新たにモンスターを召喚する。

 

それがどれほど僕の思惑通りでも、僕はそれを悪いとは言えない。愚かとも言えない。絶対に。

 

何故なら、このゲームはどこまで行っても遊びだから。遊びは楽しまなければ、損になっちゃうしね。でも、僕は遊びにムキになる人間なんだ☆ …………ごめんなさい。

 

 

「この瞬間、墓地に眠る《スキル・サクセサー》の効果を発動。

 

墓地のこのカードをゲームから除外し、マスターキービートルの攻撃力を800アップする」

 

「墓地から罠…………!? まさか、最初の…………だが、ズシンには!」

 

「勝てませんね。仮にダメステで発動しても永続効果に塗り替えられますから。ですが、僕の目的はそれではないので」

 

「…………俺は、お前が何を企んでるのかはわからない。だが、ズシンの前には全てが無意味だ!」

 

 

…………いや、無意味とまで言う? 無駄な足掻きに見えるのは否定しないけど、ちょっと嫌悪感が先立ち過ぎじゃないですかね。(汗)

 

そんなにレアカードが…………というより、これは単にズシンに絶対の自信があるからかな…………? わかんね。まーどーでもいっか。

 

 

「バトルだ! 俺はズシンで、マスターキービートルを攻撃!」

 

「…………この瞬間を、待っていました。

 

僕は、マスターキービートルと眠れる巨人をコストに(・・・・)、罠カード《矛盾の合成》を発動しますね」

 

「…………は?」

 

『…………な、何が…………?』

 

 

 

 

 

 

《矛盾の合成(パラドクス・シンセサイズ)》

通常罠

①:自分フィールド上のモンスターエクシーズ1体と

相手フィールド上のレベル5以上のモンスター1体をリリースして発動できる。

相手フィールド上のモンスター1体の攻撃力はリリースしたモンスターの攻撃力の合計分アップする。

この効果で攻撃力がアップした相手モンスターが戦闘を行ったエンドフェイズ時に

そのモンスターを破壊し、その攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 

 

 

 

 

 

Q.超耐性を持つ超絶面倒臭いモンスターがいます。どうしますか?

 

A.ラヴァゴ。

 

 

 

まあ、うん。そうなんだ。さっきから企んでたのは超絶身も蓋もない対処法なんだ。容赦? したら負けるから仕方ないね!……………………マジでごめんなさい。(流石に口には出さない)

 

いや、だってどっかの最弱魔王やら真の最高神みたいに「神に生贄効果なんか効くか!」じゃないんだもの。そりぁあ利用するに決まってる。特に今は、ルールのせいでガッチガチに縛られてるわけだし。だから僕は悪くねぇ!悪いのはこのルールなんだ!(言いがかり)

 

 

「このカードは、自分フィールドのエクシーズモンスター一体と、相手フィールドのレベル5以上のモンスター一体をそれぞれリリースして発動できます。

 

そして相手のモンスター一体…………マグネッツ1号ですね。そのモンスターの攻撃力をリリースしたモンスターの攻撃力を合計した数値分アップさせます。

 

…………まあ、要するに、変則的なパンプアップカードですね」

 

「だが、ズシンは…………」

 

「対象を取る効果を無効にする。しかし、コストの場合は対象云々に関係なくリリースでき、またこのカードはそもそもリリースするカード及びパンプアップさせるカードに対しても対象を取るタイプの効果ではないので無問題です。

 

でも、スピードワールドはコストにできないんですよねー…………はぁ」

 

 

(勝手に)超強化されたマグネッツ1号くんを見ないように視線を逸らしながら、どこまでもこのルールに対する不満をぶちまける僕。

 

ぶっちゃけ自分でもそろそろウジウジ言うのが飽きて来たのだが、このルール改善のためなら根気良く訴えますよ僕は。デモは折れないことが大切。政府の負担? 知ら管。死人に口無しなのです。僕は口があるけど。

 

 

『な、なんと…………あの三幻神に匹敵する力を持つと謂われるモンスター、眠れる巨人ズシンが、こんな方法で…………!』

 

「如何にズシンだろうとルールには逆らえません。ラーとかそのあたりのモノホンの神なら無視して来そうなのが恐ろしいですが。

 

…………で、攻撃、しますか?」

 

「…………」

 

 

色々詰め込まれて思考が低迷したのか、彼はつい先ほどまでズシンがいた虚空を見上げつつ無言で器用にDホイールを駆く。

 

予想外だったのはわかるが、ここですぐさま次の戦法に切り替えられないようなら僕には勝てんぞ。いや、僕はここで実質負ける予定なんだけどさ。やっぱこのルールって糞だわ。でもほら、試合には勝てるしもういいよねって。フォアザチーム、フォアザチーム。

 

 

「…………改めて、バトルだ!

 

俺はマグネッツ1号で、プレイヤーにダイレクトアタック…………!!」

 

「ぐふっ…………!!」 ユーリ LP 1000→0

 

 

まあ当然、無防備になった僕はこれまでの恨み辛みやら不満やら怒りやらなんやらが詰まった攻撃をそりゃあもう当たり前のようにぶち込まれる。誰だってそーする僕だってそーする。でもユリは多分警戒して嬲る。だって一部不自然に火力上げたし。

 

しかし、流石に攻撃力4300は辛い。なんで物理的ダメージがなんて疑問はこの世界では通用しないし。割とノリとか情熱とかでイメージが物理干渉するからねこの世界。リアルソリッドヴィジョン? そんなのいらんかったんや!

 

 

『流石に限界かー!?

 

これまで2人のデュエリストを倒し、あの眠れる巨人ズシンまでをも倒した榊選手、ついに…………』

 

「…………エンドフェイズ、矛盾の合成の更なる効果を発動」

 

「なに…………?」

 

 

とりあえず実況の言葉は無視して、僕は最後の悪足掻きを実行する。

 

どうしても手が回らなくて悪足掻きになってしまうのはぶっちゃけ超悔しいが、勝てばいいのだ。勝てば。…………僕は負けてるけどね! あああ悔しい!!! 次こそは…………!!

 

 

「矛盾の合成の効果を受けたモンスターが戦闘を行なった場合、エンドフェイズにそのモンスターは破壊し、その攻撃力分のダメージを与える。

 

マグネッツ1号の今の攻撃力は4300。すなわち、貴方は4300のダメージを受けてもらう」

 

「なんだって…………!?」

 

『な…………』

 

 

死人に口有り。このゲームでは、とっても有名な諺だ。…………むしろ頓知かな?

 

由来はまあ、とにかく…………悪足掻きも、偶には悪くないね!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぁぁぁあああああ!!!」 太郎 LP 4000→0

 

 

何故か僕よりも盛大に衝撃を受けている彼を見ながら、僕はなんとかこの勝負を切り抜けた事実を実感する。

 

そして、改めてこのゲームのルールは複雑だなぁ、などと考えたりするのだった。

 








お久しぶりです。

試験勉強云々より、アニメがクッソつまらなくてモチベーションだだ下がりだった。もうパック買ってないよ…………。

リンク召喚とかもあれですし、よほどアニメが面白くなければ多分遊戯王引退します。この作品ももうモチベが上がらなくてエタるかもしれません。やばいやばい。

でも、流石に区切りが悪過ぎたのでとりあえずここまでは書いた。続き?…………もう望んでる人いないだろうし…………。



融合ちゃん劇場。

融合「一枚しか融合モンスターを出せなくても、正規融合なら無問題!」
スターヴ「手札にモンスターがいないんですがそれは」

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